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恋するチェリーボーイズ
5.ファーストキス
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「とりあえず、風呂入ろうぜ。なんか変な汗かいちゃったしな」
翔平がそう言って、智哉も同意し、一緒に入浴することになった。
ベッドしかないように思えた部屋には、狭い通路があり、洗面所を挟んだ両側にトイレとバスルームがある。
洗面所とトイレは極狭なのに、バスルームは洗い場も無駄に広く、バスタブも楽に二人で入れるくらい大きかった。
しかし別に「無駄に広い」わけではない。
ここで、あんなことや、こんなこと、いろんなことが楽しめますよ、という意味があるのだろう。
智哉と翔平は、バスルームのドアを開けて、その意味を正しく理解して、赤面しながら、一旦、ドアをしめた。
翔平が深呼吸しながら、「お湯、溜めとくか」と言って、バスルームに入り、蛇口を捻って洗面所に戻ってくる。
二人は狭い洗面所で、背中を向けあって、そそくさと服を脱いだ。
「智哉と一緒に風呂入るのって、いつぶりだっけ。久しぶりだよな!」
無理に普通を装ったような声で翔平が言った。
「えーと、中学のときの修学旅行は二人部屋で、部屋にある風呂に入ったから、小学生のとき、プールに行ったときか、スキー合宿のとき以来じゃね?」
「そうだよな!あの頃はまだ、お互いに毛も生えてなかったもんな」
すっかり全裸になった翔平が振り返ると、智哉も脱ぎ終わっていて、無防備に翔平の目の前に裸体を晒していた。
翔平は、はーっと息を吸い込んだあと、ゴクンと生唾を飲み込んだ。
子供の頃からサッカーや陸上などのスポーツをしていたせいで、細身だけど筋肉質な翔平の身体とは違い、智哉の肉体は少年らしさが残る瑞々しい肢体で、翔平が想像していた通りだった。
華奢で、手足が長くて、清潔な色気がある。
そして、体毛はほとんどないのに、股間には立派な黒い繁みがあった。
「智哉、おまえ、成長したなあ」
感慨深げに親戚のおじさんみたいなことを口にしながら、翔平の視線が自分の股間を凝視していることに気づいて、智哉は「見んなよ」と言って、両手で繁みを隠した。
そうしながら、智哉もまた、翔平の股間を見る。
「で、でけえ」
「え、そう?それほどでもないと思うけど」
翔平は、満更でもないような口ぶりで言い、智哉とは違って、隠すことなく、見せびらかすように腰を突き出した。
その態度にむっとした智哉は翔平を無視して、さっさとドアを開けると、バスタブに溜まったお湯を手でかき回し、適温だと判断して飛び込んだ。
「気持ちいい!このボタン、なんだろ」
智哉がバスタブの横のボタンを適当に押すと、ぶるるんと音がして、たちまちジェットバスになり、お湯がレインボーの照明に染まった。
「すっげえ!」
「なに一人で楽しんでんだよ」
翔平もバスタブに飛び込む。
その拍子にお湯が跳ねて、智哉の顔にかかり、智哉も両手で掬い取ったお湯を翔平の顔にめがけて、ぶっかけた。
たちまちお湯のかけ合いになり、「やめろよ、バカ」「おまえがやめろ」と、弾んだ笑い声をあげながら、じゃれ合う。
楽しいけど、これってなんだか、少しも、エロチックじゃない。
不意に翔平は、悟った。
10年も友達だった関係をいまさら色恋の関係に変えるのは、もしかしたら、すごく難しいことかもしれない。
髪の毛が濡れてぺちゃんこになり、頭からお湯の滴が垂れて顔を流れる。
智哉は、「翔平、髪型乱れてるぞ」と笑っている。
柔らかい癖っ毛のせいで常にヘアスタイルに気をつかっている翔平を、からかっているのだ。
「智哉」
翔平は、真剣な表情を作ってみた。
二人は広いバスタブで向かいあっている。
「なに?」
翔平は、まだ笑った表情をしている智哉の肩に手をおいた。
智哉は、翔平と裕に比べると華奢だ。
顔が小さくて、首が長い。
翔平が触れた肩も、薄い。
中性的な可愛いらしい顔を真正面に見つめて、翔平は、好きだ、と改めて思った。
「好きだ」
翔平は、心で思ったことをそのまま口にして、智哉の肩に手を置いたままゆっくり顔を近づけ、その手の片方を、智哉の頭の後ろに回した。
急に距離感が近づいて、智哉はびっくりしたように、目を見開く。
ただでさえ大きな瞳が一段と大きくなって、鏡のように澄んだそれに、翔平が、どんどん迫ってくるのが映っている。
唇が、重なる。
反射的に後ろに逃れようとする智哉の頭は、翔平の右手が支えていた。
観念するように、智哉は目を閉じる。
同時に、翔平の舌が唇を割るようにして、口内に入ってくる。
大人のキスが、ただ唇と唇を合わせるだけじゃない、ということは知っていた。
だけど、こんなふうだとは知らなかった。
智哉の想像を超えていた。
口の中に、自分以外の舌があって、それは熱くて、ぬるぬるして、自分の舌に絡まって、なんだかわからないけど、ひどく気持ちいい。
翔平の舌は智哉の口内を舐め回すように忙しく動き回る。
智哉はされるがまま、口を開いて翔平に任せている。
すごく、気持ち、いい。
「…はっ、ふっ…うん…」
息と一緒に、そんな声が漏れた。
舌を吸われる。
呼吸までも、吸われる。
心臓がドキドキする。
呼吸が荒くなる。
頭がぼうとなる。
身体が、溶けそうだ。
「智哉、これって、もしかしてファーストキス?」
唇を離して、額と額をくっつけた翔平が聞く。
智哉は、はぁはぁと喘ぎながら、小さく頷いた。
「どうだった?」
翔平は指で智哉の髪に触れて、唇を耳に寄せ、耳朶を甘噛みした。
「ミ、ミントの味…」
智哉の幼い感想に、クスッと笑って「フリスクだ」と言った。
翔平は、智哉の耳を舐めたあと、首筋を愛撫することに夢中になっている。
チュウチュウと、滑らかな肌を味わうように吸う。
智哉は、置き場所のない自分の両手を、仕方なく翔平の首に回して、抱きつくような格好になっていた。
お互いに膝を曲げて座っているので、足がぶつかって邪魔だった。
翔平は、器用に智哉の足の下に自分の足をくぐらせて、智哉を自分の上に跨がせた。
身体が、隙間なく密着する。
翔平はとっくに勃起していたが、キスに感じたのか、どうやら智哉も勃起しているらしい。
泡と七色の照明のせいで見えないが、確かに股の間で硬いモノがぶつかりあっている感触がした。
智哉が勃起している、ということが、翔平は嬉しくてたまらない。
ああ、早く、智哉の硬くなったアレを見たい。
いや、触りたい。
いや、扱きたい。
舐めたりするのは、まだ早いかな。
でも、舐めたりしゃぶったりしたい。
そんでもって、智哉のイキ顔を見たい。
めくるめく妄想に気分が昂まり、翔平は智哉をギュッと引き寄せて、両手で顔を挟むと、その顔中にチュッチュッとキスをしまくった。
柔かいすべすべの頬にも、震える目蓋にも鼻の頭にすら。
「……翔平……オレ…も、う…我慢、できない」
智哉が囁くように、言った。
「え?もうイクのか?早くね?!まだ、チンコ触ってもいないのに」
「…ち、がう」
智哉の身体が急にぐったりして、翔平にもたれかかってきた、と思ったら、ずるずるとお湯の中に沈んでいった。
「え?ええ?智哉?え、大丈夫か?!」
翔平は慌てて、智哉の身体を引き上げた。
長風呂が過ぎたせいで、智哉はのぼせていた。
翔平がそう言って、智哉も同意し、一緒に入浴することになった。
ベッドしかないように思えた部屋には、狭い通路があり、洗面所を挟んだ両側にトイレとバスルームがある。
洗面所とトイレは極狭なのに、バスルームは洗い場も無駄に広く、バスタブも楽に二人で入れるくらい大きかった。
しかし別に「無駄に広い」わけではない。
ここで、あんなことや、こんなこと、いろんなことが楽しめますよ、という意味があるのだろう。
智哉と翔平は、バスルームのドアを開けて、その意味を正しく理解して、赤面しながら、一旦、ドアをしめた。
翔平が深呼吸しながら、「お湯、溜めとくか」と言って、バスルームに入り、蛇口を捻って洗面所に戻ってくる。
二人は狭い洗面所で、背中を向けあって、そそくさと服を脱いだ。
「智哉と一緒に風呂入るのって、いつぶりだっけ。久しぶりだよな!」
無理に普通を装ったような声で翔平が言った。
「えーと、中学のときの修学旅行は二人部屋で、部屋にある風呂に入ったから、小学生のとき、プールに行ったときか、スキー合宿のとき以来じゃね?」
「そうだよな!あの頃はまだ、お互いに毛も生えてなかったもんな」
すっかり全裸になった翔平が振り返ると、智哉も脱ぎ終わっていて、無防備に翔平の目の前に裸体を晒していた。
翔平は、はーっと息を吸い込んだあと、ゴクンと生唾を飲み込んだ。
子供の頃からサッカーや陸上などのスポーツをしていたせいで、細身だけど筋肉質な翔平の身体とは違い、智哉の肉体は少年らしさが残る瑞々しい肢体で、翔平が想像していた通りだった。
華奢で、手足が長くて、清潔な色気がある。
そして、体毛はほとんどないのに、股間には立派な黒い繁みがあった。
「智哉、おまえ、成長したなあ」
感慨深げに親戚のおじさんみたいなことを口にしながら、翔平の視線が自分の股間を凝視していることに気づいて、智哉は「見んなよ」と言って、両手で繁みを隠した。
そうしながら、智哉もまた、翔平の股間を見る。
「で、でけえ」
「え、そう?それほどでもないと思うけど」
翔平は、満更でもないような口ぶりで言い、智哉とは違って、隠すことなく、見せびらかすように腰を突き出した。
その態度にむっとした智哉は翔平を無視して、さっさとドアを開けると、バスタブに溜まったお湯を手でかき回し、適温だと判断して飛び込んだ。
「気持ちいい!このボタン、なんだろ」
智哉がバスタブの横のボタンを適当に押すと、ぶるるんと音がして、たちまちジェットバスになり、お湯がレインボーの照明に染まった。
「すっげえ!」
「なに一人で楽しんでんだよ」
翔平もバスタブに飛び込む。
その拍子にお湯が跳ねて、智哉の顔にかかり、智哉も両手で掬い取ったお湯を翔平の顔にめがけて、ぶっかけた。
たちまちお湯のかけ合いになり、「やめろよ、バカ」「おまえがやめろ」と、弾んだ笑い声をあげながら、じゃれ合う。
楽しいけど、これってなんだか、少しも、エロチックじゃない。
不意に翔平は、悟った。
10年も友達だった関係をいまさら色恋の関係に変えるのは、もしかしたら、すごく難しいことかもしれない。
髪の毛が濡れてぺちゃんこになり、頭からお湯の滴が垂れて顔を流れる。
智哉は、「翔平、髪型乱れてるぞ」と笑っている。
柔らかい癖っ毛のせいで常にヘアスタイルに気をつかっている翔平を、からかっているのだ。
「智哉」
翔平は、真剣な表情を作ってみた。
二人は広いバスタブで向かいあっている。
「なに?」
翔平は、まだ笑った表情をしている智哉の肩に手をおいた。
智哉は、翔平と裕に比べると華奢だ。
顔が小さくて、首が長い。
翔平が触れた肩も、薄い。
中性的な可愛いらしい顔を真正面に見つめて、翔平は、好きだ、と改めて思った。
「好きだ」
翔平は、心で思ったことをそのまま口にして、智哉の肩に手を置いたままゆっくり顔を近づけ、その手の片方を、智哉の頭の後ろに回した。
急に距離感が近づいて、智哉はびっくりしたように、目を見開く。
ただでさえ大きな瞳が一段と大きくなって、鏡のように澄んだそれに、翔平が、どんどん迫ってくるのが映っている。
唇が、重なる。
反射的に後ろに逃れようとする智哉の頭は、翔平の右手が支えていた。
観念するように、智哉は目を閉じる。
同時に、翔平の舌が唇を割るようにして、口内に入ってくる。
大人のキスが、ただ唇と唇を合わせるだけじゃない、ということは知っていた。
だけど、こんなふうだとは知らなかった。
智哉の想像を超えていた。
口の中に、自分以外の舌があって、それは熱くて、ぬるぬるして、自分の舌に絡まって、なんだかわからないけど、ひどく気持ちいい。
翔平の舌は智哉の口内を舐め回すように忙しく動き回る。
智哉はされるがまま、口を開いて翔平に任せている。
すごく、気持ち、いい。
「…はっ、ふっ…うん…」
息と一緒に、そんな声が漏れた。
舌を吸われる。
呼吸までも、吸われる。
心臓がドキドキする。
呼吸が荒くなる。
頭がぼうとなる。
身体が、溶けそうだ。
「智哉、これって、もしかしてファーストキス?」
唇を離して、額と額をくっつけた翔平が聞く。
智哉は、はぁはぁと喘ぎながら、小さく頷いた。
「どうだった?」
翔平は指で智哉の髪に触れて、唇を耳に寄せ、耳朶を甘噛みした。
「ミ、ミントの味…」
智哉の幼い感想に、クスッと笑って「フリスクだ」と言った。
翔平は、智哉の耳を舐めたあと、首筋を愛撫することに夢中になっている。
チュウチュウと、滑らかな肌を味わうように吸う。
智哉は、置き場所のない自分の両手を、仕方なく翔平の首に回して、抱きつくような格好になっていた。
お互いに膝を曲げて座っているので、足がぶつかって邪魔だった。
翔平は、器用に智哉の足の下に自分の足をくぐらせて、智哉を自分の上に跨がせた。
身体が、隙間なく密着する。
翔平はとっくに勃起していたが、キスに感じたのか、どうやら智哉も勃起しているらしい。
泡と七色の照明のせいで見えないが、確かに股の間で硬いモノがぶつかりあっている感触がした。
智哉が勃起している、ということが、翔平は嬉しくてたまらない。
ああ、早く、智哉の硬くなったアレを見たい。
いや、触りたい。
いや、扱きたい。
舐めたりするのは、まだ早いかな。
でも、舐めたりしゃぶったりしたい。
そんでもって、智哉のイキ顔を見たい。
めくるめく妄想に気分が昂まり、翔平は智哉をギュッと引き寄せて、両手で顔を挟むと、その顔中にチュッチュッとキスをしまくった。
柔かいすべすべの頬にも、震える目蓋にも鼻の頭にすら。
「……翔平……オレ…も、う…我慢、できない」
智哉が囁くように、言った。
「え?もうイクのか?早くね?!まだ、チンコ触ってもいないのに」
「…ち、がう」
智哉の身体が急にぐったりして、翔平にもたれかかってきた、と思ったら、ずるずるとお湯の中に沈んでいった。
「え?ええ?智哉?え、大丈夫か?!」
翔平は慌てて、智哉の身体を引き上げた。
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