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不安3

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(えーっと、ベルトルドさんへは何を書こうかな……。アレクシスのことと、アウルムのことに……あ、モルガンさんがよろしくって言ってたっけ)

 ティナは受付の人から貰った報告書に必要事項を記入した後、追加で近況を書いた。報告書なら手紙より早くベルトルドの元へ届くだろう。

 冒険者ギルドで用事を済ませたティナは、トールと一緒に街を散策しながら宿へと向かう。

「ちなー! とーりゅ!」

「わふぅ!」

「あら、おかえりなさい。早かったのね」

 宿に戻ると、アネタとアウルムがティナたちの帰りを待っていてくれた。初めはトールに人見知りしていたアネタも、今はすっかりトールに懐いている。

「お留守番有難うな。ほら、お土産」

 トールが露天で買ったお菓子をアネタに手渡した。袋から漂ってくる甘い香りに、アネタはきゃっきゃと大喜びだ。

「あら、トールくん有難う。ほら、アネタも」

「とーりゅ、ありあとー!」

「どういたしまして」

 トールがアネタの頭をよしよしと撫でている。
 顔は見えないが、トールはきっと優しい顔をしているのだろう、と二人を微笑ましく眺めながらも、ティナは少し羨ましいな、と思う。

「そう言えばこのヘールスって街、すごく活気があるけど、クロンクヴィストって他の都市もこんな感じなの?」

「そうだなぁ。特にこの街は賑やかだと思うけど……何か気になることでもあった?」

「えっと、御者台にいたトールは聞こえなかったと思うけど……」

 ティナは商人たちが噂していた内容を説明した。ティナ自身、セーデルルンド王国の雰囲気が暗いと聞いて気になっているようだ。

「……もう影響が出始めているのね。やっぱり急いで正解だったわ」

「え? それはどういう……」

 ティナたちの話を聞いていたイロナが呟いた。その呟きを聞いたティナは不思議に思う。

「まだティナちゃんたちには教えていなかったわね。私達がクロンクヴィストへ移住しようと思ったのは、セーデルルンドが衰退すると知ったからよ」

「なっ……?!」

「え……知ったというのは、もしかして占いでですか?」

 イロナの話を聞いたティナは驚いた。トールも同じように驚いていたが、その情報元が占いなのだと逸早く気がついたらしい。

「ええ、その通りよ。お客さんを占っていると、どの人にも<スリサズ>や<ハガラズ>の石が出るの。<スリサズ>は棘や茨を意味していてね。これから困難なことが起こるという暗示よ。そして<ハガラズ>は変革や崩壊ね」

 おかしいと思ったイロナがセーデルルンド王国について占ってみると、予測不能な出来事が起こり国が困難に向かうという結果が出たという。

「だから私達一家はセーデルルンド王国を出る決心をしたのよ。それで、移住先はどこが良いか占って、クロンクヴィストに決めたの。<イングズ>──豊かさや豊穣を現す石が出たし、隣の国で移動が楽だしね」

「……」

 イロナの「予測不能な出来事が起こり国が困難に向かう」という言葉に、ティナの心は不安でいっぱいになる。
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