33 / 70
第二章 全てを見渡す島
episode 29 水中散歩
しおりを挟む
水の流れが明らかに速くなり轟音が体を震わせる中、崖沿いに歩いて行くと水しぶきで前が見えないほどの滝に着いた。
「ここね。
ここからどうやって行くの!?
滝に落ちないように真っ直ぐ行くなんてムリよ!!」
大声を出さないと聞き取れないほどの予想外に大きかった滝壺を目の前にライズに頼る他なかった。
「誰が泳いで渡るって言った!?
オレが今から神秘術を施し水中を行く!
但し、長くは持たないと思っていてくれ!
みんな分かったか!?」
聞こえづらい中で全員が頷いて応える。
するとライズは直ぐに口を動かし、それが神秘術を唱えているのだと誰もが察した。
「…………。
…………。
…………。
良し!
いいか?
みんな手を繋いで飛び降りるぞ」
急に聞こえやすくなった声に戸惑いもさることながら飛び降りる発言に驚きを隠せなかった。
「はぁぁあ!?
この崖を飛び降りるっての!?」
「水の中を行くんだ、当たり前だろ?
飛んで行くなんて言ってないんだ、飛び降りる他ないと思うんだが」
「いやいや、結構な高さよ、ここ。
簡単に飛び降りるって言える高さじゃないって」
「だったらどうしろと?
行きたいんだろ?
だったら言う通りにしてくれ。
こうしてる間にも効力が無くなっていくんだぞ。
辿り着く前に溺れ死にたくなければさっさと準備を済ませることだ」
「んぬぁもぉ!
分かったわよ!!
飛べば良いんでしょ、飛べば」
ここまで言われるとやけくそになるしかなかった。
心の準備は半分しか整っていないがやるしかないと言われると覚悟を決めざるを得ない。
「ミーニャ、大丈夫?」
「は、はい、お嬢様と一緒であれば私は頑張ります」
「ミーニャがそう言うなら、あたしもやらなきゃね」
ミーニャの力があたしの力にもなり、ゆっくりと手を出すとミーニャがそっと握り返してくれた。
「よし。
いいか?
手は離すなのよ。
…………。
行くぞ!
せーのっ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「いやですぅぅぅ!!」
異様な浮遊感を感じたがそれどころではなく、迫り来る水面に絶叫することが精一杯だった。
と、してる間に足が地に着いてる感じがして目を開けた。
「あれ?
息が出来る。
それに少し……浮いてる?
ミーニャ、大丈夫よ息を止めなくても」
「ふはっ!
え?
ホントですね」
「どういうことよ、ライズ」
「あぁ、オレ達の周りには厚い空気の膜が張ってあるのさ。
だから外の音もあまり聞こえないし、足元も地面には着かないってことさ。
さぁ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
ねぇねぇ。
そんなこと出来るなら飛ぶことだって出来るんじゃないの?」
「一人ならな。
それにあの塔に空からは行けないのさ。
魔に対する強力な結界が張ってあるから人の持つ魔力にも反応してしまうってわけでね。
ただ、水中には張られてないから唯一の出入口がそこになる。
さぁ、急ぐぞ」
ライズの急ぎ足に冗談では済まない感じを受け、無言で足並みを揃えることにした。
疑問に思っていた幾つかのことを知ることが出来たのには納得したが、ただ一つ残っているのが『世界を見渡す塔』のことを何故詳しく知っているのかだった。
「ここね。
ここからどうやって行くの!?
滝に落ちないように真っ直ぐ行くなんてムリよ!!」
大声を出さないと聞き取れないほどの予想外に大きかった滝壺を目の前にライズに頼る他なかった。
「誰が泳いで渡るって言った!?
オレが今から神秘術を施し水中を行く!
但し、長くは持たないと思っていてくれ!
みんな分かったか!?」
聞こえづらい中で全員が頷いて応える。
するとライズは直ぐに口を動かし、それが神秘術を唱えているのだと誰もが察した。
「…………。
…………。
…………。
良し!
いいか?
みんな手を繋いで飛び降りるぞ」
急に聞こえやすくなった声に戸惑いもさることながら飛び降りる発言に驚きを隠せなかった。
「はぁぁあ!?
この崖を飛び降りるっての!?」
「水の中を行くんだ、当たり前だろ?
飛んで行くなんて言ってないんだ、飛び降りる他ないと思うんだが」
「いやいや、結構な高さよ、ここ。
簡単に飛び降りるって言える高さじゃないって」
「だったらどうしろと?
行きたいんだろ?
だったら言う通りにしてくれ。
こうしてる間にも効力が無くなっていくんだぞ。
辿り着く前に溺れ死にたくなければさっさと準備を済ませることだ」
「んぬぁもぉ!
分かったわよ!!
飛べば良いんでしょ、飛べば」
ここまで言われるとやけくそになるしかなかった。
心の準備は半分しか整っていないがやるしかないと言われると覚悟を決めざるを得ない。
「ミーニャ、大丈夫?」
「は、はい、お嬢様と一緒であれば私は頑張ります」
「ミーニャがそう言うなら、あたしもやらなきゃね」
ミーニャの力があたしの力にもなり、ゆっくりと手を出すとミーニャがそっと握り返してくれた。
「よし。
いいか?
手は離すなのよ。
…………。
行くぞ!
せーのっ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「いやですぅぅぅ!!」
異様な浮遊感を感じたがそれどころではなく、迫り来る水面に絶叫することが精一杯だった。
と、してる間に足が地に着いてる感じがして目を開けた。
「あれ?
息が出来る。
それに少し……浮いてる?
ミーニャ、大丈夫よ息を止めなくても」
「ふはっ!
え?
ホントですね」
「どういうことよ、ライズ」
「あぁ、オレ達の周りには厚い空気の膜が張ってあるのさ。
だから外の音もあまり聞こえないし、足元も地面には着かないってことさ。
さぁ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
ねぇねぇ。
そんなこと出来るなら飛ぶことだって出来るんじゃないの?」
「一人ならな。
それにあの塔に空からは行けないのさ。
魔に対する強力な結界が張ってあるから人の持つ魔力にも反応してしまうってわけでね。
ただ、水中には張られてないから唯一の出入口がそこになる。
さぁ、急ぐぞ」
ライズの急ぎ足に冗談では済まない感じを受け、無言で足並みを揃えることにした。
疑問に思っていた幾つかのことを知ることが出来たのには納得したが、ただ一つ残っているのが『世界を見渡す塔』のことを何故詳しく知っているのかだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる