18 / 44
私達のおままごと
1
しおりを挟む
世界を元に戻すにはどうすればいいか。生命の神として、時間が戻る度に考えてはみているが、一向に良い案は浮かばない。
真っ当に時間の流れが進んでいたら、私はもうこの世界に30年はいるだろう。でも、時間の流れは円を描く。ある一定まで進んだら、ある地点の過去に戻ってしまうのだ。ひと月経ってから巻き戻ることもあれば、1年以上の時もある。しかも、どれだけ巻き戻るのかさえ明確ではない。さらに、いつ時間が巻き戻るのかすら、直前になるまで私にも分からない。
━━面倒だ。この状況を打破したくても、一人じゃどうしようもないよ。
他の神々がいたら。せめてファーダだけでもいてくれたら状況は変わったかもしれない。あいつは風の神であり、物事の流れを作る天才だから。
部屋の扉が開いたと同時に私の思考は止まった。扉を開けて部屋に入ってきたティアは私の下へ駆け寄ってきた。
「エルドノアさま、今日は何日?」
日時を示す魔具をティアは手渡してきた。ティアは私と出会う前は、貧民街の乞食だったから、全くと言っていいほど学がない。文字は疎か、数字の読み書きすら怪しい。
「王国歴701年の7月12日だよ。時間は午後1時だ」
魔具に示された文字を見て答えたら、ティアはとても喜んだ。時間が戻ったばかりで、今日が何月何日か分からなくて不安だったのだろう。
「私の腹は満たされているけど、ティアはどうかな?」
「すいてるの」
「そう。じゃあ食事にしようね」
ティアの頬に口づけると、彼女の手を引いて寝室に向かった。
※
ベッドに着くとティアは自ら服を脱ぎ始める。下着を取って丸裸になると、今度は私のシャツに手をかけた。私はその手を取ってやめさせた。
「エルドノアさまも脱いでよ」
「やだ。脱いだらまた着なきゃいけないでしょ」
「意味がわからないの」
ティアは不満そうに言った。
私は生意気な口を塞いでやった。
「んふっ」
仄かに口の中を優しく舐めて舌を絡ませる。ティアは私の首に腕を回してきた。
密着するとティアの温もりが伝わる。出会ったばかりの頃は陶器のように冷たい身体をしていた。今も相変わらず体温は低いけど、昔に比べたらかなりましだ。
キスを終えると、とろんとした目でティアが私を見つめてきた。
「すき」
そう言って彼女は私の首筋に舌を這わせる。ぺろぺろと味わうように舐めていたかと思ったら、吸い付きだす。
最近、ティアは私の身体にキスマークを付けることを覚えた。そんなことは教えていないのに、いったいどこで覚えたんだか。
長いこと吸い付いてティアは漸く離れてくれた。鏡がないから分からないけど、私の首にはくっきりとした痣ができているだろう。
ティアはうっとりとした顔つきで私に付けたキスマークを指でなぞった。
━━まるで自分の所有物だと印を付けられているみたいだ。
他のやつにこんなことをされたら絶対に腹が立つ。平手打ちをせずにはいられないだろう。でも、ティアには不思議とそうする気が起きなかった。
「悪い子だ。痕になるからしてはいけないとあれほど言っているのに」
「そんなこと、エルドノア様が言ったの? 私、覚えてない」
ティアは平然と嘘を吐いた。
少し前からティアは生意気にも私に対して嘘を言えるようになった。時折、嘘を吐いて反抗しようとする。
でも、ティアは私の眷属だから、彼女の思考を読めば嘘を簡単に見抜ける。そのことを説明してもティアはまだ理解できない。
「反抗的な悪い信徒には躾が必要だね」
私はティアを押し倒した。そして彼女の両手を掴んだ。
ティアの首にキスをする。ティアが私にしたようにキスマークを付ける。1箇所じゃ物足りないから鎖骨や胸元、二の腕にも付けてやる。そのせいで、ティアの青白い肌は鬱血痕に塗れていた。年齢の割に幼く、あどけなさの残る彼女の身体にこの痕は似合わない。
そう思うのに。ティアの上に跨りそれを眺めていると、すごくゾクゾクしてきた。
━━ティアを支配しているのは私だ。
当たり前のことなのに、わざわざそんなことを考えて満足していた。
真っ当に時間の流れが進んでいたら、私はもうこの世界に30年はいるだろう。でも、時間の流れは円を描く。ある一定まで進んだら、ある地点の過去に戻ってしまうのだ。ひと月経ってから巻き戻ることもあれば、1年以上の時もある。しかも、どれだけ巻き戻るのかさえ明確ではない。さらに、いつ時間が巻き戻るのかすら、直前になるまで私にも分からない。
━━面倒だ。この状況を打破したくても、一人じゃどうしようもないよ。
他の神々がいたら。せめてファーダだけでもいてくれたら状況は変わったかもしれない。あいつは風の神であり、物事の流れを作る天才だから。
部屋の扉が開いたと同時に私の思考は止まった。扉を開けて部屋に入ってきたティアは私の下へ駆け寄ってきた。
「エルドノアさま、今日は何日?」
日時を示す魔具をティアは手渡してきた。ティアは私と出会う前は、貧民街の乞食だったから、全くと言っていいほど学がない。文字は疎か、数字の読み書きすら怪しい。
「王国歴701年の7月12日だよ。時間は午後1時だ」
魔具に示された文字を見て答えたら、ティアはとても喜んだ。時間が戻ったばかりで、今日が何月何日か分からなくて不安だったのだろう。
「私の腹は満たされているけど、ティアはどうかな?」
「すいてるの」
「そう。じゃあ食事にしようね」
ティアの頬に口づけると、彼女の手を引いて寝室に向かった。
※
ベッドに着くとティアは自ら服を脱ぎ始める。下着を取って丸裸になると、今度は私のシャツに手をかけた。私はその手を取ってやめさせた。
「エルドノアさまも脱いでよ」
「やだ。脱いだらまた着なきゃいけないでしょ」
「意味がわからないの」
ティアは不満そうに言った。
私は生意気な口を塞いでやった。
「んふっ」
仄かに口の中を優しく舐めて舌を絡ませる。ティアは私の首に腕を回してきた。
密着するとティアの温もりが伝わる。出会ったばかりの頃は陶器のように冷たい身体をしていた。今も相変わらず体温は低いけど、昔に比べたらかなりましだ。
キスを終えると、とろんとした目でティアが私を見つめてきた。
「すき」
そう言って彼女は私の首筋に舌を這わせる。ぺろぺろと味わうように舐めていたかと思ったら、吸い付きだす。
最近、ティアは私の身体にキスマークを付けることを覚えた。そんなことは教えていないのに、いったいどこで覚えたんだか。
長いこと吸い付いてティアは漸く離れてくれた。鏡がないから分からないけど、私の首にはくっきりとした痣ができているだろう。
ティアはうっとりとした顔つきで私に付けたキスマークを指でなぞった。
━━まるで自分の所有物だと印を付けられているみたいだ。
他のやつにこんなことをされたら絶対に腹が立つ。平手打ちをせずにはいられないだろう。でも、ティアには不思議とそうする気が起きなかった。
「悪い子だ。痕になるからしてはいけないとあれほど言っているのに」
「そんなこと、エルドノア様が言ったの? 私、覚えてない」
ティアは平然と嘘を吐いた。
少し前からティアは生意気にも私に対して嘘を言えるようになった。時折、嘘を吐いて反抗しようとする。
でも、ティアは私の眷属だから、彼女の思考を読めば嘘を簡単に見抜ける。そのことを説明してもティアはまだ理解できない。
「反抗的な悪い信徒には躾が必要だね」
私はティアを押し倒した。そして彼女の両手を掴んだ。
ティアの首にキスをする。ティアが私にしたようにキスマークを付ける。1箇所じゃ物足りないから鎖骨や胸元、二の腕にも付けてやる。そのせいで、ティアの青白い肌は鬱血痕に塗れていた。年齢の割に幼く、あどけなさの残る彼女の身体にこの痕は似合わない。
そう思うのに。ティアの上に跨りそれを眺めていると、すごくゾクゾクしてきた。
━━ティアを支配しているのは私だ。
当たり前のことなのに、わざわざそんなことを考えて満足していた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。


今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる