上 下
32 / 34
地球篇

30話

しおりを挟む
「眞白さん、一緒に帰りませんか?」

入学式、ホームルームが終わり、帰る準備をしていた所、声をかけられた。

「ごめんやけど……」

断りながら、誰か確認する。神川光輝君とか言うたかな?(ホームルームの自己紹介で聞いた。何や、他の女子がキャーキャー騒いどったな、よう知らへんけど)

「そうですか……。ほな、明日なら大丈夫ですか?」

明日? いや、帰る気、あらへんねんやけど。



「神川君言うたっけ? 小明は彼氏と帰るねん。今日も明日も明後日も明々後日も……、ずっとな。せやさかい、潔く引いた方がええで?」

困っている様子の私を見かねて、文音ちゃんが助け舟を出してくれた。

「彼氏って誰ですか?」

彼氏が誰?って……、神川君に関係あらへんやん?

「小明が誰と付き合おうと、神川君に関係あらへんやろ? 幾ら、顔が某クォーターモデルみたいなイケメン面しとるからって、ホイホイついて来る訳やないんやで……?」

なかなか引き下がらない神川君、男子に対して文音ちゃんが言った。



 ガラガラっ……!

「文音、帰ろうぜ!」

豪快に教室の横開きのドアを開けて入って来たのは、文音ちゃんの彼氏の優君と、凌君!

「優! 遅いやん! ほな、凌先輩も来たで、小明も帰ろか? 神川君、さいなら」

「うん!」

文音ちゃんに背中を押され、凌君の下に寄った。

「凌君、帰ろか?」

私は、凌君に笑顔で声をかけた。

「ああ、帰ろか」

凌君も笑顔で答えてくれた。



「貴方が、眞白さんの彼氏さん騙る方ですか?」

ホームルームを終え、小明を迎えに、優君は文音ちゃんを迎えに、教室に入って、さあ帰ろうという所で声をかけられた。何や、このイケ面(いけ好かない面、略してイケ面)! 妬けるわ~っ!

「彼氏に分類はされるかもしれへんけど……、それが君に何の関係あるん?」

正直、面倒臭いと思ったが、冷静に答えた。

「関係ありますわ! 彼女に貴方は相応しくない!」

彼は僕に喰い付かんばかりの勢いで答えた。

「ふーん……。だから? 何が言いたいねん? それにさ、付き合う付き合わんは、小明が決める事であって、親でも兄弟でもあらへん君に言われる筋合いは、皆無やろ?」

僕は、努めて冷静に答えた。

「ほな、小明、帰ろか?」

「うん!」

僕達は、顔を顰め、拳を握りしめ、せっかくのイケ面を台無しにしている男子を放置し、そそくさと、教室を後にした。



「あいつ……、僕に楯突いた事、後悔させたる!」

神川少年は呟いた……。

「いや……、やめといた方がええよ……。あの二人の先輩、暴力団も潰した事あるって噂やろ?」

「みたいやな……。有名な眞白道場の次期師範代らしいやん?」

「最近の有名な格闘家、剣道家達の多くが眞白道場から輩出されているらしい……」

「暴力団組長のボディーガードも、らしいやん? せやから、頭上がらんって……」

「それも知らんと噛み付く神川君って可哀想……」

「神川君って、確か神川組のおぼっちゃまくんやろ?」 

「神川組なんかは、地方の組やで? 相手は、濱口組や文吉会、有働会のボディーガードやぞ?」

「ホンマか? それは、無理やろ? というか、無謀やろ?」

等と、クラスメイト達はヒソヒソと、有る事無い事呟き合ったとか……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

#歌は世界を救う?~異世界おっさん探訪記~

takashi4649
ファンタジー
ちょっとブラックな会社に勤めている伊紗歌 慧(33) いつも通り録り溜めたアニメを見て、自分の部屋で寝たはずが…… ……起きたらそこは、深い森の中だった。 森の中で寂しくなり、ついつい歌を口ずさむと精霊たちに囲まれる! 話を聞くと、どうやらこの世界はほぼ音痴しか居らず 精霊たちは歌に餓えているとの事らしい。 いっちょおっさん一肌脱ぐしかない? 特にちぃと能力の無いおっさんが行く、ゆるうた異世界探訪記 果たしておっさんの行く末は如何に? 1話の文章量を少なくしておりますので、いつでもお手軽にスナック感覚で楽しんで戴けたら幸いです。

悪役令嬢の使用人

橘花やよい
ファンタジー
美しくて聡明な、私のお嬢様。 けれど世間の評価は「悪役令嬢」。 王道とは少し違う、「悪役令嬢」と「使用人」の物語。 ○○○ 美しく聡明な令嬢、レイチェル・バルドに仕える使用人・リーフ。 彼女の悩みは、敬愛するお嬢様が、父に疎まれて社交界から姿を消し、屋敷に引きこもっていること。 もう一度、お嬢様を社交界に輝かせる。 もう一度、お嬢様に笑ってほしい。 もう一度――……。 逆境の中で前を向いて歩き続ける、主従のファンタジー。 ○○○○ 他のサイトにも投稿しているお話を、改稿して投稿しています。 表紙は表紙メーカーで作成。 基本的には00:10と18:10の1日2話更新。  →00:10の1話更新に変更します。水曜日だけ特別デーで2話更新予定。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

ステータス999でカンスト最強転移したけどHP10と最低ダメージ保障1の世界でスローライフが送れません!

矢立まほろ
ファンタジー
 大学を卒業してサラリーマンとして働いていた田口エイタ。  彼は来る日も来る日も仕事仕事仕事と、社蓄人生真っ只中の自分に辟易していた。  そんな時、不慮の事故に巻き込まれてしまう。  目を覚ますとそこはまったく知らない異世界だった。  転生と同時に手に入れた最強のステータス。雑魚敵を圧倒的力で葬りさるその強力さに感動し、近頃流行の『異世界でスローライフ生活』を送れるものと思っていたエイタ。  しかし、そこには大きな罠が隠されていた。  ステータスは最強だが、HP上限はまさかのたった10。  それなのに、どんな攻撃を受けてもダメージの最低保証は1。  どれだけ最強でも、たった十回殴られただけで死ぬ謎のハードモードな世界であることが発覚する。おまけに、自分の命を狙ってくる少女まで現れて――。  それでも最強ステータスを活かして念願のスローライフ生活を送りたいエイタ。  果たして彼は、右も左もわからない異世界で、夢をかなえることができるのか。  可能な限りシリアスを排除した超コメディ異世界転移生活、はじまります。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

異世界超能力だより!~魔法は使えませんが超能力なら使えます~

Mikura
ファンタジー
 その日、明日見 遥(あすみ はるか)は見知らぬ森の中で目を覚ました。  だが超能力者である彼女にとってそれはあり得ないことではない。眠っている間に誤って瞬間移動を使ってしまい、起きたら知らない場所にいるということはままあるからである。だから冷静に、家に戻ろうとした。しかし何故か能力を使っても家に戻ることができない。千里眼を使って見れば見慣れぬ髪色の人間だらけ、見慣れぬ文字や動植物――驚くべきことに、そこは異世界であった。  元の世界に戻る道を探すべくまずはこの世界に馴染もうとした遥だったが、重大な問題が発生する。この世界では魔力の多さこそが正義。魔法が使えない者に人権などない。異世界人たる遥にも、勿論魔法は使えない。  しかし彼女には、超能力がある。使える力は魔法と大差ない。よし、ならば超能力を使って生きていくしかないと心に決めた。  ――まずはそこの、とても根が良さそうでお人好しで困っている人間を放っておけないタイプらしいお兄さん、申し訳ないが私が生きるために巻き込まれてください。  これは超能力少女が異世界でなんやかんやと超能力を駆使してお人よしのお兄さんを巻き込みつつ、のんびり(自称)と暮らす物語である。

処理中です...