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再会1
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ティナが学院に入学すると知ったトールは歓喜した。
(やっと、やっとティナに会える……!!)
いつも神殿の中にいるティナに会うのは至難の業で、会話を交わすなどほぼ不可能であったが、学院なら級友として接することが出来る、と思ったトールは早速留学生として入学することにする。
その頃にはもう後継者教育をほとんど終えていたトールには、十分時間があった。だから三年ほど他国に留学しても、何の問題はないと思っていたのだが……。
「トール! セーデルルンド王国に留学するって本当かい?!」
「トール様! なぜ留学など……っ!! あんな学院へ留学しても、何も得ることなどありませんぞ!」
「その通りだよ! 勉強ならこの国でも出来るじゃないか! だけど、トールがどうしてもというのなら、僕も一緒に留学するよ!」
「トール様やフロレンツ様が留学されたらその間、この国はどうなるのですか!?」
「それ以前にトール様が留学されると世間に知られたら……希望者が殺到してしまうのでは?」
「「「「……確かに!」」」」
まさかフロレンツや貴族たち、フェダールまで留学に反対するとは思わなかった。
特にトール至上主義のフロレンツは強く反対し、同行を申し出るほどだ。
「……国の未来を担う者であれば、もっと広い世界で見識を深めるべきだと思います」
「兄上。貴方には僕のためにもこの国に残り父上の補佐をお願いしたいのです。これは兄上にしかお願い出来ない、重要なことなんです」
「留学の際には、もちろん身分を隠すつもりですのでご安心ください」
トールはそれっぽい、ありきたりな言葉でフロレンツたちを説得した。
「トール……っ!! 僕を頼ってくれるんだね!!」
「おお……さすがトール様……! この国のために敢えて苦難の道を……!」
普段からトールを崇拝する勢いのフロレンツや貴族たちは、その言葉にコロっと乗せられ、今度はトールの留学を応援してくれるようになる。
しかし、邪魔者たちを黙らせることに成功し、安心したのも束の間、トールはティナがセーデルルンド王国王子の婚約者に選ばれたと知り、ひどくショックを受けてしまう。
(もし王子との婚約がティナの望んだことなら……っ、いや、でも……っ!)
トールはその後の調べで、ティナの婚約は王子のゴリ押しと、神殿と王宮の思惑が一致したことで決まった婚約だと知り、ほっと胸を撫で下ろす。
ティナと王子が愛し合っているために結ばれた婚約ではなかったことに安堵したのだ。
もしティナが隣国の王子を愛してのことなら、トールもその婚約を渋々……というか仕方なく……無理やり自分を納得させただろう。
だが、ティナに恋愛感情が無いのなら、まだ間に合うのでは無いかとトールは考えた。
(とにかく学院でティナともう一度友達になろう……! 全てはそこからだ!)
そして身分を隠すために目元も隠さねばならなかったトールは、認識阻害の魔道具である眼鏡を用意し、念を押して前髪で顔を隠すことにした。
ちなみに認識阻害の魔道具は、トールの存在感を薄めてくれるだけでなく、目元が見えないようにしてくれる優れものだ。万が一、前髪がめくれても<金眼>がバレることはない。
そんな風に試行錯誤した結果、一見すると怪しく冴えない男子生徒になってしまったが、自分の容姿に興味がないトールにはどうでも良かった。
そんなことよりも、彼の頭の中はティナとの学院生活のことでいっぱいになっていたのだ。
そして待ちに待ったティナとの再会の日。
遠目からでもすぐティナだとわかるほど、彼女は異彩を放つ存在だった。
昔から可愛いと思っていた少女は、目を見張るほど美しく成長していて、まさに聖女としてふさわしいオーラを纏っていた。
立ち振る舞いや口調も上品になっていて、まるで貴族令嬢のようだ。きっと神殿でそう振る舞うように教育されたのだろう。
(やっと、やっとティナに会える……!!)
いつも神殿の中にいるティナに会うのは至難の業で、会話を交わすなどほぼ不可能であったが、学院なら級友として接することが出来る、と思ったトールは早速留学生として入学することにする。
その頃にはもう後継者教育をほとんど終えていたトールには、十分時間があった。だから三年ほど他国に留学しても、何の問題はないと思っていたのだが……。
「トール! セーデルルンド王国に留学するって本当かい?!」
「トール様! なぜ留学など……っ!! あんな学院へ留学しても、何も得ることなどありませんぞ!」
「その通りだよ! 勉強ならこの国でも出来るじゃないか! だけど、トールがどうしてもというのなら、僕も一緒に留学するよ!」
「トール様やフロレンツ様が留学されたらその間、この国はどうなるのですか!?」
「それ以前にトール様が留学されると世間に知られたら……希望者が殺到してしまうのでは?」
「「「「……確かに!」」」」
まさかフロレンツや貴族たち、フェダールまで留学に反対するとは思わなかった。
特にトール至上主義のフロレンツは強く反対し、同行を申し出るほどだ。
「……国の未来を担う者であれば、もっと広い世界で見識を深めるべきだと思います」
「兄上。貴方には僕のためにもこの国に残り父上の補佐をお願いしたいのです。これは兄上にしかお願い出来ない、重要なことなんです」
「留学の際には、もちろん身分を隠すつもりですのでご安心ください」
トールはそれっぽい、ありきたりな言葉でフロレンツたちを説得した。
「トール……っ!! 僕を頼ってくれるんだね!!」
「おお……さすがトール様……! この国のために敢えて苦難の道を……!」
普段からトールを崇拝する勢いのフロレンツや貴族たちは、その言葉にコロっと乗せられ、今度はトールの留学を応援してくれるようになる。
しかし、邪魔者たちを黙らせることに成功し、安心したのも束の間、トールはティナがセーデルルンド王国王子の婚約者に選ばれたと知り、ひどくショックを受けてしまう。
(もし王子との婚約がティナの望んだことなら……っ、いや、でも……っ!)
トールはその後の調べで、ティナの婚約は王子のゴリ押しと、神殿と王宮の思惑が一致したことで決まった婚約だと知り、ほっと胸を撫で下ろす。
ティナと王子が愛し合っているために結ばれた婚約ではなかったことに安堵したのだ。
もしティナが隣国の王子を愛してのことなら、トールもその婚約を渋々……というか仕方なく……無理やり自分を納得させただろう。
だが、ティナに恋愛感情が無いのなら、まだ間に合うのでは無いかとトールは考えた。
(とにかく学院でティナともう一度友達になろう……! 全てはそこからだ!)
そして身分を隠すために目元も隠さねばならなかったトールは、認識阻害の魔道具である眼鏡を用意し、念を押して前髪で顔を隠すことにした。
ちなみに認識阻害の魔道具は、トールの存在感を薄めてくれるだけでなく、目元が見えないようにしてくれる優れものだ。万が一、前髪がめくれても<金眼>がバレることはない。
そんな風に試行錯誤した結果、一見すると怪しく冴えない男子生徒になってしまったが、自分の容姿に興味がないトールにはどうでも良かった。
そんなことよりも、彼の頭の中はティナとの学院生活のことでいっぱいになっていたのだ。
そして待ちに待ったティナとの再会の日。
遠目からでもすぐティナだとわかるほど、彼女は異彩を放つ存在だった。
昔から可愛いと思っていた少女は、目を見張るほど美しく成長していて、まさに聖女としてふさわしいオーラを纏っていた。
立ち振る舞いや口調も上品になっていて、まるで貴族令嬢のようだ。きっと神殿でそう振る舞うように教育されたのだろう。
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