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13-2 昼食
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「その言い方だと、普段は入れないものなの?」
ライオネル伯爵が興味深そうにサンドウィッチを見つめて言った。
「ええ。家で軽食を食べるために作る時は入れませんね。お砂糖を過剰に接種してしまうような気がして」
「なるほど」
「エレノア嬢は普段から料理をするのかい?」
アーサー様が言った。やっぱり、公爵令嬢が料理をするなんて変かしら?
前世では、料理が趣味だった。忙しい父と母の代わりに私が夕飯を作っていた。仕事に疲れてクタクタになった二人が私の夕飯を楽しみにしてくれているのが嬉しくて、平日は私が料理を作っていた。
エレノアに生まれ変わってからは料理をする機会は減ってしまったけれど、前世の趣味がどうしても忘れられなかった。だから、時折、こうやって簡単な料理を作っている。
「エリーはちょっとしたお出かけの時や、極親しい身内のみのパーティで料理を振る舞ってくれますの」
なかなか答えない私に痺れを切らしたのだろう。ベッキーが答えてくれた。
「本当はもっと作ってみたい料理があるんですけど。貴族の令嬢がすることではないと、シェフから仕事を盗らないでくれと、皆から怒られてしまって」
「だってさ。アーサー、結婚したら厨房を好きに使える権利をあげるんだぞ?」
「け、結婚だなんて、話が飛びすぎです!」
「あはは、そんなことないよねえ?」
伯爵はにやにやしながらベッキーを見る。ベッキーはうんうんと頷いてにやにや笑い始めた。
「二人とも、からかわないでくれ」
アーサー様の言葉に私も同意した。
「そうです。そんなことより、もっと食べましょう!」
私は取り皿に食品を並べてみんなに配っていった。
※
持ってきた昼食は二人とも喜んで食べきってくれた。サンドウィッチ以外も好評で、アーサー様と伯爵は、美味しいとずっと言い続けていた。
シェフの作ったジビエ以外は私の手作りだったから、こんなに褒めてもらえると嬉しくてたまらなかった。
「美味しかった」
ベッキーの淹れた紅茶を飲みながらアーサー様はまだ私を褒めてくれている。
「ありがとうございます」
簡単な料理だったのに、こんなに喜んでくれるなんて。嬉しいことこの上ない。
ーーこんなに喜んでくれるなら、また料理を振る舞いたいな。
日常の、何の日でもない時にアーサー様に料理を振る舞う自分の姿を想像してしまって、慌てて頭を振る。
ーー私ったら、何を考えているの? まるで、結婚して一緒に住んでいるみたいな・・・・・・。
「エリー、聞いてる?」
「へ?」
ベッキーの声で現実に引き戻される。
「私とライオネル様は乗馬クラブに行って馬に乗って来ようと思うの」
「そう? なら、私達も・・・・・・」
「だめだめ、エリーは乗馬は上手だから」
上手というほどではないけれど。学園の授業では問題なく乗れていた。
「エリーと大公殿下は、ボートに乗ればいいと思うの。折角シリナ湖に来たんだし。そうですよね?」
ベッキーはそう言うと伯爵を見た。ああ、これは、私とアーサー様を二人きりにしたいという、ベッキーたちのお節介ね。
「うん。それがいいと思う。善は急げだから、俺達は乗馬クラブに行ってくる」
二人は返事も聞かずに、貴族にしては素早いスピードで行ってしまった。
「ボート、乗りに行く?」
アーサー様は戸惑っているのか、私の様子を伺うように尋ねてきた。
「折角、シリナ湖に来たんですもの。乗ってみたいです」
そう言うと、アーサー様はぱっと明るい笑みを浮かべた。
「そうか。なら、行こう」
アーサー様は立ち上がると私に手を差し出してきた。私は彼に手を取ると立ち上がった。
ライオネル伯爵が興味深そうにサンドウィッチを見つめて言った。
「ええ。家で軽食を食べるために作る時は入れませんね。お砂糖を過剰に接種してしまうような気がして」
「なるほど」
「エレノア嬢は普段から料理をするのかい?」
アーサー様が言った。やっぱり、公爵令嬢が料理をするなんて変かしら?
前世では、料理が趣味だった。忙しい父と母の代わりに私が夕飯を作っていた。仕事に疲れてクタクタになった二人が私の夕飯を楽しみにしてくれているのが嬉しくて、平日は私が料理を作っていた。
エレノアに生まれ変わってからは料理をする機会は減ってしまったけれど、前世の趣味がどうしても忘れられなかった。だから、時折、こうやって簡単な料理を作っている。
「エリーはちょっとしたお出かけの時や、極親しい身内のみのパーティで料理を振る舞ってくれますの」
なかなか答えない私に痺れを切らしたのだろう。ベッキーが答えてくれた。
「本当はもっと作ってみたい料理があるんですけど。貴族の令嬢がすることではないと、シェフから仕事を盗らないでくれと、皆から怒られてしまって」
「だってさ。アーサー、結婚したら厨房を好きに使える権利をあげるんだぞ?」
「け、結婚だなんて、話が飛びすぎです!」
「あはは、そんなことないよねえ?」
伯爵はにやにやしながらベッキーを見る。ベッキーはうんうんと頷いてにやにや笑い始めた。
「二人とも、からかわないでくれ」
アーサー様の言葉に私も同意した。
「そうです。そんなことより、もっと食べましょう!」
私は取り皿に食品を並べてみんなに配っていった。
※
持ってきた昼食は二人とも喜んで食べきってくれた。サンドウィッチ以外も好評で、アーサー様と伯爵は、美味しいとずっと言い続けていた。
シェフの作ったジビエ以外は私の手作りだったから、こんなに褒めてもらえると嬉しくてたまらなかった。
「美味しかった」
ベッキーの淹れた紅茶を飲みながらアーサー様はまだ私を褒めてくれている。
「ありがとうございます」
簡単な料理だったのに、こんなに喜んでくれるなんて。嬉しいことこの上ない。
ーーこんなに喜んでくれるなら、また料理を振る舞いたいな。
日常の、何の日でもない時にアーサー様に料理を振る舞う自分の姿を想像してしまって、慌てて頭を振る。
ーー私ったら、何を考えているの? まるで、結婚して一緒に住んでいるみたいな・・・・・・。
「エリー、聞いてる?」
「へ?」
ベッキーの声で現実に引き戻される。
「私とライオネル様は乗馬クラブに行って馬に乗って来ようと思うの」
「そう? なら、私達も・・・・・・」
「だめだめ、エリーは乗馬は上手だから」
上手というほどではないけれど。学園の授業では問題なく乗れていた。
「エリーと大公殿下は、ボートに乗ればいいと思うの。折角シリナ湖に来たんだし。そうですよね?」
ベッキーはそう言うと伯爵を見た。ああ、これは、私とアーサー様を二人きりにしたいという、ベッキーたちのお節介ね。
「うん。それがいいと思う。善は急げだから、俺達は乗馬クラブに行ってくる」
二人は返事も聞かずに、貴族にしては素早いスピードで行ってしまった。
「ボート、乗りに行く?」
アーサー様は戸惑っているのか、私の様子を伺うように尋ねてきた。
「折角、シリナ湖に来たんですもの。乗ってみたいです」
そう言うと、アーサー様はぱっと明るい笑みを浮かべた。
「そうか。なら、行こう」
アーサー様は立ち上がると私に手を差し出してきた。私は彼に手を取ると立ち上がった。
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