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第二章 全てを見渡す島
episode 28 踵落とし
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それから浜辺を抜け森に入ると緩やかな坂道が続き、岸壁に激しく打ちつける波の音を聞きながら歩き続けている。
「ねぇライズ。
まだなの?」
「あぁ、もう暫く歩いたら見えてくると思う」
「この辺りまで船で来ても良かったんじゃなく?」
「だったら海を見て見るといい。
海賊達が船酔いしながら待つことになるぞ」
「それは困るわね。
嘔吐まみれの船なんかに乗りたくはないもの」
「だったらオレの言ったことに従うべきだろうな。
それからもう一つ。
あの塔に行くのは簡単なことじゃない。
入りたかったらあれこれと言わずに従ってもらいたいんだが、愛しの女神」
「そんなになの?
どうやって行くのか気になるわね……。
滝のすぐそばなんでしょ?
そもそも行けるのか疑問よね」
「そこは任せてくれ。
女神の為なら一肌脱ぐことくらい何てことないさ」
満面の笑みを浮かべてはいるが、流れが早くなっている所にどうやって行くのか疑問が残る。
それに、その言い方だと普通に橋なんかは掛かっていないようでもあった。
「一肌どころか常に脱ぎっぱなしでいて欲しいとこだわ」
「そうか、そんなにオレの裸が見ていたいのか。
どれ、良いだろう」
「あんた達は一体何の話をしてるんだい?
全く」
レディは半ば呆れたように口を挟む。
「あたしはそんなつもりじゃないわよ!
見せるのは構わないけど、見せられるのはお断りよ!!」
若干頬が熱く感じるが、これだけは断固として拒否しなければ変態だと思われてしまう。
「さすがは女神。
服などという作られた飾りなどは要らないと言うわけか。
だが、レディの言ってることはそういうことじゃないと思う」
「お嬢様、人前で脱ぐのは止めてください」
あたしの二の腕にそっと手を当てたミーニャは首を横に振っている。
「誰が脱ぐって言ったぁ!
あたしは脱ぐ気もなければ見せる気もないのよっ!
それと、見る気もね!!」
「そうなのかい?
あたいはてっきりライズとはそういう仲なのかと思っちまったよ」
レディの言葉に顔全体が熱く火照る。
何を意味の分からないことを言っているのか、最早頭が回らない。
「えぇぇ!!
お嬢様っ!?」
「はぁぁぁ!?
ちょっと待ってよミーニャ!
そんなわけないでしょ!
ちょっと、えぇ!?
いやいやいや、ないからホントないから!!」
もう何故に焦っているのか何を否定してるのかすら分からなくなっている。
「あぁ、女神。
やはり結ばれる運ーーいだだだだだ!」
ライズがうっとりした物言いだったことに真っ白だった頭の中で何かが沸いたと同時に、あたしの踵が太ももにめり込んでいた。
「あんたと結ばれるとか絶対にないんだからね!
次に言った時はどうなるか分かったわよね!?」
「こうなるってことだよな、こうなるって。
っ痛ぅ」
「分かればよろしい」
歩きながらも太ももを擦るのを止めないところは、さすがは男の子と妙な感心を覚えた。
「そんなことより、そろそろじゃないのかい?
お二人さん」
レディの張り上げた声に周囲の雑音が大きくなっていたことに今更ながら気づいた。
「これって水の音よね?
流れが早くなってるってこと?」
「あぁ、そろそろだな。
行ってみるか」
進路を変えたライズに付き従うよう向かうと、木々が途切れ崖が現れると同時にこれまでにない大きな水音が体を震わせた。
「あれだ。
見えるか?」
「どこよ。
ええ?」
指の先に目を凝らすとだいぶ離れた所に水辺に浮かぶ孤島の大木のように真っ直ぐ伸びる何かが見えた。
「あれ?
あれが塔?」
「そうさ、あれが世界を見渡す塔だ。
あそこがこれから向かう先ってわけだ」
距離にしても離れているが、海とも川とも分からないあの場所にどうやって行くのか疑問が深まるばかりだった。
「ねぇライズ。
まだなの?」
「あぁ、もう暫く歩いたら見えてくると思う」
「この辺りまで船で来ても良かったんじゃなく?」
「だったら海を見て見るといい。
海賊達が船酔いしながら待つことになるぞ」
「それは困るわね。
嘔吐まみれの船なんかに乗りたくはないもの」
「だったらオレの言ったことに従うべきだろうな。
それからもう一つ。
あの塔に行くのは簡単なことじゃない。
入りたかったらあれこれと言わずに従ってもらいたいんだが、愛しの女神」
「そんなになの?
どうやって行くのか気になるわね……。
滝のすぐそばなんでしょ?
そもそも行けるのか疑問よね」
「そこは任せてくれ。
女神の為なら一肌脱ぐことくらい何てことないさ」
満面の笑みを浮かべてはいるが、流れが早くなっている所にどうやって行くのか疑問が残る。
それに、その言い方だと普通に橋なんかは掛かっていないようでもあった。
「一肌どころか常に脱ぎっぱなしでいて欲しいとこだわ」
「そうか、そんなにオレの裸が見ていたいのか。
どれ、良いだろう」
「あんた達は一体何の話をしてるんだい?
全く」
レディは半ば呆れたように口を挟む。
「あたしはそんなつもりじゃないわよ!
見せるのは構わないけど、見せられるのはお断りよ!!」
若干頬が熱く感じるが、これだけは断固として拒否しなければ変態だと思われてしまう。
「さすがは女神。
服などという作られた飾りなどは要らないと言うわけか。
だが、レディの言ってることはそういうことじゃないと思う」
「お嬢様、人前で脱ぐのは止めてください」
あたしの二の腕にそっと手を当てたミーニャは首を横に振っている。
「誰が脱ぐって言ったぁ!
あたしは脱ぐ気もなければ見せる気もないのよっ!
それと、見る気もね!!」
「そうなのかい?
あたいはてっきりライズとはそういう仲なのかと思っちまったよ」
レディの言葉に顔全体が熱く火照る。
何を意味の分からないことを言っているのか、最早頭が回らない。
「えぇぇ!!
お嬢様っ!?」
「はぁぁぁ!?
ちょっと待ってよミーニャ!
そんなわけないでしょ!
ちょっと、えぇ!?
いやいやいや、ないからホントないから!!」
もう何故に焦っているのか何を否定してるのかすら分からなくなっている。
「あぁ、女神。
やはり結ばれる運ーーいだだだだだ!」
ライズがうっとりした物言いだったことに真っ白だった頭の中で何かが沸いたと同時に、あたしの踵が太ももにめり込んでいた。
「あんたと結ばれるとか絶対にないんだからね!
次に言った時はどうなるか分かったわよね!?」
「こうなるってことだよな、こうなるって。
っ痛ぅ」
「分かればよろしい」
歩きながらも太ももを擦るのを止めないところは、さすがは男の子と妙な感心を覚えた。
「そんなことより、そろそろじゃないのかい?
お二人さん」
レディの張り上げた声に周囲の雑音が大きくなっていたことに今更ながら気づいた。
「これって水の音よね?
流れが早くなってるってこと?」
「あぁ、そろそろだな。
行ってみるか」
進路を変えたライズに付き従うよう向かうと、木々が途切れ崖が現れると同時にこれまでにない大きな水音が体を震わせた。
「あれだ。
見えるか?」
「どこよ。
ええ?」
指の先に目を凝らすとだいぶ離れた所に水辺に浮かぶ孤島の大木のように真っ直ぐ伸びる何かが見えた。
「あれ?
あれが塔?」
「そうさ、あれが世界を見渡す塔だ。
あそこがこれから向かう先ってわけだ」
距離にしても離れているが、海とも川とも分からないあの場所にどうやって行くのか疑問が深まるばかりだった。
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