【完結】サキュバスは魅惑のスペシャリストです

花草青依

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13-2 女の子には優しさを

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 アタシは自分でお茶を淹れる。
『茶葉はスプーン2杯分、今日はお菓子がないから3分だけ蒸らしましょう』
 リコリスの指示通りお茶を作った。

「お嬢様、手際が良いですね」
 ローラはそう言った途端、顔を引き攣らせた。上から目線な発言だったことに、言ってから気がついたんだろう。
 ーー表情をコロコロ変えて、面白い子。

「そんな顔しないで。日頃からお茶を淹れているあなたがそう言うのなら私は嬉しいよ」
 アタシが優しく笑うと、ローラは感動していた。

 2つのカップにお茶を注ぐ。
「はい。飲んでみて?」
 ローラに促すと、彼女はかしこまりながらソファに座ってお茶を飲んだ。
 アタシもお茶を飲む。
『美味しい。8年経っても忘れていないものね』
 リコリスは満足している。
「お嬢様、美味しいです。この渋味加減が素晴らしいです。飲みごたえがあって後味も悪くない素敵なお茶ですよ」
『でしょ? ローラは分かってるわ』
 ローラに褒められてリコリスはご満悦だった。

「ありがとう。久しぶりだったから不安だったの。上手く淹れられて良かったわ」
「あの、こんなことを私が聞いていいのか分かりませんが、どうしてご自分で淹れようと思ったんです?」
「久しぶりにお茶をしたいと思ったの。小さい頃はよくうちの家族とグレッグの家族で小さなお茶会を開いていてね。その時にお母様から淹れ方を教わったの」
「そうでしたか」
「またグレッグとも飲みたいなあ」

『アマリリスさん、そんなことまで言わなくてもいいでしょう!』
 ーー馬鹿ねえ。こういうところで言っておいたらきっかけになるかもしれないじゃない。
『でも、そんなことをしたら私がグレッグを好きなのがバレちゃう』
 ーー別にいいじゃない? 何が問題なのよ。
『アマリリスさんのばか!』

「そうですか。でしたら、グレッグ様がお屋敷にいらっしゃった時に声をかけてみますね」
「ありがとう」

 ーーほらみなさいよ。協力してくれるって言ってるじゃない。
『で、でも。いきなりお茶なんてそんな』
 ーー二人でお茶もできないの? それなら何ができるのよ。
『そ、それは』
 ーーそれに、お茶をするって言っても厳密にはアタシがだから。
『ううっ・・・・・・』
 リコリスは悔しそうに唸り声をあげた。あんなに嫌そうにしていたくせに、本当は彼とお茶がしたいのだろう。
 ーーここまでうぶだと困りものね。

 アタシは近々絶対にグレゴリーとお茶をすると決めた。
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