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第55話 宿での談合
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「そうなんですか。」
ラヴィ達はロッシェと情報交換していた。
ライというと、レンドから入ってすぐの町。
という事は、領主のリーフ卿が約束通り関所の封鎖をしてくれたと。
後は、サファイがやってくれてれば……。
考えたラヴィだが、確認の手段が今の所無い。
しかし自分達、ロッシェと使者が来ているなら。
もう1人この町にいる筈。
本来なら会っておきたいが……。
『欲張るなよ。』
ボソッとクライスに釘を刺される。
分かってるわよ、と膨れっ面。
仲の良い行商人達の様子を見て、ロッシェが呟いた。
「あんた達みたいに仲間が居れば、この先も楽なんだがな……。」
《先》と言う言葉に、何か別の案件が入っている感じがしたアン。
クライスに聞こえる様に言う。
「この先とは、何処までの事で?」
一瞬ドキッとした顔のロッシェだが、上手く取り繕うとする。
「勿論、領主様へ陳情書を届けた後。そう、関所を開いて貰った後さ。」
「そうでしょうか?」
アンは、尚も探りを入れる。
「そ、そうだとも。」
そう言うロッシェの目は泳いでいた。
「届けたらすぐに関所が開くとでも?」
「そうしてくれなきゃ困る。その為に来たんでな。」
「開かなかったら?」
「そ、それは考えて無い。」
「おや?さっきと言っている事が違いますね。」
「いや、変わってない筈だ。」
「変わってますよ。開いて貰った《後》、はっきりと仰ったじゃありませんか。本当は……。」
ここで揺さ振りに掛かる。
正直、辻褄が合っていようがいまいが。
どうでも良いのだ。
「別の目的が有るのでは?例えば《領主の殺害》とか。」
「あああああ!無い無い無い!それだけは決して無い!」
両手を前でブンブン振って、必死に否定するロッシェ。
「なるほど、それ《以外》なら有るんですね。」
「え?いやあ、そのう……。」
しどろもどろになるロッシェ。
そこへ追い打ちを掛ける、風呂上がりのリゼ。
ねっとりとした口調で言う。
「そもそも何でこの宿なんだい?ライから来たなら、石橋の近くにも宿はある筈だよねえ?」
『うっ』と言葉に詰まる。
トワの事を怪しまれない様に、宿は離れた場所にしようと考えたのが仇になった。
そこへ真打登場。
ひそひそ話が出来る様、ガッとロッシェの肩を掴んで顔を近付けるクライス。
『良くやった』と、アンに目くばせしながら。
ついでにリゼにも。
何故かリゼは嬉しそう。
赤面顔がバレない様に、リゼは先に部屋へ向かった。
宿主に聞かれるのを避ける為、みんなで円陣を組んだ状態に。
『俺達は行商人です。言わば通りすがりです。話しても大丈夫。力になりますよ。』
クライスの悪魔の囁き。
ラヴィも加わる。
『そうですよ。現にこうしてイーソの代理もしてるんですから。』
更に、そんな事を言いそうに無いセレナまで。
『言った方が楽になりますよ。商売上口は堅いのでご安心を。』
そこまでされ、そこまで言われては。
隠している方が逆に障害になる。
観念した様だ。
『あんた達も物好きだな。俺に宿代を奢った挙句、協力なんて……待てよ、俺もそうか。』
似た者同士という事に気付いたロッシェ。
話せる範囲で聞かせて、後は誤魔化そう。
俺と同じなら、それで引くとは思えなかったが。
『実は、助けたい人が居る。』
『領主様の屋敷に、ですか?』
『そうだ。1人でどうするか考えてた所なんだ。』
『では我々が協力しましょう。』
セレナが提案する。
『陳情書を領主様へお渡しする時に、我々で騒ぎを起こします。その隙に救出を。居場所は?』
『大体分かっている。地下らしい。』
『そうですか。では具体的に……。』
「お茶をどうぞ。」
「ひっ!」
ラヴィが突然の声に反応した。
いつの間にか傍に宿主が立っていた。
「そんなに驚かないで下さいよー。話に夢中になってたんじゃないですか?」
そんな筈は無い。
ちゃんと警戒していた。
セレナはクライスを見た。
目で頷くクライス。
「そ、そうですか。頂きます。」
お茶の乗った盆をを受け取るセレナ。
すぐに下がる宿主。
ゆっくりお茶を頂く事にする一同。
その陰で、宿主はある所へ連絡していた。
繋がる先は、やはりあの怪しい影の元だった。
話を聞かれていたのか、いなかったのか?
それは領主の屋敷を訪れれば分かる事。
不安がるセレナとラヴィをよそに、余裕な姿勢のクライス。
既に駆け引きは始まっていた。
色々話した後みんな就寝し、そして夜が明けた。
ラヴィ達はロッシェと情報交換していた。
ライというと、レンドから入ってすぐの町。
という事は、領主のリーフ卿が約束通り関所の封鎖をしてくれたと。
後は、サファイがやってくれてれば……。
考えたラヴィだが、確認の手段が今の所無い。
しかし自分達、ロッシェと使者が来ているなら。
もう1人この町にいる筈。
本来なら会っておきたいが……。
『欲張るなよ。』
ボソッとクライスに釘を刺される。
分かってるわよ、と膨れっ面。
仲の良い行商人達の様子を見て、ロッシェが呟いた。
「あんた達みたいに仲間が居れば、この先も楽なんだがな……。」
《先》と言う言葉に、何か別の案件が入っている感じがしたアン。
クライスに聞こえる様に言う。
「この先とは、何処までの事で?」
一瞬ドキッとした顔のロッシェだが、上手く取り繕うとする。
「勿論、領主様へ陳情書を届けた後。そう、関所を開いて貰った後さ。」
「そうでしょうか?」
アンは、尚も探りを入れる。
「そ、そうだとも。」
そう言うロッシェの目は泳いでいた。
「届けたらすぐに関所が開くとでも?」
「そうしてくれなきゃ困る。その為に来たんでな。」
「開かなかったら?」
「そ、それは考えて無い。」
「おや?さっきと言っている事が違いますね。」
「いや、変わってない筈だ。」
「変わってますよ。開いて貰った《後》、はっきりと仰ったじゃありませんか。本当は……。」
ここで揺さ振りに掛かる。
正直、辻褄が合っていようがいまいが。
どうでも良いのだ。
「別の目的が有るのでは?例えば《領主の殺害》とか。」
「あああああ!無い無い無い!それだけは決して無い!」
両手を前でブンブン振って、必死に否定するロッシェ。
「なるほど、それ《以外》なら有るんですね。」
「え?いやあ、そのう……。」
しどろもどろになるロッシェ。
そこへ追い打ちを掛ける、風呂上がりのリゼ。
ねっとりとした口調で言う。
「そもそも何でこの宿なんだい?ライから来たなら、石橋の近くにも宿はある筈だよねえ?」
『うっ』と言葉に詰まる。
トワの事を怪しまれない様に、宿は離れた場所にしようと考えたのが仇になった。
そこへ真打登場。
ひそひそ話が出来る様、ガッとロッシェの肩を掴んで顔を近付けるクライス。
『良くやった』と、アンに目くばせしながら。
ついでにリゼにも。
何故かリゼは嬉しそう。
赤面顔がバレない様に、リゼは先に部屋へ向かった。
宿主に聞かれるのを避ける為、みんなで円陣を組んだ状態に。
『俺達は行商人です。言わば通りすがりです。話しても大丈夫。力になりますよ。』
クライスの悪魔の囁き。
ラヴィも加わる。
『そうですよ。現にこうしてイーソの代理もしてるんですから。』
更に、そんな事を言いそうに無いセレナまで。
『言った方が楽になりますよ。商売上口は堅いのでご安心を。』
そこまでされ、そこまで言われては。
隠している方が逆に障害になる。
観念した様だ。
『あんた達も物好きだな。俺に宿代を奢った挙句、協力なんて……待てよ、俺もそうか。』
似た者同士という事に気付いたロッシェ。
話せる範囲で聞かせて、後は誤魔化そう。
俺と同じなら、それで引くとは思えなかったが。
『実は、助けたい人が居る。』
『領主様の屋敷に、ですか?』
『そうだ。1人でどうするか考えてた所なんだ。』
『では我々が協力しましょう。』
セレナが提案する。
『陳情書を領主様へお渡しする時に、我々で騒ぎを起こします。その隙に救出を。居場所は?』
『大体分かっている。地下らしい。』
『そうですか。では具体的に……。』
「お茶をどうぞ。」
「ひっ!」
ラヴィが突然の声に反応した。
いつの間にか傍に宿主が立っていた。
「そんなに驚かないで下さいよー。話に夢中になってたんじゃないですか?」
そんな筈は無い。
ちゃんと警戒していた。
セレナはクライスを見た。
目で頷くクライス。
「そ、そうですか。頂きます。」
お茶の乗った盆をを受け取るセレナ。
すぐに下がる宿主。
ゆっくりお茶を頂く事にする一同。
その陰で、宿主はある所へ連絡していた。
繋がる先は、やはりあの怪しい影の元だった。
話を聞かれていたのか、いなかったのか?
それは領主の屋敷を訪れれば分かる事。
不安がるセレナとラヴィをよそに、余裕な姿勢のクライス。
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