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26-1 何があっても離婚しない
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シアのために用意していた赤いドレス。それはフェイが選んだだけあって、シアにとても似合っていた。
でも、シアは喜んでくれなかった。気に入らなかったのかと尋ねてみたら、ドレスと合わせる装飾のことを指摘された。服ばかりに気を取られていて、装飾品のことなんて全く頭になかった。何か買っておけばよかったと後悔した。
この際だから、シアを連れて服と装飾品を見に行くことにした。
服のことを気に入らなかったわけではないらしいが、日頃から身に着けるものだ。俺が勝手に用意するんじゃなくてシアが選んだ方がいいだろうと思った。
だが、仕立て屋に行ってもシアの機嫌はよくならなかった。買ったのは毛皮のコート一枚だけで、他を薦めてみても、俺が用意した服が他にもあるならいらないの一点張りだった。コートだって、ヒルデン夫人が買った方がいいと強く薦めたから渋々買うことにしただけだ。
シアは服を買っても喜んでくれなかった。むしろ、高価な物を買うことを嫌がっていた。きっと俺にそれを買えるほどの経済力がないと思っているのだろう。金を持っていることをアピールする事より下品なものはないから、俺は自分の資産についてシアに教えなかったが・・・・・・。こんなことになるなら、話しておけばよかった。
そんな後悔をしていることも知らず、シアは仕立て屋で偶然居合わせた妹の所に行きたいと言い出した。彼女が近くのカフェにいるからと話すシアは、とても申し訳無さそうにしていた。おまけに、俺の顔色を窺っている様でもあった。どうやら、俺の"あの妹が嫌いだ"という気持ちが顔に出ていたらしい。
「行って来い」
俺がそう言ったら、シアは驚いた顔をしていた。俺が「行くな」と言うと思ったのだろう。どうやら俺はとてつもなく器の小さい男だと思われているようだ。
シアは戸惑いながらも、「ありがとう」と言った。礼を言われるようなことは何もしていないのに。
俺が彼女の妹のことをどう思っていようが、シアはそれが原因で妹と疎遠になるべきではない。会いたいと思うなら、いつでも妹に会いに行けばいいんだ。
でも、シアはそう思えないらしい。妹と会ってきた後も、やはり俺の顔色を窺っていた。
いっその事、シアに彼女の妹が嫌いな理由を話してみた方がいいんだろうか。モンスター討伐に参加した時の彼女とのやりとりを。
あの日、シアの妹は唐突に、シアに会いたいかと尋ねてきた。何の意図があってそんな質問をするのかと疑問に思ったが、返事を催促する彼女に対して俺は本音で答えた。
「会うわけがないだろう」
あんな場所でシアに会いたくなどなかった。そこは戦場で、しかも今回の戦いは実践経験の豊富な者達でさえ、何人も死んでいた。
そんな危険な場所に、シアにいて欲しいわけがなかった。
でも、シアの妹は俺の答えが気に入らなかったらしい。彼女はそれを聞いた途端、俺の頬を強く叩いた。それから彼女は、俺がシアに相応しくないから離婚しろと言い出したのだ。
俺はそんな彼女に腹が立った。
━━俺は何があってもシアと離婚しない。俺がどんな気持ちで戦場を駆けて、シアと結婚するためにどれだけの戦績を残したのか。お前は何も知らないくせに!
小さな子供の頃から願ってきた俺達の夢がやっと叶いそうなんだ。それなのに、それを邪魔する奴はどんな人間でも許さない。
そんな事を考えながらシアの妹を見ていると、彼女は殴ってきた事を謝罪してきた。そして、頬の治療をしようとしてきたが、俺はそれを断った。腹が立ち過ぎてこれ以上、彼女と関わりたくないと思ったからだ。
俺の気持ちが伝わったのだろう。シアの妹はすぐに俺の下から離れて行った。
━━あの日の事を思い出していたら、また無性に腹が立ってきた。
やっぱりシアにあの日の事を話すのはやめておこう。こんな気持ちを抱えたまま話をしてもいいことはないはずだ。
もし、シアに妹の悪口を言っているように聞こえてしまったら? 可愛がっていた妹の悪口を言われて腹を立てないわけがない。
それに、いくら事実とはいえ、自分の妹が夫の頬を打った事など知りたくないだろう。
だから、俺はシアが妹と茶を飲んできた後も、彼女の妹と俺の間にあった事を話さなかった。
でも、シアは喜んでくれなかった。気に入らなかったのかと尋ねてみたら、ドレスと合わせる装飾のことを指摘された。服ばかりに気を取られていて、装飾品のことなんて全く頭になかった。何か買っておけばよかったと後悔した。
この際だから、シアを連れて服と装飾品を見に行くことにした。
服のことを気に入らなかったわけではないらしいが、日頃から身に着けるものだ。俺が勝手に用意するんじゃなくてシアが選んだ方がいいだろうと思った。
だが、仕立て屋に行ってもシアの機嫌はよくならなかった。買ったのは毛皮のコート一枚だけで、他を薦めてみても、俺が用意した服が他にもあるならいらないの一点張りだった。コートだって、ヒルデン夫人が買った方がいいと強く薦めたから渋々買うことにしただけだ。
シアは服を買っても喜んでくれなかった。むしろ、高価な物を買うことを嫌がっていた。きっと俺にそれを買えるほどの経済力がないと思っているのだろう。金を持っていることをアピールする事より下品なものはないから、俺は自分の資産についてシアに教えなかったが・・・・・・。こんなことになるなら、話しておけばよかった。
そんな後悔をしていることも知らず、シアは仕立て屋で偶然居合わせた妹の所に行きたいと言い出した。彼女が近くのカフェにいるからと話すシアは、とても申し訳無さそうにしていた。おまけに、俺の顔色を窺っている様でもあった。どうやら、俺の"あの妹が嫌いだ"という気持ちが顔に出ていたらしい。
「行って来い」
俺がそう言ったら、シアは驚いた顔をしていた。俺が「行くな」と言うと思ったのだろう。どうやら俺はとてつもなく器の小さい男だと思われているようだ。
シアは戸惑いながらも、「ありがとう」と言った。礼を言われるようなことは何もしていないのに。
俺が彼女の妹のことをどう思っていようが、シアはそれが原因で妹と疎遠になるべきではない。会いたいと思うなら、いつでも妹に会いに行けばいいんだ。
でも、シアはそう思えないらしい。妹と会ってきた後も、やはり俺の顔色を窺っていた。
いっその事、シアに彼女の妹が嫌いな理由を話してみた方がいいんだろうか。モンスター討伐に参加した時の彼女とのやりとりを。
あの日、シアの妹は唐突に、シアに会いたいかと尋ねてきた。何の意図があってそんな質問をするのかと疑問に思ったが、返事を催促する彼女に対して俺は本音で答えた。
「会うわけがないだろう」
あんな場所でシアに会いたくなどなかった。そこは戦場で、しかも今回の戦いは実践経験の豊富な者達でさえ、何人も死んでいた。
そんな危険な場所に、シアにいて欲しいわけがなかった。
でも、シアの妹は俺の答えが気に入らなかったらしい。彼女はそれを聞いた途端、俺の頬を強く叩いた。それから彼女は、俺がシアに相応しくないから離婚しろと言い出したのだ。
俺はそんな彼女に腹が立った。
━━俺は何があってもシアと離婚しない。俺がどんな気持ちで戦場を駆けて、シアと結婚するためにどれだけの戦績を残したのか。お前は何も知らないくせに!
小さな子供の頃から願ってきた俺達の夢がやっと叶いそうなんだ。それなのに、それを邪魔する奴はどんな人間でも許さない。
そんな事を考えながらシアの妹を見ていると、彼女は殴ってきた事を謝罪してきた。そして、頬の治療をしようとしてきたが、俺はそれを断った。腹が立ち過ぎてこれ以上、彼女と関わりたくないと思ったからだ。
俺の気持ちが伝わったのだろう。シアの妹はすぐに俺の下から離れて行った。
━━あの日の事を思い出していたら、また無性に腹が立ってきた。
やっぱりシアにあの日の事を話すのはやめておこう。こんな気持ちを抱えたまま話をしてもいいことはないはずだ。
もし、シアに妹の悪口を言っているように聞こえてしまったら? 可愛がっていた妹の悪口を言われて腹を立てないわけがない。
それに、いくら事実とはいえ、自分の妹が夫の頬を打った事など知りたくないだろう。
だから、俺はシアが妹と茶を飲んできた後も、彼女の妹と俺の間にあった事を話さなかった。
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