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第十九章
第九話 正確には二十回ではなく、二十種類だったんだな
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「そうか! わかったぞ!」
俺は異世界の知識を用いることで、バーサーカーの倒し方に気づくことができた。
それにしても、中々エグイことを俺に要求させるものだ。
「ご主人様! バーサーカーの倒し方がわかったのかワン!」
「ああ、あの男は無闇に魔法を連発しても倒すことができない。魔法でダメージを与える際に、倒す意味を与えなければならないんだ」
「それってどういうなのだワン? キャッツにも分かるように説明して欲しいワン」
「つまり、魔法でダメージを与える際に、倒す方法が重要ってことだ。バーサーカーは二十回と言ったが、厳密には二十種類の方法で倒せってことだったんだ」
俺の説明にキャッツは首を傾げる。
もう少し分かりやすく説明しないといけないな。
「具体的に言うと、俺がファイヤーボールでやつの肉体を燃やした。これは焼死となる。そしてアイシクルで心臓を破壊した。これは刺突死になる。そして三回目は大量の血液を流した。これは流血死だ」
「なるほど、ようやくキャッツにも理解することができたワン。つまり、ご主人様は二十種類の殺害方法で、バーサーカーを倒さないといけないという訳だワン」
ようやくキャッツも理解してくれたか。ヘラとクレースを一体のバーサーカーにしたやつの性格が悪すぎる。
いくら敵とは言え、苦しみながらも戦うやつを、二十種類のやり方で倒さないと行けないなんて。これはミーリアにとっても酷い仕打ちだ。
あのバーサーカーは、彼女の血縁関係者。家族が何度も倒される姿を見てはいられない。
咄嗟にミーリアを見る。彼女は真剣な表情で、この戦いを見守っていた。
「キャッツ、ミーリアを頼めるか」
「了解したワン!」
キャッツが四足歩行で走ると、ミーリアのもとに駆け寄る。
ケモノ族になる前は神獣だったからな。走るときは四足歩行になったときのほうが早い。
「さぁ、さぁ、キャッツの胸で溺れるがよいワン!」
「わぷっ!」
ミーリアを思いっきり抱きしめると、キャッツは豊満な胸に彼女の頭を押し付ける。
予想外展開に、ミーリアは驚いているようだ。左右の腕を上下に動かしていたが、その後キャッツを引き剥がそうとしているようで、彼女の腰を掴む。
なんとも羨ましい光景だけど、キャッツのやつ大丈夫か? あのままミーリアを窒息させないだろうか?
心配になり、彼女たちを見守る。すると、ミーリアはいきなり抵抗をやめて動かなくなった。
「キャッツ! まさか!」
「ご主人様、安心するのだワン! 酸欠で意識を失わせただけで、窒息させてはいないワン」
彼女の言葉を聞いて、ホッとする。
頼むから、これ以上俺の精神をすり減らさないでくれ。
心の中で懇願するも、今のキャッツのお陰で一つの倒し方が思い浮かぶ。
「ライトウィール!」
光の壁をバーサーカーに使い、敵を封じ込める。
突然の壁に、男は驚いて何度も斧を振り回すが、光の壁は壊れることがなかった。
さぁ、どんどん抵抗しろ! 足掻けば足掻くほど、お前のタイムリミットは早まる。
数分間バーサーカーは抵抗していたが、次第に動きが鈍くなり、男は球体の中で倒れた。
これで窒息による死を与えた。残りは十六種類。
「さぁ、早く立ち上がれよ! お望み通り、お前を瞬殺してやるからよ」
光の壁を消すとバーサーカーは立ち上がる。
「ダストデビル!」
やつが立ち上がった瞬間、瞬時に呪文を唱える。
直射日光により、温められた地表面から上昇気流が発生し、周囲から強風が吹きこむ。すると渦巻き状に回転が強まった塵旋風が誕生して、やつの身体を空中に飛ばす。
これで、準備は完了した。あとはやつが落下するのを待つだけ。
数秒後にヘラクレスが地面に激突すると、彼の肉体から鮮血が噴き出た。
今ので落下による死を与えた。残りは十五だ。
「悪いな。お前には休む暇を与えないウォーターカッター」
やつの肉体が回復した瞬間、水の魔法を唱えて直径一ミリほどの細さにすると、バーサーカーの首に目がけて放つ。
貫通力の高い水は、勢いよく男の首を吹き飛ばす。
斬首はこのカテゴリーに入るかわからないが、死には直結する。だからこれも問題ないはずだ。これで残り十四、本当に面倒臭い。こうなったら一気にやらせてもらう。
「現れろ! インサイボウアイスゴーレム!」
召喚魔法を使い、俺はゴーレム作成に必要な物質を魔法で集めて、インサイボウアイスゴーレムを生み出す。
「さぁ、行け!」
俺の指示に従い、ゴーレムはバーサーカーを掴む。そして人差し指と親指を使って摘むようにして首を締めた。
これで絞殺だ。残り十三。
しばらくはゴーレムに任せれば問題ないはずだ。
その後、インサイボウアイスゴーレムは、己の肉体を使って圧死、撲殺、抉殺(けっさつ)の三パターンで倒した。
「これで残り十か。まだまだあるな。インサイボウアイスゴーレム! トランスフォーム」
命令に従い、ゴーレムは形を変えて車輪の着いた乗り物に姿を変える。そしてバーサーカーに突っ込んだ。
乗り物状態のゴーレムに轢かれたバーサーカーは、轢死となる。
残り九。
そして乗り物から腕が出ると、バーサーカーを掴んで背中に乗せるが、直ぐに振り落とす。
頭から地面にぶつかった男は、首が変な方向に曲がって動かなくなる。
こいつで転落死、残り八。やっと半分を切った。インサイボウアイスゴーレムでできることはこのくらいだろう。あとは俺の魔法でどうにかするしかない。
「まだまだ行くぞ! ショック! サンダーボルト! アイスボール! シャクルアイス! ハートプリチュア! ウエポンカーニバル&ウエポンアロー!」
連続で魔法を唱え、ショック死、感電死、溺死、凍死、心臓破裂、射殺、これらで六回倒したことになる。
「こいつで終わりだ! ダストデビル!」
もう一度塵旋風を生み出し、バーサーカーを上空に飛ばす。
「ファイヤーボール! ライトウィール!」
上空に火球を生み出し、その炎を光の壁で包み込む。すると瞬時に火球は消え去り、見えなくなった。
「合成魔法、バッグドラフト!」
二つの魔法が融合して上空で大爆発を起こす。爆発に巻き込まれたバーサーカーは黒焦げになって地面に落下した。
これで爆死だ。あと一つ。
バーサーカーの身体が瞬時に癒えるとやつは立ち上がり、俺を睨みつける。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
「よくぞ俺たちの試練を乗り越えた。それでこそ、ミーリアを任せるに相応しい英雄だ。ワン」
キャッツが通訳してくれるが、どう言うことだ? まだあと一回残っているじゃないか。
『グオオオオオ、グオオン、グオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
「ミーリアを頼んだ。次は、お前が守る番だ。英雄に人殺しなどさせない。最後は俺たち自らの手で……ワン」
そう言うと、バーサーカーは地面に落ちている斧を握った。
「まさか! 止めろ!」
止めるように言うも、彼は止まらない。男は斧を使って自ら命を絶った。
地面に倒れる彼を見て、俺は拳を強く握る。
最初からそのつもりでいたのかよ。俺にミーリアを託すために俺に立ち向かい、最後は自殺で終わらせる。
そんなの、育児放棄のようなものじゃないか。お前が俺に頼ってくれれば、他の道を見出すことができたと言うのに。
バーサーカーの死体を見つめていると、彼の肉体は光の粒子となって上空に舞い、天へと昇っていく。
「ご主人様」
ミーリアを抱き抱えてキャッツが俺のところにやって来た。
「キャッツ、早くみんなと合流をしよう」
「わかったワン」
俺たちはこの場を離れて仲間たちと合流することにする。
俺は異世界の知識を用いることで、バーサーカーの倒し方に気づくことができた。
それにしても、中々エグイことを俺に要求させるものだ。
「ご主人様! バーサーカーの倒し方がわかったのかワン!」
「ああ、あの男は無闇に魔法を連発しても倒すことができない。魔法でダメージを与える際に、倒す意味を与えなければならないんだ」
「それってどういうなのだワン? キャッツにも分かるように説明して欲しいワン」
「つまり、魔法でダメージを与える際に、倒す方法が重要ってことだ。バーサーカーは二十回と言ったが、厳密には二十種類の方法で倒せってことだったんだ」
俺の説明にキャッツは首を傾げる。
もう少し分かりやすく説明しないといけないな。
「具体的に言うと、俺がファイヤーボールでやつの肉体を燃やした。これは焼死となる。そしてアイシクルで心臓を破壊した。これは刺突死になる。そして三回目は大量の血液を流した。これは流血死だ」
「なるほど、ようやくキャッツにも理解することができたワン。つまり、ご主人様は二十種類の殺害方法で、バーサーカーを倒さないといけないという訳だワン」
ようやくキャッツも理解してくれたか。ヘラとクレースを一体のバーサーカーにしたやつの性格が悪すぎる。
いくら敵とは言え、苦しみながらも戦うやつを、二十種類のやり方で倒さないと行けないなんて。これはミーリアにとっても酷い仕打ちだ。
あのバーサーカーは、彼女の血縁関係者。家族が何度も倒される姿を見てはいられない。
咄嗟にミーリアを見る。彼女は真剣な表情で、この戦いを見守っていた。
「キャッツ、ミーリアを頼めるか」
「了解したワン!」
キャッツが四足歩行で走ると、ミーリアのもとに駆け寄る。
ケモノ族になる前は神獣だったからな。走るときは四足歩行になったときのほうが早い。
「さぁ、さぁ、キャッツの胸で溺れるがよいワン!」
「わぷっ!」
ミーリアを思いっきり抱きしめると、キャッツは豊満な胸に彼女の頭を押し付ける。
予想外展開に、ミーリアは驚いているようだ。左右の腕を上下に動かしていたが、その後キャッツを引き剥がそうとしているようで、彼女の腰を掴む。
なんとも羨ましい光景だけど、キャッツのやつ大丈夫か? あのままミーリアを窒息させないだろうか?
心配になり、彼女たちを見守る。すると、ミーリアはいきなり抵抗をやめて動かなくなった。
「キャッツ! まさか!」
「ご主人様、安心するのだワン! 酸欠で意識を失わせただけで、窒息させてはいないワン」
彼女の言葉を聞いて、ホッとする。
頼むから、これ以上俺の精神をすり減らさないでくれ。
心の中で懇願するも、今のキャッツのお陰で一つの倒し方が思い浮かぶ。
「ライトウィール!」
光の壁をバーサーカーに使い、敵を封じ込める。
突然の壁に、男は驚いて何度も斧を振り回すが、光の壁は壊れることがなかった。
さぁ、どんどん抵抗しろ! 足掻けば足掻くほど、お前のタイムリミットは早まる。
数分間バーサーカーは抵抗していたが、次第に動きが鈍くなり、男は球体の中で倒れた。
これで窒息による死を与えた。残りは十六種類。
「さぁ、早く立ち上がれよ! お望み通り、お前を瞬殺してやるからよ」
光の壁を消すとバーサーカーは立ち上がる。
「ダストデビル!」
やつが立ち上がった瞬間、瞬時に呪文を唱える。
直射日光により、温められた地表面から上昇気流が発生し、周囲から強風が吹きこむ。すると渦巻き状に回転が強まった塵旋風が誕生して、やつの身体を空中に飛ばす。
これで、準備は完了した。あとはやつが落下するのを待つだけ。
数秒後にヘラクレスが地面に激突すると、彼の肉体から鮮血が噴き出た。
今ので落下による死を与えた。残りは十五だ。
「悪いな。お前には休む暇を与えないウォーターカッター」
やつの肉体が回復した瞬間、水の魔法を唱えて直径一ミリほどの細さにすると、バーサーカーの首に目がけて放つ。
貫通力の高い水は、勢いよく男の首を吹き飛ばす。
斬首はこのカテゴリーに入るかわからないが、死には直結する。だからこれも問題ないはずだ。これで残り十四、本当に面倒臭い。こうなったら一気にやらせてもらう。
「現れろ! インサイボウアイスゴーレム!」
召喚魔法を使い、俺はゴーレム作成に必要な物質を魔法で集めて、インサイボウアイスゴーレムを生み出す。
「さぁ、行け!」
俺の指示に従い、ゴーレムはバーサーカーを掴む。そして人差し指と親指を使って摘むようにして首を締めた。
これで絞殺だ。残り十三。
しばらくはゴーレムに任せれば問題ないはずだ。
その後、インサイボウアイスゴーレムは、己の肉体を使って圧死、撲殺、抉殺(けっさつ)の三パターンで倒した。
「これで残り十か。まだまだあるな。インサイボウアイスゴーレム! トランスフォーム」
命令に従い、ゴーレムは形を変えて車輪の着いた乗り物に姿を変える。そしてバーサーカーに突っ込んだ。
乗り物状態のゴーレムに轢かれたバーサーカーは、轢死となる。
残り九。
そして乗り物から腕が出ると、バーサーカーを掴んで背中に乗せるが、直ぐに振り落とす。
頭から地面にぶつかった男は、首が変な方向に曲がって動かなくなる。
こいつで転落死、残り八。やっと半分を切った。インサイボウアイスゴーレムでできることはこのくらいだろう。あとは俺の魔法でどうにかするしかない。
「まだまだ行くぞ! ショック! サンダーボルト! アイスボール! シャクルアイス! ハートプリチュア! ウエポンカーニバル&ウエポンアロー!」
連続で魔法を唱え、ショック死、感電死、溺死、凍死、心臓破裂、射殺、これらで六回倒したことになる。
「こいつで終わりだ! ダストデビル!」
もう一度塵旋風を生み出し、バーサーカーを上空に飛ばす。
「ファイヤーボール! ライトウィール!」
上空に火球を生み出し、その炎を光の壁で包み込む。すると瞬時に火球は消え去り、見えなくなった。
「合成魔法、バッグドラフト!」
二つの魔法が融合して上空で大爆発を起こす。爆発に巻き込まれたバーサーカーは黒焦げになって地面に落下した。
これで爆死だ。あと一つ。
バーサーカーの身体が瞬時に癒えるとやつは立ち上がり、俺を睨みつける。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
「よくぞ俺たちの試練を乗り越えた。それでこそ、ミーリアを任せるに相応しい英雄だ。ワン」
キャッツが通訳してくれるが、どう言うことだ? まだあと一回残っているじゃないか。
『グオオオオオ、グオオン、グオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
「ミーリアを頼んだ。次は、お前が守る番だ。英雄に人殺しなどさせない。最後は俺たち自らの手で……ワン」
そう言うと、バーサーカーは地面に落ちている斧を握った。
「まさか! 止めろ!」
止めるように言うも、彼は止まらない。男は斧を使って自ら命を絶った。
地面に倒れる彼を見て、俺は拳を強く握る。
最初からそのつもりでいたのかよ。俺にミーリアを託すために俺に立ち向かい、最後は自殺で終わらせる。
そんなの、育児放棄のようなものじゃないか。お前が俺に頼ってくれれば、他の道を見出すことができたと言うのに。
バーサーカーの死体を見つめていると、彼の肉体は光の粒子となって上空に舞い、天へと昇っていく。
「ご主人様」
ミーリアを抱き抱えてキャッツが俺のところにやって来た。
「キャッツ、早くみんなと合流をしよう」
「わかったワン」
俺たちはこの場を離れて仲間たちと合流することにする。
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