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私の知らないティア
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知性を取り戻したティアは人が変わってしまった。相変わらず性的な事が嫌いで、彼女はセックスをできるだけしないようにと画策していた。
「そろそろした方がいいんじゃない?」
今日もティアは腹を空かせている癖に、ムキになって我慢している。性欲を抑えようとベッドに横たわり、シーツを掴んでいるのが何とも可愛らしい抵抗だと思った。
「まだ、大丈夫・・・・・・です」
我慢すればする程、淫靡な女になる事に彼女は気づいていない。私に奉仕することに喜びを感じ、激しく乱れるいやらしい女。
それは、ティアが最も忌避するものの筈なのに、自らそのように堕ちていくなんて、皮肉なものだ。
でも、私はそれを彼女に教えてやるつもりはなかった。それがティアのあるべき姿であり、私の望む彼女だったからだ。
「エルドノア様」
ティアに呼ばれて私は彼女の髪を撫でた。
「どうしたの?」
「血じゃ、だめなんですか」
ティアは懇願するかのような目で私を見てきた。
━━なるほど。このティアは馬鹿ではないらしい。
彼女は「私の体液が必要だ」と言っていた事を覚えていたようだ。
ティアの考えている通り、体液というのは、何も精液に限られるものではない。勿論私の血を与えても彼女の腹は満たされるのだ。
だが、私はそれをティアに飲ませるつもりはなかった。
「エルドノア様、どうなんですか?」
回答を急かす彼女に向かって私は笑いかけた。
「そうだね。でも、それだと私がつまらないから」
そう言うとティアは顔を顰めた。それから彼女は頭の中で「それだけの理由で?」と呟いた。
「私は退屈なんだ。分かるだろう?」
そう言って頬を撫でてやると、ティアは生意気にも私を憐れんだ。
少し前、体感で言えば約3日前に時間が過去へと遡った。日差しの強い真夏の日が、凍てつく真冬の日になってしまった事にティアは酷くパニックを起こした。
本来であれば私達にとってそれは慣れきった事象なのだけど。今の彼女にとってそれは初めての出来事で、それを理解できなかったのだ。
私はティアにこの世界の時間は狂っている事だけを伝えた。時間は一定の段階まで進むと元に戻り、その進んだ未来がなかったことになるという事実を教えたのだ。
ティアは時間が巻き戻る理由を知りたがっていたが、私はそれを「知らない」と頑なに否定した。ティアはその答えに納得しなかったが、私が正直に話す気がないことを悟ると、やがて質問する事をやめた。
しかし、諦めた訳ではないようで、この狂った時間の中で私がいつか口を割ると思っているようだ。
「やっぱり、長く同じ時を過ごすと、日々がつまらなくなっていくものですか」
ティアの質問に私は「まあね」と答えた。
「お前とまぐわる事は私の貴重な楽しみの一つなんだよ」
私は彼女の額にキスを落とすと、ティアはやめろと言わんばかりに私の胸を押した。
「もっと別の楽しみを見つけるべきです」
ティアは生意気にも私に意見をする。
「例えば?」
「屋敷の中の探索、とか?」
「それなら随分と昔にやったね」
ティアは知らないだろうが、遠い昔に私はこの屋敷の中をひっくり返す勢いで調べた事がある。私がこの世界を離れてからどれくらい世界が変様したのかを知るために。そして、世界を少しでも良い方向へと導く手がかりを探すためにだ。
あの時の私はこの世界を創造した神の一人としてのやる気がまだあったのだと思うと、つい自嘲してしまう。
━━ティアのせいで私は随分と自堕落になってしまったよ。
「この屋敷にあるのはくだらないおもちゃやがらくたばかりだ」
私は言い終わるとティアの胸を服の上から撫でた。ほんの少し優しく触れただけなのに、ティアは甘い声を漏らした。
"━━やっぱりこの人、私をおもちゃだと思っているわね!"
ティアの怒りに満ちた声が頭の中に響いた。
「そんなに怒らないで? これはお前のためでもあるんだから」
胸元のリボンを解くとティアの胸が露わになる。
「やだっ! まだいい!」
ティアは顔を赤くして胸を隠した。
前まではそんな彼女の行動が面倒だと思っていたけれど、最近は不思議と可愛らしく思えるようになった。
「だめ。いい加減"食事"を摂らないと」
私は胸を隠すティアの手を取って彼女を押し倒した。再び胸が露わになるとティアは羞恥心のあまり目を閉じた。
「そろそろした方がいいんじゃない?」
今日もティアは腹を空かせている癖に、ムキになって我慢している。性欲を抑えようとベッドに横たわり、シーツを掴んでいるのが何とも可愛らしい抵抗だと思った。
「まだ、大丈夫・・・・・・です」
我慢すればする程、淫靡な女になる事に彼女は気づいていない。私に奉仕することに喜びを感じ、激しく乱れるいやらしい女。
それは、ティアが最も忌避するものの筈なのに、自らそのように堕ちていくなんて、皮肉なものだ。
でも、私はそれを彼女に教えてやるつもりはなかった。それがティアのあるべき姿であり、私の望む彼女だったからだ。
「エルドノア様」
ティアに呼ばれて私は彼女の髪を撫でた。
「どうしたの?」
「血じゃ、だめなんですか」
ティアは懇願するかのような目で私を見てきた。
━━なるほど。このティアは馬鹿ではないらしい。
彼女は「私の体液が必要だ」と言っていた事を覚えていたようだ。
ティアの考えている通り、体液というのは、何も精液に限られるものではない。勿論私の血を与えても彼女の腹は満たされるのだ。
だが、私はそれをティアに飲ませるつもりはなかった。
「エルドノア様、どうなんですか?」
回答を急かす彼女に向かって私は笑いかけた。
「そうだね。でも、それだと私がつまらないから」
そう言うとティアは顔を顰めた。それから彼女は頭の中で「それだけの理由で?」と呟いた。
「私は退屈なんだ。分かるだろう?」
そう言って頬を撫でてやると、ティアは生意気にも私を憐れんだ。
少し前、体感で言えば約3日前に時間が過去へと遡った。日差しの強い真夏の日が、凍てつく真冬の日になってしまった事にティアは酷くパニックを起こした。
本来であれば私達にとってそれは慣れきった事象なのだけど。今の彼女にとってそれは初めての出来事で、それを理解できなかったのだ。
私はティアにこの世界の時間は狂っている事だけを伝えた。時間は一定の段階まで進むと元に戻り、その進んだ未来がなかったことになるという事実を教えたのだ。
ティアは時間が巻き戻る理由を知りたがっていたが、私はそれを「知らない」と頑なに否定した。ティアはその答えに納得しなかったが、私が正直に話す気がないことを悟ると、やがて質問する事をやめた。
しかし、諦めた訳ではないようで、この狂った時間の中で私がいつか口を割ると思っているようだ。
「やっぱり、長く同じ時を過ごすと、日々がつまらなくなっていくものですか」
ティアの質問に私は「まあね」と答えた。
「お前とまぐわる事は私の貴重な楽しみの一つなんだよ」
私は彼女の額にキスを落とすと、ティアはやめろと言わんばかりに私の胸を押した。
「もっと別の楽しみを見つけるべきです」
ティアは生意気にも私に意見をする。
「例えば?」
「屋敷の中の探索、とか?」
「それなら随分と昔にやったね」
ティアは知らないだろうが、遠い昔に私はこの屋敷の中をひっくり返す勢いで調べた事がある。私がこの世界を離れてからどれくらい世界が変様したのかを知るために。そして、世界を少しでも良い方向へと導く手がかりを探すためにだ。
あの時の私はこの世界を創造した神の一人としてのやる気がまだあったのだと思うと、つい自嘲してしまう。
━━ティアのせいで私は随分と自堕落になってしまったよ。
「この屋敷にあるのはくだらないおもちゃやがらくたばかりだ」
私は言い終わるとティアの胸を服の上から撫でた。ほんの少し優しく触れただけなのに、ティアは甘い声を漏らした。
"━━やっぱりこの人、私をおもちゃだと思っているわね!"
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「そんなに怒らないで? これはお前のためでもあるんだから」
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「やだっ! まだいい!」
ティアは顔を赤くして胸を隠した。
前まではそんな彼女の行動が面倒だと思っていたけれど、最近は不思議と可愛らしく思えるようになった。
「だめ。いい加減"食事"を摂らないと」
私は胸を隠すティアの手を取って彼女を押し倒した。再び胸が露わになるとティアは羞恥心のあまり目を閉じた。
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