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第72話 裏切者は、お前だ!
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「でさーぁ。」
「へ、へえ。」
ぎこちない会話。
護送中の馬車内。
一方にミセルとリゼ。
向かい合って、ヨウフとヴェードに挟まれたアン。
女2人は、他愛も無い会話をしていた。
勿論、これにも意味はある。
馬車内を騒がしくする事で、敵3人が退屈せず尚且つうるさいせいで外の音が聞こえない。
どの位置に居るかを悟られない様に。
後は、異性を同乗させる事で意識をそちらへ逸らすと言う効果もあった。
案の定、ミセルはまんざらでも無い顔をしていた。
口と目を塞がれているのに。
大変なのはアン。
適当に何でも話を振られるので、頷く事しか出来ない。
リゼ程、話の引き出しは無いのだ。
その点、盗賊家業の手前。
相手を信用させる為、いろんな知識を持っておく必要のあるリゼには適任だった。
兄様は、何故私を……。
リゼから『こいつが良いわ』と指名され、特に抵抗も無くクライスは承諾。
『少しはこいつを見習った方が良い』と言われたが、どうも納得が行かない。
そんなに私は堅物かしら……?
「ちょっと!聞いてんの!」
「ああ、ごめんなさい。」
「あんた、あの金ぴかにも言われたろう?色気が無いんだよ、色気が。」
「そ、そんな事言ったって……私はまだ……。」
「色気ってのはねえ。年季じゃないんだよ、分かる?」
「い、いや……その辺はどうも……。」
「敢えて隙を作るんだよ。心に、付け込む隙をさ。」
「は、はあ……。」
「ガードが余りに堅いと、融通が利かない女と軽蔑されるよ?ねえ、あんたもそう思うよねえ?」
うんうん頷くミセル。
この手の話なら、何とか付いて行ける。
ファッションやヘアスタイルの話は辟易するが。
そんな女の内輪話に関心が全く無いヴェード。
別の事を考えている様だった。
ヨウフも何か考えている風だったが、ヴェードとはまた違っていた。
「あ!何か立派な物が見えて来たよ!」
リゼが大声を上げる。
アンもそれに乗っかる。
テュオの城壁が見えて来た。
それをわざわざ知らせる様に叫ぶ2人。
聞いた敵3人は、ガタッと立ち上がりそうになる。
実は、2人が知らせたのも打ち合わせ通り。
相手の関心を引く為。
これからの《仕込み》の効果は、これで多少増す筈だ。
外から遠く声がする。
城門のやり取りらしい。
それからすぐに、ガタガタッと馬車が揺れた。
街道は大抵むき出しの土。
対してテュオは一面石畳。
揺れるのは当然。
目隠しされている為、町の何処を通っているか分からない。
馬車が音を立てて揺れるので、町中の歓声も分からない。
なるほど、考えているな。
ヨウフは素直に感心する。
既に諦めモードの為、起こる事を素直に受け入れられていた。
ミセルは揺れるたびにリゼの胸に顔がぶち当たるので、顔が真っ赤。
そんなに良いのかい?ねえ?
リゼに囁かれ、余計に力が抜ける。
それを見て呆れるアン。
完全に弄んでいる。
反面教師にしよう、そうしよう。
あれが大人の女性の典型だと、思いたくは無かった。
目的地に到着したのか、ピタリと振動が止む。
『いよいよか』と、敵3人は緊張する。
ゆっくり馬車から降ろされる。
傍では、クライスに泣き事を言うアンと。
『やり過ぎたかねえ』と言いつつも、反省の色が見えないリゼ。
ふん。
こいつ等、良い気なもんだ。
何を考えているか知らんが、すんなり従うと思うなよ。
したたかな敵側。
そして、まだヴェードの目は死んでいなかった。
「これから連れて行くのは、ヘルメシア軍の将の所だ。」
クライスがそう言った。
そして、階段を下りひんやりとした空気の中歩かされる。
後ろに、護衛の兵が2人程付いたらしい。
気配が増えた。
目と口はまだ塞がれたまま。
空気が冷えていると言う事は地下牢か……?
しかも《将》の所へ連れて行くと言った。
もう完全に軍は瓦解したのか……?
それにしては、とても静かだが……。
考えながら、3人は歩かされる。
そして、突然ピタリと止まった。
「着いたよ。」
クライスはそう言って、3人の目隠しを外す。
ずっと目を開けていなかったからか、初めは視界がぼんやりしていた。
しかし段々はっきりと見えて来る。
目の前には大きな牢。
その中には、確かに。
ヘルメシア軍のお偉いさんが付ける鎧を着た男が、向こうを向いて座っている。
次にクライスは、ヴェードの口を自由にした。
牢の中に向かって、ヴェードが呼び掛ける。
「お労しや……!」
中の男は、コクリと頷いた。
ヴェードが続ける。
「あなた程のお方が捕らえられるとは、さぞ屈辱でしょう。」
この一瞬で、ヴェードが考えた事。
これを利用すれば……。
「最早、生き恥を晒す事はありません!自害なされませ!」
『何を言い出すんだ?』と言った顔の、ミセルとヨウフ。
「ご自身の為です!どうかご決断を!」
ここでクライスは、残り2人も猿轡を外す。
2人は止めに入る。
「死ぬ事はありません!」
「生きていれば、また機会がございましょう!どうかお留まりを!」
しかしヴェードは手を緩めない。
「誰か!自害の為の武器を!」
後ろに控えていた兵の1人が、腰に下げていた短剣を牢の中に投げ込む。
男はそれを拾い上げる。
更にヴェードが声を張り上げる。
「さあ!今です!さあ!」
2人は反対する。
「駄目です!」
「止めなされ!」
短剣を喉元に突き立て、男が振り返る。
3人は言葉を発した。
しかし、3人の反応は違っていた。
「さあご自害を!アリューセント閣下!」
こう言ったのはヴェード。
「誰かは存ぜぬが、止めなされ!」
これはヨウフの台詞。
そして、ミセルが言った。
「誰だ!12貴族でも無く、王族でも無いお前は!」
12貴族の末席だったヨウフは、自分と面識の無い貴族が軍を率いていると思っていた。
それより上の地位にあるミセルは、貴族達の顔を全て知っていた。
だからその様な反応をした。
しかしヴェードは、確かに《アリューセント閣下》と言った。
皇帝陛下の弟君が?
こんな小汚い男?
冗談では無い。
俺は直にお会いした事がある。
断言出来る、別人だと。
だがこのヴェードとやら、確信的に言い切った。
何故だ?
何故そう言い切れる?
まさか、こ奴だけ別の指令が……!
そのタイミングで、後ろから声が。
「もう良い。これではっきりした、裏切者が誰か。」
「左様でございますか、アリュース殿。」
何!
閣下!
そのやり取りで、皆振り向く。
ミセルは、その顔に見覚えがあった。
正しく皇帝陛下の弟君。
アリューセント閣下、本人だ。
身体がガタガタ震え、慌てて膝間付くミセル。
その挙動に正体を悟り、続いて膝間付くヨウフ。
「「気付かず、申し訳ございません!」」
ひれ伏す2人。
対照的に、『やられた!』と言った顔のヴェード。
「俺が軍の指揮官であると知っている者、そしてわざわざ自害を促す者。」
「そうです、それが狙い目。」
「『敵に捕まるのは恥』と自殺させれば。【俺の暗殺】と言う目的は達せられる、と言う事。」
「自ら告白するとは。」
「クライス殿は流石だな、人を嵌める術を心得ている。敵に回したく無いものだ。」
「お褒めに預かり、光栄です。」
クライスとアリュースとの会話で、全容を把握する3人。
そう。
目隠し猿轡の前から、仕掛けは始まっていたのだ。
領界沿いの戦場跡は、クライスの案をアレンジした部分。
『そこまで凝る事は無かろうに』と、クライスは思っていたが。
セントリアなりの意地だったのだろう。
手柄を全て取られるのは癪だと。
それが反って緊迫感を増し、まんまと罠に嵌った。
グスターキュ帝国内部で諜報活動をしていた2人は、軍の将が誰かを知らない。
知る必要が無い。
作戦が成功すれば、軍を誰が率いようと手柄は変わらないからだ。
逆に他に目的がある者は、将が誰かを知っておく必要がある。
寧ろ、戦況がどうなろうと知った事では無い。
将が死ぬ事、それが達成されれば。
目的が違うからこそリアクションも変わる。
裏切者が誰かはっきりさせるには、《生きる事よりも死ぬ事を勧めるかどうか》が一番分かりやすい。
ヴェードの顔は、青ざめていた。
ミセルとヨウフからは、軽蔑の眼差し。
残念そうな顔のアリュース。
こんな小者に殺されそうになるとは。
「最早これまで!」
下を噛んで自害しようとするヴェード。
途端に動きが止まった。
「逝かせるかよ。」
冷淡な口調のクライス。
死ぬ様子を見せれば、容赦無く金の首輪から針が神経節を貫く。
楽にはさせない。
簡単には死なせない。
それが罰。
「ま!ままま!まさか、お命を狙われているとは……!」
声が震えるミセル。
こんな事なら、国元ともっと連携を取っておくんだった……。
後悔の念に、押し潰されそうになる。
それはヨウフも同じ。
その気持ちを理解してか、アリュースは2人の前に座って言った。
「済まなかった。お家騒動に巻き込むつもりは無かったのだ。」
裏切者を目の前にしながらも気丈に振る舞う姿を見て、感服する次第。
暫く言葉が出ない、ミセルとヨウフ。
その光景に少し満足気なクライス。
変わるならここだぞ?
チャンスは、やったからな。
心でそう激励するクライスだった。
「へ、へえ。」
ぎこちない会話。
護送中の馬車内。
一方にミセルとリゼ。
向かい合って、ヨウフとヴェードに挟まれたアン。
女2人は、他愛も無い会話をしていた。
勿論、これにも意味はある。
馬車内を騒がしくする事で、敵3人が退屈せず尚且つうるさいせいで外の音が聞こえない。
どの位置に居るかを悟られない様に。
後は、異性を同乗させる事で意識をそちらへ逸らすと言う効果もあった。
案の定、ミセルはまんざらでも無い顔をしていた。
口と目を塞がれているのに。
大変なのはアン。
適当に何でも話を振られるので、頷く事しか出来ない。
リゼ程、話の引き出しは無いのだ。
その点、盗賊家業の手前。
相手を信用させる為、いろんな知識を持っておく必要のあるリゼには適任だった。
兄様は、何故私を……。
リゼから『こいつが良いわ』と指名され、特に抵抗も無くクライスは承諾。
『少しはこいつを見習った方が良い』と言われたが、どうも納得が行かない。
そんなに私は堅物かしら……?
「ちょっと!聞いてんの!」
「ああ、ごめんなさい。」
「あんた、あの金ぴかにも言われたろう?色気が無いんだよ、色気が。」
「そ、そんな事言ったって……私はまだ……。」
「色気ってのはねえ。年季じゃないんだよ、分かる?」
「い、いや……その辺はどうも……。」
「敢えて隙を作るんだよ。心に、付け込む隙をさ。」
「は、はあ……。」
「ガードが余りに堅いと、融通が利かない女と軽蔑されるよ?ねえ、あんたもそう思うよねえ?」
うんうん頷くミセル。
この手の話なら、何とか付いて行ける。
ファッションやヘアスタイルの話は辟易するが。
そんな女の内輪話に関心が全く無いヴェード。
別の事を考えている様だった。
ヨウフも何か考えている風だったが、ヴェードとはまた違っていた。
「あ!何か立派な物が見えて来たよ!」
リゼが大声を上げる。
アンもそれに乗っかる。
テュオの城壁が見えて来た。
それをわざわざ知らせる様に叫ぶ2人。
聞いた敵3人は、ガタッと立ち上がりそうになる。
実は、2人が知らせたのも打ち合わせ通り。
相手の関心を引く為。
これからの《仕込み》の効果は、これで多少増す筈だ。
外から遠く声がする。
城門のやり取りらしい。
それからすぐに、ガタガタッと馬車が揺れた。
街道は大抵むき出しの土。
対してテュオは一面石畳。
揺れるのは当然。
目隠しされている為、町の何処を通っているか分からない。
馬車が音を立てて揺れるので、町中の歓声も分からない。
なるほど、考えているな。
ヨウフは素直に感心する。
既に諦めモードの為、起こる事を素直に受け入れられていた。
ミセルは揺れるたびにリゼの胸に顔がぶち当たるので、顔が真っ赤。
そんなに良いのかい?ねえ?
リゼに囁かれ、余計に力が抜ける。
それを見て呆れるアン。
完全に弄んでいる。
反面教師にしよう、そうしよう。
あれが大人の女性の典型だと、思いたくは無かった。
目的地に到着したのか、ピタリと振動が止む。
『いよいよか』と、敵3人は緊張する。
ゆっくり馬車から降ろされる。
傍では、クライスに泣き事を言うアンと。
『やり過ぎたかねえ』と言いつつも、反省の色が見えないリゼ。
ふん。
こいつ等、良い気なもんだ。
何を考えているか知らんが、すんなり従うと思うなよ。
したたかな敵側。
そして、まだヴェードの目は死んでいなかった。
「これから連れて行くのは、ヘルメシア軍の将の所だ。」
クライスがそう言った。
そして、階段を下りひんやりとした空気の中歩かされる。
後ろに、護衛の兵が2人程付いたらしい。
気配が増えた。
目と口はまだ塞がれたまま。
空気が冷えていると言う事は地下牢か……?
しかも《将》の所へ連れて行くと言った。
もう完全に軍は瓦解したのか……?
それにしては、とても静かだが……。
考えながら、3人は歩かされる。
そして、突然ピタリと止まった。
「着いたよ。」
クライスはそう言って、3人の目隠しを外す。
ずっと目を開けていなかったからか、初めは視界がぼんやりしていた。
しかし段々はっきりと見えて来る。
目の前には大きな牢。
その中には、確かに。
ヘルメシア軍のお偉いさんが付ける鎧を着た男が、向こうを向いて座っている。
次にクライスは、ヴェードの口を自由にした。
牢の中に向かって、ヴェードが呼び掛ける。
「お労しや……!」
中の男は、コクリと頷いた。
ヴェードが続ける。
「あなた程のお方が捕らえられるとは、さぞ屈辱でしょう。」
この一瞬で、ヴェードが考えた事。
これを利用すれば……。
「最早、生き恥を晒す事はありません!自害なされませ!」
『何を言い出すんだ?』と言った顔の、ミセルとヨウフ。
「ご自身の為です!どうかご決断を!」
ここでクライスは、残り2人も猿轡を外す。
2人は止めに入る。
「死ぬ事はありません!」
「生きていれば、また機会がございましょう!どうかお留まりを!」
しかしヴェードは手を緩めない。
「誰か!自害の為の武器を!」
後ろに控えていた兵の1人が、腰に下げていた短剣を牢の中に投げ込む。
男はそれを拾い上げる。
更にヴェードが声を張り上げる。
「さあ!今です!さあ!」
2人は反対する。
「駄目です!」
「止めなされ!」
短剣を喉元に突き立て、男が振り返る。
3人は言葉を発した。
しかし、3人の反応は違っていた。
「さあご自害を!アリューセント閣下!」
こう言ったのはヴェード。
「誰かは存ぜぬが、止めなされ!」
これはヨウフの台詞。
そして、ミセルが言った。
「誰だ!12貴族でも無く、王族でも無いお前は!」
12貴族の末席だったヨウフは、自分と面識の無い貴族が軍を率いていると思っていた。
それより上の地位にあるミセルは、貴族達の顔を全て知っていた。
だからその様な反応をした。
しかしヴェードは、確かに《アリューセント閣下》と言った。
皇帝陛下の弟君が?
こんな小汚い男?
冗談では無い。
俺は直にお会いした事がある。
断言出来る、別人だと。
だがこのヴェードとやら、確信的に言い切った。
何故だ?
何故そう言い切れる?
まさか、こ奴だけ別の指令が……!
そのタイミングで、後ろから声が。
「もう良い。これではっきりした、裏切者が誰か。」
「左様でございますか、アリュース殿。」
何!
閣下!
そのやり取りで、皆振り向く。
ミセルは、その顔に見覚えがあった。
正しく皇帝陛下の弟君。
アリューセント閣下、本人だ。
身体がガタガタ震え、慌てて膝間付くミセル。
その挙動に正体を悟り、続いて膝間付くヨウフ。
「「気付かず、申し訳ございません!」」
ひれ伏す2人。
対照的に、『やられた!』と言った顔のヴェード。
「俺が軍の指揮官であると知っている者、そしてわざわざ自害を促す者。」
「そうです、それが狙い目。」
「『敵に捕まるのは恥』と自殺させれば。【俺の暗殺】と言う目的は達せられる、と言う事。」
「自ら告白するとは。」
「クライス殿は流石だな、人を嵌める術を心得ている。敵に回したく無いものだ。」
「お褒めに預かり、光栄です。」
クライスとアリュースとの会話で、全容を把握する3人。
そう。
目隠し猿轡の前から、仕掛けは始まっていたのだ。
領界沿いの戦場跡は、クライスの案をアレンジした部分。
『そこまで凝る事は無かろうに』と、クライスは思っていたが。
セントリアなりの意地だったのだろう。
手柄を全て取られるのは癪だと。
それが反って緊迫感を増し、まんまと罠に嵌った。
グスターキュ帝国内部で諜報活動をしていた2人は、軍の将が誰かを知らない。
知る必要が無い。
作戦が成功すれば、軍を誰が率いようと手柄は変わらないからだ。
逆に他に目的がある者は、将が誰かを知っておく必要がある。
寧ろ、戦況がどうなろうと知った事では無い。
将が死ぬ事、それが達成されれば。
目的が違うからこそリアクションも変わる。
裏切者が誰かはっきりさせるには、《生きる事よりも死ぬ事を勧めるかどうか》が一番分かりやすい。
ヴェードの顔は、青ざめていた。
ミセルとヨウフからは、軽蔑の眼差し。
残念そうな顔のアリュース。
こんな小者に殺されそうになるとは。
「最早これまで!」
下を噛んで自害しようとするヴェード。
途端に動きが止まった。
「逝かせるかよ。」
冷淡な口調のクライス。
死ぬ様子を見せれば、容赦無く金の首輪から針が神経節を貫く。
楽にはさせない。
簡単には死なせない。
それが罰。
「ま!ままま!まさか、お命を狙われているとは……!」
声が震えるミセル。
こんな事なら、国元ともっと連携を取っておくんだった……。
後悔の念に、押し潰されそうになる。
それはヨウフも同じ。
その気持ちを理解してか、アリュースは2人の前に座って言った。
「済まなかった。お家騒動に巻き込むつもりは無かったのだ。」
裏切者を目の前にしながらも気丈に振る舞う姿を見て、感服する次第。
暫く言葉が出ない、ミセルとヨウフ。
その光景に少し満足気なクライス。
変わるならここだぞ?
チャンスは、やったからな。
心でそう激励するクライスだった。
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