カラダの恋人

フジキフジコ

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ヒミツの恋人【第二部】

7.心を震わせて

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オレの勉強机の回転椅子に座っていた陸が、ベッドに腰かけていたオレの横に来る。
そしていきなりオレを抱きしめて、「シノ、オレ、傷ついたんだからね」と言った。
大抵の場合、オレたちの喧嘩は陸が原因のことが多い。
でも今回のことは、オレが悪かったって思うから、オレは素直に「ごめん」と誤った。
陸はオレを抱きしめたまま、オレの身体の上に伸しかかって、オレをベッドに寝かせる。

「ちょっ、陸、家はだめだよ。下に母さん、いるんだから」
「ちょっとだけ…」
言って陸はオレの首筋に顔を埋める。
なんでそんなとこで感じるのかわからないけど、舌で舐められる感触に身体がゾクゾクする。
陸はオレのシャツの裾の間から手を入れて、胸の突起を弄る。
指でつまんだり、押しつぶすようにこねたり。
はじめの頃は大雑把な性格のまま、愛撫もなにもかもが雑だったくせに、陸はどんどんこういうことをするのが、上手くなっていった。
いったいどこで学んで来るんだか。

感心していると、オレのシャツは上の方にたくしあげられていて、陸は露になった乳首に吸いついている。
膨らみのない平らな胸の小さな粒を、丁寧に丁寧にしゃぶる。
身体に感じる快感よりも、オレはそういう陸の態度にほだされる、いつも。
そんな風にしてくれるなら、もうなんでもおまえの好きにしろよ、って思う。
だからいつかきっと、オモチャを使うことだって許してしまうんだ。
でも、オレはそんなもので身体の中をバイブレーションさせて気持ちよくなりたいわけじゃない。
陸の気持ちで、心を震わせて欲しい。
オレのことを好きだって、想いで、心を感じさせて欲しいんだよ、陸。

陸の手が、オレのジーンズの前を開けて半勃のそれに触れる。
「やだっ…陸、どこまでするつもりだよ」
「ごめん…シノ、我慢出来ないから。シノが声、我慢して」
「無理…やっ…あっ」
パンツの上からちょっと擦られただけで、ほら、声、出ちゃうよ。
オレの制止なんておかまいなしで、陸はオレのジーンズとパンツを脱がせてしまった。
下半身だけ裸という自分の滑稽な格好に、羞恥心を煽られる。
陸はもう後戻りの利かない興奮した目で、オレの性器を扱く。

「あ…あ…ん…りく…」
「ダメだって、静かにして。シノ」
耳に吹き込むようにそう言って、オレを黙らせるためみたいに唇を合わせてきた。
「あ…」
オレはそれしか方法がないみたいに、陸の舌に吸いついた。
陸がオレの乳首を吸ったように、オレは陸の舌を丁寧に、夢中になって吸う。
唾液が唇の端から垂れた。
オレの性器を扱く陸の手が滑らかになった気がする。
多分、オレの先走りのせいだ。
大きな手がリズミカルに棹を扱く。
時々、手を止めて指先で先端の割目を弄る。
イヤらしい手と指にどこまでも追い立てられる。

ああ、もうイク!
思った瞬間に陸は手を離した。
「え?なんで」
そこで止めるなよ、という目で陸を見ると、陸は自分のジーンズの後ろポケットをゴソゴソと探って、コンドームと小さな小瓶を取り出した。
「おまえ、まさか、最後までやるつもり?」
「うん、そう」
言いながら、陸は自分のジーズンと下着を脱いで、オレと同じように下半身だけを露出した。
オレが唖然としていると、オレの身体をひっくり返した。
「お、おい!」
オレに腰を上げさせて、尻の蕾に、オイルに濡れた指を入れた。
「念のためにオイルとコンドーム持ってきて良かった」
語尾に(はぁと)とつけいたような弾んだ声で言った。

おまえーーー!
最初っからヤルつもりで用意して来ただけだろーっ!
そう思っても、もうオレにはどうすることも出来ない。
快楽に弱いのは、オレも同じだった。
こんなに火のついた身体、陸に預ける以外、鎮める方法を知らない。



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