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16 召集
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アンドレ公爵夫人のパーティから1週間経った。例の不審者はまだ捕まってはいないけれど、エドの写真機のおかげで身元が分かったそうだ。
不審者はランベール子爵家に仕えていた下男で、一月前に一身上の都合で暇をもらったそうだ。
彼のことで、ランベール子爵家にも捜査が及んだらしい。どうやら彼はエリナと親しい間柄だったらしく、彼女が犯行を唆したのではないかと当局からは疑われているようだ。
「ほら、やっぱり私の言った通りでしょ?」
お母様は新聞を見て自信満々に言った。
私がランベール子爵家の元下男に襲われた事は、ゴシップ紙どころか、大手の新聞社でも報道された。そのせいで事件は瞬く間に多くの人々に知られることになったようだ。お母様は参加していたお茶会で私や事件のことを色々な人から聞かれたと言っていた。
「エリナがなぜ・・・・・・」
私は未だにエリナがそんなことをしたとは思えなかった。明るく愛らしく器用なあの子がこんなことをするとは未だに思えない。
「なぜって、フィリップ子息と自分が引き裂かれたのはベラのせいだと思い込んだからでしょ」
「そうでしょうか? 彼女は現金なところがあるから、そんな理由で私を襲おうとはしないと思うんですけど」
「どういうこと?」
お母様がそう言ったと同時にドアがノックされた。
「どうぞ」
お母様が言うと使用人が入って来て、私に手紙を差し出した。送り主は国王陛下で、私に王宮へ来るようにと書いてあった。
「明日、国王陛下と謁見します」
「あら? 明日になったの」
「はい」
「ゴシップ紙のネタにならないように行動なさい」
「はい」
私のことは相変わらずゴシップ紙のネタになっていた。どこから情報が漏れているのかは未だに分からないけれど、連日あることないこと書かれていた。
でも、先の不審者事件の方がインパクトがあるので、ゴシップ記事の話題性は失われつつあった。
━━このまま下火になって話題にもあがらないようになればいいんだけれど。そうしたら、穏便に済むわ。
そう思ったけれど、事態はそう簡単には収まってくれなかった。
※
翌日、国王陛下に謁見するために、お父様とともに王宮に向かった。
国王陛下のいる玉座の間には、エドもいた。
「リチャード・モランとイザベラ・モランが参りました」
お父様は国王陛下に向かって言うと、お辞儀をした。私もそれに倣ってお辞儀をする。
「二人ともよく来てくれたね」
国王陛下はエドとよく似た優しい笑顔で私達を歓迎してくれた。
「既に伝えていた通り、エドワードとイザベラ侯爵令嬢の婚約を行う。婚約式は1週間後に、婚約の発表はその次の日に行う予定だ。婚約の発表後、イザベラ嬢にはすぐに王子宮へ移ってもらう」
「承りました」
「それから、イザベラ嬢」
「はい」
「危険な目に遭ったと聞いた。これからは王宮騎士を護衛につけるから安心なさい」
国王陛下は優しい眼差しで私を見ていた。
「お心遣い感謝いたします」
私はそう言ってお辞儀をした。
「そう畏まらないでくれ」
そう言われても礼儀を欠くわけにはいかない。私がなおも畏まっていると、国王陛下は「礼儀正しい子だ」と呟いた。
「さあ、難しい話はこれで一旦おしまいだ。イザベラ嬢はエドワードと庭園を散歩するといい」
「かしこまりました」
国王陛下の提案に私が了承すると、エドは私の傍にやって来た。
「行こう」
「はい」
お父様は国王陛下とまだ話があるらしい。
私とエドは二人で玉座の間を出た。
不審者はランベール子爵家に仕えていた下男で、一月前に一身上の都合で暇をもらったそうだ。
彼のことで、ランベール子爵家にも捜査が及んだらしい。どうやら彼はエリナと親しい間柄だったらしく、彼女が犯行を唆したのではないかと当局からは疑われているようだ。
「ほら、やっぱり私の言った通りでしょ?」
お母様は新聞を見て自信満々に言った。
私がランベール子爵家の元下男に襲われた事は、ゴシップ紙どころか、大手の新聞社でも報道された。そのせいで事件は瞬く間に多くの人々に知られることになったようだ。お母様は参加していたお茶会で私や事件のことを色々な人から聞かれたと言っていた。
「エリナがなぜ・・・・・・」
私は未だにエリナがそんなことをしたとは思えなかった。明るく愛らしく器用なあの子がこんなことをするとは未だに思えない。
「なぜって、フィリップ子息と自分が引き裂かれたのはベラのせいだと思い込んだからでしょ」
「そうでしょうか? 彼女は現金なところがあるから、そんな理由で私を襲おうとはしないと思うんですけど」
「どういうこと?」
お母様がそう言ったと同時にドアがノックされた。
「どうぞ」
お母様が言うと使用人が入って来て、私に手紙を差し出した。送り主は国王陛下で、私に王宮へ来るようにと書いてあった。
「明日、国王陛下と謁見します」
「あら? 明日になったの」
「はい」
「ゴシップ紙のネタにならないように行動なさい」
「はい」
私のことは相変わらずゴシップ紙のネタになっていた。どこから情報が漏れているのかは未だに分からないけれど、連日あることないこと書かれていた。
でも、先の不審者事件の方がインパクトがあるので、ゴシップ記事の話題性は失われつつあった。
━━このまま下火になって話題にもあがらないようになればいいんだけれど。そうしたら、穏便に済むわ。
そう思ったけれど、事態はそう簡単には収まってくれなかった。
※
翌日、国王陛下に謁見するために、お父様とともに王宮に向かった。
国王陛下のいる玉座の間には、エドもいた。
「リチャード・モランとイザベラ・モランが参りました」
お父様は国王陛下に向かって言うと、お辞儀をした。私もそれに倣ってお辞儀をする。
「二人ともよく来てくれたね」
国王陛下はエドとよく似た優しい笑顔で私達を歓迎してくれた。
「既に伝えていた通り、エドワードとイザベラ侯爵令嬢の婚約を行う。婚約式は1週間後に、婚約の発表はその次の日に行う予定だ。婚約の発表後、イザベラ嬢にはすぐに王子宮へ移ってもらう」
「承りました」
「それから、イザベラ嬢」
「はい」
「危険な目に遭ったと聞いた。これからは王宮騎士を護衛につけるから安心なさい」
国王陛下は優しい眼差しで私を見ていた。
「お心遣い感謝いたします」
私はそう言ってお辞儀をした。
「そう畏まらないでくれ」
そう言われても礼儀を欠くわけにはいかない。私がなおも畏まっていると、国王陛下は「礼儀正しい子だ」と呟いた。
「さあ、難しい話はこれで一旦おしまいだ。イザベラ嬢はエドワードと庭園を散歩するといい」
「かしこまりました」
国王陛下の提案に私が了承すると、エドは私の傍にやって来た。
「行こう」
「はい」
お父様は国王陛下とまだ話があるらしい。
私とエドは二人で玉座の間を出た。
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