12 / 56
11-1 夫婦の義務
しおりを挟む
アンドリュー卿は皿を下げさせると、寝る準備を始めた。やはり、この部屋の同じベッドで一緒に寝ることになるらしい。
「明日も早いからな」
アンドリュー卿はベッドに入り込むなり言った。
「はい。おやすみなさい」
ランプの灯りが消えて、部屋が暗くなる。ベッドが狭いせいで、隣にいるアンドリュー卿と肩が触れ合った。私は、アンドリュー卿の睡眠の邪魔にならないように、彼に背を向ける形で横を向いた。こうしていれば、少しはスペースが確保されるはずだ。私は目を閉じて眠りに落ちるのを待った。
"アンドリュー卿が横にいるから眠れない"なんて思っていたのに、気がついたらうとうとしていた。意識が途切れそうになった瞬間、私の身体を引き寄せる感覚で目が覚めた。
━━何!?
驚いて目が開いた。月明かりで照らされた部屋はほんの少しだけ明るい。
「シア」
耳元でアンドリュー卿の声がした。それと同時に私の身体を抱き寄せるアンドリュー卿の力が強くなった。
━━ど、どうしよう。
きっとアンドリュー卿は寝ぼけているんだ。だから、私を抱きしめて・・・・・・。
彼の腕をどけようと、彼の手首を掴んだ。太くて固い彼の腕は筋肉質でとても男らしい。
「シア」
また名前を呼ばれた。
「こっち向いて」
彼の吐息が耳元にかかってくすぐったい。私は言われた通り、彼に向き直った。
薄闇の中、アンドリュー卿と目が合った。彼はとても嬉しそうに笑うと私に顔を近づけた。
何が起こったのか、考えている暇もなかった。アンドリュー卿はあの日の夜のように口づけをした。ぬるぬるとした彼の太い舌が私の口の中を舐め回す。
それと同時に武骨な彼の手が私の胸を撫でた。
「あっ、んんっ」
「・・・・・・シアっ」
キスをしながら、アンドリュー卿はまた私を呼んだ。私はどうすればいいのか分からなくて、彼の行為を受け入れるしかなかった。
長い長いキスが終わると、アンドリュー卿は上体を起こしてシャツを脱いだ。
━━初夜の続きをするの?
確認するまでもなく、彼は私の服を脱がし始めた。彼はその気でいるらしい。
「アンドリュー卿・・・・・・」
込み上げてくる恐怖を前にして、私はようやく口を開いた。
「アンディ」
「え?」
「今だけはアンディと呼んでくれ」
そう言ってアンドリュー卿は私の手のひらに口づけをした。
「何で」
そんなことを言うの? と言葉を続ける前にアンドリュー卿はキスで私の口を塞いだ。
「ん、んんっ」
はだけて顕になった胸を直接揉まれる。乳首を撫でられると変な気分になってくる。
「大丈夫」
私の唇から口を離すとかれは囁いた。
「痛い思いはさせないから」
彼は私の首筋にキスをした。くすぐったくて身じろぎをしたら手を握られて額にキスをしてきた。そしてまた「シア」と呼ばれた。
「シア、お前はしたくないのか」
━━そんなこと、聞かないで。
正直に言って、これから起こるであろう行為は恐ろしくて仕方がない。
でも、私は彼と行為をしないといけない。彼と本物の夫婦になることがお父様から私に課された使命だ。そして、彼の妻になるということは私が生き残るための唯一の方法でもある。
「大丈夫」
私は彼の頬を撫でた。
「怖いけど・・・・・・前みたいに途中でやめないで」
そう言った途端、彼は私の胸を強く押しつぶし、またキスをした。
「明日も早いからな」
アンドリュー卿はベッドに入り込むなり言った。
「はい。おやすみなさい」
ランプの灯りが消えて、部屋が暗くなる。ベッドが狭いせいで、隣にいるアンドリュー卿と肩が触れ合った。私は、アンドリュー卿の睡眠の邪魔にならないように、彼に背を向ける形で横を向いた。こうしていれば、少しはスペースが確保されるはずだ。私は目を閉じて眠りに落ちるのを待った。
"アンドリュー卿が横にいるから眠れない"なんて思っていたのに、気がついたらうとうとしていた。意識が途切れそうになった瞬間、私の身体を引き寄せる感覚で目が覚めた。
━━何!?
驚いて目が開いた。月明かりで照らされた部屋はほんの少しだけ明るい。
「シア」
耳元でアンドリュー卿の声がした。それと同時に私の身体を抱き寄せるアンドリュー卿の力が強くなった。
━━ど、どうしよう。
きっとアンドリュー卿は寝ぼけているんだ。だから、私を抱きしめて・・・・・・。
彼の腕をどけようと、彼の手首を掴んだ。太くて固い彼の腕は筋肉質でとても男らしい。
「シア」
また名前を呼ばれた。
「こっち向いて」
彼の吐息が耳元にかかってくすぐったい。私は言われた通り、彼に向き直った。
薄闇の中、アンドリュー卿と目が合った。彼はとても嬉しそうに笑うと私に顔を近づけた。
何が起こったのか、考えている暇もなかった。アンドリュー卿はあの日の夜のように口づけをした。ぬるぬるとした彼の太い舌が私の口の中を舐め回す。
それと同時に武骨な彼の手が私の胸を撫でた。
「あっ、んんっ」
「・・・・・・シアっ」
キスをしながら、アンドリュー卿はまた私を呼んだ。私はどうすればいいのか分からなくて、彼の行為を受け入れるしかなかった。
長い長いキスが終わると、アンドリュー卿は上体を起こしてシャツを脱いだ。
━━初夜の続きをするの?
確認するまでもなく、彼は私の服を脱がし始めた。彼はその気でいるらしい。
「アンドリュー卿・・・・・・」
込み上げてくる恐怖を前にして、私はようやく口を開いた。
「アンディ」
「え?」
「今だけはアンディと呼んでくれ」
そう言ってアンドリュー卿は私の手のひらに口づけをした。
「何で」
そんなことを言うの? と言葉を続ける前にアンドリュー卿はキスで私の口を塞いだ。
「ん、んんっ」
はだけて顕になった胸を直接揉まれる。乳首を撫でられると変な気分になってくる。
「大丈夫」
私の唇から口を離すとかれは囁いた。
「痛い思いはさせないから」
彼は私の首筋にキスをした。くすぐったくて身じろぎをしたら手を握られて額にキスをしてきた。そしてまた「シア」と呼ばれた。
「シア、お前はしたくないのか」
━━そんなこと、聞かないで。
正直に言って、これから起こるであろう行為は恐ろしくて仕方がない。
でも、私は彼と行為をしないといけない。彼と本物の夫婦になることがお父様から私に課された使命だ。そして、彼の妻になるということは私が生き残るための唯一の方法でもある。
「大丈夫」
私は彼の頬を撫でた。
「怖いけど・・・・・・前みたいに途中でやめないで」
そう言った途端、彼は私の胸を強く押しつぶし、またキスをした。
6
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる