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三代目の結婚
4.情事
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綾瀬が部屋に来たのはそれからわずか三十分後くらいだった。
「随分短い見合いだな。こんな時間で相手のなにがわかったんだ」
ドアを開けた高谷がそう言うと、綾瀬はロビーで別れた時と同じ表情で立っている。
自分の手でドアを閉め、高谷の脇を通りすがりに不意に足を止めた。
振り返り、高谷を壁に押しつける。
「綾瀬…」
綾瀬は高谷を脅すように睨みつけながら高谷のネクタイをほどき、自分のネクタイも首から抜き取った。
それから高谷の上着に手をかけ肩から落とし、シャツのボタンを外す。
あまりに突然の行動に高谷はなす術もなく綾瀬の好きにさせている。
綾瀬の指が高谷の首に触れ、そのまま後ろに移動して後髪を握る。
身体を密着させながら、噛みつくようなキスをしてくる。
驚きながら、高谷は拒もうとはしない。
綾瀬の舌を受けいれ、絡めとるうちに身体に火がついていった。
「…あ、やせ」
抱きしめようとした高谷の腕を乱暴に払って、綾瀬は高谷のシャツを広げ、立ったまま高谷の胸に口づけていく。
跡を残すように、痛いキスが身体を滑り落ちる。
膝を折って、ズボンのフロントを緩め引きずり出したものを躊躇う素振もなく口に含んだ。
「うっ…」
瞬く間に高谷のそれは綾瀬の口の中で存在感を増す。
咥えきれなくなると綾瀬は口から出して、先端を甘噛みした。
「……っ…ちょっと…待てって」
高谷はやっとの思いで綾瀬を引き剥がし、そのまま綾瀬の身体をその場に組み敷いた。
強引にしかけてきたくせに、綾瀬の目の中にはまだ怒りの色がある。
その原因が原因だけに、高谷はかえって楽しい気持ちになった。
「ベッド行くか?」
押さえつけて、顔を至近距離に近づけて訊く。
綾瀬は返事の代わりに高谷の首に腕を回し、引き寄せて再び口づけた。
口づけながら片手は高谷の下腹部に伸ばし、いきり立ったそれを扱く。
「ちくしょう、もたねえ…」
呟いて、高谷は慌しく自分と綾瀬のズボンを下げ、綾瀬の両脚の膝の裏に手をかけ屈伸させながら開いて自身を進めた。
まだ濡れてもいない綾瀬のそこは抵抗するように高谷を容易には受けいれない。
それでも高谷は強引に身体を繋ぐ。
そうすることを、今、綾瀬が望んでいることがわかっているから。
「……つっ…」
根本まで押し込むと、きつい締めつけに高谷の口からは喘ぎが漏れる。
痛みに眉を寄せる綾瀬は、瞳を開いてそんな高谷をどこか勝ち誇ったように見ている。
この快楽を手放せないだろう、まるでそう言っているような目で。
「お互いさまだろ…」
高谷は綾瀬を追いたてるように腰を使った。
ベッドの上で二度目の欲望を満たしたときには、二人の間の些細な揉め事は解決していた。
誤解を解くのに言葉は必要なかった。
「随分短い見合いだな。こんな時間で相手のなにがわかったんだ」
ドアを開けた高谷がそう言うと、綾瀬はロビーで別れた時と同じ表情で立っている。
自分の手でドアを閉め、高谷の脇を通りすがりに不意に足を止めた。
振り返り、高谷を壁に押しつける。
「綾瀬…」
綾瀬は高谷を脅すように睨みつけながら高谷のネクタイをほどき、自分のネクタイも首から抜き取った。
それから高谷の上着に手をかけ肩から落とし、シャツのボタンを外す。
あまりに突然の行動に高谷はなす術もなく綾瀬の好きにさせている。
綾瀬の指が高谷の首に触れ、そのまま後ろに移動して後髪を握る。
身体を密着させながら、噛みつくようなキスをしてくる。
驚きながら、高谷は拒もうとはしない。
綾瀬の舌を受けいれ、絡めとるうちに身体に火がついていった。
「…あ、やせ」
抱きしめようとした高谷の腕を乱暴に払って、綾瀬は高谷のシャツを広げ、立ったまま高谷の胸に口づけていく。
跡を残すように、痛いキスが身体を滑り落ちる。
膝を折って、ズボンのフロントを緩め引きずり出したものを躊躇う素振もなく口に含んだ。
「うっ…」
瞬く間に高谷のそれは綾瀬の口の中で存在感を増す。
咥えきれなくなると綾瀬は口から出して、先端を甘噛みした。
「……っ…ちょっと…待てって」
高谷はやっとの思いで綾瀬を引き剥がし、そのまま綾瀬の身体をその場に組み敷いた。
強引にしかけてきたくせに、綾瀬の目の中にはまだ怒りの色がある。
その原因が原因だけに、高谷はかえって楽しい気持ちになった。
「ベッド行くか?」
押さえつけて、顔を至近距離に近づけて訊く。
綾瀬は返事の代わりに高谷の首に腕を回し、引き寄せて再び口づけた。
口づけながら片手は高谷の下腹部に伸ばし、いきり立ったそれを扱く。
「ちくしょう、もたねえ…」
呟いて、高谷は慌しく自分と綾瀬のズボンを下げ、綾瀬の両脚の膝の裏に手をかけ屈伸させながら開いて自身を進めた。
まだ濡れてもいない綾瀬のそこは抵抗するように高谷を容易には受けいれない。
それでも高谷は強引に身体を繋ぐ。
そうすることを、今、綾瀬が望んでいることがわかっているから。
「……つっ…」
根本まで押し込むと、きつい締めつけに高谷の口からは喘ぎが漏れる。
痛みに眉を寄せる綾瀬は、瞳を開いてそんな高谷をどこか勝ち誇ったように見ている。
この快楽を手放せないだろう、まるでそう言っているような目で。
「お互いさまだろ…」
高谷は綾瀬を追いたてるように腰を使った。
ベッドの上で二度目の欲望を満たしたときには、二人の間の些細な揉め事は解決していた。
誤解を解くのに言葉は必要なかった。
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