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アリスティア、魔法について考える

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城下町まで出てしまえばもう誰も知り合いはいない。
ただ、精霊の姿が見つかると騒ぎになるので、ジュピも周りからは見えないように上着の胸ポケットに隠れてもらっている。
その後、魔物の肉と聖石や聖水の関係については告知してもらったおかげで、魔物の肉を使う店が増えた。
最初は手違い等による魔物アタリについても心配したが、予想していたほどの件数ではなく、重症者も出ずに今までくることができている。
それだけ皆慎重に扱っているのだろう。
私のリクエストにより、我が家王宮の食卓でもちょくちょく食卓に並ぶようになった。

結果、串焼きの露店というものが出るようになった。
お客さんが安心できるようになのか、肉は包み紙に包まれ、上に砂時計と聖石が置かれている場合が多い。
今はまだそれほど気温が高くないからいいが、夏場どうするんだろう。

ジュピ用には、王都では潤沢に供給されるようになった砂糖で作られた飴を渡しておく。
お肉はジュピに切り分けることはできないからだ。
とりあえず道端のベンチに腰掛け、一人ぱくぱくといただく。

「やっぱり食べ歩きは良いわよね~。」

「お行儀は悪いけどね~」

ポケットの中からジュピの声が聞こえる。
一応、私以外には聞こえないよう魔法をかけてるらしい。
空気の流れをいじっているそうで、風魔法?と思わなくはないのだが、その辺は魔素を操作すればどの精霊もできるらしい。
ということは訓練すれば私でもできるんだろうか。

「ねえジュピ、属性に関係ない魔法ってどうやるの?」

「基本は一緒だよ。魔素を操りながら、強く意識するだけだね~。」

「じゃあ例えば、風を起こすのは?」

「空気に魔素を混ぜて、強さや方向、密度をイメージして流す感じかな。」

「じゃあ自分が空を飛ぶこととかもできるの?」

「できなくはないけど、今はまだ無理かな。かなり難しいと思うよ。」

残念。まあ、うまくコントロールしないと風圧もすごいだろうしね。

「それなら、けがの治療は?」

「怪我した箇所に魔素を混ぜて、元の状態をイメージする感じかな。」

「病気も直せるの?」

「原因と、元の状態が予想ついていればね。でも失敗すると悪化することも多いからもっと魔法になれてからじゃないと危ないと思うよ。」

そっか、まだ早いってことね。
でも、前世の人体の知識とチートで持ち込ませてもらった素人さんでもわかる程度の医学書があれば割と行けるんじゃないだろうか。
早くもっといろいろな魔法を使えるようになりたいな…
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