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冒険者ギルド1
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クリスティナがしばらく歩いていくと、交差した剣と杖に盾のマークが入った看板を掲げている大きな建物が見えてきた。
その建物が世界中に拠点がある、冒険者ギルドのセーデルルンド王国王都本部だ。
冒険者ギルドは世界各国に本部や支部を設けているが、どの国のどの機関にも属さない独立した組織となっている。
この王都本部は、セーデルルンド王国各地にある支部を統括する役目も担っており、最高責任者のギルド長ともなれば、かなりの権力を持つこととなる。
どことなく威厳があり、一般人が立ち入りにくい雰囲気を醸し出しているギルドの重厚な扉を、クリスティナは勝手知ったる様子で開き、軽い足取りで入っていく。
冒険者達で賑わっていたギルドのホールだったが、クリスティナが足を踏み入れると、その姿を見た冒険者達が一斉に驚いた表情を浮かべた。
「おいおい、ティナ! 白昼堂々とこんなところに来てどうした?」
「王宮や神殿にバレたらヤバいんじゃないのか?」
「ティナちゃんどうしたの? いつもと様子が違うわよ?」
「制服のままだし、素材の換金に来た訳じゃねぇよな?」
「珍しいな、学院をサボってきたのか?」
クリスティナを心配した冒険者達から次々と声が掛かる。
「うん、そのことで相談に来たんだけど……。ベルトルドさんいるかな?」
「おう、ギルド長なら執務室にいるぜ。行ってみろよ」
カウンターの奥にいたギルドの職員がクリスティナに答えてくれた。
「有難う、行ってくる。皆んな、後で説明するからちょっと待ってね」
クリスティナは冒険者達に声をかけると、手を振って奥の部屋へと入っていく。
そうして階段を登り、最上階にあるギルド長の部屋の前まで来ると、格調高そうな飴色の大きな扉をノックした。
「ベルトルドさん、クリスティナです」
クリスティナが扉をノックすると、中から「どうぞ」と男性の声で返事があった。
「失礼します」
クリスティナが声を掛け扉を開けて中に入ると、整頓された本や資料が収納されている本棚が、広い部屋の一面を埋め尽くしている光景が目に入ってきた。
そして正面に置かれているこれまた高そうな机の上には、書類や資料らしき紙の束が整理された状態で幾つも積み重なっている。
「やあ、クリスティナ。こんな時間にどうしたんだい?」
大きな窓から入る光を背に受け、穏やかに微笑むのは冒険者ギルド王都本部のギルド長であるベルトルドだ。
ベルトルドは柔らかい物腰の細身な男性で、先程の強面で大柄な男達とは全く違うタイプでとても冒険者には見えない。
だが、見た目に反してベルトルドはS級冒険者として名を馳せた人物であり、その実力は未だ衰えていない。
冒険者達にとっても雲の上のような存在のベルトルドに、アポイントメントもなしで面会出来るのは、世界広しといえどもクリスティナぐらいだろう。彼は王族から要請があったとしても多忙を理由に平気で拒否するのだ。
「えっと、それが……」
クリスティナはブレンドレル魔法学院で起こった出来事を、洗いざらいベルトルドに説明した。クリスティナが説明すればするほど執務室の気温が下がっていく……ような気がする。
「ふふふ……なるほど、なるほど……。フレードリク殿下がねぇ……」
ベルトルドは歳を感じさせない綺麗な顔で微笑んだ。それは世のご令嬢方やご婦人達を魅了しそうな笑顔だったが、クリスティナはその笑みに隠された感情を読み取り、背筋を凍らせる。
「え、えっと! そういうわけで、王妃だとか聖女だとか面倒くさいお役目から開放されまして、この度めでたく自由の身になりました!!」
クリスティナは努めて明るく振る舞いながら、ベルトルドに自分は平気なのだと笑顔を見せる。
「……そうか。クリスティナが自由になれたのなら、お祝いしないといけないね」
ベルトルドはクリスティナの事を荒立てたくないという気持ちを汲み取って、フレードリクに対する怒りを鎮めることにする。
「きっとクリスティナの両親も喜ぶだろう。もちろん私やギルドの連中達もだ。皆んなクリスティナのことをずっと心配していたからね」
ベルトルドとクリスティナの両親はその昔同じパーティーを組んでいて、クリスティナのことも生まれた時から知っている。
その両親が亡くなった後、ベルトルドはクリスティナの後見人となり、ずっと彼女を見守ってくれていたのだ。
「……有難うベルトルドさん! 今まで心配をかけてごめんなさい」
そう言って笑顔を浮かべるクリスティナに、ベルトルドも笑顔で頷いた。
「自由になったクリスティナはこれからどうしたい? もう学院には通えないだろうけれど、別の学校に通うことも出来るよ」
「いえ、私は冒険者になりたいです! 今まではお役目があったから冒険者登録できなかったけれど、正式に冒険者になって自由気ままに生きていこうと思います!」
その建物が世界中に拠点がある、冒険者ギルドのセーデルルンド王国王都本部だ。
冒険者ギルドは世界各国に本部や支部を設けているが、どの国のどの機関にも属さない独立した組織となっている。
この王都本部は、セーデルルンド王国各地にある支部を統括する役目も担っており、最高責任者のギルド長ともなれば、かなりの権力を持つこととなる。
どことなく威厳があり、一般人が立ち入りにくい雰囲気を醸し出しているギルドの重厚な扉を、クリスティナは勝手知ったる様子で開き、軽い足取りで入っていく。
冒険者達で賑わっていたギルドのホールだったが、クリスティナが足を踏み入れると、その姿を見た冒険者達が一斉に驚いた表情を浮かべた。
「おいおい、ティナ! 白昼堂々とこんなところに来てどうした?」
「王宮や神殿にバレたらヤバいんじゃないのか?」
「ティナちゃんどうしたの? いつもと様子が違うわよ?」
「制服のままだし、素材の換金に来た訳じゃねぇよな?」
「珍しいな、学院をサボってきたのか?」
クリスティナを心配した冒険者達から次々と声が掛かる。
「うん、そのことで相談に来たんだけど……。ベルトルドさんいるかな?」
「おう、ギルド長なら執務室にいるぜ。行ってみろよ」
カウンターの奥にいたギルドの職員がクリスティナに答えてくれた。
「有難う、行ってくる。皆んな、後で説明するからちょっと待ってね」
クリスティナは冒険者達に声をかけると、手を振って奥の部屋へと入っていく。
そうして階段を登り、最上階にあるギルド長の部屋の前まで来ると、格調高そうな飴色の大きな扉をノックした。
「ベルトルドさん、クリスティナです」
クリスティナが扉をノックすると、中から「どうぞ」と男性の声で返事があった。
「失礼します」
クリスティナが声を掛け扉を開けて中に入ると、整頓された本や資料が収納されている本棚が、広い部屋の一面を埋め尽くしている光景が目に入ってきた。
そして正面に置かれているこれまた高そうな机の上には、書類や資料らしき紙の束が整理された状態で幾つも積み重なっている。
「やあ、クリスティナ。こんな時間にどうしたんだい?」
大きな窓から入る光を背に受け、穏やかに微笑むのは冒険者ギルド王都本部のギルド長であるベルトルドだ。
ベルトルドは柔らかい物腰の細身な男性で、先程の強面で大柄な男達とは全く違うタイプでとても冒険者には見えない。
だが、見た目に反してベルトルドはS級冒険者として名を馳せた人物であり、その実力は未だ衰えていない。
冒険者達にとっても雲の上のような存在のベルトルドに、アポイントメントもなしで面会出来るのは、世界広しといえどもクリスティナぐらいだろう。彼は王族から要請があったとしても多忙を理由に平気で拒否するのだ。
「えっと、それが……」
クリスティナはブレンドレル魔法学院で起こった出来事を、洗いざらいベルトルドに説明した。クリスティナが説明すればするほど執務室の気温が下がっていく……ような気がする。
「ふふふ……なるほど、なるほど……。フレードリク殿下がねぇ……」
ベルトルドは歳を感じさせない綺麗な顔で微笑んだ。それは世のご令嬢方やご婦人達を魅了しそうな笑顔だったが、クリスティナはその笑みに隠された感情を読み取り、背筋を凍らせる。
「え、えっと! そういうわけで、王妃だとか聖女だとか面倒くさいお役目から開放されまして、この度めでたく自由の身になりました!!」
クリスティナは努めて明るく振る舞いながら、ベルトルドに自分は平気なのだと笑顔を見せる。
「……そうか。クリスティナが自由になれたのなら、お祝いしないといけないね」
ベルトルドはクリスティナの事を荒立てたくないという気持ちを汲み取って、フレードリクに対する怒りを鎮めることにする。
「きっとクリスティナの両親も喜ぶだろう。もちろん私やギルドの連中達もだ。皆んなクリスティナのことをずっと心配していたからね」
ベルトルドとクリスティナの両親はその昔同じパーティーを組んでいて、クリスティナのことも生まれた時から知っている。
その両親が亡くなった後、ベルトルドはクリスティナの後見人となり、ずっと彼女を見守ってくれていたのだ。
「……有難うベルトルドさん! 今まで心配をかけてごめんなさい」
そう言って笑顔を浮かべるクリスティナに、ベルトルドも笑顔で頷いた。
「自由になったクリスティナはこれからどうしたい? もう学院には通えないだろうけれど、別の学校に通うことも出来るよ」
「いえ、私は冒険者になりたいです! 今まではお役目があったから冒険者登録できなかったけれど、正式に冒険者になって自由気ままに生きていこうと思います!」
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