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アリスティア、魔法について考える
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あれ?
悪い魔物は悪魔の仕業、というなら、魔物からとれる魔石って黒魔石ばっかりになっちゃうんじゃないんですか?
「そこは悪魔の巧妙なところ。巧妙な精神操作で人間を襲いたくなるよう仕向けるだけだから、魔石にまで影響が出ないの。だから悪魔の、つまり黒の魔石っていうのはこの世界には存在しないはずよ。」
え?
「濃紺とか至極色とかはあるはずだから、見間違えることもあるかも。ま、魔物は自然繁殖もするけど、同種だからといって同じ魔石とは限らないからややこしいのよね。」
な、なるほど。
そういえば魔石の色って精霊の色よりもしかして種類が多いのって…
「そう、そこがポイント。せっかくだから今の世の成り立ちと魔法の関係を説明しようかしら。」
ロミア様が光り輝き、いつもと違って荘厳な感じで語りだす。
「古来、世界には魔素と呼ばれるものが濃厚に漂っていた。
濃密な魔素はさまざまな性質を持った固体、魔石となって様々な動植物や土地に取り込まれ、時に魔物や聖樹となり、時にエルフやドワーフと呼ばれる人の長命種となり、時に聖水の沸く泉や聖石の鉱床となった。
そして原初の人々は濃厚な大気中の魔素を操り、魔法と呼ばれる様々な奇跡を自由に行っていたの。
世界が生まれて1000年が過ぎた頃、とある稀代の大魔法使いが自然界にあるものに沿って濃密に魔素を固め、意識と人型を与え、大精霊というものが6柱誕生した。
大精霊たちは自らの分身として子を産み増やし、力を分け与え、人々の手助けをさせるようになった。
しかし、知恵が発達し、文明が発展すると良い魔法使いだけではなく私利私欲に走る者も出てくる。
そうしたものが固めた思念が悪魔となり、自然と数を増やし世にはびこるようになった。
そのため私は2500年に初めて大審判を行い一度世界の文明をほぼすべて平らかにした。
そして、悪魔が発生しにくいよう魔素の濃度調節を行うと同時に、大精霊たちには人々の善き行いの手伝いをするよう諭した。
そうして生まれたのが精霊が贈る宝珠の仕組み。
また、人間たちには最低限の知識だけを神託として下し、悪魔が増えすぎるのを防ぐために大審判という仕組みを作った。
だから今の世の人々は精霊が魔法を司っていると思い込んでいる。」
え…?
これってすごく大切な話じゃ…
聞いちゃって大丈夫なんでしょうか…
「他言は無用よ。ただ、この概念を知っていると、精霊が司る以外の魔法も訓練次第で使えるんじゃないかな。それらを…そうだ、女神魔法っていって、女神の寵愛の深いものが使えるって設定で多少周りに話すぐらいには構わないわ。」
おおう、新しい魔法にしちゃうんですね。
「そして、新たな使命を。悪魔を見つけたら消滅させて。」
…責任重大ですね。
頑張ります。
でも悪魔って見えるんですか?
「見えるようになるわ。魔素でメガネを形作るイメージで、精霊も悪魔も両方。本来10歳になるまで魔法が使えないのは、悪魔の誘惑にある程度耐えられる年齢になってから魔法を使ってもらうための措置なの。ただ、あなたの中身はもっと大人でしょう?宝珠は魔素の増幅と操作性の向上を担う装置だから、精霊の補助か強い意識さえあれば宝珠が無くても魔法は使えるわ。この前の約束通り、9歳になったら宝珠を渡して自由自在に公に魔法が使えるようにするから、それまでは隠して使って魔素の操作と精霊たちに手伝ってもらうぐらいにしておいて。新しい悪魔退治は宝珠が手元に来てからで構わないわ」
…まずはやってみます。
そうして私の意識は白い世界から徐々にログアウトしていった。
残された女神様は一言ぽつりとつぶやく。
「期待しているわ、大魔法使いファーディーの末裔。」
悪い魔物は悪魔の仕業、というなら、魔物からとれる魔石って黒魔石ばっかりになっちゃうんじゃないんですか?
「そこは悪魔の巧妙なところ。巧妙な精神操作で人間を襲いたくなるよう仕向けるだけだから、魔石にまで影響が出ないの。だから悪魔の、つまり黒の魔石っていうのはこの世界には存在しないはずよ。」
え?
「濃紺とか至極色とかはあるはずだから、見間違えることもあるかも。ま、魔物は自然繁殖もするけど、同種だからといって同じ魔石とは限らないからややこしいのよね。」
な、なるほど。
そういえば魔石の色って精霊の色よりもしかして種類が多いのって…
「そう、そこがポイント。せっかくだから今の世の成り立ちと魔法の関係を説明しようかしら。」
ロミア様が光り輝き、いつもと違って荘厳な感じで語りだす。
「古来、世界には魔素と呼ばれるものが濃厚に漂っていた。
濃密な魔素はさまざまな性質を持った固体、魔石となって様々な動植物や土地に取り込まれ、時に魔物や聖樹となり、時にエルフやドワーフと呼ばれる人の長命種となり、時に聖水の沸く泉や聖石の鉱床となった。
そして原初の人々は濃厚な大気中の魔素を操り、魔法と呼ばれる様々な奇跡を自由に行っていたの。
世界が生まれて1000年が過ぎた頃、とある稀代の大魔法使いが自然界にあるものに沿って濃密に魔素を固め、意識と人型を与え、大精霊というものが6柱誕生した。
大精霊たちは自らの分身として子を産み増やし、力を分け与え、人々の手助けをさせるようになった。
しかし、知恵が発達し、文明が発展すると良い魔法使いだけではなく私利私欲に走る者も出てくる。
そうしたものが固めた思念が悪魔となり、自然と数を増やし世にはびこるようになった。
そのため私は2500年に初めて大審判を行い一度世界の文明をほぼすべて平らかにした。
そして、悪魔が発生しにくいよう魔素の濃度調節を行うと同時に、大精霊たちには人々の善き行いの手伝いをするよう諭した。
そうして生まれたのが精霊が贈る宝珠の仕組み。
また、人間たちには最低限の知識だけを神託として下し、悪魔が増えすぎるのを防ぐために大審判という仕組みを作った。
だから今の世の人々は精霊が魔法を司っていると思い込んでいる。」
え…?
これってすごく大切な話じゃ…
聞いちゃって大丈夫なんでしょうか…
「他言は無用よ。ただ、この概念を知っていると、精霊が司る以外の魔法も訓練次第で使えるんじゃないかな。それらを…そうだ、女神魔法っていって、女神の寵愛の深いものが使えるって設定で多少周りに話すぐらいには構わないわ。」
おおう、新しい魔法にしちゃうんですね。
「そして、新たな使命を。悪魔を見つけたら消滅させて。」
…責任重大ですね。
頑張ります。
でも悪魔って見えるんですか?
「見えるようになるわ。魔素でメガネを形作るイメージで、精霊も悪魔も両方。本来10歳になるまで魔法が使えないのは、悪魔の誘惑にある程度耐えられる年齢になってから魔法を使ってもらうための措置なの。ただ、あなたの中身はもっと大人でしょう?宝珠は魔素の増幅と操作性の向上を担う装置だから、精霊の補助か強い意識さえあれば宝珠が無くても魔法は使えるわ。この前の約束通り、9歳になったら宝珠を渡して自由自在に公に魔法が使えるようにするから、それまでは隠して使って魔素の操作と精霊たちに手伝ってもらうぐらいにしておいて。新しい悪魔退治は宝珠が手元に来てからで構わないわ」
…まずはやってみます。
そうして私の意識は白い世界から徐々にログアウトしていった。
残された女神様は一言ぽつりとつぶやく。
「期待しているわ、大魔法使いファーディーの末裔。」
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