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第218話 一行、分割案
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メグの話は終わった。
語り尽くしたと一応、個人的に満足したらしい。
『そうそう、紹介しておくよ』と、思い出した様にメグは立ち上がり。
湖面の方へと足を向ける。
『おいでー!』と湖の方へ呼びかけると。
さざめく水面の際に、小さな若者の姿をした水の塊が。
背格好はメグに似ている。
身近にある『姿を似せ易い存在』が、偶々魔法使いだけだったのだろう。
メグが皆に紹介する。
「この子は水の精霊さ。どうやらここが気に入ったみたいでね。ここから世界各地に水を齎してるんだ。」
ペコリと頭を下げる水の少女。
一同もお辞儀を返す。
クライスの姿を見つけると、水の精霊はプイッとそっぽを向いた。
「珍しいわね。クライスが精霊に嫌われるなんて。」
ラヴィが不思議がる。
土、火、木。
皆好意的だったのに。
メグがフォローする。
「悪気は無いんだ。ちょっと【複雑な理由】があってね。」
「へえ。」
ラヴィがそう返答すると、スッと水の精霊は姿を消した。
メグが皆に問い掛ける。
「それより、これからの相談をしないのかい?君達の中では、まだどうするか定まってないんだろう?」
主張はもっとも。
今までの話を受けて、一同は相談する事にした。
ボクが居ない方が、やり易いだろう。
ここから出たくなったら、呼んで。
それから。
ここを発つ前に、個別の質問を受け付けるよ。
じゃあ。
そう言って、メグは小屋へと引っ込んだ。
改めて円卓の周りにある椅子へ座り、相談を始める一同。
『あたいの役目は済んだから』と、メイもオズと共に小屋の中へ入って行った。
さて。
クライスとロッシェは、エッジスへと向かう事が決まっている。
それがテノとの約束だから。
しかし、他の者はどうする?
強制的に時空の壁を飛び越え、王宮の執務室へ飛ばされた関係上。
辻褄を合わせなければならない。
ラヴィ達とテノ、それぞれが王宮から旅立って。
グスターキュ帝国国王に報告したのは、28日後。
テノがヤフレ家当主のアルバトに協力を取り付けたのは、10日後。
テノの従者がスコンティを通ってガティまで辿り着くのは、更に10日後。
対して、クライスが皆と合流して王宮を旅立ってから。
幻の湖でこうして話し合っているのは、17日後。
つまり今現在、最初のラヴィ達はまだ現地に向かう途中で。
テノの従者はワインデューを離れた後、ガティにもうすぐ到着する頃。
最低でも11日、時間のズレがある。
テノはともかく、ラヴィ達がすんなりとアウラスタへ戻るには都合が悪い。
何故なら。
アウラスタで国王に謁見し話を通す前に、ラヴィ達が動く事となり。
事前了解を国王に取らないまま、作戦を発動させると言う事態になってしまう。
ややこしい状況は作りたく無い。
どうするか……。
悩む一同。
そこでクライスが発言する。
「片付け易い案件から取り掛からないか?」
個別に行動を決めて行く方が早い。
クライスはそう判断した。
このまま考え込んでいても解決に繋がらないと思った一同は、クライスの提案に賛成。
検討を始めた。
まず、ソーティの扱い。
結果的に、魔法使いには許されたが。
このまま連れ回す訳には行かない。
反転の法が解除された事は、恐らくケミーヤ教も知らない。
堂々と歩かせれば、敵に発覚してしまう。
かと言って、このままメグの元に置き去りも出来ない。
幸いにも、ソーティの気の巡りはメグによって修正された。
虚弱体質もこれで改善。
人並みの体力と健康を取り戻した。
そこから導き出される結論は。
アリュースの元へ出向く事。
国内に居場所が無ければ、その外へ出れば良い。
どうせメイはまた、管轄のセントリアへ行く事になる。
使い魔が同行すれば。
素性をバラされる事無く、アリュースの住む屋敷へ到達出来るだろう。
彼ならソーティを歓迎してくれる筈。
筋肉マッチョになっていた事は敢えて伏せて。
『変な心配を掛けたく無い』という、ソーティとテノの意向によるものだった。
念の為、メイに確認を取ると。
『そんな事だろうと思ったわよ』と了承された。
メグからもお達しがあったらしい。
これで、ソーティの身の振り方は決まった。
次に、テノだが。
せっかくここまで来たのだから、作戦発動は〔ツァッハ〕で行った方が良い。
チンパレ家の支配地域〔ラミグ〕にも、協力者ヤフレ家の支配地域〔ワインデュー〕にも近く。
王族反対派ナラム家が支配する地域〔ヅオウ〕にも近い。
敵勢力をかき集めるのに都合が良い立地なのだ。
クライスの推測から、ケミーヤ教の本拠地は今ヅオウの何処かに在る。
『強力な魔物を呼び出すには、テューアに近い方が良い』と前に説明したが。
ヅオウは、エッジスが所属する〔ウォベリ〕の東隣。
そして敵の都合に合わせるかの様に、妖精の暮らしていた場所がヅオウにも存在する。
何よりも。
曽てヘルメシア帝国の帝都が在ったのは、他ならぬヅオウなのだ。
或る者の進言によりガティへと遷都する時。
後を任せたナラム家が皮肉にも、今は王族打倒を画策。
辺境の地を良い事に、王族の意に反して好き勝手やっている。
背後に敵地が無いから、思い切って攻め上がる事も出来る。
戦力さえ整えば。
その為の魔物召喚なのだろう。
それを回避し、ケミーヤ教と12貴族とを分離するには。
クライスがエッジスへと渡り、テューアを修繕する。
その後ヅオウに乗り込む。
同時にテノが、グスターキュ帝国攻撃を12貴族へ知らせ。
無理やり王族反対派を参加させる。
そして予定通り、南北から挟み撃ちにして一網打尽。
クライスが暴れている間、ケミーヤ教はチンパレ家やナラム家を救出には向かえない。
逆にやられる恐れがある、そう判断するだろう。
勿論、クライスだけで攻め入る訳では無い。
呼び戻す予定だった錬金術師を同行させ、クライスと共に荒らし回って貰う。
心強い援軍になるだろう。
結果的に、2か所同時の戦闘勃発。
1つは権力者同士の。
1つは錬金術師同士の。
少しでも対応を間違えれば、形勢は簡単にひっくり返るだろう。
それをさせない為に。
残りの者達には動いて貰う。
残った者。
ラヴィ、セレナ、アン、そしてエミル。
彼女等には、まずシルフェニアに行って貰う。
そこで女王エフィリアの力を借りる。
妖精を守る為、錬金術師が力を合わせて戦った時の状況。
今はそれにとても良く似ている。
ケミーヤ教は、妖精も憎悪の対象。
それはエフィリア自身が一番知っている。
避難して来る妖精を庇護したのは。
先代王である、エフィリアの父なのだ。
その場に居た幼いエフィリアは、将来同じ事が起こると危惧していた。
だから最初にラヴィ達が訪れた時、懸念を示したのだ。
妖精と錬金術師、再び手を組まねばならない時が来た。
望んでいなかった。
来ないで欲しかった。
それも今は空しい願いだが。
今度は一丸となって立ち向かおう。
その為に。
エミルからエフィリアに話を通して貰う。
それで、エミルに課せられた試練も達成されるだろう。
『外でしか手に入らないモノを持ち帰る』という内容。
それは有形無形、自由。
ならば、人間と妖精の絆を。
エミルには持ち帰って貰う。
ラヴィ達と培った友情を。
エフィリアも、それなら納得してくれる。
エミルを次の王として認めるだろう。
話し合いの中で、そう言う事に。
これで取り敢えず、皆の進路は決まった。
以上の行動を取れば、最低11日存在する時差は埋まる。
ラヴィ達がここから旅立ってシルフェニアへ到達する頃には、それ位の期間が過ぎている。
テノの招集宣言から戦力を集めて、グスターキュ側へ攻め入る準備が整うのもそれ位。
供だった騎士達は、テノがウタレドへ入る頃にガティへ到着。
テノの従者やグスターキュ側への伝言は、メグに頼む事となった。
その方が手っ取り早い。
話は纏まった。
後は、メグが引き受けてくれるかどうかだが。
そこは、クライスに任せよう。
話し合いを終えて。
まじまじとエミルを見つめる、ロッシェとソーティ。
今まで見えてなかった姿が、幻の湖へと達した途端見える様になった。
フワフワとした光と言うのが、今までの認識。
だから2人には不思議な感覚だった。
ふむふむと頷いた後、ロッシェがエミルに言う。
「何か想像と違うな。」
「どーゆー事?」
「もっと可愛気があると思ってたんだよな。」
「えー!うち、可愛いでしょ!」
「いやー、俺の求めてる可愛さと違うと言うか……。」
「おかしい!おかしいよ、ロッシェは!」
そう言って、頭をポカポカ叩くエミル。
ここでは実体化しているので、ロッシェにも触れるのだ。
でも全然痛くない。
「非力だな、やっぱり。」
ロッシェにそう言われて、シュンとなるエミル。
対して、優しく声を掛けるソーティ。
「妖精だもの。これで良いんだよ。」
「ほんと?」
「ほんと。僕は、こうやって話せるのが嬉しいよ。」
「わーい!」
嬉しくて、ソーティの周りをクルクル飛び回るエミル。
その愛らしい姿に、癒されるソーティ。
逆にふてくされるロッシェ。
俺が悪い奴みたいじゃないか。
正直に言っただけなのに。
……ん?
今の場面は、正直だといけなかったのか?
うーん……。
行動した後、考える癖が付いたロッシェ。
『反省無くして進歩無し』と、前にトクシーから教わっていた。
それから、自分の言動を振り返る様に努めている。
ロッシェも確実に、騎士として歩んでいた。
役割分担は決まった。
ここから出してくれる様頼む為、メグを呼びに行くクライス。
残された一同の中に。
メグに尋ねたい事案を持つ者が。
それは。
語り尽くしたと一応、個人的に満足したらしい。
『そうそう、紹介しておくよ』と、思い出した様にメグは立ち上がり。
湖面の方へと足を向ける。
『おいでー!』と湖の方へ呼びかけると。
さざめく水面の際に、小さな若者の姿をした水の塊が。
背格好はメグに似ている。
身近にある『姿を似せ易い存在』が、偶々魔法使いだけだったのだろう。
メグが皆に紹介する。
「この子は水の精霊さ。どうやらここが気に入ったみたいでね。ここから世界各地に水を齎してるんだ。」
ペコリと頭を下げる水の少女。
一同もお辞儀を返す。
クライスの姿を見つけると、水の精霊はプイッとそっぽを向いた。
「珍しいわね。クライスが精霊に嫌われるなんて。」
ラヴィが不思議がる。
土、火、木。
皆好意的だったのに。
メグがフォローする。
「悪気は無いんだ。ちょっと【複雑な理由】があってね。」
「へえ。」
ラヴィがそう返答すると、スッと水の精霊は姿を消した。
メグが皆に問い掛ける。
「それより、これからの相談をしないのかい?君達の中では、まだどうするか定まってないんだろう?」
主張はもっとも。
今までの話を受けて、一同は相談する事にした。
ボクが居ない方が、やり易いだろう。
ここから出たくなったら、呼んで。
それから。
ここを発つ前に、個別の質問を受け付けるよ。
じゃあ。
そう言って、メグは小屋へと引っ込んだ。
改めて円卓の周りにある椅子へ座り、相談を始める一同。
『あたいの役目は済んだから』と、メイもオズと共に小屋の中へ入って行った。
さて。
クライスとロッシェは、エッジスへと向かう事が決まっている。
それがテノとの約束だから。
しかし、他の者はどうする?
強制的に時空の壁を飛び越え、王宮の執務室へ飛ばされた関係上。
辻褄を合わせなければならない。
ラヴィ達とテノ、それぞれが王宮から旅立って。
グスターキュ帝国国王に報告したのは、28日後。
テノがヤフレ家当主のアルバトに協力を取り付けたのは、10日後。
テノの従者がスコンティを通ってガティまで辿り着くのは、更に10日後。
対して、クライスが皆と合流して王宮を旅立ってから。
幻の湖でこうして話し合っているのは、17日後。
つまり今現在、最初のラヴィ達はまだ現地に向かう途中で。
テノの従者はワインデューを離れた後、ガティにもうすぐ到着する頃。
最低でも11日、時間のズレがある。
テノはともかく、ラヴィ達がすんなりとアウラスタへ戻るには都合が悪い。
何故なら。
アウラスタで国王に謁見し話を通す前に、ラヴィ達が動く事となり。
事前了解を国王に取らないまま、作戦を発動させると言う事態になってしまう。
ややこしい状況は作りたく無い。
どうするか……。
悩む一同。
そこでクライスが発言する。
「片付け易い案件から取り掛からないか?」
個別に行動を決めて行く方が早い。
クライスはそう判断した。
このまま考え込んでいても解決に繋がらないと思った一同は、クライスの提案に賛成。
検討を始めた。
まず、ソーティの扱い。
結果的に、魔法使いには許されたが。
このまま連れ回す訳には行かない。
反転の法が解除された事は、恐らくケミーヤ教も知らない。
堂々と歩かせれば、敵に発覚してしまう。
かと言って、このままメグの元に置き去りも出来ない。
幸いにも、ソーティの気の巡りはメグによって修正された。
虚弱体質もこれで改善。
人並みの体力と健康を取り戻した。
そこから導き出される結論は。
アリュースの元へ出向く事。
国内に居場所が無ければ、その外へ出れば良い。
どうせメイはまた、管轄のセントリアへ行く事になる。
使い魔が同行すれば。
素性をバラされる事無く、アリュースの住む屋敷へ到達出来るだろう。
彼ならソーティを歓迎してくれる筈。
筋肉マッチョになっていた事は敢えて伏せて。
『変な心配を掛けたく無い』という、ソーティとテノの意向によるものだった。
念の為、メイに確認を取ると。
『そんな事だろうと思ったわよ』と了承された。
メグからもお達しがあったらしい。
これで、ソーティの身の振り方は決まった。
次に、テノだが。
せっかくここまで来たのだから、作戦発動は〔ツァッハ〕で行った方が良い。
チンパレ家の支配地域〔ラミグ〕にも、協力者ヤフレ家の支配地域〔ワインデュー〕にも近く。
王族反対派ナラム家が支配する地域〔ヅオウ〕にも近い。
敵勢力をかき集めるのに都合が良い立地なのだ。
クライスの推測から、ケミーヤ教の本拠地は今ヅオウの何処かに在る。
『強力な魔物を呼び出すには、テューアに近い方が良い』と前に説明したが。
ヅオウは、エッジスが所属する〔ウォベリ〕の東隣。
そして敵の都合に合わせるかの様に、妖精の暮らしていた場所がヅオウにも存在する。
何よりも。
曽てヘルメシア帝国の帝都が在ったのは、他ならぬヅオウなのだ。
或る者の進言によりガティへと遷都する時。
後を任せたナラム家が皮肉にも、今は王族打倒を画策。
辺境の地を良い事に、王族の意に反して好き勝手やっている。
背後に敵地が無いから、思い切って攻め上がる事も出来る。
戦力さえ整えば。
その為の魔物召喚なのだろう。
それを回避し、ケミーヤ教と12貴族とを分離するには。
クライスがエッジスへと渡り、テューアを修繕する。
その後ヅオウに乗り込む。
同時にテノが、グスターキュ帝国攻撃を12貴族へ知らせ。
無理やり王族反対派を参加させる。
そして予定通り、南北から挟み撃ちにして一網打尽。
クライスが暴れている間、ケミーヤ教はチンパレ家やナラム家を救出には向かえない。
逆にやられる恐れがある、そう判断するだろう。
勿論、クライスだけで攻め入る訳では無い。
呼び戻す予定だった錬金術師を同行させ、クライスと共に荒らし回って貰う。
心強い援軍になるだろう。
結果的に、2か所同時の戦闘勃発。
1つは権力者同士の。
1つは錬金術師同士の。
少しでも対応を間違えれば、形勢は簡単にひっくり返るだろう。
それをさせない為に。
残りの者達には動いて貰う。
残った者。
ラヴィ、セレナ、アン、そしてエミル。
彼女等には、まずシルフェニアに行って貰う。
そこで女王エフィリアの力を借りる。
妖精を守る為、錬金術師が力を合わせて戦った時の状況。
今はそれにとても良く似ている。
ケミーヤ教は、妖精も憎悪の対象。
それはエフィリア自身が一番知っている。
避難して来る妖精を庇護したのは。
先代王である、エフィリアの父なのだ。
その場に居た幼いエフィリアは、将来同じ事が起こると危惧していた。
だから最初にラヴィ達が訪れた時、懸念を示したのだ。
妖精と錬金術師、再び手を組まねばならない時が来た。
望んでいなかった。
来ないで欲しかった。
それも今は空しい願いだが。
今度は一丸となって立ち向かおう。
その為に。
エミルからエフィリアに話を通して貰う。
それで、エミルに課せられた試練も達成されるだろう。
『外でしか手に入らないモノを持ち帰る』という内容。
それは有形無形、自由。
ならば、人間と妖精の絆を。
エミルには持ち帰って貰う。
ラヴィ達と培った友情を。
エフィリアも、それなら納得してくれる。
エミルを次の王として認めるだろう。
話し合いの中で、そう言う事に。
これで取り敢えず、皆の進路は決まった。
以上の行動を取れば、最低11日存在する時差は埋まる。
ラヴィ達がここから旅立ってシルフェニアへ到達する頃には、それ位の期間が過ぎている。
テノの招集宣言から戦力を集めて、グスターキュ側へ攻め入る準備が整うのもそれ位。
供だった騎士達は、テノがウタレドへ入る頃にガティへ到着。
テノの従者やグスターキュ側への伝言は、メグに頼む事となった。
その方が手っ取り早い。
話は纏まった。
後は、メグが引き受けてくれるかどうかだが。
そこは、クライスに任せよう。
話し合いを終えて。
まじまじとエミルを見つめる、ロッシェとソーティ。
今まで見えてなかった姿が、幻の湖へと達した途端見える様になった。
フワフワとした光と言うのが、今までの認識。
だから2人には不思議な感覚だった。
ふむふむと頷いた後、ロッシェがエミルに言う。
「何か想像と違うな。」
「どーゆー事?」
「もっと可愛気があると思ってたんだよな。」
「えー!うち、可愛いでしょ!」
「いやー、俺の求めてる可愛さと違うと言うか……。」
「おかしい!おかしいよ、ロッシェは!」
そう言って、頭をポカポカ叩くエミル。
ここでは実体化しているので、ロッシェにも触れるのだ。
でも全然痛くない。
「非力だな、やっぱり。」
ロッシェにそう言われて、シュンとなるエミル。
対して、優しく声を掛けるソーティ。
「妖精だもの。これで良いんだよ。」
「ほんと?」
「ほんと。僕は、こうやって話せるのが嬉しいよ。」
「わーい!」
嬉しくて、ソーティの周りをクルクル飛び回るエミル。
その愛らしい姿に、癒されるソーティ。
逆にふてくされるロッシェ。
俺が悪い奴みたいじゃないか。
正直に言っただけなのに。
……ん?
今の場面は、正直だといけなかったのか?
うーん……。
行動した後、考える癖が付いたロッシェ。
『反省無くして進歩無し』と、前にトクシーから教わっていた。
それから、自分の言動を振り返る様に努めている。
ロッシェも確実に、騎士として歩んでいた。
役割分担は決まった。
ここから出してくれる様頼む為、メグを呼びに行くクライス。
残された一同の中に。
メグに尋ねたい事案を持つ者が。
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