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本編
モナ湿原地帯国
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モナ湿原地帯国にある離宮にリヒトールとシーリアがいた、湿地の一画にあり周りに植えられているリリーという植物の効果で虫もこない。
リヒトールは執務室で湿地での成果の報告を受けていたが、誰もがソファーに座るシーリアに気づいていた、待っている、お出かけを待っていると。
膝に手を置きキラキラした瞳でカチンと座って微動もしない、可愛いすぎる。
「リア。」
陛下の言葉に飛び上がったよ皇妃様、待っているんだねと周りも期待する。
リヒトールがシーリアの手を取った、もういいの?とシーリアの目が語っている。
「出かけようか、警護が付くけどね。」
無言で湿地の花の中に整備された木道を手を繋いで歩くリヒトールとシーリア。リヒトールは商人なので無口ではないが、意図して女性を喜ばせる為の言葉を使ったことがない。シーリアは舞い上っていてそれどころではない、初デートなのだ。
繋いだ手に心臓があるみたい、バクバクいってる。リヒトールを窺ってみると、視線があった。
思わず顔をそらしてしまう、自分でも顔が赤いのがわかる。
リヒトールがクスッと笑う声が聞こえる、もう、と繋いでない方の手でポカッとリヒトールの胸をたたく。リヒトールからクックックと抑えたような笑い声がする。
「スゲェ美人!」突然声が響いた。
リヒトールが瞬時にシーリアを背後に隠し、護衛が脇を固める。
「貴公か、何故ここに。」リヒトールの知り合いらしい。
「湿地の偵察だよ、マクレンジー帝国の偵察さ。」大胆なことを言う。
「憎まれてる人間は護衛がいっぱいで大変だねぇ、この美人が皇妃か?金ってのはすごいね。」
シーリアが湿地の土泥をすくって投げつけたのはあっと言う間だった。
「言葉は我が身に返ってくるのですわ。」
クククとリヒトールが笑いながらシーリアを抱き寄せ、泥で汚れた手を拭いている。
泥を顔に投げ付けられた男が茫然として、顔をなで手に付く泥を確かめている。
「よく届いたな、非力なくせに。」
「才能あるかもしれません、泥投げの。」
「おい、無視するな、リヒトール・マクレンジー。」
シーリアが男の方を振り返り、ほほ笑んで、「よくお似合いでしてよ。」
男は天を仰ぎ言った、「負けたよ、すばらしい皇妃様だ、悪かった。」
「シーリア、彼はハリンストン王国の第15代国王メーソン・ノア・ハリンストンだ。」
「ハリンストン王国は平和なのですね、警護もなく羨ましいですわ。」
シーリアは棒読みのいやみだ。
ハリンストン王族ってオッドアイの血族との話だけど、この王様は違うのね、とお妃教育を思い出していた。
ハリンストン王国はモナ湿原地帯国と国境を接する広大な王国である、高い山脈が国境となっているため交易が盛んとは言い難い関係だ。
ワハハハと大声が響いた、
「国王とわかってこれか、まいった、本気で負けた。」
やばい、変態警報が鳴っている、シーリアは逃げ出したくなった。
デートは打ち切りで離宮に場所を移して対談となった、もちろんハリンストン王もシーリアも泥で汚れた服を着替えてである。
「湿地中心の限られた土地だから城壁で囲ってしまえる、環境保全とは上手い手だ。城壁にある門とヤムズ大河しか出入り口はないから、城壁の中への出入りを厳重に管理することができる、ここは中立という砦だな。
城壁の中では、湿地や宿で働いている元兵士がさりがなく警備を兼ねているが、行動は自由だ。俺でさえここに来れる。アルハンの時から広大な湿地は知っていたが、虫が多く価値がないと思ってたよ。」
その城壁こそが虫よけ対策の植物の栽培地であり、湿原内の花の受粉は管理された虫が行う。
「で?」
「影武者を置いてきた、後2、3日は大丈夫だろう。俺は傀儡を辞めようと思ってる。」
「私には関係ないな。」
話の筋が見えてきた、この国王は配下が執政を牛耳っているから、こっそりいなくなっても執務が滞ることないんだ。
リヒトールが皇帝になって妹をやれると思った。妹はずっとリヒトールを想っていて商人の時はやれなかったが、やっとと安心したら、リヒトールの戴冠式と皇妃の立位が同時に行われると聞いて驚いた。
戴冠式に出席した大使が、皇妃の美貌を誉めちぎっていた
皇妃を巡っての戦争、聖女と呼ばれる女、どんな女だろうと思った。マクレンジー皇帝の後ろ楯ならハリンストン王国の姫ほどふさわしいものはない、妹も美姫とうたわれている。
湿地でリヒトールを見た時に目を疑った、リヒトールが女と手を繋いで歩いていたのだ。しかも笑っている。クーデターを成しえる為のセルジオ王国との政略結婚だと思っていた。
そして皇妃の美貌、妹など足元にも及ばない、会話を見ても気性と知性がわかる。リヒトール以外はイヤだと婚姻を断り続けもうすぐ30歳になる妹が憐れだ、側妃でもいい。
「皇妃はセルジオ王国の姫ときいたが。」
「攫ってきたからな、セルジオ王国とは最近和解したとこだ。」
リヒトールが攫ってきただと。見るからに寵愛していて、今も抱きしめんばかりに横に座らせ腰に手をまわしている。リヒトールが妹に興味ないのはわかっていた、全ての女にだと思っていた、妹は側妃も望めないだろう。
「何故に皇帝になろうと思った?マクレンジー商会の方が自由だろ。」
「シーリアを妃にするためさ、王太子の婚約者を奪ったからな。」
すごいプレゼントだな、皇妃か。
「リヒト様の横ならばどこでも妃でしたわ、私の王様ですもの。」
お前はどうなんだ、とリヒトールの目が問う。
「我が国はこれから内乱状態に入るだろう、議会の半分は引き入れ軍部は押さえてある。戦争ではなく、暗殺、陰謀が駆け巡る。」
どの国も軍部を握ったものが勝ちとなる、つまりは有利な状態にあるということだ。
「私には関係ない、興味ないからな。」
それが聞きたかったんだよと答える。
これで内戦時不可侵の密約が交わされた。
「半年で政権を奪い返して本来の姿に戻す、その時には友好条約に来るよ。」
本当は妹を嫁がせて支援を取りたかったが、皇妃を一目見た時に無理だとわかった。
メーソン王は来たときと同じように一人でふらっと出て行った。きっと会う手はずになっていたから警護の者もリヒトールもあの反応だったのだ、ここはそういう密会に使われる場所なのだとわかった。
シーリアが花を見に来たという隠れ蓑だったのだ。
リヒトールは執務室で湿地での成果の報告を受けていたが、誰もがソファーに座るシーリアに気づいていた、待っている、お出かけを待っていると。
膝に手を置きキラキラした瞳でカチンと座って微動もしない、可愛いすぎる。
「リア。」
陛下の言葉に飛び上がったよ皇妃様、待っているんだねと周りも期待する。
リヒトールがシーリアの手を取った、もういいの?とシーリアの目が語っている。
「出かけようか、警護が付くけどね。」
無言で湿地の花の中に整備された木道を手を繋いで歩くリヒトールとシーリア。リヒトールは商人なので無口ではないが、意図して女性を喜ばせる為の言葉を使ったことがない。シーリアは舞い上っていてそれどころではない、初デートなのだ。
繋いだ手に心臓があるみたい、バクバクいってる。リヒトールを窺ってみると、視線があった。
思わず顔をそらしてしまう、自分でも顔が赤いのがわかる。
リヒトールがクスッと笑う声が聞こえる、もう、と繋いでない方の手でポカッとリヒトールの胸をたたく。リヒトールからクックックと抑えたような笑い声がする。
「スゲェ美人!」突然声が響いた。
リヒトールが瞬時にシーリアを背後に隠し、護衛が脇を固める。
「貴公か、何故ここに。」リヒトールの知り合いらしい。
「湿地の偵察だよ、マクレンジー帝国の偵察さ。」大胆なことを言う。
「憎まれてる人間は護衛がいっぱいで大変だねぇ、この美人が皇妃か?金ってのはすごいね。」
シーリアが湿地の土泥をすくって投げつけたのはあっと言う間だった。
「言葉は我が身に返ってくるのですわ。」
クククとリヒトールが笑いながらシーリアを抱き寄せ、泥で汚れた手を拭いている。
泥を顔に投げ付けられた男が茫然として、顔をなで手に付く泥を確かめている。
「よく届いたな、非力なくせに。」
「才能あるかもしれません、泥投げの。」
「おい、無視するな、リヒトール・マクレンジー。」
シーリアが男の方を振り返り、ほほ笑んで、「よくお似合いでしてよ。」
男は天を仰ぎ言った、「負けたよ、すばらしい皇妃様だ、悪かった。」
「シーリア、彼はハリンストン王国の第15代国王メーソン・ノア・ハリンストンだ。」
「ハリンストン王国は平和なのですね、警護もなく羨ましいですわ。」
シーリアは棒読みのいやみだ。
ハリンストン王族ってオッドアイの血族との話だけど、この王様は違うのね、とお妃教育を思い出していた。
ハリンストン王国はモナ湿原地帯国と国境を接する広大な王国である、高い山脈が国境となっているため交易が盛んとは言い難い関係だ。
ワハハハと大声が響いた、
「国王とわかってこれか、まいった、本気で負けた。」
やばい、変態警報が鳴っている、シーリアは逃げ出したくなった。
デートは打ち切りで離宮に場所を移して対談となった、もちろんハリンストン王もシーリアも泥で汚れた服を着替えてである。
「湿地中心の限られた土地だから城壁で囲ってしまえる、環境保全とは上手い手だ。城壁にある門とヤムズ大河しか出入り口はないから、城壁の中への出入りを厳重に管理することができる、ここは中立という砦だな。
城壁の中では、湿地や宿で働いている元兵士がさりがなく警備を兼ねているが、行動は自由だ。俺でさえここに来れる。アルハンの時から広大な湿地は知っていたが、虫が多く価値がないと思ってたよ。」
その城壁こそが虫よけ対策の植物の栽培地であり、湿原内の花の受粉は管理された虫が行う。
「で?」
「影武者を置いてきた、後2、3日は大丈夫だろう。俺は傀儡を辞めようと思ってる。」
「私には関係ないな。」
話の筋が見えてきた、この国王は配下が執政を牛耳っているから、こっそりいなくなっても執務が滞ることないんだ。
リヒトールが皇帝になって妹をやれると思った。妹はずっとリヒトールを想っていて商人の時はやれなかったが、やっとと安心したら、リヒトールの戴冠式と皇妃の立位が同時に行われると聞いて驚いた。
戴冠式に出席した大使が、皇妃の美貌を誉めちぎっていた
皇妃を巡っての戦争、聖女と呼ばれる女、どんな女だろうと思った。マクレンジー皇帝の後ろ楯ならハリンストン王国の姫ほどふさわしいものはない、妹も美姫とうたわれている。
湿地でリヒトールを見た時に目を疑った、リヒトールが女と手を繋いで歩いていたのだ。しかも笑っている。クーデターを成しえる為のセルジオ王国との政略結婚だと思っていた。
そして皇妃の美貌、妹など足元にも及ばない、会話を見ても気性と知性がわかる。リヒトール以外はイヤだと婚姻を断り続けもうすぐ30歳になる妹が憐れだ、側妃でもいい。
「皇妃はセルジオ王国の姫ときいたが。」
「攫ってきたからな、セルジオ王国とは最近和解したとこだ。」
リヒトールが攫ってきただと。見るからに寵愛していて、今も抱きしめんばかりに横に座らせ腰に手をまわしている。リヒトールが妹に興味ないのはわかっていた、全ての女にだと思っていた、妹は側妃も望めないだろう。
「何故に皇帝になろうと思った?マクレンジー商会の方が自由だろ。」
「シーリアを妃にするためさ、王太子の婚約者を奪ったからな。」
すごいプレゼントだな、皇妃か。
「リヒト様の横ならばどこでも妃でしたわ、私の王様ですもの。」
お前はどうなんだ、とリヒトールの目が問う。
「我が国はこれから内乱状態に入るだろう、議会の半分は引き入れ軍部は押さえてある。戦争ではなく、暗殺、陰謀が駆け巡る。」
どの国も軍部を握ったものが勝ちとなる、つまりは有利な状態にあるということだ。
「私には関係ない、興味ないからな。」
それが聞きたかったんだよと答える。
これで内戦時不可侵の密約が交わされた。
「半年で政権を奪い返して本来の姿に戻す、その時には友好条約に来るよ。」
本当は妹を嫁がせて支援を取りたかったが、皇妃を一目見た時に無理だとわかった。
メーソン王は来たときと同じように一人でふらっと出て行った。きっと会う手はずになっていたから警護の者もリヒトールもあの反応だったのだ、ここはそういう密会に使われる場所なのだとわかった。
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