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高梨弘樹

【4】最終電車

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オレたちはベッドに横になってキスを続けた。
ねっとりと舌を絡ませあい、口の中を舐め、舌を吸う。
江梨子の長い髪から、甘い、いい匂いがする。

こんなディープなキスは久しぶりだ。
頭がクラクラする。気持ちがいい。
完全に江梨子にリードされているが、気にならない。

美紗都とはセックスの回数も多くない。
結婚後はせいぜい月に一度あればいいくらいか。
その交渉も、光里が産まれて一緒の部屋に寝ているせいで、手早く済ませるような感じだ。

こんなキスは、しない。
こんな、まるでセックスそのものみたいなキスは。

さすがに下半身に血が集まる。
キスしながら江梨子が足をオレの股の間に入れ、股間に腰を押し付けてくる。
抱ける。
このまま江梨子を抱けるだろうと、思う。

だけどオレは、ネクタイを解こうとした江梨子の手を止め、勢いをつけて起き上がった。

「悪い、今日はやめておこう。時間も遅い。帰らないと。今度、そうだ、今度にしよう。な?」
江梨子はベッドに横になったままオレを睨んで、ため息を吐いた。

「弘樹にはがっかりしたわ。でも、いいわ。楽しみはとっておくものよね」

楽しみか、と呟きながら腕時計で時間を確認する。
最終にはまだ間に合う。
よかった。

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