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11-1 夫婦の義務

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 アンドリュー卿は皿を下げさせると、寝る準備を始めた。やはり、この部屋の同じベッドで一緒に寝ることになるらしい。
「明日も早いからな」
 アンドリュー卿はベッドに入り込むなり言った。
「はい。おやすみなさい」
 ランプの灯りが消えて、部屋が暗くなる。ベッドが狭いせいで、隣にいるアンドリュー卿と肩が触れ合った。私は、アンドリュー卿の睡眠の邪魔にならないように、彼に背を向ける形で横を向いた。こうしていれば、少しはスペースが確保されるはずだ。私は目を閉じて眠りに落ちるのを待った。
 "アンドリュー卿が横にいるから眠れない"なんて思っていたのに、気がついたらうとうとしていた。意識が途切れそうになった瞬間、私の身体を引き寄せる感覚で目が覚めた。

 ━━何!?

 驚いて目が開いた。月明かりで照らされた部屋はほんの少しだけ明るい。
「シア」
 耳元でアンドリュー卿の声がした。それと同時に私の身体を抱き寄せるアンドリュー卿の力が強くなった。

 ━━ど、どうしよう。

 きっとアンドリュー卿は寝ぼけているんだ。だから、私を抱きしめて・・・・・・。
 彼の腕をどけようと、彼の手首を掴んだ。太くて固い彼の腕は筋肉質でとても男らしい。
「シア」
 また名前を呼ばれた。
「こっち向いて」
 彼の吐息が耳元にかかってくすぐったい。私は言われた通り、彼に向き直った。
 薄闇の中、アンドリュー卿と目が合った。彼はとても嬉しそうに笑うと私に顔を近づけた。
 何が起こったのか、考えている暇もなかった。アンドリュー卿はあの日の夜のように口づけをした。ぬるぬるとした彼の太い舌が私の口の中を舐め回す。
 それと同時に武骨な彼の手が私の胸を撫でた。
「あっ、んんっ」
「・・・・・・シアっ」
 キスをしながら、アンドリュー卿はまた私を呼んだ。私はどうすればいいのか分からなくて、彼の行為を受け入れるしかなかった。

 長い長いキスが終わると、アンドリュー卿は上体を起こしてシャツを脱いだ。

 ━━初夜の続きをするの?

 確認するまでもなく、彼は私の服を脱がし始めた。彼はその気でいるらしい。
「アンドリュー卿・・・・・・」
 込み上げてくる恐怖を前にして、私はようやく口を開いた。
「アンディ」
「え?」
「今だけはアンディと呼んでくれ」
 そう言ってアンドリュー卿は私の手のひらに口づけをした。
「何で」
 そんなことを言うの? と言葉を続ける前にアンドリュー卿はキスで私の口を塞いだ。
「ん、んんっ」
 はだけて顕になった胸を直接揉まれる。乳首を撫でられると変な気分になってくる。
「大丈夫」
 私の唇から口を離すとかれは囁いた。
「痛い思いはさせないから」
 彼は私の首筋にキスをした。くすぐったくて身じろぎをしたら手を握られて額にキスをしてきた。そしてまた「シア」と呼ばれた。
「シア、お前はしたくないのか」

 ━━そんなこと、聞かないで。

 正直に言って、これから起こるであろう行為は恐ろしくて仕方がない。
 でも、私は彼と行為をしないといけない。彼と本物の夫婦になることがお父様から私に課された使命だ。そして、彼の妻になるということは私が生き残るための唯一の方法でもある。

「大丈夫」
 私は彼の頬を撫でた。
「怖いけど・・・・・・前みたいに途中でやめないで」
 そう言った途端、彼は私の胸を強く押しつぶし、またキスをした。
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