カラダの恋人

フジキフジコ

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【番外編】卒業旅行

3.雨の露天風呂

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「おー、温泉っぽいな」
大浴場のドアを開けて、満足そうにトモが叫ぶ。

湯気に曇った浴場は広々としていたが、修学旅行生の他の一般客は少ないのか結構空いていて、いろんな種類の風呂をハシゴしながらのんびり楽しんだ。

「なあ、トモ。露天風呂行こう、露天」
「え~、雨降ってんじゃん」
大浴場の窓からは外にある露天風呂が見えた。
「いいじゃん、どうせ濡れるんだから」
「そりゃあ、そうだけど。じゃあ、ちょっと行ってみる?」

当然のことながら、露天風呂にはまったく人気がなかった。
ゴツゴツした大きな岩で囲まれた風呂からは白い湯気が立ち上り、温泉特有の硫黄の匂いと、雨のせいか強い新緑の匂いがした。

「ここ、案外雨、あたんねーと思ったら、ほら少し庇があんだな」
トモに言われて上を見上げると、風呂の端の方だけ、藤棚みたいな柵があって、屋根には簾が乗せてあるせいで、完全とはいえないけれど充分それで雨が凌げる。
トモはそこに落ち着いた。

「あ~、やっぱ露天は気持ちいいなあ」
本当に気持ち良さげな顔で、トモが言った。
オレはトモの横に身体を落ち着かせ、さりげなく肩を抱く。

「なあトモ、来て良かった?」
「そうだなあ。最近、忙しかったから、こんなにのんびりした気分になったの久しぶりって気がする」
「よかった、トモがそう言ってくれて。ほら、オレが無理矢理誘ったのに、天気は最悪だし、邪魔な加藤たちはついてくるし、悪かったかなってオレ思って」
「なに言ってんだよ、そんなの紺野のせいじゃねーじゃん。オレは楽しいよ」
「トモ…」

トモの優しい言葉にオレの心は高まる。
こんなに他人の言動で、感情を揺さぶられるなんて癪に障るけど、トモだけは特別だ。
簡単にオレをシアワセにしてしまう。
オレはトモの顔をじっと見つめながら、肩に回した方の手で、トモの項や、耳朶に触れる。

「やめろよ、くすぐってえ」
僅かに身じろぎして嫌がる素振をするけど本気で嫌がってないってわかる。
「トモ…大好き」
オレはトモの耳に唇を寄せて、耳の中に囁いた。
そしてそのまま、耳朶に口づける。
「おいっ」
トモが咎めるためにオレの方を向いた。
すかさず、オレはトモの唇を塞ぐ。

「んっ」
トモが逃げられないように、肩に回した腕に力を込めて押さえ込んだ。
最初は一方的にトモの口の中でオレの舌が動き回るだけだったキスは、やがて諦めたトモが応えて、絡みあった。

キスしながら、トモの髪や、耳やうなじを触っていたオレの両手は、別のものに触れたくて疼きだす。
片手を湯の中に沈ませて、そろそろとトモの腰に触れると、トモはキスを中断してオレを睨む。

「紺野、やりすぎだつーの」
「いいじゃん、誰も見てないし。ちょっとだけ、触らせて。ね?」

言いながらもオレの手はトモの内腿まで移動している。
湯の中で触れるとまた違った弾力があって、愉しくてたまらない。
「ちょっとだけ…トモ」

ねだるように言って、オレはまたトモの唇を求めた。
そのときにはもうオレの右手はトモの快楽の芯を捕らえていて、ちゃんとトモのそれが形を変えていることがわかっていた。
見えないのが残念だけど、その分オレはトモのそれの形を指だけで確かめるように、ゆっくり、丁寧に触る。

棹を握りながら、指先で先端の割れ目をグリグリしてやると、トモは、声を我慢するためにオレの舌にむしゃぶり吸い付いてきた。
それでも、堪えきれない喘ぎがこぼれる。

「…う…んっ、あ…っ、やっ…」
ねちゃねちゃと粘膜の音が立つような濃厚な口づけはポツポツという雨の音にかき消されてる。
胸から下は温かいお湯に包まれ、上半身は、澄んだ夜気に触れている。
外でこういうことをしているせいか、トモはいつになく早く限界に到達したらしい。

「はぁ…ん…、…こん、のぉ…も、出るっ…てっ、…やめ…ろ」
はぁはぁと荒く色っぽい声で喘ぎながら、限界を訴える。
風呂の中で出しちゃいけないと、我慢し苦悶する表情がたまんない。

「いいから出しちゃえよ」
悪事を唆すように、声を潜めて言う。
トモはカーッと顔を赤くした。

「どうせ、誰もはいんねえよ」
出しちゃえ出しちゃえ。
オレは構わず、シコシコ扱いてトモを追い立てた。
先端が滑った。
お湯じゃない、トモの身体から分泌された体液を指先に感じる。
それを、先っぽの柔らかい部分に擦りつけてやった。

「やだっ!紺野…やめっ!うっ…うっう!」
トモの身体が強張り、そしてゆっくりと弛緩した。
「イッた?」
トモは物凄い形相でオレを睨んで「ばかやろー!」と叫んで一人で先に出て行った。

そんなあ。
オレの、オレのこの期待に膨らんだ下半身のコレはどうしてくれんだよーっ。


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