ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿

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36散らして絡まる① ※

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 それから幾度となくルイはレオポルドに唇を奪われた。軽いものだと楽観視していた行為は、しだいに長く深いものとなっていく。王子はがむしゃらにルイの口を暴き、口内を犯す。

「ルイ、これでいいか」

「ん……たぶん」

 ルイの上で馬乗りになっているレオポルドは、細かく具合を確かめてくる。力がうまく是正されているのか、ルイを囲う剛腕には隙間が作られる。キスをされて気持ちが精いっぱいのルイに比べ、王子の方がよほど気遣いが行き届いていた。

「舌を入れてもいいか」

「まっ、まって……。ちょっとだけ」

 手で距離を稼ごうとしても無駄なことはわかっている。わかっていてもルイは手をレオポルドの肩にかけて、ぐいと力を込めた。抵抗は虚しく、やはり相手はビクともしなかった。

 中肉中背のルイでも押し返すことが敵わない。改めて、なんて肉体をしているんだろうと身ぶるいがした。筋骨隆々の腹部から、盛り上がった胸筋にかけての男らしい体躯。その威圧感は際立っている。


 首筋、耳の先、髪にいたるまでを王子は唇に押し当てて、その勢いのままに迫ってくる。先ほどの口づけが嘘のように、激しい。首とあごの中間をやさしく掴まれて、ルイは身動きできないままに愛撫を受けた。

「ふっ……、んんっ」

 口のなかに流れてくる唾液の量に、ルイは背筋にぞくりと寒気が走った。一滴漏らさず、レオポルドは巧みに相手との交合を繰り返してくる。
 
(なんでこんなに上手いんだ)

 初めての人間の仕込みとは思えない。彼が儀礼に向けて、入念に準備をしていたということだろうか。この日のために技能を磨くなんて馬鹿げている。しかし、レオポルドならばそれもやりかねないという、謎の説得力があるのも確かだった。

「まっ……てよ。激しっ……」

「恥なんて、捨てちまえよ」

 肩を叩いても止めてくれる気配はない。見上げた先には獣のようなレオポルドの双眼、見るだけで足がすくんでしまう。頭のなかが水のように溶けていき、ぐらぐらと視界が揺らぐ。

「これも、いらないよな」

 レオポルドはルイの下着のなかに手をいれて、するりとはぎ取ってしまう。ルイは肌を隠すものがないことを知っても、焦りも困惑も相手に示すことはできなかった。
 なおも舌と舌を交じり合わせてくるから、王子に訴えかける術はない。

 まどろっこしさに身体がむずむずする。ルイは口元が緩み切って、疼いた身体も急速に王子に開かれていった。

「ふ……んぅう!!」

 不意に身体を撫でられて、ルイは驚き飛び跳ねた。上半身をくまなく触られるのが、これほど不愉快なこととは知らなかった。屈辱と、ほのかに身体が熱くなっていく感覚。きっと相手がレオポルドでなかったなら、舌を噛みちぎって腕の関節をひねっているところだった。できるかできないかはさておき、同性に愛撫されている現実から逃げたくなっていただろう。

「足を広げてもいいか?」

「まって……やだ。ほんとに、やすませて……」

 久しぶりに口が自由になって、外の空気を十分に味わった。ぜいぜいとルイが息をつく横目には、レオポルドが獲物を狙うような目をしていた。

「こわいから。まってよ……、レオポルド様」

「ルイの裸体を見て、俺が待てるわけがないだろう」

 ぐっと顔を寄せられて、キスを交わす。水の渇きを訴えるように、レオポルドはルイの唾液に執着した。
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