33 / 54
第四章 バイハド村
第4話 魔力の乱れ
しおりを挟む
アアアーシャ達が村を出発して数時間。
川に沿って馬車を進ませる。
スキル"威圧"のおかげて魔獣も出現しない。
「馬車で半日、結構時間かかるよなぁ」
「……なんか緊張感ないですね、アアアーシャさん」
「大型魔獣なんか魔剣の敵じゃねぇからな」
天気は今日も晴れ。
朝は寒かったが今は日も昇り暖かだ。
健太郎からすればこれからとんでもないバケモノと一戦やらかそうという雰囲気ではないが、
アアアーシャからすれば絶対勝てる相手の元へ向かうのに緊張感を保つのは難しいのだろう。
「タコの住処に着けば終わったも同然だぜ? まぁあっさり終わり過ぎてもつまんねーけどな」
「何事もなく終わるならそれが一番ですよ」
「あー、早く着かねぇかなぁ。さっさとぶっ放してぇ!」
「……言い方」
「うずうず」
「……そういえば魔剣、僕が抜くまでどれくらいの時間刺さっていたんです?」
「ん? えー……あー……覚えてねぇなぁ」
「ええ?」
「マキもそんなに歳くってなかったし、せいぜい数か月~数年くらいじゃねーの?」
「……数か月も刺さっていたらさぞ退屈だったのでは?」
アアアーシャの性格なら尚更だ。
「いや、それが刺さっている間はよ……ってどうしたセナ?」
「…………」
「セナ?」
「え? あ、はい! そうですね!」
セナはさっきから黙ったままだった。
ツノオオダコの場所まで案内すると自ら志願したが、村の事も気になっている様子だった。
さらにセナは実際に盗賊と遭遇したため、「あんな連中が村を襲ったら……」とリアルな想像できてしまうのかもしれない。
「セナ、はやく片づけて村へ戻ろうぜ!」
察したアアアーシャが優しくセナの肩に手を乗せた。
「アーシャさん……!」
「よっしゃ、ちょっと急ぐか!」
アアアーシャが手綱を握り直そうとしたとき。
「っ!?」
「……どうしました? 酒でも切れました?」
「違ぇよ! 人をアル中みたいに言うな! そうじゃなくてコイツは……」
来た道を振り返ると、向こうで起こっている何かを探るように意識を長く遠くに働かせる。
「……村だ! 村がやべぇ!」
そう言うと見事な手綱さばきで馬車を反転、来た道を引き返す。
「アーシャさんっ! 村が……村がどうしたんですか!?」
「すげぇ数の魔力が乱れてる……! ちくしょう、村が襲われてるぞ……!」
「……そんな……!」
アアアーシャ達が魔力の乱れを感じたその時、盗賊の一団がバイハド村を襲撃していた。
村には領主でもある村長のジンメイを含め騎士や剣士だった者もいて、それなりの戦力を有している。
また、外壁や柵の配置など防御面でも工夫された造りになっていて、力押しで攻めるのは難しい。
だがバイハド村が落ちるのは時間の問題だった。
川に沿って馬車を進ませる。
スキル"威圧"のおかげて魔獣も出現しない。
「馬車で半日、結構時間かかるよなぁ」
「……なんか緊張感ないですね、アアアーシャさん」
「大型魔獣なんか魔剣の敵じゃねぇからな」
天気は今日も晴れ。
朝は寒かったが今は日も昇り暖かだ。
健太郎からすればこれからとんでもないバケモノと一戦やらかそうという雰囲気ではないが、
アアアーシャからすれば絶対勝てる相手の元へ向かうのに緊張感を保つのは難しいのだろう。
「タコの住処に着けば終わったも同然だぜ? まぁあっさり終わり過ぎてもつまんねーけどな」
「何事もなく終わるならそれが一番ですよ」
「あー、早く着かねぇかなぁ。さっさとぶっ放してぇ!」
「……言い方」
「うずうず」
「……そういえば魔剣、僕が抜くまでどれくらいの時間刺さっていたんです?」
「ん? えー……あー……覚えてねぇなぁ」
「ええ?」
「マキもそんなに歳くってなかったし、せいぜい数か月~数年くらいじゃねーの?」
「……数か月も刺さっていたらさぞ退屈だったのでは?」
アアアーシャの性格なら尚更だ。
「いや、それが刺さっている間はよ……ってどうしたセナ?」
「…………」
「セナ?」
「え? あ、はい! そうですね!」
セナはさっきから黙ったままだった。
ツノオオダコの場所まで案内すると自ら志願したが、村の事も気になっている様子だった。
さらにセナは実際に盗賊と遭遇したため、「あんな連中が村を襲ったら……」とリアルな想像できてしまうのかもしれない。
「セナ、はやく片づけて村へ戻ろうぜ!」
察したアアアーシャが優しくセナの肩に手を乗せた。
「アーシャさん……!」
「よっしゃ、ちょっと急ぐか!」
アアアーシャが手綱を握り直そうとしたとき。
「っ!?」
「……どうしました? 酒でも切れました?」
「違ぇよ! 人をアル中みたいに言うな! そうじゃなくてコイツは……」
来た道を振り返ると、向こうで起こっている何かを探るように意識を長く遠くに働かせる。
「……村だ! 村がやべぇ!」
そう言うと見事な手綱さばきで馬車を反転、来た道を引き返す。
「アーシャさんっ! 村が……村がどうしたんですか!?」
「すげぇ数の魔力が乱れてる……! ちくしょう、村が襲われてるぞ……!」
「……そんな……!」
アアアーシャ達が魔力の乱れを感じたその時、盗賊の一団がバイハド村を襲撃していた。
村には領主でもある村長のジンメイを含め騎士や剣士だった者もいて、それなりの戦力を有している。
また、外壁や柵の配置など防御面でも工夫された造りになっていて、力押しで攻めるのは難しい。
だがバイハド村が落ちるのは時間の問題だった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)
朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】
バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。
それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。
ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。
ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――!
天下無敵の色事師ジャスミン。
新米神官パーム。
傭兵ヒース。
ダリア傭兵団団長シュダ。
銀の死神ゼラ。
復讐者アザレア。
…………
様々な人物が、徐々に絡まり、収束する……
壮大(?)なハイファンタジー!
*表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます!
・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる