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第2話 ②

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(可憐なイメージと言えばやっぱりピンク色だよね。でもぼんやりした印象にならないように濃い目のピンクを少し入れて……)

 ある程度イメージが固まったら、小さめのバケツに選んだ花を入れていく。そしてバケツの中の花を見せて花束の雰囲気を確認してもらう。

「こんな感じで如何でしょう?」

「おお! 良いねぇ! さすがアンちゃん!」

 ヴェルナーさんも気に入ってくれたようなので、早速花束を作る作業に取り掛かる。
 私が花束を作っている間にもヴェルナーさんのお喋りは止まらず、今回の遠征が辛かったこと、倒した魔物のこととか聞いてもいないのに話し続けた。
 おかげで私は騎士団の事情に詳しくなってしまったような気がする。

「……お待たせしました。こちらでよろしいでしょうか?」

 私は完成した花束をヴェルナーさんに見て貰う。

 今回の花束はピンク系のグラデーションをベースに、ピュアな印象の白系と淡いグリーン系の花を加えた。控えめにあしらった葉物のグリーンが、一層の可愛らしさを演出している……と思う。

「おお! 華やかで可憐な中にも上品さが垣間見えて、すごく素敵だね! これならあの人も喜んでくれるよ!」

 ヴェルナーさんがとても良い笑顔で花束を受け取ってくれた。すごく喜んでくれて私もすごく嬉しい。

 自分が作った花束をこうして喜んでくれる人がいるから、この仕事がたまらなく好きなのだと実感する。

「この店の花ってすごく持ちが良いからいつも好評なんだよ。今度俺の同僚にこの店教えてもいいかな?」

 ヴェルナーさんが「本当は内緒にしたいけどね」とウインク付きで言うけれど、私としてはお客さんが増えるのに越したことはない。

「有難うございます。もしよろしければ是非」

 私の言葉にヴェルナーさんはニッコリ微笑むと「わかった。じゃあ紹介しておくね」と言ってお店を去って行った。

 ヴェルナーさんは騎士団の人にこのお店を紹介してくれると言ったけれど、騎士団は王宮に詰所があるので、ここまで来るのに距離があるんじゃないかな、と思う。

(……まあ、私が心配しても仕方ないか)

 花束を作った後の片付けをしていると、丁度閉店の時間となった。

 私はいつものように店を片付けると、戸締まりをして温室へと向かう。

 相変わらず花が美しく咲く花畑は、仕事を終わらせた私の癒やしの場所となっている。
 仕事でも花を扱っているけれど、それとこれとは違うのだ。

 私は花畑のチェックをすると、鉢が置いてある場所へと移動する。

 そして蕾を付け始めたマイグレックヒェンすずらんの様子を見ようとして「あれ?」と思う。

「マイグレックヒェンって、こんな色だったっけ……?」

 私の記憶ではマイグレックヒェンは紫色の花だったけれど、今ここにあるマイグレックヒェンの蕾は黄色っぽい緑色をしていたのだ。

 もしかして実際に花が咲いたら紫色になるのかもしれないけれど、私の経験上、蕾がこの色なら花は緑に近い白になるのではないだろうか。

「白い花のマイグレックヒェンか……。それはそれで可愛いよね」

 育てる環境や土の性質によって色が変わる植物なんて色々あるし、そんなに問題でもないか、と思った私は気にしないことにした。
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