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カラダの恋人【第二部】
4.陸の好奇心
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その日の夜、陸はのこのことまた人の部屋にやってきた。
昼間の、ちょっとした喧嘩のことなんてもうすっかり頭にないみたいな能天気なツラで。
もっとも陸の方は僕と喧嘩したという意識すらないのかもしれない。
いつだって悪いのは陸で、僕が一方的に怒っているだけなんだ。
「シノ!シノ!わかったよ!」
陸はあがってくるなりはりきった口調で言った。
「わかったって、何が」
「男同士でエッチする方法」
「ぶっ」
僕は飲んでいたコーラを吹き出した。
「おまえ、まさかそれ、佐倉君か紺野君に聞いたんじゃないだろうな」
「最初はね」
「馬鹿っ!なんでそんなこと聞くんだよ」
「やだなあ、別に、佐倉君に紺野君としてるエッチの方法教えて、とか言ってないよ。一般論として聞いただけです」
だけです、って。
陸にはデリカシーというものが欠けている。
「でも佐倉君、教えてくんなかった。なんかすげえ、焦ってて面白かったよ」
「……そんで、誰に聞いたんだよ」
「クラスの女の子。最近の女の子ってすげえこと知ってるね」
まあな、女の子ってホモネタ好きだし、それくらい知ってても不思議じゃない。
「と、とにかく。よかったな、疑問が解けて」
僕には関係ないけどね。
「そうなんだよ、でもびっくりしたなあ。あんなとこでそんなことが出来るなんてね。男同士でもエッチできるなんて、すごいよねえ、シノ!」
なにもそれほど感心することじゃないと思うけど。
「で、わざわざおまえ、そんなこと言いに来たの?」
「違げえよ、ほら、これ!」
と言って、陸はいつも持ち歩いている大きなバックからDVDを出して、僕に渡した。
「あれ、なんだよこれ新作?」
それは僕と陸が好きなAV女優の出演しているDVD、つまりアダルトビデオだった。
「そ、今日借りて来たんだ。ねえ、一緒に見ようよ」
「へえ、じゃあ早速」
言いながら僕はデッキにDVDをセットする。
うちは2年前に父親が地方に転勤になって単身赴任していた。
今年めでたく僕が大学に入学したのを機に、母親も月の半分以上は父親のところに行っているので、現在僕は一戸建てに悠々と一人暮らしをしているような状態だ。
近所に住んでいる陸は、こういうアダルトなDVDは親のいない僕の家で見るものと決め込み、よく持ってくる。
だからこんなふうに二人で一緒に見ることは今までもよくあることだった。
画面には、いきなり女の子の白くて柔らかそうな胸がアップで映し出されている。
「お、いきなり飛ばしてるじゃん」
ドキドキするのを誤魔化すように言って、僕はゴックンと生唾を飲み込んだ。
『アッ……アン……アッハン』
ベッドに横たわった女の子が、自分で自分のおっぱいを揉みながら艶かしく喘ぐ。
その声が、昨日聞いた佐倉君の声とダブって聞こえて、僕はなんだか落ち着かない気分になった。
興奮してるんだけど、なんか、いつもと興奮の種類が違う。
艶かしい声を出してるのが、自分みたいな気がした。
そう、女の子の胸に触る自分じゃなくて、カラダに触られて気持ち良くなってる女の子の気持ちに同調してるみたいな。
よくわからない自分自身の身体の変化に戸惑っていると、いつのまにか陸が側に擦り寄って来て、僕の耳元で言った。
「ねえ、シノ。やっぱりさ、ちょっと試してみない?聞くよりするほうが早いっていうし」
「試すってなにを?」
「なにって、やだなあ、決まってるじゃん」
昼間の、ちょっとした喧嘩のことなんてもうすっかり頭にないみたいな能天気なツラで。
もっとも陸の方は僕と喧嘩したという意識すらないのかもしれない。
いつだって悪いのは陸で、僕が一方的に怒っているだけなんだ。
「シノ!シノ!わかったよ!」
陸はあがってくるなりはりきった口調で言った。
「わかったって、何が」
「男同士でエッチする方法」
「ぶっ」
僕は飲んでいたコーラを吹き出した。
「おまえ、まさかそれ、佐倉君か紺野君に聞いたんじゃないだろうな」
「最初はね」
「馬鹿っ!なんでそんなこと聞くんだよ」
「やだなあ、別に、佐倉君に紺野君としてるエッチの方法教えて、とか言ってないよ。一般論として聞いただけです」
だけです、って。
陸にはデリカシーというものが欠けている。
「でも佐倉君、教えてくんなかった。なんかすげえ、焦ってて面白かったよ」
「……そんで、誰に聞いたんだよ」
「クラスの女の子。最近の女の子ってすげえこと知ってるね」
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「と、とにかく。よかったな、疑問が解けて」
僕には関係ないけどね。
「そうなんだよ、でもびっくりしたなあ。あんなとこでそんなことが出来るなんてね。男同士でもエッチできるなんて、すごいよねえ、シノ!」
なにもそれほど感心することじゃないと思うけど。
「で、わざわざおまえ、そんなこと言いに来たの?」
「違げえよ、ほら、これ!」
と言って、陸はいつも持ち歩いている大きなバックからDVDを出して、僕に渡した。
「あれ、なんだよこれ新作?」
それは僕と陸が好きなAV女優の出演しているDVD、つまりアダルトビデオだった。
「そ、今日借りて来たんだ。ねえ、一緒に見ようよ」
「へえ、じゃあ早速」
言いながら僕はデッキにDVDをセットする。
うちは2年前に父親が地方に転勤になって単身赴任していた。
今年めでたく僕が大学に入学したのを機に、母親も月の半分以上は父親のところに行っているので、現在僕は一戸建てに悠々と一人暮らしをしているような状態だ。
近所に住んでいる陸は、こういうアダルトなDVDは親のいない僕の家で見るものと決め込み、よく持ってくる。
だからこんなふうに二人で一緒に見ることは今までもよくあることだった。
画面には、いきなり女の子の白くて柔らかそうな胸がアップで映し出されている。
「お、いきなり飛ばしてるじゃん」
ドキドキするのを誤魔化すように言って、僕はゴックンと生唾を飲み込んだ。
『アッ……アン……アッハン』
ベッドに横たわった女の子が、自分で自分のおっぱいを揉みながら艶かしく喘ぐ。
その声が、昨日聞いた佐倉君の声とダブって聞こえて、僕はなんだか落ち着かない気分になった。
興奮してるんだけど、なんか、いつもと興奮の種類が違う。
艶かしい声を出してるのが、自分みたいな気がした。
そう、女の子の胸に触る自分じゃなくて、カラダに触られて気持ち良くなってる女の子の気持ちに同調してるみたいな。
よくわからない自分自身の身体の変化に戸惑っていると、いつのまにか陸が側に擦り寄って来て、僕の耳元で言った。
「ねえ、シノ。やっぱりさ、ちょっと試してみない?聞くよりするほうが早いっていうし」
「試すってなにを?」
「なにって、やだなあ、決まってるじゃん」
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