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ヒミツの恋人【第二部】
5.小悪魔ガール
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「四ノ宮君」
考え事をしながら歩いていたせいで、声をかけられたことに気づくのに遅れた。
振り返ると、同じゼミの浅岡麻美さんだった。
「もう、何度も呼んだのよ」
浅岡さんはほっぺを膨らませて、言った。
ワザとらしい仕草だけど、ちょっと丸顔で背の低い女の子らしい彼女には似合っていた。
「ごめん、ぼうとしてて」
「四ノ宮君はいつもぼうとしてるけどね」
さらっとキツイことを言っても、口調が甘ったるくて怒る気になれない。
女の子って得だなあ、なんて思う。
「えっと、それでなんか用?」
「あっ、あのね。突然こんなこと言ったら驚くと思うけど、四ノ宮君って今付き合ってる子、いる?」
一瞬、陸の顔が浮かんで、オレは慌てたようにぶんぶん首を振った。
頭に浮かべても、彼女にバレるわけでもないのに。
「い、いないよ。誰とも付き合ってない」
「ホントウ?よかった!」
右手と左手を鼻の前で合せて、浅岡さんは微笑んだ。
「ねえ、じゃあ、私と付き合ってくれない?」
一瞬何を言われたのか、理解出来ず、やっと脳が反応したときにはオレは「えっ!」と叫んでしまっていた。
「ダメかなあ?」
小首を傾げて、上目使いに言う。
今まで意識して見たことなかったけど、浅岡さんは仕草がいちいち女の子っぽい。
なんて言うか、可愛い。
オレの顔は多分、真っ赤になっていたと思う。
だけど、半分冷静な頭の中は、当然この告白を受け入れることはできないとわかっていた。
そんなことをした日には陸がどんな騒ぎ方をするか、想像しただけで鬱陶しくてゲンナリする。
「浅岡さん、あのさあ、気持ちはすごく嬉しいんだけど、今オレ、そういう気なくて…ごめん」
オレは精一杯思いやりを込めて、惜しい気持ちも表わしつつ、それでもきちんと断った。
ところが浅岡さんは神妙な顔をして、じーとオレを見た。
「な、なに?」
「やっぱり、あの噂って本当なの?」
「あの噂って?」
「四ノ宮君が実はゲイで、加藤君と付き合ってるって」
バレてる、バレてる!バレてるよーっ!!!!
オレは世間のみなさんの洞察力と観察眼に驚き、そして焦った。
身体中からイヤな汗が流れ、心臓はドキドキと早鐘を打つ。
多分顔色は真っ青になってることだろう。
「そ、そ、そんなワケないじゃん。オ、オ、オレはホモじゃないよっ!」
どうして人は嘘をつくとき、声がひっくり返ってしまうんだろう。
こんな言い方じゃ、説得力ないよ、絶対、疑惑を深めたよ。
浅岡さんは、「ふーん」と言って、オレににじり寄ってきた。
嘘か真実かを見極めるような目で下から覗きこむようにじっと見てくる。
背が低いせいで、オレの視界にはキャミソールの隙間から小柄な体に似合わないふくよかな胸の谷間がバッチリ見えた。
しかもレースのついた薄いブルーのブラまで。
「うっ」
股間が正直に反応してしまい、オレは若干身を屈めた。
露骨だったせいか、浅岡さんは小さな声で「いやん」と呟いて、頬を染めてオレの胸を押した。
「もう四ノ宮君ってば、エッチ。やっぱりゲイだなんて、嘘だったのね」
オレは黙って首だけ頷いた。
お願いだから、そう言うことにしておいてください。
「だったら、問題ないわよね。ゲイじゃなくて、今、付き合ってる子がいないなら、私と付き合ってくれるでしょ」
「や…それとこれとは」
「なんだ、やっぱりゲイなの」
「ち、ち、違うけど」
「じゃあ、いいじゃない」
どういう思考回路をしてるんだ。
可愛い顔が悪魔に見えてきた。
オレはこの不毛なやり取りを終わらせたい一心で、気づいたときには結局浅岡さんと付き合うことに同意してしまっていた。
考え事をしながら歩いていたせいで、声をかけられたことに気づくのに遅れた。
振り返ると、同じゼミの浅岡麻美さんだった。
「もう、何度も呼んだのよ」
浅岡さんはほっぺを膨らませて、言った。
ワザとらしい仕草だけど、ちょっと丸顔で背の低い女の子らしい彼女には似合っていた。
「ごめん、ぼうとしてて」
「四ノ宮君はいつもぼうとしてるけどね」
さらっとキツイことを言っても、口調が甘ったるくて怒る気になれない。
女の子って得だなあ、なんて思う。
「えっと、それでなんか用?」
「あっ、あのね。突然こんなこと言ったら驚くと思うけど、四ノ宮君って今付き合ってる子、いる?」
一瞬、陸の顔が浮かんで、オレは慌てたようにぶんぶん首を振った。
頭に浮かべても、彼女にバレるわけでもないのに。
「い、いないよ。誰とも付き合ってない」
「ホントウ?よかった!」
右手と左手を鼻の前で合せて、浅岡さんは微笑んだ。
「ねえ、じゃあ、私と付き合ってくれない?」
一瞬何を言われたのか、理解出来ず、やっと脳が反応したときにはオレは「えっ!」と叫んでしまっていた。
「ダメかなあ?」
小首を傾げて、上目使いに言う。
今まで意識して見たことなかったけど、浅岡さんは仕草がいちいち女の子っぽい。
なんて言うか、可愛い。
オレの顔は多分、真っ赤になっていたと思う。
だけど、半分冷静な頭の中は、当然この告白を受け入れることはできないとわかっていた。
そんなことをした日には陸がどんな騒ぎ方をするか、想像しただけで鬱陶しくてゲンナリする。
「浅岡さん、あのさあ、気持ちはすごく嬉しいんだけど、今オレ、そういう気なくて…ごめん」
オレは精一杯思いやりを込めて、惜しい気持ちも表わしつつ、それでもきちんと断った。
ところが浅岡さんは神妙な顔をして、じーとオレを見た。
「な、なに?」
「やっぱり、あの噂って本当なの?」
「あの噂って?」
「四ノ宮君が実はゲイで、加藤君と付き合ってるって」
バレてる、バレてる!バレてるよーっ!!!!
オレは世間のみなさんの洞察力と観察眼に驚き、そして焦った。
身体中からイヤな汗が流れ、心臓はドキドキと早鐘を打つ。
多分顔色は真っ青になってることだろう。
「そ、そ、そんなワケないじゃん。オ、オ、オレはホモじゃないよっ!」
どうして人は嘘をつくとき、声がひっくり返ってしまうんだろう。
こんな言い方じゃ、説得力ないよ、絶対、疑惑を深めたよ。
浅岡さんは、「ふーん」と言って、オレににじり寄ってきた。
嘘か真実かを見極めるような目で下から覗きこむようにじっと見てくる。
背が低いせいで、オレの視界にはキャミソールの隙間から小柄な体に似合わないふくよかな胸の谷間がバッチリ見えた。
しかもレースのついた薄いブルーのブラまで。
「うっ」
股間が正直に反応してしまい、オレは若干身を屈めた。
露骨だったせいか、浅岡さんは小さな声で「いやん」と呟いて、頬を染めてオレの胸を押した。
「もう四ノ宮君ってば、エッチ。やっぱりゲイだなんて、嘘だったのね」
オレは黙って首だけ頷いた。
お願いだから、そう言うことにしておいてください。
「だったら、問題ないわよね。ゲイじゃなくて、今、付き合ってる子がいないなら、私と付き合ってくれるでしょ」
「や…それとこれとは」
「なんだ、やっぱりゲイなの」
「ち、ち、違うけど」
「じゃあ、いいじゃない」
どういう思考回路をしてるんだ。
可愛い顔が悪魔に見えてきた。
オレはこの不毛なやり取りを終わらせたい一心で、気づいたときには結局浅岡さんと付き合うことに同意してしまっていた。
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