カラダの恋人

フジキフジコ

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カラダの恋人【第一部】

5.こうしてオレたちはカラダの恋人になった

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紺野と最初にそうなったきっかけは、高2の冬だった。
そのとき、紺野は1コ上の学校のマドンナ的美人の先輩に告白してフラれ、失恋の痛手に喘いでいた。

紺野のガキの頃のことは知らないけど、想像するに多分紺野は、物心ついたときから幼稚園の先生のえこ贔屓からはじまって、小学校のクラスメートとか近所のおねーさんとか、オンナというオンナからモテまくっていたに違いない。

と、オレが思うくらい紺野はルックスはいい。
高校の時も二人で渋谷でも歩こうものならモデルにならないかとか歌手にならないかとかホモビデオに出演しないかとか、あやしげなスカウトに声かけまくりだった。
ちなみにホモビデオの時だけはオレも一緒に出演しないかと誘われた…。

オレなんか毎日見慣れてるんでもう麻痺しちゃってるかもしれないけど、客観的に見たら紺野は相当目立つ存在なんだと思う。
そういう奴がまさかの失恋をしたわけで、落ち込み方も並の男の比じゃなかったのも、理解できる。

放課後の部室で、泣いていた紺野をオレは慰めた。
なにがどうしてそうなったのか細かいことは記憶にないが、オレは泣いている紺野と抱き合っていた。
「紺野、大丈夫だよ、おまえは性格はともかく、見かけだけはカッコいいし、頭だってそれほどってことはないけどオレよりはいいしさ、すぐに可愛い彼女が出来るって」
オレはめいっぱい優しい言葉をかけながら紺野の背中を撫でていた。

ところでそのときオレたちはお互いに短パンとランニングシャツという薄い布しか身につけていなかった。
部活が終わったばかりの火照った身体で、日常ではありえないような距離で他人と密着していて、その上、紺野が発散する失恋の切なさがおかしな空気を作ったんだと思う。

なぜか、オレたちはいつのまにか、勃起させていた。
理由なんかわからない。
そういう年齢っていうのは、ほんのちょっとその気になればあっけないくらい簡単に勃つものは勃つ。

オレと紺野と、どっちが先にそうなったのかは、オレたちはあえて追及しないことにした。
お互いのアレがああなっている、と薄い短パン越しに気づいたのは多分、同時だったと思う。

オレの吐く息はどんどん熱くなって、やがて紺野も泣きやんでいた。
気がつけば紺野はオレの首筋にキスしたり、シャツの中に手を入れて乳首を触ったりしていた。

オレは抵抗するでもなく、なんと「あん」とか「やん」とかとにかく恥ずかしい声を出してしまって。
それがあんまり恥ずかしかったから、紺野が唇を重ねてきたときは、変なのは紺野だということにしておきたい一心でそのキスに応えてしまった。

言いたくないけど、オレにとってはファーストキスだったんだ、それは。

あとはもう出すまで止まりませんよねえ?というイキオイでお互いのナニをナニして仲良く処理のしてあげっこをしちゃったわけで。

実際どうにかしてたんだと思うけど、もうそんな状態じゃあ、照れ隠しに自分たちは今普通じゃない、どうにかなってしまっている、そういうことにして突っ走ってしまったほうが、お互いに都合が良かったんだと思う。

とにかくそんなこんなで、オレたちは小汚い部室でお互いのカラダを知った。
若気の至り…いや違う、過ちだったと、思いたい。


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