Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳

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第七章

第四話 俺はSランクを越えた存在だ!

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 ~レオ視点~
 


 顔を引き攣らせているデンバー王を見ながら、やつに近づく。

 俺が近づくと、王は一歩後退した。

「さあ、約束だ。土下座しろ」

 クククやってやったぜ。ついにあのいけ好かないデンバー王の無様な姿を見ることができる。ほら、早くしろよ、ちゃんと大勢の前で恥を掻かせてやるからな。

「まさか、コーウが負けるとはな。よくやったレオよ! お主こそ新の強者、わが国の代表に相応しい」

 王は俺のことを称賛し、デンバー国代表と認める。

 それは当たり前のことだ。あのザコを完膚なきまで叩きのめしたのだからな。だけど、今俺が求めているのはそんな褒め称えるような言葉ではない。

「いいから早くこの場で土下座をしろ」

「いやー、さすがはブラゴが連れてきた男だ。そなたを英雄と称え、褒美をやろう。いくらほしい?」

「俺が求めている褒美はデンバー王、お前の無様に土下座する姿だ。それ以外は何もいらない」

 やつは地面に頭を擦りつけることに対して抵抗があるようだ。話を逸らそうとしてくる。だけど、金なんかでは俺の傷ついた心は癒えない。少しでもマシにしようと思うのであれば、デンバー王が土下座をするしかない。

 まったく、プライドが高いだけの威張り散らしたゴミくずのような男ではないか。あんまり俺を待たせるんじゃねぇよ。こうなったら強引にでも約束を守らせるか。

 鞘に仕舞っていたティルヴィングを抜き、刀身を王様に向ける。

「この国の王に向って刃を向ける気か! 兵士共! こいつを捉えよ!」

 王は声を張り上げて兵士に指示を出すが、誰一人とてやつの指示に従う者はいなかった。

「兵士のほうが利口じゃないか。俺を捕らえようとしても死に行くようなものだと分かっている」

 言葉では兵士共が俺に怯えているように語ってやってはいるが、この俺には彼らの気持ちが分かる。皆デンバー王が土下座する光景を待ち望んでいるのだ。

 あんな威張り散らしたような態度を毎日していやがるんだ。そうとうやつに対してストレスを感じていやがるにちがいねぇよ。

 ほら、早くしろよ! 兵士もお前の土下座姿を待ち望んでいやがるぜ! ギャハハハ!

 ど・げ・ざ・はい! ど・げ・ざ・はい!

 心の中で何度も土下座コールを繰り返す。

 誰もが助けようとしない中、デンバー王は苦虫を噛み潰したような顔を作り出す。

「ぐぬぬ、命には代えられないか」

 デンバー王は意を決したようだ。

 地面に膝と両腕をつくと頭を下げる。

「そなたを侮ったことは謝る。許してくれ」

「はあ? 何してんだよ、まだ図が高いじゃねぇか! 地面に頭を擦りつけろよな!」

 王の態度に、俺は怒りを覚えた。

 まったく、土下座のやり方も知らねぇのかよ! これだから王というのはバカなんだよな。

「さっさとしろ! でなければそのまま公開処刑に切り替えるぞ」

「わ、分かった」

 俺の指示に従い、デンバー王は薄汚れた地面に額を押し付ける。

 その光景を目の当たりにした瞬間、俺は笑いを堪えるのに必死だった。

 ざまあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ギャハハハハハ! 国の代表ともあろうものが、何無様に土下座をしていやがる! お前には王としてのプライドがないのかよ!

 ああ、全くもって愉快だ! 国の王が地に頭をつけるなんてな! 世界中探しても、こんな無様な姿を曝け出すような王は、お前ぐらいなものだろうよ!

 デンバー王を見ながら下卑た笑みを浮かべる。

 きっとやつは恥辱に塗れながら、内心俺のことを恨んでいるだろう。だけどそんなことはどうでもいい。俺は王を屈服させるだけの力があるのだからな!

 人を思い通りに操るのは権力なんかじゃねぇ! 力だ! 力あるものが正義! 誰もこの俺に逆らえるものはいない。何せ、この俺はこの国で最強なんだからな! ギャハハハハハ!

 俺はSランクなんかに収まるような器じゃねぇ! Sを越えたU! ウルトラランクだ! ギャハハハハハ!

 ああ、権力のあるやつを見下せれるなんて、なんて日だ。この日のために、俺は長い間苦労させられたのだろうな。今の俺は清々しい気分だ。

「俺は客室でしばらく世話になるからな! 親善試合までよろしく頼むよ! お前はしばらくそこで震えていな! おいブラゴ! 客室まで案内しろ! 一番豪華な部屋だ!」

 俺は高揚感に包まれ、語気を強めながら白い顔の男に命令を下す。

「わかりました。では、案内しますので、こちらに来てください」

 ブラゴが訓練場から出ると、俺はやつについていく。

「いやー、まさかデンバー王のあんな無様な姿が見られる日が来るとは思いませんでしたよ。レオ様様ですね」

 城内に入り、廊下を歩いていると、ブラゴが声を上げる。

 どうやらやつも、あの男の態度にはよく思っていなかったようだな。つまり、俺は彼らの心を救ったことになる。当然だ。力ある者は弱者を救う義務があるからな。

「でも、やりすぎではないかしら? 暗殺とかされない?」

「はは、暗殺か! それはいい。この俺を殺せるのなら殺してみろってんだ! 返り討ちにしてやる」

「別に寝込みを襲うとは限らないわよ。暗殺には毒殺もあるし」

「なぁに、食事の時はそこら辺の兵士に毒見をさせるさ」

 あの戦いで確信した。俺はシロウを越えている。Sランクの実力を持っているコーウを余裕で倒したのだからな。親善試合が楽しみだぜ。当日になれば、シロウを叩きのめし、国中に俺の実力を知らしめることができる。そうすれば親父も俺を認めてくれるはずだ。

「こちらになります」

 ブラゴに案内された部屋は扉からして高価な作りになっていた。俺はドアノブを握り、扉を開けて中に入る。

 部屋の中は、どんな高級な宿屋でも霞んでしまう程の高価な家具や雑貨が置かれてあった。

「他国の王が泊まる際に使われている部屋です」

 他国の王が客室として使っている部屋に案内された。それはつまり、俺が王の器であるとブラゴは感じ取ったからに違いない。

 そうかそう言うことか。

 ブラゴの言いたいことが伝わった俺は、口角を上げる。

 俺がこの国の王になれとブラゴは言っていやがるんだ。そうに違いない。

 いいぜ。だったらなってやろうではないか。あのデンバー王を裏で操る真の王に、俺はなる!

 今後の目標を決めると、俺は部屋の高級なベッドに横になった。

 さぁ、ここからが俺様の本当の時代がやってくるのだ。親善試合が開かれるときには、俺がこの国の王になっているだろうよ。

「さぁ、この国を俺のものにする第一歩を始めようではないか」









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