23 / 54
第三章 馬車で行こう
第3話 盗賊はいちいち笑う
しおりを挟む
「ちっ、とばすぜ! しっかり掴まってろセナ!」
「はいっ……!」
アアアーシャは馬車の速度を上げるが、スピードの差は明白だった。
馬に乗った男達はあっという間に距離を詰めてきた。
男達はやはり盗賊のようだ。それぞれが斧や剣などの武器を持ち、顔や腕には入れ墨のような模様を入れている。
この男がリーダーだろうか。頭に赤い布を巻いた男が軽く手を挙げる。
それを合図に馬が左右に展開したかと思うと、馬車はすぐに囲まれてしまった。
「おう、女子供で馬車旅かい? いいねぇいいねぇ!」
「俺らも混ぜてくれねぇか? うひゃひゃひゃ!」
「つーか! どっちもすっげぇかわい子ちゃんだぜぇ! ぎゃはは!」
業者台に座るのが女だと分かると嫌な笑いを浮かべて声をかけてくる男達。
馬車に乗っているのが女二人ということでナメているのだろう。
「ちっ、下衆どもがうぜぇんだよ! 痛い目に合いたくはねぇだろ! さっさと消えな!」
眼光鋭く睨みつけるアアアーシャだがこの状況で効果があるはずもない。
会話は逆効果だ。
「威勢のいいネェちゃんだぜ! ケケケ!」
「つーかすげぇカッコしてんな! 旅芸人か? ガハハハ!」
「なぁ、俺と遊んでくれよぉ! 身ぐるみ全部剥いでからな! うひゃひゃひゃ!」
からかうような挑発するような笑い声が神経に障わる。
「クソが! こいつら何でいちいち笑うんだ? 何がそんなに面白いのか知らねーが楽しそうな人生で何よりだぜ!」
「ど、どうしましょうアーシャさん!」
「当然、全殺しだ!」
「えぇ!? 相手はたくさんいます……!」
アアアーシャは愛用の黒い木刀を取り出す。
「こういうのは気合だぜ、セナ!」
「おぉ……! そ、それも魔剣なのですか?」
「ちげぇ! ただの木刀だ!」
「ええ……?」
魔人が取り出したら何か凄い武器だと思うのも当然だが、これは本当にただの木刀である。
とはいえ剣の達人が持てば木刀だろうが竹刀だろうが関係ないのだろう。
「オラぁ! かかってこ……」
立ち上がろうとした瞬間、右手に持った木刀が吹き飛ばされた。
頭に赤い布を巻いた男が弓で木刀を射たのだ。
ちなみに魔人アアアーシャは別段、剣の達人でも何でもない。
「ちょ! アタシ様の愛刀! 『黒炎稲妻猛吹雪』がぁぁぁ!」
走る馬車から落ちた木刀はすでに遥か後方。回収するのは無理だ。
「うおおおお! さすが赤布サン! すげぇ弓の腕だぜぇ!」
「あぶねーぜぇねーちゃん! そんなモン持っちゃよぉ」
「うけけけけけ! そうそう! 女はおとなしくしてなよ!」
愛刀を失って半分涙目の魔人に対して、大盛り上がりの盗賊達。
走る馬車の振動で揺れる木刀に馬上から矢を当てるとは、赤布の男はかなりの手練れだ。
というか赤布の男、「赤布サン」と呼ばれているのか。そのまんまである。
「はいっ……!」
アアアーシャは馬車の速度を上げるが、スピードの差は明白だった。
馬に乗った男達はあっという間に距離を詰めてきた。
男達はやはり盗賊のようだ。それぞれが斧や剣などの武器を持ち、顔や腕には入れ墨のような模様を入れている。
この男がリーダーだろうか。頭に赤い布を巻いた男が軽く手を挙げる。
それを合図に馬が左右に展開したかと思うと、馬車はすぐに囲まれてしまった。
「おう、女子供で馬車旅かい? いいねぇいいねぇ!」
「俺らも混ぜてくれねぇか? うひゃひゃひゃ!」
「つーか! どっちもすっげぇかわい子ちゃんだぜぇ! ぎゃはは!」
業者台に座るのが女だと分かると嫌な笑いを浮かべて声をかけてくる男達。
馬車に乗っているのが女二人ということでナメているのだろう。
「ちっ、下衆どもがうぜぇんだよ! 痛い目に合いたくはねぇだろ! さっさと消えな!」
眼光鋭く睨みつけるアアアーシャだがこの状況で効果があるはずもない。
会話は逆効果だ。
「威勢のいいネェちゃんだぜ! ケケケ!」
「つーかすげぇカッコしてんな! 旅芸人か? ガハハハ!」
「なぁ、俺と遊んでくれよぉ! 身ぐるみ全部剥いでからな! うひゃひゃひゃ!」
からかうような挑発するような笑い声が神経に障わる。
「クソが! こいつら何でいちいち笑うんだ? 何がそんなに面白いのか知らねーが楽しそうな人生で何よりだぜ!」
「ど、どうしましょうアーシャさん!」
「当然、全殺しだ!」
「えぇ!? 相手はたくさんいます……!」
アアアーシャは愛用の黒い木刀を取り出す。
「こういうのは気合だぜ、セナ!」
「おぉ……! そ、それも魔剣なのですか?」
「ちげぇ! ただの木刀だ!」
「ええ……?」
魔人が取り出したら何か凄い武器だと思うのも当然だが、これは本当にただの木刀である。
とはいえ剣の達人が持てば木刀だろうが竹刀だろうが関係ないのだろう。
「オラぁ! かかってこ……」
立ち上がろうとした瞬間、右手に持った木刀が吹き飛ばされた。
頭に赤い布を巻いた男が弓で木刀を射たのだ。
ちなみに魔人アアアーシャは別段、剣の達人でも何でもない。
「ちょ! アタシ様の愛刀! 『黒炎稲妻猛吹雪』がぁぁぁ!」
走る馬車から落ちた木刀はすでに遥か後方。回収するのは無理だ。
「うおおおお! さすが赤布サン! すげぇ弓の腕だぜぇ!」
「あぶねーぜぇねーちゃん! そんなモン持っちゃよぉ」
「うけけけけけ! そうそう! 女はおとなしくしてなよ!」
愛刀を失って半分涙目の魔人に対して、大盛り上がりの盗賊達。
走る馬車の振動で揺れる木刀に馬上から矢を当てるとは、赤布の男はかなりの手練れだ。
というか赤布の男、「赤布サン」と呼ばれているのか。そのまんまである。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる