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後悔3
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きっとアンネマリーは自分のために、勇気を出して告発してくれたのだろう。
そんなアンネマリーの健気さを愛しく思うと同時に、フレードリクの心の中でクリスティナに対する怒りが爆発する。今まで溜まっていた鬱憤も原因だったのかもしれない。
そして彼はその感情が赴くまま、クリスティナに婚約破棄を宣言したのだった。
──クリスティナに課せられた王妃教育や瘴気浄化の巡業が、巡り巡って自分のためなのだと、考えもせずに。
* * * * * *
「陛下!! ラサーク地方で瘴気溜まりが発生しました!!」
「何だと?! クヴェトン地方の瘴気もまだ浄化出来ておらんというのにっ!!」
「浄化出来る神官の数が足りません!! アコンニエミ国に救援を要請しなければ、このままでは……っ!」
セーデルルンド王国の王宮にある、国王の執務室では役人たちが慌ただしく業務に当たっていた。
大神官オスカリウスから威圧を受け、失神した後しばらく寝込んでいたフレードリクが、久しぶりに執務室に顔を出してみると、何やら大変なことが起こっているようだった。
「これは一体……?!」
初めて見る執務室の緊迫した雰囲気に驚いたフレードリクは、近くを通りかかった役人に何が起こったのか問いただす。
「俺がいない間、何があった?!」
「フ、フレードリク様っ?! あ、これはその、クヴェトン地方で瘴気溜まりが見付かり、浄化にあたっていたところに、ラサーク地方で新たな瘴気溜まりが発生したらしいのですが……浄化が上手く行っておらず、大神官様にお伺いをするところでして……っ!」
「何……?! どうしてこんなことに……? あっ……!」
フレードリクは疑問に思ったものの、その原因が自分であることに気がついた。
<稀代の聖女>であるクリスティナを追い出したから、浄化が追いついていないのだと。
しかしクリスティナがいなくなった途端、こんな大事になるとはフレードリクも全く予想できなかったのだ。
「フレードリクっ!! やっと来たかこの愚か者っ!! お前は自分が何をしでかしたのかわかっているのかっ!!!」
フレードリクに気がついた国王が、険しい表情で怒鳴りつける。温厚だった父親の初めて見る姿に、フレードリクが恐怖で竦み上がる。
「ち、父上……! それはクリスティナが、私を裏切って下賤な者たちと通じていたからで……っ!」
「お前が言う下賤な者たちとは、どこの誰のことだ?! お前はちゃんとその者たちのことを調査したのだろうなっ?!」
「あ、いや、それは……っ」
フレードリクは返答に躊躇する。アンネマリーの話を聞き、怒りで我を忘れたまま冷静な判断が出来ず、調査も何もしなかったからだ。
「しかしアンネマリーが嘘をつくはずがありません!! クリスティナは賤しい男たちと親しい仲だと……っ」
「黙れっ!! お前はこの国の冒険者たちを敵に回すつもりかっ!!」
「──え?」
「お前たちが言う下賤な者たちとは、冒険者ギルド王都本部に所属する優秀な冒険者たちのことだっ!! お前は冒険者たちを侮辱したのだぞっ!!」
この国に限らず、冒険者は無くてはならない存在である。しかも冒険者ギルドに入るためには試験が必要で、ある程度腕に覚えがある者でないと冒険者になることはできないのだ。
それが一国を統括する本部の冒険者たちであれば、その実力は疑うべくもなく、また同時に身元が保証されていることになる。
確かにアンネマリーは嘘をついていない。しかし正しい情報でも無かったのだ。
「……っ?! そ、そんな……っ!!」
フレードリクが己の所業を悔いても既に時は遅く、<聖女>の加護を失った王国は衰退の一途を辿ることになる。
そんなアンネマリーの健気さを愛しく思うと同時に、フレードリクの心の中でクリスティナに対する怒りが爆発する。今まで溜まっていた鬱憤も原因だったのかもしれない。
そして彼はその感情が赴くまま、クリスティナに婚約破棄を宣言したのだった。
──クリスティナに課せられた王妃教育や瘴気浄化の巡業が、巡り巡って自分のためなのだと、考えもせずに。
* * * * * *
「陛下!! ラサーク地方で瘴気溜まりが発生しました!!」
「何だと?! クヴェトン地方の瘴気もまだ浄化出来ておらんというのにっ!!」
「浄化出来る神官の数が足りません!! アコンニエミ国に救援を要請しなければ、このままでは……っ!」
セーデルルンド王国の王宮にある、国王の執務室では役人たちが慌ただしく業務に当たっていた。
大神官オスカリウスから威圧を受け、失神した後しばらく寝込んでいたフレードリクが、久しぶりに執務室に顔を出してみると、何やら大変なことが起こっているようだった。
「これは一体……?!」
初めて見る執務室の緊迫した雰囲気に驚いたフレードリクは、近くを通りかかった役人に何が起こったのか問いただす。
「俺がいない間、何があった?!」
「フ、フレードリク様っ?! あ、これはその、クヴェトン地方で瘴気溜まりが見付かり、浄化にあたっていたところに、ラサーク地方で新たな瘴気溜まりが発生したらしいのですが……浄化が上手く行っておらず、大神官様にお伺いをするところでして……っ!」
「何……?! どうしてこんなことに……? あっ……!」
フレードリクは疑問に思ったものの、その原因が自分であることに気がついた。
<稀代の聖女>であるクリスティナを追い出したから、浄化が追いついていないのだと。
しかしクリスティナがいなくなった途端、こんな大事になるとはフレードリクも全く予想できなかったのだ。
「フレードリクっ!! やっと来たかこの愚か者っ!! お前は自分が何をしでかしたのかわかっているのかっ!!!」
フレードリクに気がついた国王が、険しい表情で怒鳴りつける。温厚だった父親の初めて見る姿に、フレードリクが恐怖で竦み上がる。
「ち、父上……! それはクリスティナが、私を裏切って下賤な者たちと通じていたからで……っ!」
「お前が言う下賤な者たちとは、どこの誰のことだ?! お前はちゃんとその者たちのことを調査したのだろうなっ?!」
「あ、いや、それは……っ」
フレードリクは返答に躊躇する。アンネマリーの話を聞き、怒りで我を忘れたまま冷静な判断が出来ず、調査も何もしなかったからだ。
「しかしアンネマリーが嘘をつくはずがありません!! クリスティナは賤しい男たちと親しい仲だと……っ」
「黙れっ!! お前はこの国の冒険者たちを敵に回すつもりかっ!!」
「──え?」
「お前たちが言う下賤な者たちとは、冒険者ギルド王都本部に所属する優秀な冒険者たちのことだっ!! お前は冒険者たちを侮辱したのだぞっ!!」
この国に限らず、冒険者は無くてはならない存在である。しかも冒険者ギルドに入るためには試験が必要で、ある程度腕に覚えがある者でないと冒険者になることはできないのだ。
それが一国を統括する本部の冒険者たちであれば、その実力は疑うべくもなく、また同時に身元が保証されていることになる。
確かにアンネマリーは嘘をついていない。しかし正しい情報でも無かったのだ。
「……っ?! そ、そんな……っ!!」
フレードリクが己の所業を悔いても既に時は遅く、<聖女>の加護を失った王国は衰退の一途を辿ることになる。
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