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38何も見ないで② ※
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ぐっと腰を引いたかと思えば、次の瞬きでハヤセの肉を抉っていた。きつく締まった尻穴が先までのように脈動して迎えてくれる。
だが気を緩めれば押し返される。どうにか力を加減しようにも、アルベールはその塩梅が掴めないでいた。
「ぐっ、ハヤセ……」
「ひ……いっ、うぐ……ぅっ……」
ハヤセはぎゅっと目を閉じて、性交の痛みに悶絶した。身体が真っ二つに割れるような衝撃。後から追ってくる内側への鋭い圧迫感。
我慢しなければ痛みで涙が出そうになる。これが人の営みの一部にあるだなんて、信じられなかった。
「あ……アルベール!!」
押し入ろうとしてくる異物が太すぎることを、饒舌にハヤセの頭は訴えてくる。もう無理、無理だからと口は動くのに、喉元でそれがつかえる。
「はっ、はじめて……げほっ!!だから!!ああっ」
肉の隙間を分け入って進んでくるのが堪らなく苦しい。ハヤセは息をする気道すらも埋められていく感覚があった。
脚を抱えるようにしてくるアルベールの剛腕。割れた腹筋を手で押し返しても、何の抵抗にもならなかった。
「俺もだ。こんなに気持ちいいなんて……」
アルベールは竿の真ん中まで至ったところで一度止まった。あまりに締まりが良すぎて夢中になってしまう。その興奮の熱が爆発寸前のところまで来ていた。
なんて色香だろう。アルベールはハヤセへの感慨を手放しで悦んだ。
その首筋、頬や顎にかけて、腕周りや未開の乳首にだって口づけしてやりたい。ハヤセが自分のものであると証になるものを残したい。歯止めがきかない。彼の歪んだ身体の上で、皇太子にあるまじき惚気がいくつでも出せそうだった。
「また動くぞ」
狩りをする獣のような目つきでアルベールは目下の人を捉える。そしてそれとは知らず、相手はすっかり疲弊しきっていた。
「ふ……うぅっ」
「力を抜け。もうすぐ、入りきる」
窮屈な穴にメリメリと侵入する。弩級の大きさと太さに加え、鉄の棒のように硬さも備えている代物だ。
案の定、愛撫や潤滑液が意味を成していないように見えるほど、ハヤセは痛がった。その小さな開口部では、奥まで突っ込むことも忍びない。迂闊に力を込めないようズルズルと肉棒を密着させていく。
「っぅ……、いっ!!」
根元まで丸ごと入りこみ、肉棒の温かい熱がまとわりつく。なおもハヤセは荒い呼吸を続けている。快楽なんてどこにも見当たらない。そんな呻き声と共に苦しみはいっそう増すばかりだった。
「ぬい……てっ」
骨の髄まで悲鳴をあげている。そんなハヤセの限界をよそに、アルベールの昂りは最高潮に達していた。
腰の動きは皆無だがそれも問題にはならない。それを度外視するほどハヤセと深く繋がり合っていることに興奮した。包むように相手を抱いてやると、これも情念をいっそう高めるのに役立った。
ハヤセを視界に入れながら、欲望まみれの肉棒を小刻みに動かしていく。苦悶の声が聞こえてくるのも問題外だった。
「あっ……!!、、だっ……め」
意識が浮つく中で、ハヤセは身が焼けそうなほどの熱を感じていた。下腹部に溜まっていく熱の塊。勢いよく内部で放たれる欲の源。
望みのままに動いていたアルベールが突如として力を抜いた。
「はぁ……はぁ。最高だ」
相手もまた何か出したのだとハヤセは否応なく思い知った。それも尻の穴の中で。
彼の愉悦の顔を、見上げるのは精神的にきつかった。どうしても心に穴が開いた最低な気分になる。
「ハヤセ……」
黒髪をかき上げるようにして撫でてくる。揺れる青い瞳には、痴態に乱れきった己の姿。
熱くて、痛い。どこもミシミシと骨が鳴るほどに。四肢が壊れて動かないのではとかすかに疑った。
「見ないで……なにも」
ハヤセは虚ろ目になって、アルベールにそう告げた。情交の終わり、いや始まりにあって、二人は微睡みの中を行ったり来たりしていた。
だが気を緩めれば押し返される。どうにか力を加減しようにも、アルベールはその塩梅が掴めないでいた。
「ぐっ、ハヤセ……」
「ひ……いっ、うぐ……ぅっ……」
ハヤセはぎゅっと目を閉じて、性交の痛みに悶絶した。身体が真っ二つに割れるような衝撃。後から追ってくる内側への鋭い圧迫感。
我慢しなければ痛みで涙が出そうになる。これが人の営みの一部にあるだなんて、信じられなかった。
「あ……アルベール!!」
押し入ろうとしてくる異物が太すぎることを、饒舌にハヤセの頭は訴えてくる。もう無理、無理だからと口は動くのに、喉元でそれがつかえる。
「はっ、はじめて……げほっ!!だから!!ああっ」
肉の隙間を分け入って進んでくるのが堪らなく苦しい。ハヤセは息をする気道すらも埋められていく感覚があった。
脚を抱えるようにしてくるアルベールの剛腕。割れた腹筋を手で押し返しても、何の抵抗にもならなかった。
「俺もだ。こんなに気持ちいいなんて……」
アルベールは竿の真ん中まで至ったところで一度止まった。あまりに締まりが良すぎて夢中になってしまう。その興奮の熱が爆発寸前のところまで来ていた。
なんて色香だろう。アルベールはハヤセへの感慨を手放しで悦んだ。
その首筋、頬や顎にかけて、腕周りや未開の乳首にだって口づけしてやりたい。ハヤセが自分のものであると証になるものを残したい。歯止めがきかない。彼の歪んだ身体の上で、皇太子にあるまじき惚気がいくつでも出せそうだった。
「また動くぞ」
狩りをする獣のような目つきでアルベールは目下の人を捉える。そしてそれとは知らず、相手はすっかり疲弊しきっていた。
「ふ……うぅっ」
「力を抜け。もうすぐ、入りきる」
窮屈な穴にメリメリと侵入する。弩級の大きさと太さに加え、鉄の棒のように硬さも備えている代物だ。
案の定、愛撫や潤滑液が意味を成していないように見えるほど、ハヤセは痛がった。その小さな開口部では、奥まで突っ込むことも忍びない。迂闊に力を込めないようズルズルと肉棒を密着させていく。
「っぅ……、いっ!!」
根元まで丸ごと入りこみ、肉棒の温かい熱がまとわりつく。なおもハヤセは荒い呼吸を続けている。快楽なんてどこにも見当たらない。そんな呻き声と共に苦しみはいっそう増すばかりだった。
「ぬい……てっ」
骨の髄まで悲鳴をあげている。そんなハヤセの限界をよそに、アルベールの昂りは最高潮に達していた。
腰の動きは皆無だがそれも問題にはならない。それを度外視するほどハヤセと深く繋がり合っていることに興奮した。包むように相手を抱いてやると、これも情念をいっそう高めるのに役立った。
ハヤセを視界に入れながら、欲望まみれの肉棒を小刻みに動かしていく。苦悶の声が聞こえてくるのも問題外だった。
「あっ……!!、、だっ……め」
意識が浮つく中で、ハヤセは身が焼けそうなほどの熱を感じていた。下腹部に溜まっていく熱の塊。勢いよく内部で放たれる欲の源。
望みのままに動いていたアルベールが突如として力を抜いた。
「はぁ……はぁ。最高だ」
相手もまた何か出したのだとハヤセは否応なく思い知った。それも尻の穴の中で。
彼の愉悦の顔を、見上げるのは精神的にきつかった。どうしても心に穴が開いた最低な気分になる。
「ハヤセ……」
黒髪をかき上げるようにして撫でてくる。揺れる青い瞳には、痴態に乱れきった己の姿。
熱くて、痛い。どこもミシミシと骨が鳴るほどに。四肢が壊れて動かないのではとかすかに疑った。
「見ないで……なにも」
ハヤセは虚ろ目になって、アルベールにそう告げた。情交の終わり、いや始まりにあって、二人は微睡みの中を行ったり来たりしていた。
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