17 / 38
13-2 女の子には優しさを
しおりを挟む
アタシは自分でお茶を淹れる。
『茶葉はスプーン2杯分、今日はお菓子がないから3分だけ蒸らしましょう』
リコリスの指示通りお茶を作った。
「お嬢様、手際が良いですね」
ローラはそう言った途端、顔を引き攣らせた。上から目線な発言だったことに、言ってから気がついたんだろう。
ーー表情をコロコロ変えて、面白い子。
「そんな顔しないで。日頃からお茶を淹れているあなたがそう言うのなら私は嬉しいよ」
アタシが優しく笑うと、ローラは感動していた。
2つのカップにお茶を注ぐ。
「はい。飲んでみて?」
ローラに促すと、彼女はかしこまりながらソファに座ってお茶を飲んだ。
アタシもお茶を飲む。
『美味しい。8年経っても忘れていないものね』
リコリスは満足している。
「お嬢様、美味しいです。この渋味加減が素晴らしいです。飲みごたえがあって後味も悪くない素敵なお茶ですよ」
『でしょ? ローラは分かってるわ』
ローラに褒められてリコリスはご満悦だった。
「ありがとう。久しぶりだったから不安だったの。上手く淹れられて良かったわ」
「あの、こんなことを私が聞いていいのか分かりませんが、どうしてご自分で淹れようと思ったんです?」
「久しぶりにお茶をしたいと思ったの。小さい頃はよくうちの家族とグレッグの家族で小さなお茶会を開いていてね。その時にお母様から淹れ方を教わったの」
「そうでしたか」
「またグレッグとも飲みたいなあ」
『アマリリスさん、そんなことまで言わなくてもいいでしょう!』
ーー馬鹿ねえ。こういうところで言っておいたらきっかけになるかもしれないじゃない。
『でも、そんなことをしたら私がグレッグを好きなのがバレちゃう』
ーー別にいいじゃない? 何が問題なのよ。
『アマリリスさんのばか!』
「そうですか。でしたら、グレッグ様がお屋敷にいらっしゃった時に声をかけてみますね」
「ありがとう」
ーーほらみなさいよ。協力してくれるって言ってるじゃない。
『で、でも。いきなりお茶なんてそんな』
ーー二人でお茶もできないの? それなら何ができるのよ。
『そ、それは』
ーーそれに、お茶をするって言っても厳密にはアタシがだから。
『ううっ・・・・・・』
リコリスは悔しそうに唸り声をあげた。あんなに嫌そうにしていたくせに、本当は彼とお茶がしたいのだろう。
ーーここまでうぶだと困りものね。
アタシは近々絶対にグレゴリーとお茶をすると決めた。
『茶葉はスプーン2杯分、今日はお菓子がないから3分だけ蒸らしましょう』
リコリスの指示通りお茶を作った。
「お嬢様、手際が良いですね」
ローラはそう言った途端、顔を引き攣らせた。上から目線な発言だったことに、言ってから気がついたんだろう。
ーー表情をコロコロ変えて、面白い子。
「そんな顔しないで。日頃からお茶を淹れているあなたがそう言うのなら私は嬉しいよ」
アタシが優しく笑うと、ローラは感動していた。
2つのカップにお茶を注ぐ。
「はい。飲んでみて?」
ローラに促すと、彼女はかしこまりながらソファに座ってお茶を飲んだ。
アタシもお茶を飲む。
『美味しい。8年経っても忘れていないものね』
リコリスは満足している。
「お嬢様、美味しいです。この渋味加減が素晴らしいです。飲みごたえがあって後味も悪くない素敵なお茶ですよ」
『でしょ? ローラは分かってるわ』
ローラに褒められてリコリスはご満悦だった。
「ありがとう。久しぶりだったから不安だったの。上手く淹れられて良かったわ」
「あの、こんなことを私が聞いていいのか分かりませんが、どうしてご自分で淹れようと思ったんです?」
「久しぶりにお茶をしたいと思ったの。小さい頃はよくうちの家族とグレッグの家族で小さなお茶会を開いていてね。その時にお母様から淹れ方を教わったの」
「そうでしたか」
「またグレッグとも飲みたいなあ」
『アマリリスさん、そんなことまで言わなくてもいいでしょう!』
ーー馬鹿ねえ。こういうところで言っておいたらきっかけになるかもしれないじゃない。
『でも、そんなことをしたら私がグレッグを好きなのがバレちゃう』
ーー別にいいじゃない? 何が問題なのよ。
『アマリリスさんのばか!』
「そうですか。でしたら、グレッグ様がお屋敷にいらっしゃった時に声をかけてみますね」
「ありがとう」
ーーほらみなさいよ。協力してくれるって言ってるじゃない。
『で、でも。いきなりお茶なんてそんな』
ーー二人でお茶もできないの? それなら何ができるのよ。
『そ、それは』
ーーそれに、お茶をするって言っても厳密にはアタシがだから。
『ううっ・・・・・・』
リコリスは悔しそうに唸り声をあげた。あんなに嫌そうにしていたくせに、本当は彼とお茶がしたいのだろう。
ーーここまでうぶだと困りものね。
アタシは近々絶対にグレゴリーとお茶をすると決めた。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妾に恋をした
はなまる
恋愛
ミーシャは22歳の子爵令嬢。でも結婚歴がある。夫との結婚生活は半年。おまけに相手は子持ちの再婚。 そして前妻を愛するあまり不能だった。実家に出戻って来たミーシャは再婚も考えたが何しろ子爵領は超貧乏、それに弟と妹の学費もかさむ。ある日妾の応募を目にしてこれだと思ってしまう。
早速面接に行って経験者だと思われて採用決定。
実際は純潔の乙女なのだがそこは何とかなるだろうと。
だが実際のお相手ネイトは妻とうまくいっておらずその日のうちに純潔を散らされる。ネイトはそれを知って狼狽える。そしてミーシャに好意を寄せてしまい話はおかしな方向に動き始める。
ミーシャは無事ミッションを成せるのか?
それとも玉砕されて追い出されるのか?
ネイトの恋心はどうなってしまうのか?
カオスなガストン侯爵家は一体どうなるのか?

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる