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第五章
第一話 追放されたので彼に会いに行こう
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~シロウに倒された魔族視点~
私はミラーカ。人間の町の襲撃作戦のために、とあるダンジョンに住み着いていた魔族だ。計画を実行するために準備をしていたのだが、シロウ・オルダーとか言う男にボコボコにされてしまった。
私はスペアの肉体を破壊され、リンクを閉ざした。だけどあの時に感じた感情は覚えている。右手に頬を置き、私はうっとりする。
「ああ、思い出しただけで顔が熱くなりそうだ。人間でありながら、魔族である私を倒すだなんて! 彼は本当に人間なのだろうか。ああ、早くもう一度彼に会って、私のものにしたい!」
思い出すと私のあそこが疼く。
「ぐへへ」
「さっきから何をぶつぶつと独り言を言って、気持ち悪い顔をしていやがる」
彼との思い出に浸っていたからか、気持ちが顔に出てしまっていたようだ。
数人の視線が私を射抜く。
そうだった。今は私が所属している魔族のグループの会議中であった。過去の思い出に浸っている状態ではなかったな。
「すまない。気にしないでくれ」
「ゴホン、では次の議題に移るとするか。次の議題はサザークの町の襲撃作戦だが、これは失敗になった。作戦の責任者であるミラーカは何か言うことがあるか?」
グループのリーダーが私を睨みつけながら尋ねてくる。
「ああ、私の計画の邪魔をしたのはシロウ・オルダーと言う人間だ。下等生物とは思えない素晴らしいやつさ」
「貴様! ふざけているのか!」
語り始めると、リーダーは勢いよくテーブルを叩きつけ、顔を赤くして再び私を睨んでくる。
「別にふざけてはいないさ。私はあくまでも事実を言ったにすぎない。彼の実力は本物だ。その証拠に私のスペアの肉体が破壊された。だからほら、今は本当の姿で皆の前に現れているじゃないか」
「借りにそうであったとしても、魔族が下等な人間を担ぎ上げるな! 所詮は下等生物に毛が生えたぐらいであろう! 油断しやがって」
「ほう、私が見込んだ男を毛が生えた程度と申すか。それはリーダーであっても聞き捨てならない」
リーダーの言葉に、私はカチンとくる。彼の実力は本物だ。油断していたというのは事実だが、本気で戦ったとして彼に勝てるとは思えない。ザッと計算しただけでも、もしかしたらリーダーよりも強い可能性がある。
「人間の男の話はともかく、今の議題はミラーカよ。彼が人間程度に負けてしまったせいで、軍資金の宝を奪われたじゃないの。あれは私たちの大事な活動費だったのよ」
パーティー仲間である魔族の女、ガーベラが冷ややかな視線を私に向けてくる。
「それは申し訳ないと思う。だけど、勝者には報酬を得る権利がある。彼らが持ち出して当然さ」
「負けておいてよくもそんな口が利けるな!」
私の言葉に、リーダーは怒声を上げた。
まったく、この男は本当に短気だな。力が強いというだけでリーダーになったというだけなのに。シロウと比較すると全然だめだ。
見た目も頭脳も、彼に劣っている。下手をすれば魔力すら彼には太刀打ちできないのではないか?
「それだけではないです。サザークの町の襲撃の際に、千体の魔物に加えてバロン階級の魔物を連れ出し、更にファイヤードラゴンも戦場に投入したと言うのに敗北した。これだけの戦力を投入しておいて、普通は負ける要素はありません。これは異常すぎる敗北ですよ」
ガーベラが町での敗北のことを追求してくる。
魔物の目を通して見ていたが、あの戦いも素晴らしかった。思い出しただけでも興奮してしまう。何せ、ほとんどの魔物は彼に倒されたと言っても過言ではないからだ。
彼の活躍がなければ、今ごろ私達はあの町を占拠し、人間共を駆逐していただろう。
揺るがないはずの勝利を覆す力を持っている。ああ、彼はまさに私が崇拝する邪神のような男だ。彼の活躍は思い出すだけでうっとりしてしまうよ。
「それだけシロウが凄いということだ。我々の予想を遥かに超えるようなことを簡単に成し遂げてしまうのだから」
「あなた、自分が何を言っているのか分かっているのですか! さっきから人間の男を褒め、自分の敗北が当たり前のように言うなんてどうかしておりますよ!」
「そうだ! ガーベラの言うとおりだ!」
「わたしは度重なる敗北に加え、反省をせずに、寧ろ敵を称賛するようなミラーカがこのチームに所属するにふさわしいとは思えません! なのでミラーカを追放することを提案します」
仲間の女が挙手をして私を追放すると言ってきた。
「確かにお前の言うとおりだ。俺もそう思う」
一人が手を上げて彼女の提案に賛同する意志を示すと、それが連鎖反応のようになって、次々と手を上げ出した。
「賛成多数、決まりだな。本日、この瞬間をもって、ミラーカを俺のチームから追放する! 二度と顔を見せるな!」
リーダーが私に指を向けると、パーティー追放を宣言した。
その言葉を聞いた瞬間、私は口角を上げる。
「そうかい、それは寧ろありがたいねぇ。このチームには正直飽きてきていたんだ。最近は私が求めるスリルというものが感じられなくなったからね」
私は椅子から立ち上がり、彼らに背を向ける。
「ではアデュー! 次に会うときは敵同士かもしれないが、その時は遠慮しないで殺してあげるからね」
元仲間たちに別れの挨拶をすると、私はこの場から去った。
もちろん私が行く先はもう既に決まっている。
「再会といこうではないか。シロウ」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!
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何卒宜しくお願いします。
私はミラーカ。人間の町の襲撃作戦のために、とあるダンジョンに住み着いていた魔族だ。計画を実行するために準備をしていたのだが、シロウ・オルダーとか言う男にボコボコにされてしまった。
私はスペアの肉体を破壊され、リンクを閉ざした。だけどあの時に感じた感情は覚えている。右手に頬を置き、私はうっとりする。
「ああ、思い出しただけで顔が熱くなりそうだ。人間でありながら、魔族である私を倒すだなんて! 彼は本当に人間なのだろうか。ああ、早くもう一度彼に会って、私のものにしたい!」
思い出すと私のあそこが疼く。
「ぐへへ」
「さっきから何をぶつぶつと独り言を言って、気持ち悪い顔をしていやがる」
彼との思い出に浸っていたからか、気持ちが顔に出てしまっていたようだ。
数人の視線が私を射抜く。
そうだった。今は私が所属している魔族のグループの会議中であった。過去の思い出に浸っている状態ではなかったな。
「すまない。気にしないでくれ」
「ゴホン、では次の議題に移るとするか。次の議題はサザークの町の襲撃作戦だが、これは失敗になった。作戦の責任者であるミラーカは何か言うことがあるか?」
グループのリーダーが私を睨みつけながら尋ねてくる。
「ああ、私の計画の邪魔をしたのはシロウ・オルダーと言う人間だ。下等生物とは思えない素晴らしいやつさ」
「貴様! ふざけているのか!」
語り始めると、リーダーは勢いよくテーブルを叩きつけ、顔を赤くして再び私を睨んでくる。
「別にふざけてはいないさ。私はあくまでも事実を言ったにすぎない。彼の実力は本物だ。その証拠に私のスペアの肉体が破壊された。だからほら、今は本当の姿で皆の前に現れているじゃないか」
「借りにそうであったとしても、魔族が下等な人間を担ぎ上げるな! 所詮は下等生物に毛が生えたぐらいであろう! 油断しやがって」
「ほう、私が見込んだ男を毛が生えた程度と申すか。それはリーダーであっても聞き捨てならない」
リーダーの言葉に、私はカチンとくる。彼の実力は本物だ。油断していたというのは事実だが、本気で戦ったとして彼に勝てるとは思えない。ザッと計算しただけでも、もしかしたらリーダーよりも強い可能性がある。
「人間の男の話はともかく、今の議題はミラーカよ。彼が人間程度に負けてしまったせいで、軍資金の宝を奪われたじゃないの。あれは私たちの大事な活動費だったのよ」
パーティー仲間である魔族の女、ガーベラが冷ややかな視線を私に向けてくる。
「それは申し訳ないと思う。だけど、勝者には報酬を得る権利がある。彼らが持ち出して当然さ」
「負けておいてよくもそんな口が利けるな!」
私の言葉に、リーダーは怒声を上げた。
まったく、この男は本当に短気だな。力が強いというだけでリーダーになったというだけなのに。シロウと比較すると全然だめだ。
見た目も頭脳も、彼に劣っている。下手をすれば魔力すら彼には太刀打ちできないのではないか?
「それだけではないです。サザークの町の襲撃の際に、千体の魔物に加えてバロン階級の魔物を連れ出し、更にファイヤードラゴンも戦場に投入したと言うのに敗北した。これだけの戦力を投入しておいて、普通は負ける要素はありません。これは異常すぎる敗北ですよ」
ガーベラが町での敗北のことを追求してくる。
魔物の目を通して見ていたが、あの戦いも素晴らしかった。思い出しただけでも興奮してしまう。何せ、ほとんどの魔物は彼に倒されたと言っても過言ではないからだ。
彼の活躍がなければ、今ごろ私達はあの町を占拠し、人間共を駆逐していただろう。
揺るがないはずの勝利を覆す力を持っている。ああ、彼はまさに私が崇拝する邪神のような男だ。彼の活躍は思い出すだけでうっとりしてしまうよ。
「それだけシロウが凄いということだ。我々の予想を遥かに超えるようなことを簡単に成し遂げてしまうのだから」
「あなた、自分が何を言っているのか分かっているのですか! さっきから人間の男を褒め、自分の敗北が当たり前のように言うなんてどうかしておりますよ!」
「そうだ! ガーベラの言うとおりだ!」
「わたしは度重なる敗北に加え、反省をせずに、寧ろ敵を称賛するようなミラーカがこのチームに所属するにふさわしいとは思えません! なのでミラーカを追放することを提案します」
仲間の女が挙手をして私を追放すると言ってきた。
「確かにお前の言うとおりだ。俺もそう思う」
一人が手を上げて彼女の提案に賛同する意志を示すと、それが連鎖反応のようになって、次々と手を上げ出した。
「賛成多数、決まりだな。本日、この瞬間をもって、ミラーカを俺のチームから追放する! 二度と顔を見せるな!」
リーダーが私に指を向けると、パーティー追放を宣言した。
その言葉を聞いた瞬間、私は口角を上げる。
「そうかい、それは寧ろありがたいねぇ。このチームには正直飽きてきていたんだ。最近は私が求めるスリルというものが感じられなくなったからね」
私は椅子から立ち上がり、彼らに背を向ける。
「ではアデュー! 次に会うときは敵同士かもしれないが、その時は遠慮しないで殺してあげるからね」
元仲間たちに別れの挨拶をすると、私はこの場から去った。
もちろん私が行く先はもう既に決まっている。
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