9 / 113
アリスティア、目覚める
8
しおりを挟む
昼ご飯を食べて割とすぐに出発したので、今は午後4時ごろ。
この世界はお盆型なのに国によっては四季がはっきりしているらしい。
ファルメディアは四季がはっきりしている国のひとつだ。
多様性のために女神さまが工夫したんだろうか…
1年は地球と同じ12か月だが、毎月がぴったり30日で、1年が360日になっている。
今は8月で、ここルーディアはファルメディア北部、日本で言うと北海道ぐらいの位置にあるらしい。日没は午後7時前のようだ。
とはいえ、急に宿泊者がいるとなると、準備もあるだろう。
夕方と呼ばれる時間帯までにはもう時間が無いので大変なのではないだろうか。
先にお知らせをしてから来たほうが良かったかな、と後悔していた。
先ほどからどこかに出かけていたおじいちゃんは、ほんの少し身ぎれいな男性を連れて戻ってきた。
「姫様。こちらこのアルテ村村長のドガさんです」
「お目にかかれて光栄でございます。」
「楽にして良いわ。突然でごめんなさいね。」
中年のおじさんにそんな頭を下げられても困る。
「はっ。ありがとうございます。」
「せっかくなので村を案内してもらえるかしら。ビビ、ついてきて。」
「かしこまりました。」
「はい、姫様。」
というわけで、ついでに村の視察もしてしまうことにした。
外から見ると貧相な田畑とちょっとした家しかないように見えたが、間近で見るとしっかり野菜が育てられている。
多いのはキャベツだろうか?
あとはトマトとトウモロコシ。
そういえば北海道産の野菜はおいしかったな~と思い返しながら田畑を見て回る。
「この村は若干家畜も育てておりまして。」
つぎに見えてきたのは牛舎だ。
数頭の牛がつながれている。メス:オス:子牛が8:2:4ぐらいな感じだ。
もしかしてこれは乳製品が食べられる…?
「申し訳ありません、こちらの牛は子育て中でして。まだ潰してお肉としてお召し上がりいただくことはできません。」
すまなさそうな顔をするドガさん。
「いいのよ。無理はしないで。その分、乳製品は楽しみにしているわ。」
「は?乳製品というのは…」
ドガさんもビビもこちらを見ている。
え、もしかして、こっちの世界って乳製品作ってないの…?
「牛の乳は飲まないのかしら…?」
恐る恐る聞いてみる。
「えっ、牛の乳は飲めるんですか?」
「ええ、多分おいしいと思うわよ。念のため一度沸騰しないように弱火で加熱したほうが良いとは思うけど。」
しぼりたてならきっとおいしいはず…!子どもの頃見たアニメでは、山羊の乳を直飲みしている少年少女がうらやましかったものだ。
「…子牛のものですから、人間がとってしまうと足りなくなりませんか?」
あーっと、その辺はどうなんだろう?でもしっかり食べさせてどんどん絞れば量が多くなるはず…
母乳育児をしていた友達が「最初は出なかったけど飲ませてるうちに量が増えたし、作り置きして冷凍しようと搾乳してたら子どもが飲み切れないだけ出るようになった」って言ってたから牛も同じなんじゃないだろうか…
「おそらく絞っていれば、子に飲ませる以上の量が出るようになると思うわ。人間と同じで出産後、一定期間のみだとは思うけど、また妊娠させて子を産ますことでまたお乳が出るようになるんじゃないかしら。」
自信はないがそう答えておく。
ドガさんはしばらく悩んだ後、決心した顔でこちらを見た。
「では、やってみます。作業のためここで失礼しても?」
「ええ、構わないわ。」
よし、これで牛乳が飲める!
この世界はお盆型なのに国によっては四季がはっきりしているらしい。
ファルメディアは四季がはっきりしている国のひとつだ。
多様性のために女神さまが工夫したんだろうか…
1年は地球と同じ12か月だが、毎月がぴったり30日で、1年が360日になっている。
今は8月で、ここルーディアはファルメディア北部、日本で言うと北海道ぐらいの位置にあるらしい。日没は午後7時前のようだ。
とはいえ、急に宿泊者がいるとなると、準備もあるだろう。
夕方と呼ばれる時間帯までにはもう時間が無いので大変なのではないだろうか。
先にお知らせをしてから来たほうが良かったかな、と後悔していた。
先ほどからどこかに出かけていたおじいちゃんは、ほんの少し身ぎれいな男性を連れて戻ってきた。
「姫様。こちらこのアルテ村村長のドガさんです」
「お目にかかれて光栄でございます。」
「楽にして良いわ。突然でごめんなさいね。」
中年のおじさんにそんな頭を下げられても困る。
「はっ。ありがとうございます。」
「せっかくなので村を案内してもらえるかしら。ビビ、ついてきて。」
「かしこまりました。」
「はい、姫様。」
というわけで、ついでに村の視察もしてしまうことにした。
外から見ると貧相な田畑とちょっとした家しかないように見えたが、間近で見るとしっかり野菜が育てられている。
多いのはキャベツだろうか?
あとはトマトとトウモロコシ。
そういえば北海道産の野菜はおいしかったな~と思い返しながら田畑を見て回る。
「この村は若干家畜も育てておりまして。」
つぎに見えてきたのは牛舎だ。
数頭の牛がつながれている。メス:オス:子牛が8:2:4ぐらいな感じだ。
もしかしてこれは乳製品が食べられる…?
「申し訳ありません、こちらの牛は子育て中でして。まだ潰してお肉としてお召し上がりいただくことはできません。」
すまなさそうな顔をするドガさん。
「いいのよ。無理はしないで。その分、乳製品は楽しみにしているわ。」
「は?乳製品というのは…」
ドガさんもビビもこちらを見ている。
え、もしかして、こっちの世界って乳製品作ってないの…?
「牛の乳は飲まないのかしら…?」
恐る恐る聞いてみる。
「えっ、牛の乳は飲めるんですか?」
「ええ、多分おいしいと思うわよ。念のため一度沸騰しないように弱火で加熱したほうが良いとは思うけど。」
しぼりたてならきっとおいしいはず…!子どもの頃見たアニメでは、山羊の乳を直飲みしている少年少女がうらやましかったものだ。
「…子牛のものですから、人間がとってしまうと足りなくなりませんか?」
あーっと、その辺はどうなんだろう?でもしっかり食べさせてどんどん絞れば量が多くなるはず…
母乳育児をしていた友達が「最初は出なかったけど飲ませてるうちに量が増えたし、作り置きして冷凍しようと搾乳してたら子どもが飲み切れないだけ出るようになった」って言ってたから牛も同じなんじゃないだろうか…
「おそらく絞っていれば、子に飲ませる以上の量が出るようになると思うわ。人間と同じで出産後、一定期間のみだとは思うけど、また妊娠させて子を産ますことでまたお乳が出るようになるんじゃないかしら。」
自信はないがそう答えておく。
ドガさんはしばらく悩んだ後、決心した顔でこちらを見た。
「では、やってみます。作業のためここで失礼しても?」
「ええ、構わないわ。」
よし、これで牛乳が飲める!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,179
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる