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第十四章
第十話 魔大陸に向けて
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~シロウ視点~
トントン! トントン!
これからの方針を決め、俺たちは魔大陸に向かう方法を調べるために外に出ようとした。その時、家のドアが何度も叩かれる。
お客さんか? ここに来ると言うことは、コヤンさんに用があるのだろう。
「はいはい。今開けます」
扉を開けると、思わず驚いてしまう。
スカーヤさん? いや、彼女に似ているけど髪色が違う。茶髪だし、よく見ると少しだけスカーヤさんよりも大人びている。お姉さんだろうか?
「お母様!」
え? お母さん?
「お母様、戻られるのは明日だったはず。お早いお着きでわたくし少々驚きました」
「ええ、予定よりも一日早く切り上げることができましたので、その分早く戻ることができました。それよりもコヤン、話しは町の住民から聞きました。スカーヤが悪党と手を組み、宝玉を持ち出したと言うのは本当なのですか」
鋭い目つきで、コヤンさんの母親は彼女を見る。
「はい……本当です」
「はぁ、やはりそうでしたか。話しを聞いたときは半信半疑でしたが、まさか本当にそのようなことになっていたとは。ですが、スカーヤのことは怒る気にはなりません。当時のあたくしを思い出すと、同じ思いをしておりましたので」
コヤンさんの母親は小さくため息を吐く。
何だか声をかけづらい雰囲気になってしまったなぁ。だけど、このままだと話しを進めることができないし、ここは思い切って声をかけてみるとするか。
「あのう」
「えーと、あなたは?」
「申し遅れました。俺の名はシロウと言います」
「ああ、あなたがシロウさんですわね。話しは町の者から聞いております。あたくしが留守の間、宝玉を守るのを手伝ってくれたとか」
「いえ、結局は守ることができなかったですし、スカーヤさんを引き留めることができませんでした」
彼女に謝ると、コヤンさんの母親はいきなりその場に座り出した。そして三つ指をついて頭を下げる。
「この度は娘がご迷惑をおかけして申し訳ありません。なんと謝罪をすればよいのか」
「あ、頭を上げてください!」
いきなり土下座をされて意表を突かれた俺は、慌てて頭を上げるように言う。
「別に迷惑をかけられたとは思っていませんので」
「そうですわよ。ワタクシのシロウはそんなことで怒るほど、心が狭くはありませんわ」
「そうだよ! 寧ろ、この世界のように広いんだから」
迷惑だと思っていない。そのことを伝えると、マリーとクロエがどれだけ俺の心が広いのかを彼女に伝えた。
さすがに世界のように広いは言い過ぎだろう。だけどまぁ、そんなふうに言われて悪い気はしない。
「ありがとうございます。そう言ってもらえると助かりますわ」
コヤンさんの母親は立ち上がると、ホッとしたような表情を浮かべた。
「お母様。わたくしはこれからシロウさんの旅に同行して、スカーヤを連れ戻して来ます」
「そうですわね。そのほうがよろしいでしょう。町のことはあたくしにお任せください。それで、スカーヤの居場所は見当がついておりますの?」
「おそらくですが、魔大陸にいるかと思っております」
「まぁ! 魔大陸に! それは一筋縄ではいきませんね」
「はい。ですので、空からの侵入する方法を探しにこれから向かうところなのです」
「そうなのですわね。なら、これがお役に立つかもしれませんわ」
コヤンさんの母親は袖に手を突っ込む。そして一枚の紙を取り出した。
「これは出張中にもらったものですが、この国の東に飛行船を作っている場所があります。その管理者に事情を話して飛行船を購入すれば、魔大陸までいけるのではないでしょうか?」
コヤンさんが受け取ると、彼女は俺に渡す。
キャプテンモネの飛行船造船所かぁ。確かにここなら飛行船を買うことができるかもしれないなぁ。まだ具体的な方針は決めてはいなかったし、とりあえずはここに行くとするか。
「ありがとうございます。ここに行ってみます」
コヤンさんの母親に礼を言うと、借りていた家から出る。そして次の目的地である東に向かった。
ケモノ族の街を出て一週間が過ぎた頃、俺たちは造船所のある港町に辿り着く。
「造船所がある町って、港町ですの!」
下り坂から見える海を見て、エリーザが驚きの声を上げる。そしてまだ大陸の上にも関わらず、俺に抱きついてきた。
エリーザ、まだ陸の上だぞ。まさか、海を見ただけで誰かに引っ付いていないといけない体質になってしまったのか?
『ワン、ワン!』
キャッツが跳躍して俺の肩に飛び移る。そして後ろ足で肩に乗ると、前足は俺の頭の上に置く。
抱きつくエリーザを見て、ヤキモチを焼いたのか?
「とにかく、キャプテンモネの造船所を探すとするか」
港町だけあって、造船所はたくさんあった。だけど、目的のキャプテンモネの造船所は見つからない。
いったいどこにあるのだろうな? キャプテンモネの造船所。
「そこの人! 退いて、退いて!」
叫び声のように大きい声が聞こえ、声がしたほうを見る。
女性が坂道を勢いよく走っていた。
トントン! トントン!
これからの方針を決め、俺たちは魔大陸に向かう方法を調べるために外に出ようとした。その時、家のドアが何度も叩かれる。
お客さんか? ここに来ると言うことは、コヤンさんに用があるのだろう。
「はいはい。今開けます」
扉を開けると、思わず驚いてしまう。
スカーヤさん? いや、彼女に似ているけど髪色が違う。茶髪だし、よく見ると少しだけスカーヤさんよりも大人びている。お姉さんだろうか?
「お母様!」
え? お母さん?
「お母様、戻られるのは明日だったはず。お早いお着きでわたくし少々驚きました」
「ええ、予定よりも一日早く切り上げることができましたので、その分早く戻ることができました。それよりもコヤン、話しは町の住民から聞きました。スカーヤが悪党と手を組み、宝玉を持ち出したと言うのは本当なのですか」
鋭い目つきで、コヤンさんの母親は彼女を見る。
「はい……本当です」
「はぁ、やはりそうでしたか。話しを聞いたときは半信半疑でしたが、まさか本当にそのようなことになっていたとは。ですが、スカーヤのことは怒る気にはなりません。当時のあたくしを思い出すと、同じ思いをしておりましたので」
コヤンさんの母親は小さくため息を吐く。
何だか声をかけづらい雰囲気になってしまったなぁ。だけど、このままだと話しを進めることができないし、ここは思い切って声をかけてみるとするか。
「あのう」
「えーと、あなたは?」
「申し遅れました。俺の名はシロウと言います」
「ああ、あなたがシロウさんですわね。話しは町の者から聞いております。あたくしが留守の間、宝玉を守るのを手伝ってくれたとか」
「いえ、結局は守ることができなかったですし、スカーヤさんを引き留めることができませんでした」
彼女に謝ると、コヤンさんの母親はいきなりその場に座り出した。そして三つ指をついて頭を下げる。
「この度は娘がご迷惑をおかけして申し訳ありません。なんと謝罪をすればよいのか」
「あ、頭を上げてください!」
いきなり土下座をされて意表を突かれた俺は、慌てて頭を上げるように言う。
「別に迷惑をかけられたとは思っていませんので」
「そうですわよ。ワタクシのシロウはそんなことで怒るほど、心が狭くはありませんわ」
「そうだよ! 寧ろ、この世界のように広いんだから」
迷惑だと思っていない。そのことを伝えると、マリーとクロエがどれだけ俺の心が広いのかを彼女に伝えた。
さすがに世界のように広いは言い過ぎだろう。だけどまぁ、そんなふうに言われて悪い気はしない。
「ありがとうございます。そう言ってもらえると助かりますわ」
コヤンさんの母親は立ち上がると、ホッとしたような表情を浮かべた。
「お母様。わたくしはこれからシロウさんの旅に同行して、スカーヤを連れ戻して来ます」
「そうですわね。そのほうがよろしいでしょう。町のことはあたくしにお任せください。それで、スカーヤの居場所は見当がついておりますの?」
「おそらくですが、魔大陸にいるかと思っております」
「まぁ! 魔大陸に! それは一筋縄ではいきませんね」
「はい。ですので、空からの侵入する方法を探しにこれから向かうところなのです」
「そうなのですわね。なら、これがお役に立つかもしれませんわ」
コヤンさんの母親は袖に手を突っ込む。そして一枚の紙を取り出した。
「これは出張中にもらったものですが、この国の東に飛行船を作っている場所があります。その管理者に事情を話して飛行船を購入すれば、魔大陸までいけるのではないでしょうか?」
コヤンさんが受け取ると、彼女は俺に渡す。
キャプテンモネの飛行船造船所かぁ。確かにここなら飛行船を買うことができるかもしれないなぁ。まだ具体的な方針は決めてはいなかったし、とりあえずはここに行くとするか。
「ありがとうございます。ここに行ってみます」
コヤンさんの母親に礼を言うと、借りていた家から出る。そして次の目的地である東に向かった。
ケモノ族の街を出て一週間が過ぎた頃、俺たちは造船所のある港町に辿り着く。
「造船所がある町って、港町ですの!」
下り坂から見える海を見て、エリーザが驚きの声を上げる。そしてまだ大陸の上にも関わらず、俺に抱きついてきた。
エリーザ、まだ陸の上だぞ。まさか、海を見ただけで誰かに引っ付いていないといけない体質になってしまったのか?
『ワン、ワン!』
キャッツが跳躍して俺の肩に飛び移る。そして後ろ足で肩に乗ると、前足は俺の頭の上に置く。
抱きつくエリーザを見て、ヤキモチを焼いたのか?
「とにかく、キャプテンモネの造船所を探すとするか」
港町だけあって、造船所はたくさんあった。だけど、目的のキャプテンモネの造船所は見つからない。
いったいどこにあるのだろうな? キャプテンモネの造船所。
「そこの人! 退いて、退いて!」
叫び声のように大きい声が聞こえ、声がしたほうを見る。
女性が坂道を勢いよく走っていた。
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