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アリスティア、王都に帰る
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とりあえず、まず食べよう。
ルーディアで食べていた時はそれほど草たちの香りも強くなく、よく言えば滋味がほのかに感じられる、ありていに言えばあんまり味も香りもない草粥だったのだが、これは大違いだ。
まず初めにパクチーのような香りが鼻をつく。
この香り苦手なんだけどな…
一応咀嚼すると、カリっという歯ごたえとともに胡椒辛さが…黒胡椒かしら…
鼻のほうに香りを抜いてみると、やはりパクチーの自己主張が強いが、裏に隠れて先ほどまでのディージーの香り、そして少しすっきりするレモングラス系の風味、そして何より強い爽快感が…
え、もしかしてミント系まで入れてるとか?
ものすごい違和感を感じながら周りを見回すと全員完食してこちらを見守っている。
あ、待たせてますよね。ごめんなさい。
品数が多い分、一品ごとの量はそれほど多くない。
おかゆも、少し大きめの小皿、ぐらいなのですぐに食べ終わった。
というか、お茶碗一杯分のコレは食べられないわ…
「アリス、とっておきだったんだけど口に合わなかったかな…?」
心配そうに王様が話しかけてくる。
「ごめんなさい、最近、一部の香草の香りが苦手になってしまって…ただ、すごく興味があるので、料理人に材料を見せてもらえますか?」
「ああ、無いものもあるが、あるものは明日料理長に用意するよう言っておこう。セバスチャン。」
「は、手配いたします。」
あ、やっぱり執事の名前はセバスチャンなのね。
定番ですよね。
白髪をぴっちりと固めた壮年の執事(多分一番偉いんだろう)が返事を返す。
せっかくだから聞いてみよう。
「あの、ご飯っていつもこのようにポタージュのように食べるんですか?」
「はい、左様でございますが…アリスティア姫様は別の食べ方もご存じなのでしょうか?」
「ええ、女神ロミア様よりいただいた知識なのですが…」
前世の知識もこの際だから女神様のおかげっていうことにしちゃおう。
私の知っているご飯の炊き方を説明する。
そしてついでに、味噌汁のつくり方も説明し、相性抜群、ということも強調しておいた。
もちろん、ディージー味噌じゃなくてちゃんと大豆味噌を使うことは忘れずに念押し。
あれ?みんななんかうっとりした顔でこちらを見てる…?
「さすが使徒…!」
「女神様の知識を聞けるなんて…なんという幸せ」
「そんな食べ方もあるのですね…」
あ、驚いてるのか。というかこの世界、本当に女神様が敬われている、というのが伝わってくる。
セバスチャンはどこから出したのか手帳を取り出して私の発言を必死にメモし、「これはすぐにでも料理長に伝えなければ…!」と私に一礼して走っていった。
「皆様、楽しい食事時に申し訳ありません。」
「いや、いいんだよ。女神様の知恵の一端に触れることができて皆感動している。これからも思ったことや気付いたことがあれば教えておくれ。」
「はい!」
王様に公認をもらえた!
ということは、これからどんどん食事をカスタマイズできる…!
表向きはにっこりと、心の中ではにやにやとした笑みを浮かべながらデザートを食べ、夕食の会はお開きとなった。
ルーディアで食べていた時はそれほど草たちの香りも強くなく、よく言えば滋味がほのかに感じられる、ありていに言えばあんまり味も香りもない草粥だったのだが、これは大違いだ。
まず初めにパクチーのような香りが鼻をつく。
この香り苦手なんだけどな…
一応咀嚼すると、カリっという歯ごたえとともに胡椒辛さが…黒胡椒かしら…
鼻のほうに香りを抜いてみると、やはりパクチーの自己主張が強いが、裏に隠れて先ほどまでのディージーの香り、そして少しすっきりするレモングラス系の風味、そして何より強い爽快感が…
え、もしかしてミント系まで入れてるとか?
ものすごい違和感を感じながら周りを見回すと全員完食してこちらを見守っている。
あ、待たせてますよね。ごめんなさい。
品数が多い分、一品ごとの量はそれほど多くない。
おかゆも、少し大きめの小皿、ぐらいなのですぐに食べ終わった。
というか、お茶碗一杯分のコレは食べられないわ…
「アリス、とっておきだったんだけど口に合わなかったかな…?」
心配そうに王様が話しかけてくる。
「ごめんなさい、最近、一部の香草の香りが苦手になってしまって…ただ、すごく興味があるので、料理人に材料を見せてもらえますか?」
「ああ、無いものもあるが、あるものは明日料理長に用意するよう言っておこう。セバスチャン。」
「は、手配いたします。」
あ、やっぱり執事の名前はセバスチャンなのね。
定番ですよね。
白髪をぴっちりと固めた壮年の執事(多分一番偉いんだろう)が返事を返す。
せっかくだから聞いてみよう。
「あの、ご飯っていつもこのようにポタージュのように食べるんですか?」
「はい、左様でございますが…アリスティア姫様は別の食べ方もご存じなのでしょうか?」
「ええ、女神ロミア様よりいただいた知識なのですが…」
前世の知識もこの際だから女神様のおかげっていうことにしちゃおう。
私の知っているご飯の炊き方を説明する。
そしてついでに、味噌汁のつくり方も説明し、相性抜群、ということも強調しておいた。
もちろん、ディージー味噌じゃなくてちゃんと大豆味噌を使うことは忘れずに念押し。
あれ?みんななんかうっとりした顔でこちらを見てる…?
「さすが使徒…!」
「女神様の知識を聞けるなんて…なんという幸せ」
「そんな食べ方もあるのですね…」
あ、驚いてるのか。というかこの世界、本当に女神様が敬われている、というのが伝わってくる。
セバスチャンはどこから出したのか手帳を取り出して私の発言を必死にメモし、「これはすぐにでも料理長に伝えなければ…!」と私に一礼して走っていった。
「皆様、楽しい食事時に申し訳ありません。」
「いや、いいんだよ。女神様の知恵の一端に触れることができて皆感動している。これからも思ったことや気付いたことがあれば教えておくれ。」
「はい!」
王様に公認をもらえた!
ということは、これからどんどん食事をカスタマイズできる…!
表向きはにっこりと、心の中ではにやにやとした笑みを浮かべながらデザートを食べ、夕食の会はお開きとなった。
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