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続・東京シンデレラ
9【完】愛し愛されるということ
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オレたちは、丁寧に、ゆっくりキスを交わした。
裸で向かい合って座った格好で。
唇と唇を、ただ重ねたり。
ちょっと突き出して、それを唇でやわらかく挟んだり。
舌でお互いの唇を舐めあったり。
舌はまるで生き物のように動いて、口内の快感を一つずつ探った。
キスは不思議な行為だ。
唾液を交換するこんな汚いこと、本当に好きなヤツとしか、出来ない。
下半身で繋がるよりも、艶かしいとさえ思う。
オレたちはキスしながら、お互いの顔に触れ合った。
眉毛、瞼、頰、鼻、どこに触れても高杉で、高杉を指で感じられることが嬉しかった。
高杉がオレの頬を撫でていた指を、口の中に入れてきた。
右手の中指、そして、人差し指。
オレは口の中の高杉の指を軽く噛んで、舌を絡めるように舐めた。
高杉もオレの右手を握って自分の口に運び、オレの指をしゃぶった。
指を舐め合うことがこんなにエロチックで、指先をちゅうちゅう吸われることが、こんなに気持ちいいなんて知らなかった。
長いキスだけでもう、オレも高杉も、ギンギンに硬くなっていた。
手を伸ばしてそれをやんわり握りあうと、唇から甘い吐息が漏れる。
その吐息を飲み込むようなキスを続けて、唾液で濡らした指でペニスを刺激しあうと、もうイキそうになる。
オレは腰の位置をずらして、高杉に近づいた。
ペニスとペニスが触れ合うくらい密着する。
「一回、いっちゃう?」
耳元で高杉が聞いてくる。
オレは頷いて、高杉の首にしがみついた。
高杉は自分のとオレのを一緒に握って、激しくシェイクした。
「あっ…あっ…あん…」
自然に腰が揺れる。
高杉の体温と匂いを感じる。
すげえ、気持ちいい。
舌と舌でも交わりながら、二人とも一度目の欲望を放った。
精を放って弛緩して、ベッドの上に投げ出した身体のいたるところに、高杉の唇が降るように触れてくる。
オレの身体の上に乗って、裸体を見下ろす目は、これから草食動物を喰らう肉食獣みたいだ。
野性的で惚れ惚れするほど、カッコいい。
「…椎名…」
高杉になら、喰われてもいいな。
オレはそんなことを考えている。
乳首が食べられ、柔らかい臍の回りが食べられ、いま、ペニスが喰われている。
野生の豹みたいな高杉が、オレの大事なところを旨そうに貪り喰っている。
そんな妄想がよぎるなんて、オレはもうかなりイッちゃってる。
「あっあっ…いいっ…気持ちいい…」
いつのまにか高杉はフェラが上手くなった。
多分、オレよりも上手いんじゃないだろうか。
表面を舌で撫でるように舐めたり、先端の割れ目だけをじっくり攻めたり、強弱をつけて吸ってみたり。
センスがいいのか、天賦の才能か。
まあ、こんな特技なんてあっても履歴書にも書けないし、この才能で得してるのはオレだけだ。
世界中でオレだけ。
イカないようにつまらないことを考えて気を散らしていたのに、強く吸われてイキそうになる。
「だめだ…高杉…やめろ、もう…。一緒に…イキたい」
次は中に高杉を感じてイキたい。
オレは起き上がって、自分から高杉の股間に顔を寄せた。
「椎名、フェラしてくれるの?」
高杉には滅多にしてやらない。
仕事でしてることだから、嫌なのだ。
でも今日は特別。
最高のセックスはフィフティフィフティでないと。
高杉はペニスの形までもがカッコいい。
ちょうどいい太さと長さで、なんていうかシュとしている。
仕事柄、チンコは見慣れているけど、こんなに形がいいのは見たことがない。
まるで作り物みたいだ。
そういえばディドルに似てるのがある。
つまり、女が入れたがる、理想的な形ってわけだ。
オレはその素晴らしい形のペニスを、愛を込めてしゃぶった。
気持ち良くなって欲しいって想いをこめて。
「ああ、最高…椎名のフェラが一番…気持ちいいよ」
当たり前だ、激安ソープの嬢と比べんな。
オレにはセンスも天賦の才能もないけど一応プロで、それにプラスして愛がある。
「もう、いいから来て。繋がりたい、椎名と」
オレたちはまた、向かいあって座った。
オレは高杉の腿を跨ぐ格好。
ぴったり上半身をくっつけて抱き合って、もう一度、キス。
息が苦しくなるまで続けた。
「ほぐすから、椎名、尻あげて」
高杉はオレを抱きしめたまま、腕をのばして、ベッドヘッドに置いてある潤滑油をとって、自分の指を濡らした。
その指でオレの尻の穴に触れる。
最初は入り口だけを丹念に、焦ったくなるくらい、ゆっくりと。
実際、ムズムズしてオレは尻を揺らした。
「挿れて欲しい?」
「うん…挿れて」
高杉の指が中に入ってきて、うごめく。
「…あっ…はあん…ああっ…」
身体の内側をくすぐられてるような、切ない快感が押し寄せる。
高杉は指を二本に増やして、内壁を擦る。
「…いいっ…中が…気持ち…いい…」
オレは喘ぎながら、自然に右手で高杉のペニスを弄っていた。
これが、欲しい。
これを、入れて欲しい。
身体で、高杉を感じたい。
高杉のペニスの先端を指でぐりぐりすると、先走りの滴が出てきて、オレの指を濡らした。
これならもう、中に挿れても大丈夫。
ねだるような目で高杉を見ると、高杉も熱っぽい目で、オレを見た。
高杉は指を抜いて、代わりにペニスを挿入した。
圧迫感は最初だけで、先端が挿いると、あとは簡単に収まった。
根元まで高杉のペニスを腹の中に受け入れて、オレは震えるような悦びを感じた。
ああ、蕩けそうだ。
繋がってる部分から快感が肉体の隅々まで伝わって、全身が性感帯みたいになる。
これはセックスの快楽なんだろうか。
それとも精神の満足か。
しばらく動かないで、繋がってる部分を意識しながら、見つめ合ってお互いの顔を触った。
誰もが好きな相手とこんな風に繋がることが出来るわけじゃない。
ローズクラブに来る客のほとんどは、それが叶わないから一時の温もりを求めて金を払うんだろう。
射精するだけなら、一人で出来る。
人肌を求めてやってくるオレの客たちは、誰かを愛し誰かから愛されることを望んでいるのかもしれない。
オレたちはまた唇を合わせた。
切りがない。
愛する気持ちにも愛されたいと思う気持ちにも、限りがない。
人はこんなに貪欲になれるんだな。
「…高杉…高杉…高杉…」
目を閉じて、身体の中に在る高杉を感じて、唇でも味わいながら名前を呼ぶ。
永遠にこうしていたいけど、一緒に昇りつめたい。
高杉としか行けない場所に。
オレが腰をゆっくり動かすと、応じるように高杉も腰を使った。
いったんそうするともう、止まらなかった。
「はあ…はあ…ああっ…あん…あっ…」
抱き合ったまま、高杉はオレを寝かせて、正常位で激しく突いてきた。
オレの両脚を自分の両手で大きく広げる。
繋がってるところも、高杉のペニスが出たり入ったりするところも、高杉の視線に晒される。
オレの後ろの穴が、収縮して高杉のペニスをうまそうに飲み込むのも見られている。
こういう恥ずかしさはイヤらしさに変わる。
「…椎名…締まる…いい…あ、イク…も、イクよ…」
「オレも…イクッ!高杉…ああっん…」
内壁を絶妙に擦られて前立腺を刺激されたんだろう、オレのペニスは触られてもいないのに射精した。
オレが先に放って、すぐあとに、高杉がペニスを抜いて、オレの腹の上に放った。
中に出してもいいのに、後始末が面倒だからって高杉は気を遣う。
汗と体液に汚れながら、オレたちはそのあとシャワーも浴びずに抱き合って眠った。
***
目が覚めると、至近距離に高杉の顔があって、高杉も起きていて、じっとオレの顔を見ていた。
「な、なんだよ。恥ずかしいな」
「いや、寝顔が可愛いなと思って」
高杉に顔を褒められても、お世辞にしか聞こえない。
「そんなこと言って、おまえまさか、またなんか勝手に高価いもん買ったりしたんじゃねえだろうな」
「ないない、それはない」
ちょっと身体の位置を変えようとしたら、腰のダルさと尻の痛みに気づいて、眠りに落ちる前にした濃厚なセックスを思い出した。
もう当分、セックスはいいや、ってくらいの濃さだったな。
「あれ、椎名、なんで顔、赤くなってんの?」
指摘されて、狼狽える。
でも高杉はちゃんと理由はわかってるって顔で笑ってる。
「そういえば、おまえ、マリちゃんに会ったって言ってたけど、勧誘されなかったか?」
オレは恥ずかしさを誤魔化すように、話を変えた。
「ああ、店に来てって言われた。3Pでもいいって」
「やっぱり。で、子供の受験で金がかかるって言われて、行くって約束しただろ?」
「なんでわかるの?」
高杉は驚いた顔をした。
「オレも同じこと言われたから」
そういえば、マリちゃんに行くって約束したけど、あの夜、三ノ宮の告白に驚いてうっかり忘れてしまい、約束を破ってしまった。
オレがそう言うと、高杉は「そっか、じゃあ一緒に行くか。マリちゃんと3Pしに」と言った。
「いいけど、当分無理だ。オレ、もう空っぽな気がする」
「出し切っちゃった?」
「う、うん」
高杉はなぜかうれしそうに笑ってオレを抱きしめた。
「く、苦しい。暑い、高杉、シャワー浴びよう。オレたち、汚いぞ」
「うん。だけどもう少しだけ、こうしていたい」
しょうがないなあ、って呟きながら、オレも高杉を抱きしめた。
もう少しだけ、このダルくて甘くて幸福な、永遠のような一瞬に、二人でとどまっていよう。
▪️おわり▪️
裸で向かい合って座った格好で。
唇と唇を、ただ重ねたり。
ちょっと突き出して、それを唇でやわらかく挟んだり。
舌でお互いの唇を舐めあったり。
舌はまるで生き物のように動いて、口内の快感を一つずつ探った。
キスは不思議な行為だ。
唾液を交換するこんな汚いこと、本当に好きなヤツとしか、出来ない。
下半身で繋がるよりも、艶かしいとさえ思う。
オレたちはキスしながら、お互いの顔に触れ合った。
眉毛、瞼、頰、鼻、どこに触れても高杉で、高杉を指で感じられることが嬉しかった。
高杉がオレの頬を撫でていた指を、口の中に入れてきた。
右手の中指、そして、人差し指。
オレは口の中の高杉の指を軽く噛んで、舌を絡めるように舐めた。
高杉もオレの右手を握って自分の口に運び、オレの指をしゃぶった。
指を舐め合うことがこんなにエロチックで、指先をちゅうちゅう吸われることが、こんなに気持ちいいなんて知らなかった。
長いキスだけでもう、オレも高杉も、ギンギンに硬くなっていた。
手を伸ばしてそれをやんわり握りあうと、唇から甘い吐息が漏れる。
その吐息を飲み込むようなキスを続けて、唾液で濡らした指でペニスを刺激しあうと、もうイキそうになる。
オレは腰の位置をずらして、高杉に近づいた。
ペニスとペニスが触れ合うくらい密着する。
「一回、いっちゃう?」
耳元で高杉が聞いてくる。
オレは頷いて、高杉の首にしがみついた。
高杉は自分のとオレのを一緒に握って、激しくシェイクした。
「あっ…あっ…あん…」
自然に腰が揺れる。
高杉の体温と匂いを感じる。
すげえ、気持ちいい。
舌と舌でも交わりながら、二人とも一度目の欲望を放った。
精を放って弛緩して、ベッドの上に投げ出した身体のいたるところに、高杉の唇が降るように触れてくる。
オレの身体の上に乗って、裸体を見下ろす目は、これから草食動物を喰らう肉食獣みたいだ。
野性的で惚れ惚れするほど、カッコいい。
「…椎名…」
高杉になら、喰われてもいいな。
オレはそんなことを考えている。
乳首が食べられ、柔らかい臍の回りが食べられ、いま、ペニスが喰われている。
野生の豹みたいな高杉が、オレの大事なところを旨そうに貪り喰っている。
そんな妄想がよぎるなんて、オレはもうかなりイッちゃってる。
「あっあっ…いいっ…気持ちいい…」
いつのまにか高杉はフェラが上手くなった。
多分、オレよりも上手いんじゃないだろうか。
表面を舌で撫でるように舐めたり、先端の割れ目だけをじっくり攻めたり、強弱をつけて吸ってみたり。
センスがいいのか、天賦の才能か。
まあ、こんな特技なんてあっても履歴書にも書けないし、この才能で得してるのはオレだけだ。
世界中でオレだけ。
イカないようにつまらないことを考えて気を散らしていたのに、強く吸われてイキそうになる。
「だめだ…高杉…やめろ、もう…。一緒に…イキたい」
次は中に高杉を感じてイキたい。
オレは起き上がって、自分から高杉の股間に顔を寄せた。
「椎名、フェラしてくれるの?」
高杉には滅多にしてやらない。
仕事でしてることだから、嫌なのだ。
でも今日は特別。
最高のセックスはフィフティフィフティでないと。
高杉はペニスの形までもがカッコいい。
ちょうどいい太さと長さで、なんていうかシュとしている。
仕事柄、チンコは見慣れているけど、こんなに形がいいのは見たことがない。
まるで作り物みたいだ。
そういえばディドルに似てるのがある。
つまり、女が入れたがる、理想的な形ってわけだ。
オレはその素晴らしい形のペニスを、愛を込めてしゃぶった。
気持ち良くなって欲しいって想いをこめて。
「ああ、最高…椎名のフェラが一番…気持ちいいよ」
当たり前だ、激安ソープの嬢と比べんな。
オレにはセンスも天賦の才能もないけど一応プロで、それにプラスして愛がある。
「もう、いいから来て。繋がりたい、椎名と」
オレたちはまた、向かいあって座った。
オレは高杉の腿を跨ぐ格好。
ぴったり上半身をくっつけて抱き合って、もう一度、キス。
息が苦しくなるまで続けた。
「ほぐすから、椎名、尻あげて」
高杉はオレを抱きしめたまま、腕をのばして、ベッドヘッドに置いてある潤滑油をとって、自分の指を濡らした。
その指でオレの尻の穴に触れる。
最初は入り口だけを丹念に、焦ったくなるくらい、ゆっくりと。
実際、ムズムズしてオレは尻を揺らした。
「挿れて欲しい?」
「うん…挿れて」
高杉の指が中に入ってきて、うごめく。
「…あっ…はあん…ああっ…」
身体の内側をくすぐられてるような、切ない快感が押し寄せる。
高杉は指を二本に増やして、内壁を擦る。
「…いいっ…中が…気持ち…いい…」
オレは喘ぎながら、自然に右手で高杉のペニスを弄っていた。
これが、欲しい。
これを、入れて欲しい。
身体で、高杉を感じたい。
高杉のペニスの先端を指でぐりぐりすると、先走りの滴が出てきて、オレの指を濡らした。
これならもう、中に挿れても大丈夫。
ねだるような目で高杉を見ると、高杉も熱っぽい目で、オレを見た。
高杉は指を抜いて、代わりにペニスを挿入した。
圧迫感は最初だけで、先端が挿いると、あとは簡単に収まった。
根元まで高杉のペニスを腹の中に受け入れて、オレは震えるような悦びを感じた。
ああ、蕩けそうだ。
繋がってる部分から快感が肉体の隅々まで伝わって、全身が性感帯みたいになる。
これはセックスの快楽なんだろうか。
それとも精神の満足か。
しばらく動かないで、繋がってる部分を意識しながら、見つめ合ってお互いの顔を触った。
誰もが好きな相手とこんな風に繋がることが出来るわけじゃない。
ローズクラブに来る客のほとんどは、それが叶わないから一時の温もりを求めて金を払うんだろう。
射精するだけなら、一人で出来る。
人肌を求めてやってくるオレの客たちは、誰かを愛し誰かから愛されることを望んでいるのかもしれない。
オレたちはまた唇を合わせた。
切りがない。
愛する気持ちにも愛されたいと思う気持ちにも、限りがない。
人はこんなに貪欲になれるんだな。
「…高杉…高杉…高杉…」
目を閉じて、身体の中に在る高杉を感じて、唇でも味わいながら名前を呼ぶ。
永遠にこうしていたいけど、一緒に昇りつめたい。
高杉としか行けない場所に。
オレが腰をゆっくり動かすと、応じるように高杉も腰を使った。
いったんそうするともう、止まらなかった。
「はあ…はあ…ああっ…あん…あっ…」
抱き合ったまま、高杉はオレを寝かせて、正常位で激しく突いてきた。
オレの両脚を自分の両手で大きく広げる。
繋がってるところも、高杉のペニスが出たり入ったりするところも、高杉の視線に晒される。
オレの後ろの穴が、収縮して高杉のペニスをうまそうに飲み込むのも見られている。
こういう恥ずかしさはイヤらしさに変わる。
「…椎名…締まる…いい…あ、イク…も、イクよ…」
「オレも…イクッ!高杉…ああっん…」
内壁を絶妙に擦られて前立腺を刺激されたんだろう、オレのペニスは触られてもいないのに射精した。
オレが先に放って、すぐあとに、高杉がペニスを抜いて、オレの腹の上に放った。
中に出してもいいのに、後始末が面倒だからって高杉は気を遣う。
汗と体液に汚れながら、オレたちはそのあとシャワーも浴びずに抱き合って眠った。
***
目が覚めると、至近距離に高杉の顔があって、高杉も起きていて、じっとオレの顔を見ていた。
「な、なんだよ。恥ずかしいな」
「いや、寝顔が可愛いなと思って」
高杉に顔を褒められても、お世辞にしか聞こえない。
「そんなこと言って、おまえまさか、またなんか勝手に高価いもん買ったりしたんじゃねえだろうな」
「ないない、それはない」
ちょっと身体の位置を変えようとしたら、腰のダルさと尻の痛みに気づいて、眠りに落ちる前にした濃厚なセックスを思い出した。
もう当分、セックスはいいや、ってくらいの濃さだったな。
「あれ、椎名、なんで顔、赤くなってんの?」
指摘されて、狼狽える。
でも高杉はちゃんと理由はわかってるって顔で笑ってる。
「そういえば、おまえ、マリちゃんに会ったって言ってたけど、勧誘されなかったか?」
オレは恥ずかしさを誤魔化すように、話を変えた。
「ああ、店に来てって言われた。3Pでもいいって」
「やっぱり。で、子供の受験で金がかかるって言われて、行くって約束しただろ?」
「なんでわかるの?」
高杉は驚いた顔をした。
「オレも同じこと言われたから」
そういえば、マリちゃんに行くって約束したけど、あの夜、三ノ宮の告白に驚いてうっかり忘れてしまい、約束を破ってしまった。
オレがそう言うと、高杉は「そっか、じゃあ一緒に行くか。マリちゃんと3Pしに」と言った。
「いいけど、当分無理だ。オレ、もう空っぽな気がする」
「出し切っちゃった?」
「う、うん」
高杉はなぜかうれしそうに笑ってオレを抱きしめた。
「く、苦しい。暑い、高杉、シャワー浴びよう。オレたち、汚いぞ」
「うん。だけどもう少しだけ、こうしていたい」
しょうがないなあ、って呟きながら、オレも高杉を抱きしめた。
もう少しだけ、このダルくて甘くて幸福な、永遠のような一瞬に、二人でとどまっていよう。
▪️おわり▪️
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