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53あくまで平和な②
しおりを挟む葉瑠は生徒会の雑務に追われていて中々和真と話しが出来ないでいた。
(和真君の教室にいこうかな)
「和真君と話せるかも」
善は急げだ。葉瑠は早歩きで二年生の教室を目指した。
長い渡り廊下を渡った先の階段を登り、少し歩いた所に二年生の教室はある。
「和真君いる?」
「生徒会長が呼んでるよ~」
男子生徒が和真に声をかけてくれたのだ。
(助かるよ)
「葉瑠君!」
和真は葉瑠に気がつくと笑顔で駆け寄ってきた。
「和真君」
「生徒会の用事?」
和真は葉瑠が手に持っているプリントを見て察したようだ。
「うん、今日中にこれを片付けたかったんだ。でももう終わるから一緒に帰れるよ」
「じゃあ待ってるよ」
「わかった」
葉瑠は急いでプリントを職員室に持って行き、和真の元へと戻ってきた。
「お待たせ。帰ろうか」
「うん」
二人は肩を並べて歩く。
生徒会の仕事が忙しいからだろう、学校内でこうして二人で話すのは久しぶりだ。
「生徒会の仕事はどう?大変?」
和真が聞いてくる。
「まぁね」
葉瑠は笑って答える。
そんな何気ない会話をしながら帰るこの時間も好きだと思った。
「葉瑠君は生徒会長やってて凄いよ」
「そんな事ないよ。ただ皆より少し勉強が出来るだけで」
「葉瑠君なら絶対いい生徒会長になるよ」
「ありがとう」
葉瑠は照れながら礼を言った。
和真と一緒に歩いているとあっという間に別れ道まできてしまった。
名残惜しいが葉瑠はまた明日と挨拶をした。
「ねぇ葉瑠君、今度の日曜空いてる?」
「うん、特に予定はないけど」
「じゃあさ、映画観に行こうよ」
「え」
葉瑠は戸惑った。
「もしかして何か予定あった?」
「いや、ないけど・・・」
葉瑠は戸惑う。和真君とデートみたいだ。どうしよう、嬉しい。
「あ、嫌ならいいけど」
和真は葉瑠が戸惑っているのを見て気を使ったのだろう。
(違うよ!嬉しいのに!)
葉瑠は慌てて否定する。
「嫌なわけないよ!」
「そう?良かった」
そんな会話をしながら二人は別れたのだった。
日曜日の朝。
葉瑠は家の鏡で何度も自分の格好を確認した。
(大丈夫、かっこよく決まったはずだ)
今日のデートの為に買ったジャケットを身に纏い、髪の毛をセットし直す。
(和真君喜んでくれるかな)
葉瑠は玄関を出て待ち合わせの駅前へと向かった。
駅に着くとすでに和真の姿があった。
花がらプリント襟シャツ、細身のショートパンツといったシンプルな服装だ。
それでも雑誌に載っているモデルのように着こなしている。
和真は葉瑠の姿を見つけると、嬉しそうに手を振った。
葉瑠も笑顔で手を振り返した。
「可愛いよ和真君」
「葉瑠君もかっこいいよ」
二人は照れながら笑いあう。
「映画までまだ時間あるけど、どうする?」
「じゃあ少しブラブラしようか」
和真の提案で二人は駅の周りを散歩する事にした。
休日の駅前はカップルや家族連れで賑わっていた。
和真と他愛のない会話を交わしながら歩いていると、前から見知った顔が歩いてきた。
葉瑠の親戚の男の子だ。
「葉瑠さんデートですか?似合ってますよ」
「ありがとう」
「友達?」
和真が聞く。
「うん、親戚の子だよ」
葉瑠は答える。すると男の子は何か閃いたように手を叩いた。
「デート楽しんで下さいね」
「うん、ありがとう」
葉瑠は男の子に手を振る。
「デートだってさ」
和真が茶化すように言う。
「そうだね」
葉瑠も照れながら答える。
(なんだか恥ずかしいな)
二人はその後も街をブラブラと歩き回った。
そして映画館に着くと丁度上映時間だったのでそのまま席についた。
映画の内容は恋愛物だった。しかし内容はよくある内容だ。
ただヒロイン役の女優の演技が上手く、感情移入しやすかったので飽きずに観れた。
映画を観終わると、二人は近くのカフェでお昼を食べる事にした。
そこは落ち着いた雰囲気の店で、窓からは街が一望出来た。
葉瑠はパスタセットを頼み、和真はオムライスセットを頼む。
料理が来るまでの間、他愛のない会話を交わす。
そんな時間が葉瑠には幸せだった。
(ずっとこんな日が続けばいいな)
「和真君、ケチャップついてる」
「え、どこ?」
「ここ」
葉瑠は和真の頬についていたケチャップを指で拭うとそれを口に運んだ。
「あ・・・」
和真の顔が赤くなる。
(かわいい)
葉瑠は思わず笑みをこぼした。
食事を終えた二人は駅に向かって歩いていた。
もう日が傾き始めている。楽しい時間はあっという間だ。
「今日は楽しかったよ」
「また行こうね」
「和真君、帰したくないな」
葉瑠はボソッと呟いた。
和真が葉瑠の手を握る。
「俺も帰りたくない、家に行ってもいい?」
「うん」
二人は葉瑠の家へと向かった。
家に着くと、和真は緊張した面持ちで家の中に入った。
「お邪魔します」
「親はいないから気を使わなくていいよ」
「そうなんだ・・・」
(あれ?)
葉瑠は何か違和感を感じた。和真君緊張してる?可愛いな。
「葉瑠君の部屋に行きたい」
「いいよ、こっちだよ」
葉瑠は和真を自分の部屋に案内した。
部屋に入ると二人はベッドに腰掛けた。
「今日は楽しかったよ」
「俺も楽しかった」
和真が照れくさそうに笑う。
そんな表情も可愛いなと思いながら葉瑠は言った。
「ねぇ、キスしていい?」
(何言ってるんだろ)自分の言葉に驚きながらも葉瑠は続けた。
「うん・・・」
和真は小さく答えると目を閉じた。葉瑠は和真の肩を掴み引き寄せると唇を重ねた。
柔らかい感触を味わいながら舌を絡ませる。
(気持ちいい)
二人は長い時間そうしていた。
和真の顔を見ると上気しているようだった。目が潤んでいるように見える。
(可愛いな)
葉瑠は再びキスをしたくなったが我慢した。これ以上したら歯止めが効かなくなるかもしれないと思ったからだ。
「和真君…僕を好きになってもらえるように頑張るから」
「うん」
和真は葉瑠の胸に顔を埋めた。
「ずっと一緒にいてね」
「もちろんだよ」
二人はこれからもずっと一緒だと心に誓った。
それから葉瑠は和真に好かれる為に努力した。
生徒会の仕事も今まで以上に頑張ったし、勉強も人一倍やった。
そして何より和真の事を第一に考え行動するようにした。
(和真君をずっと大切にするからね)
葉瑠は心に呟いたのだった。
end
(和真君の教室にいこうかな)
「和真君と話せるかも」
善は急げだ。葉瑠は早歩きで二年生の教室を目指した。
長い渡り廊下を渡った先の階段を登り、少し歩いた所に二年生の教室はある。
「和真君いる?」
「生徒会長が呼んでるよ~」
男子生徒が和真に声をかけてくれたのだ。
(助かるよ)
「葉瑠君!」
和真は葉瑠に気がつくと笑顔で駆け寄ってきた。
「和真君」
「生徒会の用事?」
和真は葉瑠が手に持っているプリントを見て察したようだ。
「うん、今日中にこれを片付けたかったんだ。でももう終わるから一緒に帰れるよ」
「じゃあ待ってるよ」
「わかった」
葉瑠は急いでプリントを職員室に持って行き、和真の元へと戻ってきた。
「お待たせ。帰ろうか」
「うん」
二人は肩を並べて歩く。
生徒会の仕事が忙しいからだろう、学校内でこうして二人で話すのは久しぶりだ。
「生徒会の仕事はどう?大変?」
和真が聞いてくる。
「まぁね」
葉瑠は笑って答える。
そんな何気ない会話をしながら帰るこの時間も好きだと思った。
「葉瑠君は生徒会長やってて凄いよ」
「そんな事ないよ。ただ皆より少し勉強が出来るだけで」
「葉瑠君なら絶対いい生徒会長になるよ」
「ありがとう」
葉瑠は照れながら礼を言った。
和真と一緒に歩いているとあっという間に別れ道まできてしまった。
名残惜しいが葉瑠はまた明日と挨拶をした。
「ねぇ葉瑠君、今度の日曜空いてる?」
「うん、特に予定はないけど」
「じゃあさ、映画観に行こうよ」
「え」
葉瑠は戸惑った。
「もしかして何か予定あった?」
「いや、ないけど・・・」
葉瑠は戸惑う。和真君とデートみたいだ。どうしよう、嬉しい。
「あ、嫌ならいいけど」
和真は葉瑠が戸惑っているのを見て気を使ったのだろう。
(違うよ!嬉しいのに!)
葉瑠は慌てて否定する。
「嫌なわけないよ!」
「そう?良かった」
そんな会話をしながら二人は別れたのだった。
日曜日の朝。
葉瑠は家の鏡で何度も自分の格好を確認した。
(大丈夫、かっこよく決まったはずだ)
今日のデートの為に買ったジャケットを身に纏い、髪の毛をセットし直す。
(和真君喜んでくれるかな)
葉瑠は玄関を出て待ち合わせの駅前へと向かった。
駅に着くとすでに和真の姿があった。
花がらプリント襟シャツ、細身のショートパンツといったシンプルな服装だ。
それでも雑誌に載っているモデルのように着こなしている。
和真は葉瑠の姿を見つけると、嬉しそうに手を振った。
葉瑠も笑顔で手を振り返した。
「可愛いよ和真君」
「葉瑠君もかっこいいよ」
二人は照れながら笑いあう。
「映画までまだ時間あるけど、どうする?」
「じゃあ少しブラブラしようか」
和真の提案で二人は駅の周りを散歩する事にした。
休日の駅前はカップルや家族連れで賑わっていた。
和真と他愛のない会話を交わしながら歩いていると、前から見知った顔が歩いてきた。
葉瑠の親戚の男の子だ。
「葉瑠さんデートですか?似合ってますよ」
「ありがとう」
「友達?」
和真が聞く。
「うん、親戚の子だよ」
葉瑠は答える。すると男の子は何か閃いたように手を叩いた。
「デート楽しんで下さいね」
「うん、ありがとう」
葉瑠は男の子に手を振る。
「デートだってさ」
和真が茶化すように言う。
「そうだね」
葉瑠も照れながら答える。
(なんだか恥ずかしいな)
二人はその後も街をブラブラと歩き回った。
そして映画館に着くと丁度上映時間だったのでそのまま席についた。
映画の内容は恋愛物だった。しかし内容はよくある内容だ。
ただヒロイン役の女優の演技が上手く、感情移入しやすかったので飽きずに観れた。
映画を観終わると、二人は近くのカフェでお昼を食べる事にした。
そこは落ち着いた雰囲気の店で、窓からは街が一望出来た。
葉瑠はパスタセットを頼み、和真はオムライスセットを頼む。
料理が来るまでの間、他愛のない会話を交わす。
そんな時間が葉瑠には幸せだった。
(ずっとこんな日が続けばいいな)
「和真君、ケチャップついてる」
「え、どこ?」
「ここ」
葉瑠は和真の頬についていたケチャップを指で拭うとそれを口に運んだ。
「あ・・・」
和真の顔が赤くなる。
(かわいい)
葉瑠は思わず笑みをこぼした。
食事を終えた二人は駅に向かって歩いていた。
もう日が傾き始めている。楽しい時間はあっという間だ。
「今日は楽しかったよ」
「また行こうね」
「和真君、帰したくないな」
葉瑠はボソッと呟いた。
和真が葉瑠の手を握る。
「俺も帰りたくない、家に行ってもいい?」
「うん」
二人は葉瑠の家へと向かった。
家に着くと、和真は緊張した面持ちで家の中に入った。
「お邪魔します」
「親はいないから気を使わなくていいよ」
「そうなんだ・・・」
(あれ?)
葉瑠は何か違和感を感じた。和真君緊張してる?可愛いな。
「葉瑠君の部屋に行きたい」
「いいよ、こっちだよ」
葉瑠は和真を自分の部屋に案内した。
部屋に入ると二人はベッドに腰掛けた。
「今日は楽しかったよ」
「俺も楽しかった」
和真が照れくさそうに笑う。
そんな表情も可愛いなと思いながら葉瑠は言った。
「ねぇ、キスしていい?」
(何言ってるんだろ)自分の言葉に驚きながらも葉瑠は続けた。
「うん・・・」
和真は小さく答えると目を閉じた。葉瑠は和真の肩を掴み引き寄せると唇を重ねた。
柔らかい感触を味わいながら舌を絡ませる。
(気持ちいい)
二人は長い時間そうしていた。
和真の顔を見ると上気しているようだった。目が潤んでいるように見える。
(可愛いな)
葉瑠は再びキスをしたくなったが我慢した。これ以上したら歯止めが効かなくなるかもしれないと思ったからだ。
「和真君…僕を好きになってもらえるように頑張るから」
「うん」
和真は葉瑠の胸に顔を埋めた。
「ずっと一緒にいてね」
「もちろんだよ」
二人はこれからもずっと一緒だと心に誓った。
それから葉瑠は和真に好かれる為に努力した。
生徒会の仕事も今まで以上に頑張ったし、勉強も人一倍やった。
そして何より和真の事を第一に考え行動するようにした。
(和真君をずっと大切にするからね)
葉瑠は心に呟いたのだった。
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