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第十章
第十二話 タダで死ぬとは思うなよ! お前たちも道連れだ!
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~アーシュ視点~
『熱い、熱い、熱いいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
俺ことアーシュは、シロウのデスボールが当たり、業火の炎に身を焼かれていた。
俺はこのまま死ぬのか? まぁそれでもいい。最愛の妹と死ねるのなら本望だ。
触手のような枝に包まれているクロエを見る。
彼女も炎で焼かれ、中のゴムが剥き出しになっている。
うん? ゴム? って、これは俺のクロエ人形じゃねぇかああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
本者のクロエはどこだ!
眼球を動かして妹を探す。するとあの男の腕に抱かれているのを発見した。
『クロエを奪われたまま死ねるかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
死にたくない。死にたくない。死にたくない。俺のクロエをあの男から解放するまでは!
残り短い命でどうやってあの男を倒すのか、必死になって思考を巡らせる。すると、不思議なことに、脳内にガーベラの声が響く。
『このままでは死んでも死にきれないでしょう? でしたら、最大級の魔法を教えてあげましょう。この魔法を使えば、あなたは確実に死ぬ。けれど、シロウたちを道連れにすることが可能』
なんでもいい! さっさと教えろ!
『いいでしょう。では、あなた自身をターゲットに、隕石を引き寄せる魔法を教えてあげましょう。その名は――』
『ステラアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!』
ガーベラから教えてもらった自爆魔法、ステラを唱えた。その瞬間空が暗くなり、俺に目がけて巨大な隕石が落下してきた。
あれだけ巨大であれば、この辺一帯の森は破壊され、間違いなくエルフの集落はなくなる。逃げようとしても逃げ切れる範囲ではない。
ざまああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お前もクロエもみんな纏めてあの世行きだ! これまでの努力が、この瞬間全て無に帰すのだ!
「皆んな! 俺の周りに集まってくれ」
相打ちというバッドエンドを迎えようとしていると、シロウが仲間たちに集まるように言う。
何をする気だ? だけどまぁ、何をしようと無意味だ。巨大隕石が衝突した際に起きる爆発は尋常ではない! どんなに頑張ったところで意味がないんだ!
俺は隕石が当たるのをただ待つ。
「ライトウォール!」
シロウが呪文らしき言葉を言うと、奴らは半透明の半球に包まれる。
あれはバリアか? あんな薄いもので俺の自爆魔法を防げるものか!
だけど念には念を入れておくべきだな。
触手のような枝と根っ子を使い、やつの防御壁を攻撃する。
しかし何度叩きつけても、バリアにはヒビ一つすら入らない。
見かけによらず、なんて硬さなんだ! もしかしたら、俺の命を犠牲にした自爆魔法の爆風にも耐えてしまうのか!
くそう、くそう、くそう! 壊れろよカスが!
何度叩きつけても、奴の防御壁はびくともしない。
巨大隕石は刻一刻と近づいてきている。
このままでは俺だけが死んでしまう。そんなのは嫌だ! 俺一人だけが死ぬなんて展開は、許される訳がない。
忌々しくシロウの生み出した防御壁を睨みつける。すると、あるアイディアが思い浮かんだ。
そうだ! 防御壁が半球であれば、地下にはないはず! 地中からの攻撃であれば喰らうのではないか!
さすが俺だ! 冴えていやがる。
『こいつを食らいやがれ!』
地上で何度も防御壁を攻撃しつつ、根っ子を伸ばして地下からの攻撃を試みる。
妄想の中では、地面を突き破った俺の根っ子がシロウの肉体を貫く。妄想の中だけであっても、想像しただけで笑いが込み上げてきそうになった。
奴の身体が貫かれて、血反吐を吐きながら苦しむ姿を思い浮かべると、俺は根っ子を思いっきり突き上げた。
ガツン!
根っ子は何かに当たり、地上に上がることができない。
まさか!
「この俺が、そんな間抜けなミスをすると思っているのか? 当然地下にも防御壁を張っているさ。元々、この魔法は半球ではなく球体だからな」
くそう! くそう! くそう! このままでは、俺だけが死んでしまう。
眼球を動かして上を見ると、隕石は更に近づいてくる。
この場から動けない俺は、あの隕石から逃げられない。
どうしてこうなってしまった。俺は、神として生まれ変わったのだ。それなのに、どうして神である俺が、人間如きの魔法を破壊することができない。
こんなの、あり得ないじゃないか。あの女! 嘘を吐きやがったな!
『私は嘘を言っていませんよ。私はシロウに神の鉄槌を下すことができるとは言いましたが、倒せるなんて一言も言ってはいません』
脳内にガーベラの声が響く。
『お前は私に任せておけば上手くいくと言っていたではないか』
『ええ、言いました。その言葉どおりに上手くいっていますよ。あなたと言うバカを利用して、ある物を探し出すと言う私の目的のほうですがね』
『おのれええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ガーベラあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! よくもだましたなああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『本当であれば、邪魔者のシロウたちも倒してくれればよかったのですが。さすがに都合のいい展開にはなりませんでしたね。まぁ、あなたの役目は、シロウたちの足止めでしたので、いい働きをしてくださいました。では、あの世に行った後は地獄のツアーを楽しんでくださいね』
その言葉を最後に、ガーベラの声は聞こえなくなる。
もう一度眼球を動かして上をみる。
すると、魔法で引き寄せた隕石はすぐそこまで迫っていた。
『くそう! くそう! くそう! シロウ! こうなったのも全てお前のせいだ! お前がクロエと出会いさえしなければ、俺は死ぬことはなかった! いつまでもクロエを想い、愛し続ける日々を送れたんだ! 絶対に許さない! お前を呪い殺してくれる!』
怒声を上げたと同時であった。隕石が俺の身体に直撃した。
薄れゆく意識の中、俺が最後に見た光景は、爆風が発生して周辺の木々を薙ぎ倒していくものだった。
『熱い、熱い、熱いいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
俺ことアーシュは、シロウのデスボールが当たり、業火の炎に身を焼かれていた。
俺はこのまま死ぬのか? まぁそれでもいい。最愛の妹と死ねるのなら本望だ。
触手のような枝に包まれているクロエを見る。
彼女も炎で焼かれ、中のゴムが剥き出しになっている。
うん? ゴム? って、これは俺のクロエ人形じゃねぇかああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
本者のクロエはどこだ!
眼球を動かして妹を探す。するとあの男の腕に抱かれているのを発見した。
『クロエを奪われたまま死ねるかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
死にたくない。死にたくない。死にたくない。俺のクロエをあの男から解放するまでは!
残り短い命でどうやってあの男を倒すのか、必死になって思考を巡らせる。すると、不思議なことに、脳内にガーベラの声が響く。
『このままでは死んでも死にきれないでしょう? でしたら、最大級の魔法を教えてあげましょう。この魔法を使えば、あなたは確実に死ぬ。けれど、シロウたちを道連れにすることが可能』
なんでもいい! さっさと教えろ!
『いいでしょう。では、あなた自身をターゲットに、隕石を引き寄せる魔法を教えてあげましょう。その名は――』
『ステラアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!』
ガーベラから教えてもらった自爆魔法、ステラを唱えた。その瞬間空が暗くなり、俺に目がけて巨大な隕石が落下してきた。
あれだけ巨大であれば、この辺一帯の森は破壊され、間違いなくエルフの集落はなくなる。逃げようとしても逃げ切れる範囲ではない。
ざまああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お前もクロエもみんな纏めてあの世行きだ! これまでの努力が、この瞬間全て無に帰すのだ!
「皆んな! 俺の周りに集まってくれ」
相打ちというバッドエンドを迎えようとしていると、シロウが仲間たちに集まるように言う。
何をする気だ? だけどまぁ、何をしようと無意味だ。巨大隕石が衝突した際に起きる爆発は尋常ではない! どんなに頑張ったところで意味がないんだ!
俺は隕石が当たるのをただ待つ。
「ライトウォール!」
シロウが呪文らしき言葉を言うと、奴らは半透明の半球に包まれる。
あれはバリアか? あんな薄いもので俺の自爆魔法を防げるものか!
だけど念には念を入れておくべきだな。
触手のような枝と根っ子を使い、やつの防御壁を攻撃する。
しかし何度叩きつけても、バリアにはヒビ一つすら入らない。
見かけによらず、なんて硬さなんだ! もしかしたら、俺の命を犠牲にした自爆魔法の爆風にも耐えてしまうのか!
くそう、くそう、くそう! 壊れろよカスが!
何度叩きつけても、奴の防御壁はびくともしない。
巨大隕石は刻一刻と近づいてきている。
このままでは俺だけが死んでしまう。そんなのは嫌だ! 俺一人だけが死ぬなんて展開は、許される訳がない。
忌々しくシロウの生み出した防御壁を睨みつける。すると、あるアイディアが思い浮かんだ。
そうだ! 防御壁が半球であれば、地下にはないはず! 地中からの攻撃であれば喰らうのではないか!
さすが俺だ! 冴えていやがる。
『こいつを食らいやがれ!』
地上で何度も防御壁を攻撃しつつ、根っ子を伸ばして地下からの攻撃を試みる。
妄想の中では、地面を突き破った俺の根っ子がシロウの肉体を貫く。妄想の中だけであっても、想像しただけで笑いが込み上げてきそうになった。
奴の身体が貫かれて、血反吐を吐きながら苦しむ姿を思い浮かべると、俺は根っ子を思いっきり突き上げた。
ガツン!
根っ子は何かに当たり、地上に上がることができない。
まさか!
「この俺が、そんな間抜けなミスをすると思っているのか? 当然地下にも防御壁を張っているさ。元々、この魔法は半球ではなく球体だからな」
くそう! くそう! くそう! このままでは、俺だけが死んでしまう。
眼球を動かして上を見ると、隕石は更に近づいてくる。
この場から動けない俺は、あの隕石から逃げられない。
どうしてこうなってしまった。俺は、神として生まれ変わったのだ。それなのに、どうして神である俺が、人間如きの魔法を破壊することができない。
こんなの、あり得ないじゃないか。あの女! 嘘を吐きやがったな!
『私は嘘を言っていませんよ。私はシロウに神の鉄槌を下すことができるとは言いましたが、倒せるなんて一言も言ってはいません』
脳内にガーベラの声が響く。
『お前は私に任せておけば上手くいくと言っていたではないか』
『ええ、言いました。その言葉どおりに上手くいっていますよ。あなたと言うバカを利用して、ある物を探し出すと言う私の目的のほうですがね』
『おのれええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ガーベラあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! よくもだましたなああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『本当であれば、邪魔者のシロウたちも倒してくれればよかったのですが。さすがに都合のいい展開にはなりませんでしたね。まぁ、あなたの役目は、シロウたちの足止めでしたので、いい働きをしてくださいました。では、あの世に行った後は地獄のツアーを楽しんでくださいね』
その言葉を最後に、ガーベラの声は聞こえなくなる。
もう一度眼球を動かして上をみる。
すると、魔法で引き寄せた隕石はすぐそこまで迫っていた。
『くそう! くそう! くそう! シロウ! こうなったのも全てお前のせいだ! お前がクロエと出会いさえしなければ、俺は死ぬことはなかった! いつまでもクロエを想い、愛し続ける日々を送れたんだ! 絶対に許さない! お前を呪い殺してくれる!』
怒声を上げたと同時であった。隕石が俺の身体に直撃した。
薄れゆく意識の中、俺が最後に見た光景は、爆風が発生して周辺の木々を薙ぎ倒していくものだった。
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