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目が覚めたら外が薄明るかった。サイドテーブルに置かれた魔具を見たら朝の5時だった。
ティアを起こさないように抱きしめた身体をゆっくりと離して起き上がる。
ーー身体がベタベタする。
この世界では定期的に風呂に入らないと汚れてしまうのが面倒だ。また別の世界を作る機会があったら身体が汚れなくて済む世界にしてもらおう。
ティアを見たらすやすやと寝息を立てている。しばらく起きそうにない。私は静かに立ち上がると、風呂場に向かった。
浴室に着くと泡風呂を作ってからバスタブに入った。
スポンジで身体を洗ってから髪を洗う。少し俯いて頭を洗っていると扉が開く音がした。そちらを見たら全裸のティアが立っていた。
彼女は何も言わず虚ろな目で私を見ている。
お腹を空かせて目を覚ましたのに私が隣にいなかったから屋敷の中を探したのだろう。
「ティア、こっちにおいで」
呼びかけると、彼女は私の傍に来た。姿勢を直してティアが入れるスペースを作ると彼女は向かい合う形で座った。
ティアの片腕を持ち上げて洗っていく。洗っている最中、ティアは無反応だった。くすぐったがりの彼女は、少し洗うだけで身体をびくびくさせていた。でも今はじっと座っている。
「つまらないよ。もっと反応して?」
言っても反応がないことは分かっている。それでも言った。
ティアに自我があったら、絶対に心の中で文句を言っただろう。『人をおもちゃにするな』って。前みたいにそう思ってくれるようになるには、あとどれくらいかかるだろうか。
・・・・・・何だか寂しくなってきた。
私はティアの身体を引き寄せてキスをした。ティアは私を受けいれて舌を貪る。しばらく彼女の口の中を味っていたら、ティアの方から離れていった。
次の行動に移るのかと思っていたらそういうわけでもない。彼女は座ったまま、ぼんやりと私を見つめている。どうやらまだお腹は空いていないようだ。
それなら、ティアは何で私のもとに来たんだろう?
少し考えたけど、面倒くさくなってやめた。
私はティアの身体を念入りに洗った。お湯で綺麗に洗い流して、彼女の身体をタオルで拭く。身体を拭いている間、ティアは眠たいのか、目を瞑っていた。
「そんなに眠たいならベッドまで連れて行ってあげるよ」
そう言ってお姫様抱っこをした。ティアは私の首に腕を回してくれないから、落とさないように慎重に歩く。
歩いている最中、髪の毛に残っていた水滴がぽたぽたと廊下に落ちていった。それを眠たそうにしながらも見ているのに、ティアは何も思わなかった。
細かいことを気にして心の中で文句を言うティアに早く会いたい。うるさいことばかり頭の中で考える彼女に、ベッドの上でお仕置きしていた頃が懐かしく思えた。
長い廊下を歩いて、ようやく寝室にたどり着いた。ベッドにティアを下ろすと彼女は丸まってすぐに目を閉じた。
やっぱりまだまだ眠かったようだ。
「眠いのなら私のところに来ずに寝ていればよかったのに」
そう言った時には、もうすでにティアは眠っていた。
「おやすみ。ティア」
しばらくはすることもない。私はティアの横に寝そべって彼女の寝顔を眺めていることにした。
ティアを起こさないように抱きしめた身体をゆっくりと離して起き上がる。
ーー身体がベタベタする。
この世界では定期的に風呂に入らないと汚れてしまうのが面倒だ。また別の世界を作る機会があったら身体が汚れなくて済む世界にしてもらおう。
ティアを見たらすやすやと寝息を立てている。しばらく起きそうにない。私は静かに立ち上がると、風呂場に向かった。
浴室に着くと泡風呂を作ってからバスタブに入った。
スポンジで身体を洗ってから髪を洗う。少し俯いて頭を洗っていると扉が開く音がした。そちらを見たら全裸のティアが立っていた。
彼女は何も言わず虚ろな目で私を見ている。
お腹を空かせて目を覚ましたのに私が隣にいなかったから屋敷の中を探したのだろう。
「ティア、こっちにおいで」
呼びかけると、彼女は私の傍に来た。姿勢を直してティアが入れるスペースを作ると彼女は向かい合う形で座った。
ティアの片腕を持ち上げて洗っていく。洗っている最中、ティアは無反応だった。くすぐったがりの彼女は、少し洗うだけで身体をびくびくさせていた。でも今はじっと座っている。
「つまらないよ。もっと反応して?」
言っても反応がないことは分かっている。それでも言った。
ティアに自我があったら、絶対に心の中で文句を言っただろう。『人をおもちゃにするな』って。前みたいにそう思ってくれるようになるには、あとどれくらいかかるだろうか。
・・・・・・何だか寂しくなってきた。
私はティアの身体を引き寄せてキスをした。ティアは私を受けいれて舌を貪る。しばらく彼女の口の中を味っていたら、ティアの方から離れていった。
次の行動に移るのかと思っていたらそういうわけでもない。彼女は座ったまま、ぼんやりと私を見つめている。どうやらまだお腹は空いていないようだ。
それなら、ティアは何で私のもとに来たんだろう?
少し考えたけど、面倒くさくなってやめた。
私はティアの身体を念入りに洗った。お湯で綺麗に洗い流して、彼女の身体をタオルで拭く。身体を拭いている間、ティアは眠たいのか、目を瞑っていた。
「そんなに眠たいならベッドまで連れて行ってあげるよ」
そう言ってお姫様抱っこをした。ティアは私の首に腕を回してくれないから、落とさないように慎重に歩く。
歩いている最中、髪の毛に残っていた水滴がぽたぽたと廊下に落ちていった。それを眠たそうにしながらも見ているのに、ティアは何も思わなかった。
細かいことを気にして心の中で文句を言うティアに早く会いたい。うるさいことばかり頭の中で考える彼女に、ベッドの上でお仕置きしていた頃が懐かしく思えた。
長い廊下を歩いて、ようやく寝室にたどり着いた。ベッドにティアを下ろすと彼女は丸まってすぐに目を閉じた。
やっぱりまだまだ眠かったようだ。
「眠いのなら私のところに来ずに寝ていればよかったのに」
そう言った時には、もうすでにティアは眠っていた。
「おやすみ。ティア」
しばらくはすることもない。私はティアの横に寝そべって彼女の寝顔を眺めていることにした。
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