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到着2

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「あ~~! よく寝た! おっ!! もう朝飯出来てんのか! ありがてぇ!!」

 イロナは料理上手で、野営でも美味しく作れる料理を幾つか教えてくれた。
 テーブルには肉と野菜がバランス良く使われた、目にも鮮やかな料理が並んでいる。

 モルガンとアネタが席に付き、賑やかな朝食が始まった。
 どの料理も美味しくて、起き抜けのモルガンとアネタもバクバクと食べている。
 トールも美味しそうに食べていて、料理はあっという間に無くなっていった。



 楽しい食事を終え、テントなどの撤収作業をした後、モルガンがティナたちに話しかけてきた。

「二人のおかげで予定より早くバルテルスに到着出来そうだ。ほんとにありがとな。悪いけど、もう少しだけ頑張ってくれや」

「はい! 頑張ります!」

「勿論です」

「ははっ、頼もしいなぁ。……ああ、そう言えばアウルムはどうするんだ? 魔物はそのまま連れていけねぇよ?」

「あ、そのことなんですが──……」

 ティナは従魔契約を既に済ませていることをモルガンに説明する。
 話を聞いたモルガンは、驚きながらトールをまじまじと見て唸った。

「……兄ちゃん、すげぇな! 従魔契約の仕事だけで食っていけるぜ! 転職するか?」

 従魔契約を結ぶには、本来なら専門の魔術師に依頼するのだが、専門なだけあって依頼料はかなり高額だ。しかも三人掛かりで行使する魔法を一人でこなせるのだから、当然報酬は三倍になる。

「それはちょっと……。俺は冒険者のままでいいです」

「まあ、そりゃそうだわな! っていうか今冒険者やめられたら俺らが困っちまうわ!」

 モルガンがガハハと笑いながらトールの肩をバシバシと叩いている。こう見えてモルガンはトールをとても気に入っているのだ。

「ちょっといいかしら? 私、出発する前にトールくんと話をしたいのだけれど」

 モルガンの次はイロナが声を掛けてきた。他愛無い会話なら今まで何度も交わしてきたが、意外なことにトールとイロナがちゃんと話すのは今回が初めてのことだ。

「何でしょう?」

 トールが不思議そうにイロナを見ると、彼女は袋をトールの前に差し出した。その袋は、占いに使うアルカナ文字が刻まれた石が入っている袋だ。

「この中から石を一つだけ選んでくれる?」

 イロナに促され、トールは袋の中から石を一つ取り出し、彼女に手渡した。イロナはその石を見ると、納得するように頷いた。

「トールくんが選んだ石は<エイワズ>──死と再生・変化を司る石ね」

「えっ?! 死っ?!」

「…………」

 イロナの言葉に反応したのはティナだった。
 肝心のトールは驚きもせず、イロナの言葉の続きをじっと待っている。

「ティナちゃん、<エイワズ>は悪い意味だけじゃないのよ。この場合は何かが終わる──いえ、何かを終わらせる暗示ね」

 ”死”という言葉に反応してしまいがちが、<エイワズ>は何かが終わることで新しいことが始まる──終わりを意味するが故に、何かのはじまりも意味する文字だ。
 つまり、変化の時期であり、変化が必要な時期でもあるのだと解釈できる。
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