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決意2
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「じゃあ、今日はカルキノスを焼こうか。ノアさんにはカルキノスと野菜の具沢山スープを作ってあげようかな」
『わーい! やったー!』
カルキノスにハマっているアウルムがぴょんぴょん跳ねている。よほど嬉しいらしい。
ちなみにアウルムはカルキノスを殻ごと食べる。
初めてカルキノスを料理した日、普段の愛らしい姿とのギャップに、ティナが驚いたのは言うまでもない。
「そろそろパンとチーズが切れそうなんだよね……。また街に買いに行かなくちゃ」
ティナがノアの小屋で暮らし始めて一ヶ月が経とうとしていた。
あまりの居心地の良さに、ずっとここで暮らしても良いかな、と思ってしまう。
しかしティナがこの森に来たのは、あくまでも月下草の栽培場所を見付けるためなのだ。
ノアのおかげで森の植物のことも大体理解できた。そろそろ湖を探しに出発しても良い頃合いだろう。
『街に行くのー? ぼくも一緒に行くよー! ティナを守るのねー!』
「ふふ、有難うね。すごく心強いよ。じゃあ、明日一緒に街へ行こうか」
『わかったよー』
森から街へは転移魔法ですぐ移動できる。ノアがそれぞれに転移用魔法陣を設置していたのだ。
だから魔法を使えば歩いて一ヶ月はかかる距離も一瞬で着くから、森の奥に住んでいても全く不便さはない。
ティナは小屋へ戻ると、倉庫に保管していたカルキノスを取り出し、料理を作っていく。
「うーむ。深いコクと野菜の旨み……。このスープは絶品じゃな! おかわりじゃ!!」
『おいしいー! ぼくもおかわりたべたいよー!』
「はいはい、ちょっと待ってねー」
ティナの料理を喜んで食べてくれる二人の様子はとても微笑ましい。
そして穏やかな時間の流れを感じながら、ティナは自分がとても恵まれていることを実感する。だけど──。
ティナは夜空を見上げた。
黒と藍色が重なったような空には、無数の星が瞬いている。そして空に浮かぶ金色の月は、いつか両親と訪れたイリンイーナで見た月とよく似ていて……。
(……トール)
ティナは無意識に、心の中でトールの名前を呼んだ。
トールは今何をしているのだろう。きっと王位を継承するために忙しいに違いない。そして今頃可愛い婚約者と楽しい時間を過ごしながら夕食を共にして──なんて、想像したティナの胸がズキっと痛む。
(……あーあ。バカだな、私……)
トールを思い出すたびに、色々想像し自分で自分を傷つけている──ティナは毎日、そんなことを繰り返す自分を哀れに思う。
今の生活はとても楽しいしとても心地良い。
だけど自分が思い描く幸せは、トールと一緒に旅をした日々の中にあったのだと、ティナは身に染みて感じている。
『ティナー。どうしたのー? 元気がないのねー』
思わずしんみりしてしまったティナの感情を読み取ったのか、アウルムがティナを心配そうに見上げている。
「ごめんね、何でもないよ。心配してくれてありがとうね」
ティナはアウルムを抱き上げて頭を撫でる。
気持ち良さそうに撫でられているアウルムを見ると、寂しさが紛れるような気がする。
「……嬢ちゃんは気になることが沢山あるようじゃの」
今度はノアがカルキノスのスープを啜りながら聞いてきた。
どうやらティナが思い悩んでいることは顔に出ていて、バレバレだったようだ。
『わーい! やったー!』
カルキノスにハマっているアウルムがぴょんぴょん跳ねている。よほど嬉しいらしい。
ちなみにアウルムはカルキノスを殻ごと食べる。
初めてカルキノスを料理した日、普段の愛らしい姿とのギャップに、ティナが驚いたのは言うまでもない。
「そろそろパンとチーズが切れそうなんだよね……。また街に買いに行かなくちゃ」
ティナがノアの小屋で暮らし始めて一ヶ月が経とうとしていた。
あまりの居心地の良さに、ずっとここで暮らしても良いかな、と思ってしまう。
しかしティナがこの森に来たのは、あくまでも月下草の栽培場所を見付けるためなのだ。
ノアのおかげで森の植物のことも大体理解できた。そろそろ湖を探しに出発しても良い頃合いだろう。
『街に行くのー? ぼくも一緒に行くよー! ティナを守るのねー!』
「ふふ、有難うね。すごく心強いよ。じゃあ、明日一緒に街へ行こうか」
『わかったよー』
森から街へは転移魔法ですぐ移動できる。ノアがそれぞれに転移用魔法陣を設置していたのだ。
だから魔法を使えば歩いて一ヶ月はかかる距離も一瞬で着くから、森の奥に住んでいても全く不便さはない。
ティナは小屋へ戻ると、倉庫に保管していたカルキノスを取り出し、料理を作っていく。
「うーむ。深いコクと野菜の旨み……。このスープは絶品じゃな! おかわりじゃ!!」
『おいしいー! ぼくもおかわりたべたいよー!』
「はいはい、ちょっと待ってねー」
ティナの料理を喜んで食べてくれる二人の様子はとても微笑ましい。
そして穏やかな時間の流れを感じながら、ティナは自分がとても恵まれていることを実感する。だけど──。
ティナは夜空を見上げた。
黒と藍色が重なったような空には、無数の星が瞬いている。そして空に浮かぶ金色の月は、いつか両親と訪れたイリンイーナで見た月とよく似ていて……。
(……トール)
ティナは無意識に、心の中でトールの名前を呼んだ。
トールは今何をしているのだろう。きっと王位を継承するために忙しいに違いない。そして今頃可愛い婚約者と楽しい時間を過ごしながら夕食を共にして──なんて、想像したティナの胸がズキっと痛む。
(……あーあ。バカだな、私……)
トールを思い出すたびに、色々想像し自分で自分を傷つけている──ティナは毎日、そんなことを繰り返す自分を哀れに思う。
今の生活はとても楽しいしとても心地良い。
だけど自分が思い描く幸せは、トールと一緒に旅をした日々の中にあったのだと、ティナは身に染みて感じている。
『ティナー。どうしたのー? 元気がないのねー』
思わずしんみりしてしまったティナの感情を読み取ったのか、アウルムがティナを心配そうに見上げている。
「ごめんね、何でもないよ。心配してくれてありがとうね」
ティナはアウルムを抱き上げて頭を撫でる。
気持ち良さそうに撫でられているアウルムを見ると、寂しさが紛れるような気がする。
「……嬢ちゃんは気になることが沢山あるようじゃの」
今度はノアがカルキノスのスープを啜りながら聞いてきた。
どうやらティナが思い悩んでいることは顔に出ていて、バレバレだったようだ。
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