カラダの恋人

フジキフジコ

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続ココロの恋人(高校生編)

1.佐倉の憂鬱

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「なあ、いいだろ?」
オレのチャックを下ろしたズボンの中に手を入れて、紺野がおねーちゃんを口説いているオヤジみたいな卑猥なことを言う。

股間を蹴り上げてやりたいところだが、パンツの上から触られたオレのそれもすっかり元気ずいちゃってるもんだからいまいちカッコつかない。

いや、そんなことはない、オレの場合は単なる生理現象…オトコなら誰だってこんなふうに撫でたりさすられたりしたら勃つモンは勃つんだ。
必死でそう思ってぶっとびそうな理性の片隅で自分の正常性を確認しようとするけれど、はたしてホントにそうだろうか?と頭の中で誰かがつぶやいている。

「トモぉ」
紺野の囁くような甘い声に、ブンブンと首を振ってオレは答えた。
「ぜったい!だめだからなっ!入れんなーっ!」
「ケチ」

ケチっておまえ、これがそういうモンダイかよ。
こんなことを許しているだけで、オレってなんて慈悲深くトモダチ思いなんだろう、ってオレは思うよ?

そんなことを考えているうちに股間のアレが温かいものに包まれた。
「あっ……や…だっ、こん…のぉ」
ズボンは膝まで下げられ両脚の付け根をがっりち押さえられて、紺野にアレを舐められる。
すっかり覚えてしまった快感につい変な声が出てしまう。
こんなことに慣れる日が来たなんてまったく怖ろしい。
いまさらながらオレは我が身にふりかかった災難を嘆いた。

紺野とこんなふうになったきっかけというのはまるっきり事故みたいなモンで、お互いにちょっと魔がさした、とかそんな程度でカタがつくハズだったのに、なぜかどんどん深みにハマっていく。

紺野がオレ相手にこういうことをする理由は決まっていて、好きな相手とエッチ出来ない期間の欲望のはけ口だ。
冷静に分析するとなんかすげえ失礼な奴と思うんだけど、一度許してしまうとなかなか二度目は断れなくて、ズルズルともう一年近くもオレたちはこんな関係、こんなってつまりカラダの関係を続けている。

なまじ自分でスルより気持ちいいっていうのがあって、煮え切らない態度をとるオレも悪いとは思うけど。
それにしたってオレは、紺野とこれ以上のことをスル気はない。

今のところオレたちのカラダの関係は、最後の一線はこえていない。
オトコ同士で最後の一線もクソもねえけど、せいぜいお互いのアレを手で擦ってイカせるとか舌で舐めるとかその程度で…いや確かに、恋愛感情もないオトコ同士でそんなことをしてること自体が異常だって言われればそうかもしんないけど、マスターベーションの相互協力と思えば割り切れる。
そのくらいならば。

とりえず今のところオレのカラダは無傷だけど、何を考えてるんだか紺野はオレのアソコに自分のナニを入れたがって、最近、するたびに「いいだろう?」なんて厭らしく聞いてくる。

「いいわけねーだろ、なんでオレがおまえにそんなことまでさせなきゃいけねえんだよっ!」
「でもトモだって気持ちいいんだろ?」
「おまえがヤリたがってんのは、オレのケツの穴に自分のナニを突っ込むことだろーがっ。そんなこと気持ちいいわけねーだろ!痛いよ、痛いに決まってる!なんでも度をこせばヤリ過ぎってモンなの。だいたいなあ、そんなモンが入るわけねーって」
「やってみなきゃわかんねーじゃん。もしかしたらすっげえイイかもしんないよ?」
「そんなに穴に入れたかったなあ、さっさと意中のオンナをオトしてこい!そのコギレイなカオで口説いてきやがれ!」

思えば『入るワケない』『いや入る』という不毛なやり取りを、もう随分長いことしているような気がする。
ハタから聞いたらどんな会話だよ、これ。

だいたい紺野はオレと違って女にはモテるし、本人もいたってノーマルにオンナ好きで、3ケ月周期で彼女を変えている。
一人の女の子と付き合ってる期間はごく短いにしろ、ヤルことはヤッてんだろうに、なんでよりによってオトコのオレのケツの穴になんか入れたがるのか、まったく気が知れない。

けど、紺野が一人の彼女と長続きしない、というのも考えれば不思議な話だ。
高3になる前は、紺野はそんなふうじゃなかった。
そもそも特定のガールフレンドもいなかったし、オレたちは部活に励む健康的で健全な真面目な高校生だった。
その頃の爽やかな自分たちを思い出すと懐かしくて泣きそうだ。

紺野が女の子と短い周期で付き合うようになったのは、宮園先輩にフラれてからだ。
一年前、憧れていた先輩にフラれたショックは相当大きかったみたいで、そのときに人生観が変わってしまったらしい。
かわいそうに。

かわいそうにって、そもそもそうやって紺野に同情したのがオレの運の尽きなんだけど。
しかし今度ばかりはなんとしても身を守ろう。
かわいそうって同情してカマ掘られてたまるかっ。



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