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【番外編】この手を離さないで
5.真相
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晶が目の前の光景に呆然としているとポケットの中の携帯が鳴った。
『晶?私よ、玲子』
「……玲子?どうかした」
『また入られたの。今度はベッドシーツが滅茶苦茶に破られて…』
ここと同じ?
けれど晶は自分のところのことは言わなかった。
『お願い、すぐ来て。怖いわ』
「今、行く」
晶は携帯を閉じて、部屋を飛び出した。
玲子の部屋はマンションの14階だ。
なにかあった時のために、新しくなった合鍵を渡されていたので、玄関のオートロックはそれを使って入った。
部屋のドアは鍵を使う前に、開いていた。
「玲子…?」
玄関の照明が晶を関知して光る。
廊下の先のリビングは真っ暗で、人気がなかった。
様子がおかしいと思い、晶は慎重に身構えて部屋を奥に進んだ。
リビングの壁のスイッチを押し明かりをつける。
部屋の中には誰もいなかった。
廊下に戻り、寝室と思われるドアを開く。
仄かに甘い香りのするその部屋は整然として、玲子の言ったようにベッドカバーが裂かれていることはなかった。
クローゼットの中を確かめたあと、晶はもう一度リビングに向かった。
ふと、カーテンが揺れていることに気づいて、ベランダに続くサッシに近寄る。
サッシは50センチ位、開いていた。
晶はそこからベランダに出た。
ゆうに一間分はスペースのあるベランダには観葉植物とテーブルセットが置かれている。
夏にそこで雅治と玲子と3人でビールを飲みながら食事をしたこともある。
ふとそんなことを思い出していると、「晶」と、名前を呼ばれた。
「玲子。大丈夫だった?」
振り返ると玲子は部屋の中から、開いたサッシに片手をかけて立っていた。
大きな襟の白いブラウスに濃紺のタイトスカート姿はいつもとさほど変わりはないのに、髪がほんの少し乱れているせいか、荒んだ感じがした。
「私は大丈夫よ。あなたこそ、家の方、大変なことになってるでしょうに、どうして来たの」
「なんで、知ってるんだ、オレんちのこと」
「簡単よ、アレ、私がやったの」
綺麗に微笑してそう言うと、玲子はベランダに降りてきた。
「玲子が?なんで…」
「なんで、か。そうよね、晶には理由を聞く権利があるわ。つまりこういうことよ。私は小田切のことが好きで、晶が邪魔なの」
晶は驚かなかった。
ただ少し、悲しそうな顔を見せた。
『晶?私よ、玲子』
「……玲子?どうかした」
『また入られたの。今度はベッドシーツが滅茶苦茶に破られて…』
ここと同じ?
けれど晶は自分のところのことは言わなかった。
『お願い、すぐ来て。怖いわ』
「今、行く」
晶は携帯を閉じて、部屋を飛び出した。
玲子の部屋はマンションの14階だ。
なにかあった時のために、新しくなった合鍵を渡されていたので、玄関のオートロックはそれを使って入った。
部屋のドアは鍵を使う前に、開いていた。
「玲子…?」
玄関の照明が晶を関知して光る。
廊下の先のリビングは真っ暗で、人気がなかった。
様子がおかしいと思い、晶は慎重に身構えて部屋を奥に進んだ。
リビングの壁のスイッチを押し明かりをつける。
部屋の中には誰もいなかった。
廊下に戻り、寝室と思われるドアを開く。
仄かに甘い香りのするその部屋は整然として、玲子の言ったようにベッドカバーが裂かれていることはなかった。
クローゼットの中を確かめたあと、晶はもう一度リビングに向かった。
ふと、カーテンが揺れていることに気づいて、ベランダに続くサッシに近寄る。
サッシは50センチ位、開いていた。
晶はそこからベランダに出た。
ゆうに一間分はスペースのあるベランダには観葉植物とテーブルセットが置かれている。
夏にそこで雅治と玲子と3人でビールを飲みながら食事をしたこともある。
ふとそんなことを思い出していると、「晶」と、名前を呼ばれた。
「玲子。大丈夫だった?」
振り返ると玲子は部屋の中から、開いたサッシに片手をかけて立っていた。
大きな襟の白いブラウスに濃紺のタイトスカート姿はいつもとさほど変わりはないのに、髪がほんの少し乱れているせいか、荒んだ感じがした。
「私は大丈夫よ。あなたこそ、家の方、大変なことになってるでしょうに、どうして来たの」
「なんで、知ってるんだ、オレんちのこと」
「簡単よ、アレ、私がやったの」
綺麗に微笑してそう言うと、玲子はベランダに降りてきた。
「玲子が?なんで…」
「なんで、か。そうよね、晶には理由を聞く権利があるわ。つまりこういうことよ。私は小田切のことが好きで、晶が邪魔なの」
晶は驚かなかった。
ただ少し、悲しそうな顔を見せた。
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