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私達のおままごと
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世界を元に戻すにはどうすればいいか。生命の神として、時間が戻る度に考えてはみているが、一向に良い案は浮かばない。
真っ当に時間の流れが進んでいたら、私はもうこの世界に30年はいるだろう。でも、時間の流れは円を描く。ある一定まで進んだら、ある地点の過去に戻ってしまうのだ。ひと月経ってから巻き戻ることもあれば、1年以上の時もある。しかも、どれだけ巻き戻るのかさえ明確ではない。さらに、いつ時間が巻き戻るのかすら、直前になるまで私にも分からない。
━━面倒だ。この状況を打破したくても、一人じゃどうしようもないよ。
他の神々がいたら。せめてファーダだけでもいてくれたら状況は変わったかもしれない。あいつは風の神であり、物事の流れを作る天才だから。
部屋の扉が開いたと同時に私の思考は止まった。扉を開けて部屋に入ってきたティアは私の下へ駆け寄ってきた。
「エルドノアさま、今日は何日?」
日時を示す魔具をティアは手渡してきた。ティアは私と出会う前は、貧民街の乞食だったから、全くと言っていいほど学がない。文字は疎か、数字の読み書きすら怪しい。
「王国歴701年の7月12日だよ。時間は午後1時だ」
魔具に示された文字を見て答えたら、ティアはとても喜んだ。時間が戻ったばかりで、今日が何月何日か分からなくて不安だったのだろう。
「私の腹は満たされているけど、ティアはどうかな?」
「すいてるの」
「そう。じゃあ食事にしようね」
ティアの頬に口づけると、彼女の手を引いて寝室に向かった。
※
ベッドに着くとティアは自ら服を脱ぎ始める。下着を取って丸裸になると、今度は私のシャツに手をかけた。私はその手を取ってやめさせた。
「エルドノアさまも脱いでよ」
「やだ。脱いだらまた着なきゃいけないでしょ」
「意味がわからないの」
ティアは不満そうに言った。
私は生意気な口を塞いでやった。
「んふっ」
仄かに口の中を優しく舐めて舌を絡ませる。ティアは私の首に腕を回してきた。
密着するとティアの温もりが伝わる。出会ったばかりの頃は陶器のように冷たい身体をしていた。今も相変わらず体温は低いけど、昔に比べたらかなりましだ。
キスを終えると、とろんとした目でティアが私を見つめてきた。
「すき」
そう言って彼女は私の首筋に舌を這わせる。ぺろぺろと味わうように舐めていたかと思ったら、吸い付きだす。
最近、ティアは私の身体にキスマークを付けることを覚えた。そんなことは教えていないのに、いったいどこで覚えたんだか。
長いこと吸い付いてティアは漸く離れてくれた。鏡がないから分からないけど、私の首にはくっきりとした痣ができているだろう。
ティアはうっとりとした顔つきで私に付けたキスマークを指でなぞった。
━━まるで自分の所有物だと印を付けられているみたいだ。
他のやつにこんなことをされたら絶対に腹が立つ。平手打ちをせずにはいられないだろう。でも、ティアには不思議とそうする気が起きなかった。
「悪い子だ。痕になるからしてはいけないとあれほど言っているのに」
「そんなこと、エルドノア様が言ったの? 私、覚えてない」
ティアは平然と嘘を吐いた。
少し前からティアは生意気にも私に対して嘘を言えるようになった。時折、嘘を吐いて反抗しようとする。
でも、ティアは私の眷属だから、彼女の思考を読めば嘘を簡単に見抜ける。そのことを説明してもティアはまだ理解できない。
「反抗的な悪い信徒には躾が必要だね」
私はティアを押し倒した。そして彼女の両手を掴んだ。
ティアの首にキスをする。ティアが私にしたようにキスマークを付ける。1箇所じゃ物足りないから鎖骨や胸元、二の腕にも付けてやる。そのせいで、ティアの青白い肌は鬱血痕に塗れていた。年齢の割に幼く、あどけなさの残る彼女の身体にこの痕は似合わない。
そう思うのに。ティアの上に跨りそれを眺めていると、すごくゾクゾクしてきた。
━━ティアを支配しているのは私だ。
当たり前のことなのに、わざわざそんなことを考えて満足していた。
真っ当に時間の流れが進んでいたら、私はもうこの世界に30年はいるだろう。でも、時間の流れは円を描く。ある一定まで進んだら、ある地点の過去に戻ってしまうのだ。ひと月経ってから巻き戻ることもあれば、1年以上の時もある。しかも、どれだけ巻き戻るのかさえ明確ではない。さらに、いつ時間が巻き戻るのかすら、直前になるまで私にも分からない。
━━面倒だ。この状況を打破したくても、一人じゃどうしようもないよ。
他の神々がいたら。せめてファーダだけでもいてくれたら状況は変わったかもしれない。あいつは風の神であり、物事の流れを作る天才だから。
部屋の扉が開いたと同時に私の思考は止まった。扉を開けて部屋に入ってきたティアは私の下へ駆け寄ってきた。
「エルドノアさま、今日は何日?」
日時を示す魔具をティアは手渡してきた。ティアは私と出会う前は、貧民街の乞食だったから、全くと言っていいほど学がない。文字は疎か、数字の読み書きすら怪しい。
「王国歴701年の7月12日だよ。時間は午後1時だ」
魔具に示された文字を見て答えたら、ティアはとても喜んだ。時間が戻ったばかりで、今日が何月何日か分からなくて不安だったのだろう。
「私の腹は満たされているけど、ティアはどうかな?」
「すいてるの」
「そう。じゃあ食事にしようね」
ティアの頬に口づけると、彼女の手を引いて寝室に向かった。
※
ベッドに着くとティアは自ら服を脱ぎ始める。下着を取って丸裸になると、今度は私のシャツに手をかけた。私はその手を取ってやめさせた。
「エルドノアさまも脱いでよ」
「やだ。脱いだらまた着なきゃいけないでしょ」
「意味がわからないの」
ティアは不満そうに言った。
私は生意気な口を塞いでやった。
「んふっ」
仄かに口の中を優しく舐めて舌を絡ませる。ティアは私の首に腕を回してきた。
密着するとティアの温もりが伝わる。出会ったばかりの頃は陶器のように冷たい身体をしていた。今も相変わらず体温は低いけど、昔に比べたらかなりましだ。
キスを終えると、とろんとした目でティアが私を見つめてきた。
「すき」
そう言って彼女は私の首筋に舌を這わせる。ぺろぺろと味わうように舐めていたかと思ったら、吸い付きだす。
最近、ティアは私の身体にキスマークを付けることを覚えた。そんなことは教えていないのに、いったいどこで覚えたんだか。
長いこと吸い付いてティアは漸く離れてくれた。鏡がないから分からないけど、私の首にはくっきりとした痣ができているだろう。
ティアはうっとりとした顔つきで私に付けたキスマークを指でなぞった。
━━まるで自分の所有物だと印を付けられているみたいだ。
他のやつにこんなことをされたら絶対に腹が立つ。平手打ちをせずにはいられないだろう。でも、ティアには不思議とそうする気が起きなかった。
「悪い子だ。痕になるからしてはいけないとあれほど言っているのに」
「そんなこと、エルドノア様が言ったの? 私、覚えてない」
ティアは平然と嘘を吐いた。
少し前からティアは生意気にも私に対して嘘を言えるようになった。時折、嘘を吐いて反抗しようとする。
でも、ティアは私の眷属だから、彼女の思考を読めば嘘を簡単に見抜ける。そのことを説明してもティアはまだ理解できない。
「反抗的な悪い信徒には躾が必要だね」
私はティアを押し倒した。そして彼女の両手を掴んだ。
ティアの首にキスをする。ティアが私にしたようにキスマークを付ける。1箇所じゃ物足りないから鎖骨や胸元、二の腕にも付けてやる。そのせいで、ティアの青白い肌は鬱血痕に塗れていた。年齢の割に幼く、あどけなさの残る彼女の身体にこの痕は似合わない。
そう思うのに。ティアの上に跨りそれを眺めていると、すごくゾクゾクしてきた。
━━ティアを支配しているのは私だ。
当たり前のことなのに、わざわざそんなことを考えて満足していた。
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