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第十五章
第六話 キャプテンモネの思い
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「これはいったい何の冗談かな?」
「冗談でこんなことをすると思うか? 俺は本気だ」
俺は今、本気でキャプテンモネに壁ドンをしている。
彼女に視線を向けていると、キャプテンモネも逸らさずに見つめてきた。
「キャプテンモネ、あなたはわざと戦い辛い環境で俺たちを戦わせたな」
「何を根拠にそんなことを言うのだい?」
「根拠ならあるさ。気流が荒い場所で戦闘を行なっていた際、すぐにあの場から離れようとはしなかった」
説明を聞いた彼女は小さく息を吐く。
「やれやれ、そんなことでわざとやっていたと言われるとは悲しいよ。あのときのボクは、操縦で手一杯だった。船を水平に保つことばかり考えていたからね」
「それは嘘だな。船を水平に維持すること以外何もできなかったのなら、スカイドラゴンのテールアタックを避けることはできないはずだ。つまり、あなたは操縦に余裕があった。これが俺の言える根拠だ」
力強く答えると、彼女は顔を俯かせる。
「まさか。あの一回で見抜かれてしまうとは思ってもいなかった。そうだよ、あれはわざとだ。わざと環境が悪い中、君たちをスカイドラゴンと戦わせた」
「どうしてそんなことをしましたの?」
俺の代わりに、マリーが訊ねる。
「空の旅はいつも穏やかではない。気流が荒くなるときもあるし、そんなときに限って魔物に襲われることもある。だから、君たちの適応力を確かめさせてもらった。このボクの命を預けるに相応しい人物なのかを知るために」
キャプテンモネが素直に答えると、壁ドンを止めて彼女から離れる。
「事情は分かった。だけど、自分勝手な行動で仲間たちを危険に晒したことは許せない。あの場で戦ったことで、仲間が飛行船から投げ出されそうになった」
「別に許してもらおうとは思ってもいないさ。空や海の上での戦闘なら、よくあることだからね」
彼女の言葉に、思わずカッとなりそうになる。
「君やそこにいる彼女たちとは何の絆も存在していない。戦闘で死のうがボクには関係ないよ。ボクたちはあくまでもビジネスパートナ。お互いに対等な関係であり、一歩引いた距離感で今後も接する。もし、これでボクのことを嫌いになったのなら、他をあたってくれ」
キャプテンモネが船の中に入ると、飛行船は海上から上昇していく。
「シロウさん。大丈夫ですの?」
エリーザが心配そうに俺を見て声をかけてきた。
そういえば、エリーザのときも初めはギクシャクとした関係だったよな。だけど、今回はあの時以上のマイナスからのスタートだ。
キャプテンモネ以外に頼る人はいないし、ここは俺も彼女に合わせるしかない。
「ああ、大丈夫だ。初めて空で戦ったからな。それで少し疲れただけだ」
「シロウさんありがとう」
『ワン、ワン』
クロエとキャッツが近づくと礼を言ってくる。
急にどうした? 別に礼を言われるようなことはしていないはずなんだけど? それに何だか妙に嬉しそうだ。
「どうした? 別に礼を言われるようなことはしていないだろう?」
「シロウさん。本気で怒ってくれたじゃない。それだけ私たちのことを大事にしてくれているんだなぁと思うと、何だか嬉しくなって。だからお礼を言ったの」
な、なるほど。そう言う解釈もできるのか。
確かにみんなは俺にとって大切な仲間だ。だからこそ、ついあんな態度をとってしまった。
「まぁ、俺はチームエグザイルドのリーダーだからな。仲間たちを大事にするのは、リーダーとして当たり前だ」
何となく気恥ずかしさを覚えたので、リーダーとして当たり前だと彼女に伝え、視線を逸らす。
「もう、素直ではありませんわねシロウ。ですが、そんなところもワタクシは大好きですわ」
「うん。仲間思いで優しいところも私も大好き!」
「それだけではない。シロウは強敵にも立ち向かう勇気と男らしい力強さがある。そんなところが私は大好きだ」
「わたしも、人の立場になって親身になってくれるところが大好きですわ」
『ワン、ワン、ワワン!』
「皆さん。シロウさんのことが大好きなのですわね。さすが、魔王復活を阻止しようとする英雄様です」
マリーたちが俺に好意の言葉を告げると、コヤンさんがからかう。
彼女たちの気持ちは正直に嬉しい。だけど、みんなの好きは友人関係の好きに過ぎない。
マリーは元々から俺のユニークスキルが目当てだったし、クロエは呪いを解いたから慕ってくれているだけだ。
ミラーカは初めて人間に敗北したことがきっかけで、俺に興味を持っている。
エリーザは、最初は仲が悪かった。だけど美少女コンテストがきっかけで信頼関係を築き、マイナスからゼロに上がった。
どう考えても、彼女たちの好意が恋愛に発展したものだとは思えない。
「みんなありがとう。俺も大好きだぞ」
彼女たちに感謝の言葉と、俺の気持ちを伝える。
すると、なぜかマリーたちは顔を赤らめた。
「みんなエグザイルドのメンバーだからな。ある意味家族のような感じだから、俺も兄妹愛のようなものを感じるよ」
続けて兄妹愛のようなものだと言うと、コヤンさん以外は固まったかのように動かなくなった。
「あらあら、ご期待していたものとは違った感情だったので、ショックを受けられたみたいですね。シロウさんは本当に罪なお方ですわ」
どうしてマリーたちが固まったのか、コヤンさんには心当たりがあるようだ。
だけど俺には分からない。いったい彼女たちに何が起きたんだ?
「冗談でこんなことをすると思うか? 俺は本気だ」
俺は今、本気でキャプテンモネに壁ドンをしている。
彼女に視線を向けていると、キャプテンモネも逸らさずに見つめてきた。
「キャプテンモネ、あなたはわざと戦い辛い環境で俺たちを戦わせたな」
「何を根拠にそんなことを言うのだい?」
「根拠ならあるさ。気流が荒い場所で戦闘を行なっていた際、すぐにあの場から離れようとはしなかった」
説明を聞いた彼女は小さく息を吐く。
「やれやれ、そんなことでわざとやっていたと言われるとは悲しいよ。あのときのボクは、操縦で手一杯だった。船を水平に保つことばかり考えていたからね」
「それは嘘だな。船を水平に維持すること以外何もできなかったのなら、スカイドラゴンのテールアタックを避けることはできないはずだ。つまり、あなたは操縦に余裕があった。これが俺の言える根拠だ」
力強く答えると、彼女は顔を俯かせる。
「まさか。あの一回で見抜かれてしまうとは思ってもいなかった。そうだよ、あれはわざとだ。わざと環境が悪い中、君たちをスカイドラゴンと戦わせた」
「どうしてそんなことをしましたの?」
俺の代わりに、マリーが訊ねる。
「空の旅はいつも穏やかではない。気流が荒くなるときもあるし、そんなときに限って魔物に襲われることもある。だから、君たちの適応力を確かめさせてもらった。このボクの命を預けるに相応しい人物なのかを知るために」
キャプテンモネが素直に答えると、壁ドンを止めて彼女から離れる。
「事情は分かった。だけど、自分勝手な行動で仲間たちを危険に晒したことは許せない。あの場で戦ったことで、仲間が飛行船から投げ出されそうになった」
「別に許してもらおうとは思ってもいないさ。空や海の上での戦闘なら、よくあることだからね」
彼女の言葉に、思わずカッとなりそうになる。
「君やそこにいる彼女たちとは何の絆も存在していない。戦闘で死のうがボクには関係ないよ。ボクたちはあくまでもビジネスパートナ。お互いに対等な関係であり、一歩引いた距離感で今後も接する。もし、これでボクのことを嫌いになったのなら、他をあたってくれ」
キャプテンモネが船の中に入ると、飛行船は海上から上昇していく。
「シロウさん。大丈夫ですの?」
エリーザが心配そうに俺を見て声をかけてきた。
そういえば、エリーザのときも初めはギクシャクとした関係だったよな。だけど、今回はあの時以上のマイナスからのスタートだ。
キャプテンモネ以外に頼る人はいないし、ここは俺も彼女に合わせるしかない。
「ああ、大丈夫だ。初めて空で戦ったからな。それで少し疲れただけだ」
「シロウさんありがとう」
『ワン、ワン』
クロエとキャッツが近づくと礼を言ってくる。
急にどうした? 別に礼を言われるようなことはしていないはずなんだけど? それに何だか妙に嬉しそうだ。
「どうした? 別に礼を言われるようなことはしていないだろう?」
「シロウさん。本気で怒ってくれたじゃない。それだけ私たちのことを大事にしてくれているんだなぁと思うと、何だか嬉しくなって。だからお礼を言ったの」
な、なるほど。そう言う解釈もできるのか。
確かにみんなは俺にとって大切な仲間だ。だからこそ、ついあんな態度をとってしまった。
「まぁ、俺はチームエグザイルドのリーダーだからな。仲間たちを大事にするのは、リーダーとして当たり前だ」
何となく気恥ずかしさを覚えたので、リーダーとして当たり前だと彼女に伝え、視線を逸らす。
「もう、素直ではありませんわねシロウ。ですが、そんなところもワタクシは大好きですわ」
「うん。仲間思いで優しいところも私も大好き!」
「それだけではない。シロウは強敵にも立ち向かう勇気と男らしい力強さがある。そんなところが私は大好きだ」
「わたしも、人の立場になって親身になってくれるところが大好きですわ」
『ワン、ワン、ワワン!』
「皆さん。シロウさんのことが大好きなのですわね。さすが、魔王復活を阻止しようとする英雄様です」
マリーたちが俺に好意の言葉を告げると、コヤンさんがからかう。
彼女たちの気持ちは正直に嬉しい。だけど、みんなの好きは友人関係の好きに過ぎない。
マリーは元々から俺のユニークスキルが目当てだったし、クロエは呪いを解いたから慕ってくれているだけだ。
ミラーカは初めて人間に敗北したことがきっかけで、俺に興味を持っている。
エリーザは、最初は仲が悪かった。だけど美少女コンテストがきっかけで信頼関係を築き、マイナスからゼロに上がった。
どう考えても、彼女たちの好意が恋愛に発展したものだとは思えない。
「みんなありがとう。俺も大好きだぞ」
彼女たちに感謝の言葉と、俺の気持ちを伝える。
すると、なぜかマリーたちは顔を赤らめた。
「みんなエグザイルドのメンバーだからな。ある意味家族のような感じだから、俺も兄妹愛のようなものを感じるよ」
続けて兄妹愛のようなものだと言うと、コヤンさん以外は固まったかのように動かなくなった。
「あらあら、ご期待していたものとは違った感情だったので、ショックを受けられたみたいですね。シロウさんは本当に罪なお方ですわ」
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