全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜

仁徳

文字の大きさ
上 下
110 / 122
第八章

第八話 女王様の尋問

しおりを挟む
「そちらのお嬢さんたちとはどんな関係かしら?」

 昼食の最中に、母さんがルナさんたちとの関係を訊ねてくる。

「どんな関係って、旅の途中で出会って、一緒に行動するようになった仲間だよ」

「ふーん、そう」

 本当のことを言うと、なぜか母さんは俺の顔をジッと見つめてくる。

 何も嘘はついていない。怪しむように送られる視線に居心地の悪さのようなものは感じるが、真実しか言っていない。堂々としていれば良いだけだ。

「なら、何も起きていないのね。良かった。年頃の男女が一緒に居れば、何かしらの間違いが起きても仕方がないもの」

 ニコッと笑みを浮かべて安心した母さんの顔を見て、ホッとする。

 どうにかこの場を切り抜けられたようだ。さっきはどんな関係と問われたので、普通に仲間だと答えた。だが、母さんがポツリとこぼした『何かしらの間違い』と言うワードを聞いた瞬間、心臓の鼓動が早鐘を打つ。

 俺たちは仲間ではあるが、何かしらの間違いを起こそうとしたことはあった。

 彼女たちとディープキスをしたこともあるし、指をいやらしい感じで舐められたこともある。それに事故とは言え、裸体まで見てしまった。

 母さんに現在動揺していることがバレる前に話題を変えなければ。

「本当に良かったわ。最悪、子作りをしていたらどうしょうかと思っていたの。可愛い孫ができるのは大歓迎よ。でも、テオちゃんの奥さんになる人は、この国のお妃になるってことだから、厳しい審査が必要ってわけ」

「へぇー、厳しい審査ね。因みにどんな?」

 話題を少しずつでもずらしていこうと、母さんの会話に乗る。

「それはどれだけテオちゃんのことを愛しているかよ。テオちゃんへの愛をわたくしとを語り合って、認めれば即結婚をしても良いわ」

「妃になるハードルが低い!」

 国の代表の一角を担うポジションなのに、選考基準が低すぎるだろう!

「ばかばかしい。そんなにハードルが低ければ、嫁候補がゴロゴロ出てくるじゃないか。なぁ、2人とも?」

 溜め息を吐きそうになりながらも、ルナさんたちに訊ねる。しかし彼女たちは、俺の予想とは違って険しい顔付きをする。

 あれ? どうしてルナさんとメリュジーナはあんなに真剣な顔をしているんだ?

「メリュジーナはさっきの話しを聞いてどう思う?」

「ハードルはかなり高いだろうね。これまでの女王様を観察している限りだと、ご主人様マスターへの愛情は異常と言っても良い。例えるなら、装備一切なしの全裸で魔王に1人で立ち向かうレベルの無茶をするようなものだと思う」

「メリュジーナもそう思うのね。やっぱり、挑戦するなら死を覚悟する必要がありそうだわ」

 彼女たちのひそひそ話が聞こえてくる。ルナさんたち、それは言い過ぎだ。どうしてそのような発想になってしまう。普通に考えてそんなにハードルが高いようには思えないのだけど?

「でも、万が一にでも女王様に認められれば、敵はいなくなるわ」

「ワンチャン主従関係を越えるようになれば、絆はさらに深まる」

 ルナさんとメリュジーナは違いに顔を見合わせると無言で頷き合う。

 もしかして、母さんが言っていた試験を受けようとしているのか。まぁ、確かに母さんに認められて俺の嫁になることができれば、一生安泰した生活を送ることができるだろう。

 なに不自由のない生活を送れることは、生きて行く上で楽ができるからな。

 もし、ルナさんかメリュジーナのどちらかが認められたら、関係が大きく変わってしまうな。

「あなたたちのその目、わたくしに挑もうとしていますね。良いでしょう。2人纏めてかかって来なさい。万が一にでも、わたくしが負けるようなことが起きれば、この国の半分をあなた方に授けましょう」

 三人の女性が見つめ合っている。物語のワンシーンであれば、火花が散っているところだよな。

「バカらしい。俺は席を外す」

「テオちゃんどこに行くの?」

「トイレだよ」

「では、私が案内しましょう。テオ王子、こちらです」

 席を立つと控えていたメイドさんが近付き、案内してもらう。

 流石にこの場に俺は居られない。もし、彼女たちの勝負が始まれば、恥ずかしさでのたうち回るかもしれない。そんな醜態を見せる訳にはいかないからな。
 




 ~テオの母親視点~




 さて、テオちゃんはここから出て行ってくれたわね。それでは作戦を始めるとしますか。

「では、勝負といきましょう。と言っても、この勝負は目に見えています」

 勝負は既に決まっている。そう告げると、彼女たちの喉が動いた。きっとこれから大勝負が始まると思い込んで、固唾を呑んでいるのでしょう。

「この勝負は、最初からわたくしの負けが決定しています」

「「え?」」

 敗北宣言をすると、彼女たちは困惑した表情で小さく言葉を漏らしました。

 それもそうでしょうね。威勢よく立ち向かおうとした相手が降伏しているようなものですから。

「だってそうでしょう。赤子のときは一緒だったとしても、その後のことは何一つ知りません。大きくなった我が子の素敵なところを何ひとつ知らない以上、わたくしよりも多くのことを知っているはずのあなたたちに敵うはずがありませんわ。だから、あなたたちに教えてほしいのよ。大きくなったテオちゃんの素敵だなと思うところを」

 本当の狙いを語ると、彼女たちは違いに顔を見合わせる。

「それは一応勝負なので教えますけれど」

「でも、本当に良いのですか? 話せば女王様の負けは決定するようなもの。あの約束がなかったことにするつもりなのですか?」

「話しを聞くだけ聞いてやっぱりなしと言うつもりはありません。正直に言いますと、既にあなたたちのことは最初から認めていたのですよ」

「「え!」」

 既に認めていたことを告げると、彼女たちは驚きの声を上げました。

「あなたたちを観察していると、分かります。どれだけテオちゃんのことを慕っているのかを。そのことを知れただけでも合格ラインに到達します。それにテオちゃんから母と呼ぶように協力もしてくださいましたからね」

 片目を瞑ってウインクをすると、彼女たちはホッとした表情をしました。

「それでは、改めて話してくれないかしら? あなたたちから見たテオちゃんの素敵なところを」

 それからわたくしは、テオちゃんがトイレから戻ってくるまでの間、彼女たちからたくさんのことを聞くことができました。

「テオちゃんに夜這いをした!」

「ええ、ちょっと私にも事情があって、間が差したと言うか」

 ルナさんの話しを聞き、正直驚きつつも嬉しく思う。

 もしかしたら本当に孫ができる日が近いかも。
しおりを挟む
script?guid=on
感想 97

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...