大東亜戦争小噺

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南雲さん07

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ゴーー 瑞鶴から発艦した八重樫飛曹長と姫石一飛曹のペアが乗った九七艦攻が敵空母を
求め索敵をしていた。 高度800メートル。
 「姫石 どうだ 敵影はみえないか」
 「見えませんね 八重樫さん」
2人は偵察の熟練搭乗員であった。
 「杉本と新野に先越されそうですよ」
 「あほぬかせ あいつらには負けん」
 「でも 蒼龍の佐藤さんと金井さんペアにはかないませんよね」
 「あ~ あのペアは別格だろ べっかく」
 「八重樫さん ちょい左に3度方向変えてくれませんか」
 「あいよ なんか見えたのか」
 「ええ ちょっと 感ってやつですよ」
 「よーそろー」
九七艦攻は栄エンジンの軽快な音をたたて飛んでいく。高度かわらず。
暫くして・・・・
 「ん!?」
姫石は手にした7倍双眼鏡で一点を見た。
左前方に滓かだが煙が見えた。
 「八重樫さん もうチョイ左へ飛んでください」
 「よーそろー」
九七艦攻はグググと左方向へ・・・・
 「いた! 敵空母艦隊 やりましたよ 八重樫さん」
 「おお~ やったな 電信 電信」
”タ タ タ 瑞鶴 八重樫 姫石”
”敵艦隊 空母1を含む14隻 オアフ島からの方位20度67浬 針路159度
 速力25ノット 1025”
 「やば 敵戦闘機が かぶてきやがった」
ガガガ・・・ 12.7mmが容赦なく銃弾の雨を降らす。
 「すべって すべって~」
 「やってるわい」
九七艦攻は海面すれすれに飛びF4Fの銃撃を回避していた。

 「ジャップの索敵機だと ファック  打ち落とせ」
 「レーダー手」
 「敵影はありません」
 「くそ 攻撃隊全てあげろ」
 「対空警戒」

 「瑞鶴 索敵機からの電信 敵艦隊発見です」
電信文を受け取った山口司令は”ニカッ”と笑っていたが目は人殺し多聞だった。
 「1次攻撃隊を発艦させよ」
 「はっ」
 「でかした 八重樫 姫石」
瑞鶴艦橋内でコングとこ原司令は頷いた。
 「真珠湾での鬱憤晴らさせてもらうぜ」
真珠湾では艦隊の直掩任務で戦闘に参加できなかった塚本中尉鼻息も荒く
零式戦闘機に乗り込んだ。
岩本一飛曹が零式戦闘機に乗り込もうとした時 嶋崎少佐が声をかけてきた。
 「岩本一飛曹 ちょっといいか」
 「なんでしょうか 少佐」
嶋崎少佐は言いにくそうに子声で
 「あのな 索敵にでた八重樫と姫石が敵機の追撃を受けているんだ
  あいつらを死なせたくない 頼む助けてやってくれないか」
 「時間的に無理があります ちょっと飛んで発見できるとは思いませんが」
 「それは十分わかっている それでもだ 岩本 頼む 佐藤大尉からは
  了解してもらった」
岩本は分隊長の佐藤大尉を見た。大尉は微か頷いた。”なんてこったい”
 「わかりました 岩本一飛曹 八重樫飛曹長 姫石一飛曹の救出に向かいます」
 「よろしく頼む これを持っていってくれ 電信の発信位置からおおよその
  位置を記載した地図だ」
 「はっ」
岩本は地図を受け取り敬礼し愛機に乗り込んだ。
嶋崎少佐は叫んだ。
 「岩本機を先にだせ そこ邪魔だどかせろ」
嶋崎少佐の剣幕に煽られ岩本機の前を塞ぐものはないにもなかった。
岩本はもう一度嶋崎少佐に敬礼した。 嶋崎少佐は答礼をした。
 「頼むぞ」
岩本機が発艦していった。
そのあとに各艦から一次攻撃隊が発艦した総勢56機。

 「司令 山口少将から電信です 敵艦隊を発見 我攻撃す」
小野が読み上げた。
 「そうか 見つけたか こちらも負けてはいられんな」
 「残念無念 一番槍は2航と5航か・・・」
源田が悔しがった。
利根 筑摩から索敵機が発艦した。
 「イ4、5、6 と連絡はできたのか」
 「イ6 だけです」
 「なんだ 潜りっぱなしか」
 「はい イ6は不時着した搭乗員を回収していたので連絡がつきました」
 「しょうがね~な そういやイ23はどうした」
 「いまだ 所在不明です」
 「機関不具合を直してこちらに向かっているものと思われますが・・・」
 「しょうがねぇなぁ イ6に就いてくるよう連絡してくれ」
 「はっ」
 「司令 この陣容でやれますか 自分は不安です」
空気の草鹿が言った。
 「そうだな 加賀の航空機の損失がでかいな 戦 爆 攻 合わせて17機とは
  飛行長何やとるんだか ギンバイ艦ちゃ~ らしいけどな」
 「まぁ やれるだけのことをやるしかないな」
 「「・・・・」」
南雲の返答をきいて泰然と突っ立つ草鹿であった。

そのころ問題のイ23は・・・・
艦長柴田中佐は潜望鏡を覗いていたがそこに見慣れぬ空母の舷側をみて
慌てて潜望鏡をひっこめた。
 「艦長 どうしました」
 「はは 我々は敵艦隊の真ん中にいるようだ」
 「はぁ? ほんとですか」
 「探信儀係 敵の動きはどうか?」
 「こちらに 気づいた気配はありません」
 「よし 見失わない距離を保ちつつ追跡する」
第12任務隊は南雲艦隊の追跡に気を取られて海面下の敵に対する警戒を怠っていた。

 「ニュートン提督 第8任務隊が日本軍の索敵機と接触したと連絡がはいりました」
 「遠すぎる・・・ ハルゼーを助けられん 我々が着くころには決着がついているだろう」
 「提督 それでも第8任務隊のもとへ行くべきです」
 「誰も助けに行かないとは言っていない 落ち着きたまえ」
 「はっ」
 「パールハーバーに連絡だ瓦礫の中から飛ばせる航空機があれば
  第8任務隊のもとへ行かせる」
 「イエッサー」
 「第8任務隊のもとへ急行だ」
 「イエッサー」

ヒッカム飛行場
 「司令 ニュートン提督から飛ばせる機体があれば第8任務隊の救援に向かわせろ
  と 救援要請です」
 「わかった この瓦礫の山をどかして上空待機している本土から来たB-17を
  収容してからだ おい もっと広くしろB-17が着陸できないだろうが」
そして後ろを振り向きこの飛行場の自慢だった全壊し黒煙をあげている
”ヒッカムホテル”を見て怒りをあらわにしていた。

 「レーダー手 相変わらず敵影はなしか」
 「ありません」
 「くそ 索敵機に接触されて30分はたってるのに影すらみえないのか」
 「・・・ 若しやジャップの奴ら我々がレーダ探索しているのを知って・・・」
 「上空待機している攻撃隊をジャップの索敵機が来た方向にいかせろ」
 「イエッサー」

エンタープライズ攻撃隊 F4F4機 SBD16機 TBD14機が多聞艦隊を目指して
飛んでいった。
 「少尉 ジャップの索敵機が来た方向に飛んでも敵の艦隊がいるはずが
  ないと思います」
 「俺もお前と同じ考えだが ブルの命令だし従うしかないだろ」
 「見えない敵を追いかけるより さっさと安全な場所に退避したほうが
  いいと思いますよ」
 「それは禁句だ」
 「お前ら無駄話はやめろ 索敵に気を使え」
 「「イエッサー オーム大尉」」
雷撃隊隊長のオーム大尉も人と同じ思いだったしジャップにいいように
遊ばれているようでイライラしていたところへ。
 「大尉 右前方 黒点多数」
直掩機の声がレシーバーから悲鳴のように聞こえた。
 「なに おおおお」
日本の攻撃隊が500メートルと離れていない距離ですれ違っていく。
 「こちら オーム大尉 今日本の攻撃隊とすれ違った総数約50」
 「我々はこの先にいるジャップの艦隊をやるぞ」
その言葉を聞いて攻撃隊全員は覚悟をきめたもう帰る場所がないのだ・・・

 「かれこれ45分は飛んでいる 何かしら見えてもいいころだ」
岩本は渡された地図を見ながら索敵機は艦隊方向に飛んでいないだろうと
艦隊と平行の方向に回避飛行しているとふんで修正しながら飛んでいた。
高度800メートル。 それ以上高度を上げて飛ぶと敵の電探に発見されるから禁止されていた。
岩本は電探のことはさっぱりだったが索敵は600~800メートルで
行うものなのできにしてはいなかった。
機体をちょっと左に振った瞬間 火箭が見えた。
 「おっ あれか」
九七艦攻は2機のF4Fに追われていた 海面すれすれに飛び銃撃を回避していた。
 「今行くぞ」

 「あ~ しつこいな アメ公め いい加減諦めろって」
 「ですよね」
 「姫石 撃ってるのか」
 「撃っていますよ 一応豆鉄砲を」
 「あいつらが羨ましいですよ おそらく13mmでしょうか 薬莢が短冊状で
  落ちていくのがみえます」
 「感心してる場合か 一発でも当たったら 即昇天だぞ」
 「いや さっきから数発食らっていますよ 電信員水野 生きてるか」
 「はい 如何にか生きています 姫石一飛曹」
ガガガー ガガガー F4Fの機銃が吼えた。
 「うわっ」
海面に水柱が走る。 ドドド ドドド 聞きなれた20mmの音が腹に響いた。
F4Fが一機海面に激突した。
 「な なんだ!?」
 「味方です 零式です」
 「助かった・・・」
岩本機は左旋回して残る一機のF4Fを反攻体勢で20mmを叩き込んだ。
命中 F4Fは粉みじんになって海面に落ちていった。
 「誰だ あれは」
八重樫機の横に岩本機が並んだ。
岩本は風防を開け”ニカッ”と笑った。
 「岩本さんですよ」
 「よく我々を見つけましたね さすがだな」
 「岩本 感謝する」
八重樫飛曹長は敬礼して感謝の意をあらわした。
岩本は答礼して 機体を前に進めバンクした”ついてこい” 岩本機は艦隊方向に
機体を向けた。
 「あいよ 先導よろしく」
2機が艦隊を目指しているころ エンタープライズの攻撃隊は日本の艦隊から
一時間の距離に迫っていた。
 











  
 

 


 


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